バトルスピリッツ Engage Link   作:けんき

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銀氷の騎士

白い光に部屋が包まれてから、俺は一瞬意識が飛んだ

そして目をゆっくり開けるとただただ白い空間が広がっていた。そして目の前はウィズだっけ?そいつが立っていた

 

「ここは……」

「ここでバトルアーマーを装着してもらう場所だよ」

 

バトルアーマー?何だそれは?

ウィズは俺の左手を取り、手を重ねる。すると手の甲が氷に触れたように冷たい

いや、冷た過ぎて痛い!!!

 

「痛えよ!!」

 

凍傷するわ!

思わずウィズの手を振り払い手の甲を確認する。そこにはウィズの顔のようなマークが刻まれていた

 

「これは?」

「契約の証だよ」

「契約?」

「正式じゃないけど……このバトルだけとりあえず。1回しか使えないけど……」

 

さっき『多分、奴のバトルは普通なら耐えきれないと思う……』とウィズが言っていた。そんなことをしないとヤバいのか……

 

「これでバトルアーマーの準備が出来た……」

「え?」

 

するとマークが光りだして、俺を包んでいく

 

「なっ、何だ!?」

 

ボーダーの薄い長袖の上に着ていた白いジャケットから白を基調とした西洋風の貴族服へと変わっていく

青いマントが背中についたら、白い世界が開けて、東京駅の真上に立っていや……

 

「飛んでる!!!てか、この衣装なに!?」

 

いろいろ頭の整理がつかない……どうしてこの服……どうして東京駅の上に居るんだ……どうして宙に浮いているんだ……考えれば考えるほどクエスチョンしか浮かばない……

よりによってうウィズの声はしないし……

 

「おい、準備はいいか」

 

数メートル先に立つ大男の声。全くわからない状況で知っている声は誰であろうと少し有り難い

それにしても、大男の衣装は変わってないな……

 

「それじゃ、先行はどうする」

 

俺はデッキから4枚のカードを初手に引いて確認する

バトスピは手札を確認して先攻、後攻を決めることが出来る

先攻はバトルの準備が出来る事、後攻は速攻を掛けてプレッシャーをかけれること。大体そんな感じだ

さてと手札は……

 

「み、見たことねぇーカードばっか」

 

初めて見るカードばっかでどうしたら。強いてわかるなのはウィズくらいだ

 

『……大丈夫ですか?』

「ウィズ!?どっから……」

『……手札』

 

手札から直接話しかけてきてんのかよ!!

 

「もう……めちゃくちゃだな……」

 

驚きが多すぎて呆れてしまう

軽くため息をついて

 

「大丈夫ばないかな……」

『なら、後攻がいいかと』

 

そうだな。カード効果を確認する時間が必要だな

 

「……後攻で……」

「そうか」

 

[ターン1]

 

「俺のターン。スタートステップ、ドローステップ、メインステップ。ダーク・ディノニクソー」

 

大男の前に現れた赤いシンボル。シンボルが割れると現代の東京の景色には似合わない黒い恐竜のスピリット。ダーク・ディノニクソー

そして女性の悲鳴が聞こえ、ぞろぞろと人が集まる

 

「マジかぁ……スピリットが現実に現れるとは……」

『だから、普通のバトスピじゃない』

 

なるほどねぇー。確かにこれは普通じゃないな

 

「ターンエンド」

 

[ターン2]

 

「俺のターンかぁ……さてどうするかぁ……」

 

現実世界にスピリットが出たことでビックリしたせいで効果を読んでない……

使えるコアは5個、引いたカードもよくわからない……

 

「……とりあえずメインステップ。マーキュル・バグを2体召喚!」

 

俺は半透明のテーブルにカードを置くと、真下にマーキュル・バグが白いシンボルを割って現れる

なんかアニメみたいで興奮するな!!

 

「おっと、集中しないとな。ウィズ行けるか?」

『……僕はどっちでも……』

 

現代っ子か!!まあいいや。ウィズの効果はアタック出来るこのタイミングなら使えるはずだ

 

「零相棒ウィズを召喚!」

 

白いシンボルが割れてウィズが現れる。寮に現れた時とまんま同じ姿……そして、俺が昔に描いた絵と同じ姿だ

なんか、自分が描いた絵が現実に現れるのは何だかんだ嬉しい

 

「これでやることも無いし……じゃあアタックステップ」

「白なのに攻めるのか?」

 

出た……俺とバトルしてるやつがよく言うやつ……

確かに白は守りが得意なデッキだが、ヴァルハランスをキースピリットにし、レーヴァテインとかが入っている本来の俺のデッキは攻めに特化したデッキ。だから、そんな事を聞いてくるやつによく返してる言葉がある

 

「攻撃は最大の防御だ!ウィズでアタック!」

カウント0→2

 

俺がウィズのカードを疲労させるとウィズが大男に向かってアタックする

本当にアタックしてる……てか、結構近くでスマホのカメラで撮影してる人いるけど大丈夫かな……

そんな心配が頭を過ぎったが、ウィズはそんなのお構いなしに大男に拳を振り上げた

 

「ん?ちょっと待て!!」

 

スピリットが現実世界に現れてることを考えると、流石にヤバい気がする!!東京駅前を血の雨にしたくない!!

 

「殺すのは流石に!!」

 

俺の言葉は届かずウィズは拳を振り下ろした

すると大男の前に半透明のコア状のバリアが出てきて、ウィズの拳を受け止め、そして割れた

そうだよな。流石に体に穴が開くとか……四肢が飛ぶとか……そんな酷いことはないよな……

変なイメージを消し去るように首を振ってターンエンドを宣言した

 

大男ライフ5→4

 

 

[ターン3]

 

「俺のターンだ。ダーク・ディノニクソー2体を召喚!そして原始の森を配置!」

 

原始の森か……結構面倒くさいカードだな……レベル2させないようにしよう

 

「ダーク・ディノニクソーでアタック!」

 

ディノニクソーがこっちに向かって走ってきた。走る姿がアニメと同じようになんかかわいい

しかし、ここはブロックじゃなくて

 

「ライフで受ける」

 

そう宣言すると、目の前にライフ状のバリアが現れる

そしてディノニクソーは背中で押しつぶそうにバリアを破壊した

その瞬間、全身に何かをぶつけられたような……体を貫かれた感触が全身に走った

そして、真っ先に出た言葉は

 

「痛ぁー!!?」

 

人間の……いや、生物の本能で思わず小さく蹲る

ヤバい……マジで死ぬ……そんなことすら頭に過ぎった。こんな痛みをあの大男は仁王立ちして受けたのかよ……化け物じゃねぇか……

 

「……だ、大丈夫……」

「大丈夫じゃねぇよ!!死ぬかと思ったわ!!?」

 

心配してきてくれたウィズに思わず八つ当たりをしてしまった

 

「……ごめん。だけど……君は僕と契約しなかったら死んでた可能性があったんだよ」

「え?……そういや、多分、奴のバトルは普通なら耐えきれないと思う……って言ったのは……」

「……契約……というより、アーマーを着けないと、良くて打撲……最悪痛みによるショック死になる……」

 

マジかよ……その事を分かって大男はバトルに仕掛けたのか……いくらなんでもサイコパス過ぎないか?

 

「ターンエンド」

 

界ライフ5→4

 

[ターン4]

 

「ッ……俺のターン」

 

正直、あの痛みを知ったらバトルを続けたくない……

 

「ッ……ドローステップ……リフレッシュステップ……メインステップ……」

 

さっきの痛みで全然頭が回らない……どうしたらいいんだ……

 

「……ターンエンド」

「なんもしないのか?さっきまで攻撃は最大の防御といって意気がっていたのにな」

 

ッ……ぐぅーの音もでねー

すると大男は軽くため息をつきターンを始めた

 

 

[ターン5]

 

「俺のターンだ。見せやる。絶望の淵にいる太古の暴君を!闇龍ダーク・ティラノザウラーを召喚!」

 

大男の真下にある道路に罅が入り大穴が開いた。そこから黒い恐竜が地響きを上げながら現れる

黒い恐竜……ダーク・ティラノザウラーは咆哮を上げ、建築中の足場や鉄骨を吹き飛ばした

 

「ッ……なんてデカさだ……」

「キャァーー!!」

「何だ!?」

 

下から女性の声が……

俺は下を向くとダーク・ティラノザウラーが出てきた大穴に何人も落ちていく。それだけじゃない飛ばされた足場の下敷きになった人……鉄骨が運悪く体に刺さり血の海になった酷い状態になった人……まるで……まるで!

 

「やめろ……やめろ……」

「……どうしたんですか!?」

 

嫌でも思い出してしまったヨハネの黙示録の光景

嫌だ……嫌だ……あの光景はもう見たくない……

 

「……やめてくれ……」

 

もうこの言葉しか出なかった

 

「どうやら……戦意喪失したみたいだな。ダーク・ディノニクソーのコアを使いレベル2へ!アタックステップ!ダーク・ティラノザウラー!進撃しろ!」

 

ダーク・ティラノザウラーが咆哮を上げて地響きを上げながらこっちに近づいてくる……絶望がこっちに来る……

 

「ダーク・ティラノザウラーのBP以下のカードを破壊する!マーキュル・バグを破棄する」

 

マーキュル・バグは蚊を潰すかのごとく踏み潰された

そして、ダーク・ティラノザウラーは食らおうと牙がこっちに向かう

カウント2→3

 

「……ダメだ……俺はどうすれば……」

「……」

 

ライフの盾を噛み砕こうとした時にウィズが目の前に現れ、何で……ブロック宣言してない!

 

「どうして!!」

 

ダーク・ティラノザウラーは自身の効果でBPは10000、対してウィズのBPは8000……無理だどうしても勝てない……

 

「……君は僕が守る……だから……諦めないで……昔を乗り越えて!」

「!?」

 

ウィズは力強い言葉。それと同時に『ガリィ!』とティラノザウラーに噛み砕かれた音が廃墟と化した駅前に響き渡った

 

「ウィズ!!!」

 

……どうして……

 

「ふん。ダーク・ティラノザウラーの【連鎖】発揮!」

「うわァァァ!!?」

ライフ4→3

 

体が投げ飛ばされた?……クソ……ダーク・ティラノザウラーの【連鎖】……そういやBPで……スピリットを破壊……した時に……ライフ貫通……だったな……ダメだ……痛み……で……まともに思考できねぇ……

 

「ディノニクソー2体でアタックした所で削りきれないか……ターンエンド!さあー次のターンで決めてやる」

 

[ターン6]

 

ダメだ……痛い……立ち上がれるかこれ……

 

「……クソ……あんな高さから……打ち付けられたけど……骨折した感じは無いか……」

 

だけど……よく死ななかったな……

いや、アーマーを着ていなかったら死んでたんだ……

 

「ッ……」

 

足をふらつかせながら痛みを我慢し立ち上がり、ウィズが噛み砕かれた場所にゆっくりと歩いていく

そこには白いものがふよふよ浮いていた。まるでウィズの魂みたいだ……

 

「……ごめん……俺が不甲斐ないばっかりに……」

 

白い魂の先に広がる荒廃した世界。数時間前まで建設中のビルや、それなりに人が居たが、今は鳥の囀りすら聞こえない死の町へと変わっていた

近くに居た人は避難したのかな?……これ以上死人は見たくない……もう……あの景色は……

 

「さあ、バトルは続けるのか?」

 

煽られるけど、正直……こんな景色を見せられたら……もう……

 

「ッ……スタートステップ……」

 

ステップを宣言した瞬間、半透明のテーブルが戦えと訴えてくる

 

「……コア……ステップ……ドローステップ……」

 

考えれば考えるほどネガティブな事しか考えが浮かばなかった。……もう何を引いたって無理だ……

 

『だから……諦めないで……昔を乗り越えて!』

 

その時にふとウィズの最後の言葉が頭に過ぎった

昔を乗り越えるかぁ……6年前のヨハネの黙示録を乗り越えるのは無理だ……無理なんだよ……あの目に焼き付いた地獄の景色を乗り越えるのは……

 

「……俺はターンを……」

 

ターンを終了しようとした時に左手の紋章が光りだした。なんだろう……左手が手を優しく握ってくれたような温もりを感じる……なんかベタだが背中を押してくれてるような……勇気が湧いてきた。怖い……逃げ出したい気持ちはあるが……

 

「……ウィズが押してくれてるんだな……そうだな……まだバトルが終わってないのに諦めるのはよくないよな」

 

大きく深呼吸をした

少しづつ……少しづつだけど頭の整理が追いついてきた。そして何だか気持ちも落ち着いてきた

引いたカードの効果を確認する

 

「……契約煌臨……」

 

このカードならウィズの効果を最大限使える

 

「行くぞ!ヨハネの黙示録は二度と起こさせない!眠りし竜騎士の魂!氷を纏いて型となれ!零契約!ゼロフェンサーウィズを契約煌臨!」

 

左手の紋章が強く光り輝き、共鳴するようにウィズだったものが白く光りだす

そして再び人型を作り出し、大きく成長したウィズの姿となった

……これが契約煌臨……魂だけとなったスピリットに再び体を与える力

 

「へぇー面白いじゃん!大丈夫か?」

「……はい……復活させていただきありがとうございます」

 

いや、感謝を言う方はこっちだ。ウィズが居なければこのバトルを諦めて、きっとこの惨劇を受け入れることが出来なかった……

だけらウィズの言葉が支えになった。だからこそ、この言葉を言わないといけない

 

「ありがとう!」

「……ん?……まあ、いいです。僕の力を使ってください」

「あーそうだな。煌臨効果発揮!カウント+2してデッキを5枚捲る」

カウント3→5

 

オープン:絶甲氷盾 ポイント・ゼロ マーキュル・リザード 星零剣フォーアンサー マーキュル・フォックス

 

「星零剣剣フォーアンサーを手札に!流星が流れる氷山!それを一振りで氷平線へと変える剣!星零剣フォーアンサーを召喚!」

 

暗雲の空を切り裂くように一本の剣が振ってきて、荒れたコンクリートに突き刺さる

 

「おー!!これはいいブレイヴ!!」

「ん?どうしたウィズ?こういう武器とか好きなのか?」

「はい!!」

 

目を煌めかせるウィズ。さっきまでおどおどしてたのに……まあ、いいか。とりあえず、このブレイヴをウィズにブレイヴしよう。興味ありそうだし

それにウィズの系統は銀零。ブレイヴ条件を満たしてる

 

「俺はゼロフェンサーウィズに星零剣フォーアンサーをブレイヴ!」

 

ウィズは突き刺さったフォーアンサーを引き抜き、大男に刃を向けた

なんだろ、紋章から力が伝わって熱い!力がどんどん漲ってくる!こんな感覚初めてだ!

 

「凄い!力が溢れてくる!今ならなんでも出来そう!」

 

どうやらウィズも同じことを思っているようだ

まるでウィズと一心同体になってるみたいだ。そして左手の紋章が再び強く光りだす。まるでまだ秘密があるみたいだ

 

「……なるほど……俺は合体結誓を発動!4枚ドローして2枚破棄!」

 

白のデッキと思えない程の破格のドロー!!!これはいいぞー!!!

 

破棄:ブレイヴリーバリア マーキュル・リザード

 

「マーキュル・ケルベロスをセット!アタックステップ!ゼロフェンサーウィズでアタック!」

 

ウィズはコンクリートの破片を吹き飛ばすほど強く地面を蹴り大男に刃を向ける

カウント5→7

 

なるほど……煌臨しても元々のウィズの能力が使えるのか

 

「ッ……急に元気になりやがって……だが、お前はスピリットを出さなかった。このターン決めれない」

 

確かに相手のライフは4、俺のフィールドはウィズとマーキュル・バグのみ。確かにパッと見決めきれなさそうだが……問題ない!

 

「……気に入らねぇなーその笑い!なら、ダーク・ディノニクソーでブロッ……ブロック出来ない!?」

「ウィズの効果でコスト以下のスピリットはブロック出来ない!」

「なんだと!?じゃあライフしかないじゃないか!!」

「さらにカウント6以上なら、白シンボルを追加する!よって!」

「……2ダメージ……受けてもらう!」

 

フォーアンサーを乱暴に振り上げて大男のライフを2点削る

 

「ぐわぁぁぁぁ!!!」

 

ライフ4→2

 

大男の聞いたことない苦しむ声。どうやらライフが2つ一気に削るのはかなりの痛いらしい……くらいたくねぇ〜

 

「……だが、これでおまえはマーキュル・バグしかアタック出来ない……どうやら……このターンでは勝てないみたいだな……」

 

何で……こう……ベタなフラグを立てるかな……まだウィズは大男のライフを狙おうと真上で待機してると言うのに……

 

「なっ!?なぜ疲労してない!?」

 

やっと気づいたか……

 

「なぜって、フォーアンサーのブレイヴ時効果だよ。カウントが7以上の時にアタック時に回復する」

「なっ!?アタックした時はカウントは5のはず……」

「おまえはバトスピ初心者か!?ターンプレイヤーが効果の優先順位を決めれるんだから、カウントを先に7にしてブレイヴアタック時の効果を使えばなんの問題もないだろ」

 

思わず毒舌が出てしまったが……これから問題なくブレイヴ効果は使える。よって……

 

「マーキュル・ケロベロスのミラージュ効果でティラノザウラーをデッキ下に戻し、もう一度、ウィズでアタック!」

「ッ……なら、双光気弾を発動!相手のブレイヴを破壊する!これで……ライフを1点だけしか削れねぇ……」

 

渦状の炎が大男に斬りかかろうとするウィズに襲いかかる

しかし、ウィズはお構いなしに双光気弾の炎に突っ込んでいく

 

「なんだと!?」

「フォーアンサーにはC装甲赤、紫がある。よって双光気弾は効かない!」

「……そんな馬鹿な……」

 

どうやら大男の万策は底をついたようだ

渦から出てきたウィズは再び大きく剣を振り上げ、大男の最後のライフを砕きながら、ボロボロのコンクリートの上に叩きつける

ライフ2→0

 

大男は白目で気絶、バトスピはライフを先に0したら勝である。よって俺の勝ちだ!

 

「これが俺の天地開闢!」

 

と宣言した瞬間、召喚されたスピリットは消えていき、ウィズも最初に会った時の姿に戻った。俺の衣装は戻らないみたいだけど……

さてと、いろいろ大男から聞き出そうと思ったが……あの感じだと聞けなさそうだ

すると、「ちょっと、そこの君!」と後ろから声がした。振り返ると青い制服を着た警察の人が駆け寄ってきた

……ウゲぇ……面倒なことになりそう……

 

「これをやったのは君?」

「いやーあそこの気絶した人に聞くのが1番早いかと……あの人がやってましたし」

「そうか。まあ、一応君にも……」

 

警察の話を聞いていると体が白く光りだした。この感じはバトスピを始める前の感覚に近い……

と瞬きをした時、目の前はさっきまで居た寮の一室が広がっていた。服も元に戻ってる。廻廊さんはさっきまで俺とバトスピをしていた丸テーブルの前でつまらなそうにデッキを触っていた

するとこっちに気づいたのか、安堵した表情でこちらに近づいてきた

 

「全く……どこに行ったんだよ……急にマジックみたいに居なくなったから心配したんだぞ。急に独り言も喋りだすし……」

「あーそうなんだ。なんかごめん」

 

傍から見ると急に消えた感じなのか……

てか、この口ぶりだとウィズの事は見えてないのか?と言うことはこの事は廻廊さんには聞こえない方がいいな……

 

「とりあえず、廻廊さん。出ていってくれない?」

「え、あっ、ああ……」

 

廻廊さんに許可を貰い部屋から出ていってもらった

これで部屋にはウィズと俺だけとなった

 

「よし、いろいろ話を聞かして貰うぞ」

「……わかりました。まずは何から話しましょうか?」

「まずは、審判についてだ!あの災厄はなんだ。それにあいつらの目的はなんだ?もう一度審判を起こすとか!!」

 

小さい頃から考えていたことと、大男が言っていた事だ

ウィズは一拍を置き口を開いた

 

「……6年前に起きた審判の時……レクリスと地球の危機でした。世界が滅ぶ……そんな危機的な状況でした」

 

世界が滅ぶ……そんなベタな馬鹿げた話しを普通は信じないだろう……だけどあの地獄絵図を見た俺はすんなり受け入れてしまった

 

「起こったらどうなるんだ?」

「……世界が破壊され、新たな世界が始まる……つまり、今まであった種が破壊され、新たな種を作るということ……」

 

何!?約46億年の地球の歴史をそんな簡単に破壊できるのか?

 

「そんな一瞬で破壊出来るのか?」

「……『ジャッジメント』というスピリットの力を使えば可能ではあります……まあ、あの大男もそれを再度起こしたいのでしょ……全く……審判が起きたら自分たちもただでは済まないのに……」

「それってだいぶ危ないか?だってその『ジャッジメント』の力を使えば直ぐに起こせるんだろ?」

「いえ、今は封印されています。6年前の審判の時で……被害を最小限で……」

 

あれで最小限でだと?「ふざけるな!?」と怒鳴りたい気持ちはあるが……さっきの話を聞くとな……逆に世界を破壊する奴を止めるのに日本の首都圏を犠牲か……

なんか膝の力が抜けてストンと膝が落ちた

 

「あはは……はぁー……何だかな……ヨハネの黙示録後にこの国がどうなったか知ってる?」

「……いえ……」

「東京が元々首都だったんだけど、首都を大阪に移動。成田や羽田も機能を停止して海外との物流も途絶えて、主要空港も関西圏に移動。人口も億を切って、数百人しかいない県は合併。ほんの一年前まではずっと混乱状態だったんだぞ……」

「……それは……」

「まあ、世界が滅亡するのに数千万人と首都圏犠牲なら安いもんなんだろうと思うんだけど……」

 

ただ犠牲だけ済むんだったらよかったんだけどな……

 

「……話を変えましょう……」

 

ウィズは暗い空間を変えるために一言話した

 

「……他にありますか?」

「初めて会った時に『やっと君と繋がることが出来た』って言っていたじゃん?何で俺を知っている口ぶりだったんだ?俺はウィズとは初めましてだが……」

「……たまに見えてたんです。君が描いた絵越しから……」

「俺が描いた絵越しから?」

「……たまにですが」

「何でそんな事が……」

「……きっと、審判の時にレクリスと地球が一時的に繋がっていたのが原因かと……」

 

なるほどな……それならなんとなく思いあたる縁がある……ヨハネの黙示録が起こる数分前にデパートにある文房具屋でメモ帳を買った。ウィズの描いた時の紙はその時に買ったメモ帳。そう……友達と……一緒に……

 

「……何で泣いているんですか?」

「え?」

 

ウィズの言葉でやっと気づいた。頬に伝わる一粒の涙の感触。自分の目線がゴロゴロとウィズの形を歪ましていた

そうか泣いてるのか……

俺は涙を拭い

 

「悪いな……少し昔の事を思い出して……」

「……昔……ですか……?」

「……ヨハネの黙示録の時にデパートに一緒に遊びに行ってた友達を亡くしたんだ……」

 

それどころか、俺以外のデパートにいた人は全員亡くなった……お客さん、店員、ガードマン……友達……全員だ……

俺が何故か奇跡的に生き残った。足に後遺症は残ってはいるが……

 

「……そうなんですね……野暮な事を聞きました……」

「いや、大丈夫。気にしてないとなると嘘になるけど、お前の言葉で少し晴れたから」

 

俺の言葉に小首を傾げる。どうやらわかってないみたいだ

 

「お前が『昔を乗り越えて!』言ったんだろ。あれ、結構助けになったんだぜ」

 

バトルしてる時に言ってくれなかったら、完全に心が折れてたからな

照れくさそうに頬をかく。スピリットだからって、結構人間みたい行動をするんだな

「ふふふ」っとからかうようように笑い

 

「正式な契約をしよう」

「え?」

「これって仮契約なんだろ?」

 

俺はウィズに左手の甲に刻まれた紋章を見せる。ウィズはハッキリと頷き

 

「ヨハネの黙示録のような事を二度とあってはならないと思うし。あんな地獄を見るのは懲り懲りだ」

 

これが俺の本音だ。これ以上の被害を出さないためにも……そして俺のような奴をこれ以上を生まないためにも

ウィズは光の中でやったこと同じように左手をとり、契約の儀式を行う

凍傷するくらい一瞬痛かったが、ウィズは直ぐに手を離してくれた。甲を確認すると紋章が少しハッキリしたくらいの違いしかない……

 

「……これで契約は完了です……」

「わかった。これからよろしくなウィズ」

「……こちらこそ……」

 

俺は手を差し出し、ウィズの冷たい手を掴み厚い握手した

 

「おーい、かーい、そろそろ入っていいか?」

 

あっ、廻廊さんの事を完全に忘れてた……

部屋の扉を開けて廻廊さんを部屋に入れた。廻廊さんは不機嫌そうにさっきの話を聞いて来たが、なんとか話を濁した。後は廻廊さんにはウィズの事は見えてない、聞こえてないみたいで、独り言を永遠に話していたように聞こえたとのこと……それもあって変な奴扱いされたんだが……

……だが、これから俺とウィズの戦いが始まるんだな

そんな覚悟を決めて明日からの学園生活を送る




カード紹介

界「今回、紹介するカードは星零剣フォーアンサー!」
有巫「合体結誓を持つブレイヴだ」
界「白にしては珍しいドロー効果を持つカードだな。この能力、結構有り難いんだぜ!」
有巫「白のドローって無いからな。結構珍しいカードだな」
界「ウィズとブレイヴしないとドロー効果や契約煌臨しないと回復効果は発動しないデメリットはあるが……それが無くても、C装甲やシンボル追加もあるから、使いやすいカードだと思う」
有巫「そうだな。白にしては攻撃的な効果だし、変わった動きが出来そうだな」
界「そう。まさに攻撃は最大の防御を体現したカードだ!」
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