バトルスピリッツ Engage Link   作:けんき

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界放の字を間違えてました……。すみませんでした

サブタイトルを少し変更しました


若緑の妖精

『いおりん!明日、暇?』

『花織が『新しい服欲しいからさ、いおりんも渋谷辺に行かない?』って言ってるんだけど、私は行こうと思うんだけど!』

 

ふとした時に思い出す、甲高い声と白昼夢の中のような小さい頃の記憶。小さい頃の記憶はどんどん薄くなって行くけど、この記憶はハッキリと覚えている。……いや、忘れられるわけがない……親友との最後の会話を……

あれはヨハネの黙示録が起きる日の前日、私達はグループ通話で明日の遊びのお誘いを受けていた

 

「無理かなー明日、おばあちゃんの所に行くし……」

『なら、仕方ないね。今度また3人で行こうよ!』

『そうだねー。今度はしおりんと花織で行こうよ!』

「ごめんね。じゃあまた学校でねー」

 

私は簡単な挨拶を最後に通話を切った。花織ちゃん、桃季ちゃんの親友2人との最後の会話になってしまった

そして次の日にヨハネの黙示録が起きた。もちろん、渋谷に行った2人はヨハネの黙示録に巻き込まれて二度と会えなくなってしまった……県外に居た私はたまたま被害を受けなかった

あれ以降、人付き合いが一気に嫌になった……またこんな思いをするんじゃないかって……だから、人に深入りはしなくなったし、友達を作ることも辞めた

 

そんな生活を6年くらいしていた。人と喋るときも最小限で、ご飯食べる時も1人で、登下校も1人だ

話しかけてきたりも深入りすることも無いし、それ以上付き合うことも無かった。親からも心配されたけどこれでいいと思ってる……これで……これで……これならきっと傷つかないから……

 

「……翠川さん?」

 

机にうつ伏せになっていた私に私の名前を呼ぶ声。この声は昨日カードゲームをしていた……星詠さんだっけ?

私は顔を上げて声した方に振り返る。そこにはちらほら跳ねた白髪の星詠さん

 

「何なの……」

「少し来てもらってもいいか?」

 

後5分もしないうちに授業が始まるけど……

 

「……別にいいわよ」

 

まあ、少し遅れてもトイレに行ってましたって言えば問題ないしね

私は立ち上がり星詠さんと共に教室を後にした

 

 

 

 

 

 

 

星詠さんに連れられて2階上がって学校の屋上へとやってきた。うちの学校は屋上に立ち入ることは禁止されていない。一応飛び降りしないように4メートルくらいの返しの付いたフェンスが囲ってはいるけど

晴々とした青い空の下、星詠さんと完全に2人っきりとなった。風1つ無い静かな空間に星詠さんが口を開いた

 

「……翠川さんに少し用があって……」

 

凄いたどたどしいわね……女の子と喋り慣れてない小学男子みたい……

 

「で、なんの用?そろそろ授業が始まるんじゃない?」

「……んま……そのー」

 

何その言い方……私、焦れったいの嫌なんだけど……

すると星詠さんは私から左斜に目線を向け急に

 

「うるせえー!わかってるんだよ!!」

 

と急に誰かに怒鳴りつけた。思わず私もビクッと少し体が上に弾んだ。いきなりなんも無い所に怒鳴りだしたら驚くよりも恐怖の方が勝ってしまった……

すると目線をこちらに戻し

 

「あーごめん。そっか……見えてないもんな……」

 

見えてない?その口ぶりから察するに誰かが星詠さんの足元に誰かいるのかな?

 

「……まあ、どうでもいい。早く用件を済まして!」

「あ、ああ……」

 

かなり荒い言い方をしてしまった……結構イラついているてるなー自分

そんな事を考えていると星詠さんは私に近づいてくる。え……何……怖いんだけど……

すると星詠さんは制服のポケットから少し厚めの1枚の紙を取り出した。これは確か……昨日星詠さんと間邪さんがやっていたバトスピと言うカードゲームの紙だっけ

でも、私はカードゲームに1回も触れたことも無いし、興味も無い……

 

「悪いんだけど……私、カードゲームはやってないんだけど……だから受け取れない……」

「あ、いや、このカードを持ってくれればいいから」

 

持つだけ?なんの意味があるの?まあいいや……さっさと終わらせて授業に行こう

差し出された紙を星詠さん言われた通り受け取った

 

「これで喋っても聞こえる?」

「……多分大丈夫」

 

星詠さんの声とは全く違う2人の声が急に聞こえた。1人は自信なさげで中性的な声。もう一人は小学生のような声変わり手前の女の子のような高めの声だった

そんなことよりも、屋上には私と星詠さんしか居なかったはずなのにどうして……

少し目線を下げてみた。そこには銀色の鎧を着たトカゲと白い服を着た緑色の女の子が急に現れて……

 

「えー!!!?」

 

今年1番の声が出た……てか、いつの間に居たの!?どこから入ってきた!!2人きりの時に屋上の扉が開いた音はしなかった……てことは、空から来た?いや、流石に気づくような……

ヤバい……頭痛くなってきた……

 

「だ、大丈夫?頭押さえてるけど……」

「……頭が混乱しただけよ……」

「今回はこの少女のフラウがあなたに話しがあるみたいだから」

 

フラウと言うのねこの女の子

 

「で、私になんの用?」

「まず名前よね〜」

 

喋り方がゆっくりしてるなー

 

「ワタシはフラウ」

「翠川 伊織。で、改めて聞くけどなんの用?」

「え〜と、本題は〜あなたに会いたくて〜」

「私に?」

「うん。ずっと元気が無さそうだなと思って〜」

 

元気が無い……私が?

 

「いや、私は元気よ。ずっと変わら……」

「審判の日が起きた時以降も?」

「し、審判の日?」

「ヨハネの黙示録の事だよ」

「よ、ヨハネ……」

 

ヨハネの黙示録……確かにあれ以降、私の全部は変わった。でも……でも……

 

「元気よ。別に昔から変わらない……」

「だけど、ずっと悲しい顔をしてるよ〜」

 

何なのこの子?私に喧嘩を売ってるの?私は悲しい顔はしてないし、友達の死は吹っ切りれて……

 

「べ、別に悲しい顔をしてないわよ」

「そうかな〜」

 

意味わかんない……私はいつも通りのはずよ……それに急に現れたよくわからない他人に心配される筋合いはないわ

 

「じゃあ、私は授業に戻るから……」

「あっ、ちょっと待って!」

 

星詠さんの呼び止めと同時に次の授業のチャイムが学校中に鳴り響いた

あーあ……授業が始まっちゃったよ

 

「何……チャイム鳴ったんだけど……」

「聞きたいことがあるんだけど、昨日、神社に居たよな?」

「……ええ、見てたよ。訳の分からないモンスターが居たのも、あなたが気絶してたのもね」

「どうしたてあんな所に居たんだ?」

 

この質問の答えは正直迷った。なんとなく……と言えばそれが答えなんだろうけど、でもなんとなくと言うより自然と足が運んだと言った方が的確な気がする。まるで導かれるような……

いや、こんなポエムみたいなことを言ったって仕方ないか……

 

「たまたまよ」

 

私はその言葉を残し屋上を後にする

タンタンと音を鳴らしながら木製の階段を降りていく

 

「全く、完全に授業に遅れた」

 

急いだって変わらないから別にゆっくりと戻ろう……今日はなんかもう疲れた……

 

「あっ、カード持ったまんまだ」

 

そういや渡されてからずっと持ってたんだっけ、後で返さないと……

 

「早く向かわないと授業が終わっちゃうよ〜」

「大丈夫よ。授業時間は50分だし、少し遅れたくらいじゃ……」

 

あれ?なんでさっきの女の子の声がするの?

さっきと同じくらいの目線に下ろすとフラウだっけ?……私の足元で一緒に歩いて……

 

「いや!なんでいるの!?」

「カードを持ってたらどこでも現れるよ〜」

 

ストーカーかぁ!?

まあ……あの言い方だとカードを星詠さんに返せば現れなくなるみたいね……

 

「……はぁ~まあいいや……とりあえず星詠さんに返そう……」

 

それにしても昨日から不思議なことが起こりすぎてる……

とぼとぼと歩いて教室へと向かっている時、肩にぶつかったような衝撃が走り

 

「え?」

 

そのまま目線は白い天井に変わった

私の後ろから「ごめん」と大人びた女性の声が聞こえた

あ、そうかぶつかったのか……

それがわかってからはすっと立ち上がり

 

「いえ、こちらこそごめんなさい」

 

パンパンと軽くスカートのホコリを払い教室へと向かった

しかし右手がスカスカと違和感を感じた

 

「あれ、手にカードが無い」

 

さっきの衝撃で落としたかと思い、来た道を自然と振り返ったが握っていたカードのような物は無かった

あれ、どこに行ったんだろ……人もいないし……てか、今授業中よね……トイレかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業を受けて数時間、ずっとフラウのカードが気になっていた。いや授業中だけじゃない昼休みや休憩時間の時もそうだ……昼休みも廊下を時間いっぱい探したけど見つからないし、本当にどこ行ったんだろ……

こんなに探してないとなるとぶつかった人が持ってるとしか……でも顔を見てないのよね……

なので、とりあえず正門前で待ち構えて声で判断して聞こうと待っている。声を聞けばわかるかもしれないし

 

「それにしても出てこないわね……」

 

声は覚えてるから喋ってたらすぐに気づくと思ったんだけど……自力で探した方が早いかー

背を壁から離して軽く背伸びをした

 

「あっ、翠川さん!」

 

校舎の方から慌ただしい様子でこちらに駆け寄ってくる星詠さんの姿が見えた

 

「どうしたの?」

「悪い。フラウを見てないか?授業中に見てないからどこに行ったか知らない?フラウのカードを持ってるから知ってると思ったんだけど……」

「……ごめんなさい。フラウのカードをどこかに落としてしまって……」

「なっ!?」

 

私は星詠さんに今日の出来事を話した。星詠さんは難しい顔をして

 

「……だいたいわかった……約束の天使に取られたら面倒くさいな……」

「約束の天使って何?その……胡散臭い宗教名は」

「やっぱ、同じ感想を抱くんだな……」

 

いや、誰でも同じ事を思うと思うよ

 

「とりあえず俺はフラウを探すよ」

「……」

「じゃあ、また来週!」

 

その場を急いで走り去ろうとする星詠さん

 

「……ちょっと待って!」

 

私の言葉に星詠さんは振り返った

 

「……私も探す……」

「え、でも……翠川さんも忙しいんじゃ」

「別に暇だし、それにフラウのカードを落としたのは私の責任だし、私にも手伝わせて!」

 

なんだか嫌な予感がする早くフラウを見つけないと……星詠さんの話し方的に約束の天使はろくな奴らじゃ無さそうだし

 

「わかった。早く探そう!」

 

私はこくりと頷き星詠さんの後を追うような形でフラウの捜索を開始した。とりあえずまずは作戦会議よね

 

「それにしても、当てはあるの?さっき駆け出して行ったけど」

「ウィズに探してもらってはいるけど、こっちも動いて探さないと……」

 

あ~星詠さんって見た目に反して脳筋なのね

 

「それならそのウィズって子が帰って来るまで待つのがいいんじゃない?迂闊に動くとすれ違いになりそうだし」

「いや、カードを持っていたらどこでも帰ってこれるからそこら辺は問題ないよ」

 

あ~そうだったわね……便利ねあの子達

 

「とにかく探して……ウィズ、戻ったか!」

 

どうやらウィズって子が帰ってきたみたい。見えないのが連携取りづらいから少し面倒くさいなー

星詠さんは数秒感ウィズって子と話て、こちらを向いて

 

「見つけたみたい」

「なら、向かわないと!」

 

星詠さんを先頭にフラウが居るであろう場所へと向かった

 

 

 

 

 

正門から15分くらい歩いた頃だろうか、男子寮の裏にひっそりと建つ物置のようなボロボロの小屋に案内された。周りは雑草がボウボウと生えて全く手入れされてない

てか、スカート下は普通に膝とかが出てるから草負けしそう……

 

「本当にここで合ってる……」

 

私の言葉に「し~」と消えそうな声を出しながら一本指を自分の口元に持ってきた

星詠さんは(あれ!)と指を真っ直ぐ伸ばし小屋の方に差していた。よく見ると小屋の後ろから、腰まである黒髪の大人びた制服が似合わない女性が出てきた。制服はまんま私達と同じ西水の制服だ

ちゃんとは見えてなかったけど……雰囲気的には似てるかも……

 

「てか、なんでこんな誰もいない所に……」

「もしかしたら、ゲートがあるのかもな……」

「ゲート?」

「レクリスと繋がっている入口?みたいなやつ。俺も詳しいことは知らないけど」

 

凄い曖昧ね……。そんなことよりも今はフラウを探すことが最優先。とりあえず辺りを見渡すけどフラウらしいカードは見当たらないわね……

さっき星詠さんが言ってたゲート?っていうもの、本当にあるのかしら……こんなほとんど人が近寄っていないような物置に……

と、数分女性を観察しているとブレザーから1枚のカードみたいな物を取り出す

 

「あれって?」

「よく見えないけどバトスピのカードだ……それにフラウが近くにいる」

「え!?嘘……」

 

声が出たと同時に一歩踏み出してしまい倒れた雑草を踏んでしまいバサッと音が出た

 

「しまっ……」

「誰?」

 

観察している女性の声……完全にバレた!!

 

「ッ……バレたなら出るしか無いか……」

「え!?ちょっと待っ……」

 

私の言葉を無視して星詠さんは雑草を踏みながら女性に近づく。……私も行かないといけないやつよね

私も星詠さんに続くように茂みから出ていく

 

「あら、噂の子じゃない」

「ん?俺って人気者なの?」

「うちのメンバーをボコボコしてるからね。噂にもなるわよ」

「じゃあ、あなたも約束の天使のメンバー?」

「まあ、そうね」

 

本当に居たんだ……怪しげな宗教団体……

 

「長話をしたいわけじゃない。フラウのカードを持っているんだろ」

 

星詠さんの言葉に肩をすくめる女性

 

「正解よ」

「なっ!?さっさと返せ!」

「いやよ。ゲートを見つけるにはレクリスのスピリットを使うのが手っ取り早いと思ったからよ。もしかしたらゲートを開く鍵かもしれないしー」

「それって確証はあるのか……」

「無いわよ。だから実験よ。ほら、どんな製品もまずは作ってサンプルを取らないとねー。あなたの相棒はゲートから出たすら怪しいからね。だったら昨日確実にゲートから現れた彼女を拉致った方が早いわよね!」

「だからフラウを……」

 

ヤバい……2人の話に全然ついていけない……今はフラウ達を認識出来ないから、傍から見たら凄いシュール……

 

「だから、彼女には感謝してるのよ」

「え!?」

「注意不足のあなたがカードを落とさなかったら手に入らなかったからね」

 

彼女の言葉にぐうの音も出なかった

確かに私がすぐにポケットにしまっていたら落とすことは無かった……完全に私の責任だ……

心の底から無性に悔しさと自分への呆れが無限に湧いてくる……なんでまたこんな思いをしてるの……

 

「……あの時と同じだ……」

「翠川さん?」

「友達を失った時もそうだった、心の底から悔しいって気持ちと何も出来なかった自分に呆れるこの感情……なんでこんな感情抱いちゃうのかな……」

「……翠川さん……」

 

心も体も視線も全て下に行ってしまう……本当に嫌……

 

「大丈夫?翠川さん。……後は俺に任せろ」

「え?」

 

星詠さんが数歩前に行き制服のポケットからバトスピのデッキを取り出した

 

「フラウを返してもらうぞ!」

「バトスピ?いいわよ。相手になるわよ」

 

彼女は手に持つフラウのカードをテキトウに地面に置いてポケットからバトスピのデッキを取り出す。これを見るに彼女にとってフラウは本当に実験材料としか思ってないのね

……てか、今のうちならフラウのカードを取り戻せるんじゃ……

 

「……ゆっくり動けばバレないわよね……」

 

ゆっくりと足を動かし彼女に近づく

とにかくフラウを取り戻さないと……

 

「そこのあなたは何をしているの?」

 

あ、バレた……

 

「卑怯ね。私の実験材料を……て、いたい!!?なに、なに!?」

 

彼女は頭を軽く押さえる。そうか、フラウのカードを手放してるからウィズが見えないのね

 

「なら、今のうちに!」

 

私は駆け出して地面にあるフラウをスライディングしてフラウのカードを取る

 

「あっ、ちょ!!」

「ッ……」

 

膝を擦りむいて痛い……

このタイミングで無駄にある運動神経が役に立つなんて……

 

「大丈夫フラウ!?」

 

カード手にした私はフラウの姿を確認出来た。そこにはボロボロの姿となったフラウの姿

……ひどい……

私はフラウの体をそっと抱きかかえる

 

「あはは〜、少し痛いくらいだから大丈夫だよ〜」

「そんな分け無い!あちこち肌が青くなってる!暴行されたんでしょ!」

「あはは〜隠せないか〜確かに体中痛いよ〜」

「そのカードを返してよ!実験を……ッ!?」

 

ふざけた事を言う彼女に冷淡で鋭い目線を向けた

もう私の心から恐怖心はもう無い、ただただ彼女を許せない!

 

「やっぱり優しいんだね〜普通なら他人と思った人は助けないよ〜」

「そんなこと無い。誰だってこんな事をされてるのを見るのは許せない!星詠さん少しいい?」

「何?」

「私にバトスピのルールを教えて!彼女は私が倒す!フラウをこんな事をしたことに許せない!」

 

私の言葉に悩むように首を傾げる星詠さん

そして、数秒くらいにゆっくりと口を開いて

 

「……なら、フラウと契約をしたら倒す力は手に入ると思う」

「契約?」

 

思わず小首を傾げた。すると星詠さんは右手に付けた手袋を外した。右手の甲にタトゥーのように刻まれていた

 

「え?それって……」

「ウィズと契約した証。このデッキはウィズと契約して貰ったデッキだから」

「そうなのね……フラウ?」

「う~ん。契約はいいよ〜だけど一つ聞きたいな〜」

「何?」

「なんのためにワタシと契約するの〜」

「それはあの人を倒すため!」

「それだけじゃないよね〜」

「え……」

「だって責任感強いじゃん〜だから、今回も責任を感じてるんじゃない?」

 

確かにフラウの言う通り。私は責任感で今ここに居る

 

「今回は私のせいで……」

「そういう所だよ〜だからさ~責任関係なしにもっと自由でいいんじゃない〜」

「責任関係なしにもっと自由に……」

「そうだよ〜自分がもっと思うがままにする〜それがワタシとの契約条件だよ〜」

 

思うがまま……確かに最近はそんな考え無かったかも……

人にか関わらないように生きると決めてたけど、本当はみんなと遊びたかったし、もっとみんなと会話したい、親友を失ってもその気持ちはどこかにあった。いやずっとその気持ちはあったんだったと思う。でも、そんな感情を押しつぶして6年生きた私が今更自由に生きるなんて……

 

「泣いてるの〜?」

「え?」

 

言われて頬に水ぽいのが滴る感覚があるのがわかった

……そうか……泣いてるのか私……

 

「真面目すぎるんだよ〜」

 

人は押しつぶしていた気持ちに図星をされると涙が出るらしい。てことは私もそんくらい気持ちを押しつぶしてたんだ……

 

「わかった。もう少し自分に正直になってみるよ」

「凄くいい笑顔だよ〜」

 

フラウはそっと私の腹部に触れてきた

 

「痛い!?」

 

一瞬感じるチクリとした痛み。だけどもの凄く優しくて温かい……

そして数秒後にフラウは「完了したよ〜」と言って腹部から手を離した

私はブレザーのボタンを外して制服のシャツを捲り上げて触れた腹部を確認する。そこには緑色のタトゥーのような物が刻まれていた

 

「これが契約の証……」

「茶番は終わりかしら」

 

女性の言葉に私は目線を向けた

 

「ええ、待たせたわね。星詠さんには申し訳ないんだけど……」

「俺は別にいいよ」

 

よし、星詠さんから了承は貰った。後はバトスピをして勝つだけ

 

「じゃあ行くわよ。初心者さん!」

「ええ、問題ないわ」

「翠川さん、ゲートオープン界放と言えばバトル出来るよ!」

「わかった。「ゲートオープン界放!!」」

 

私の目の前が白い光に包まれた

どこまでも透き通った白い世界にポツンと1人。誰の声も無いしただただ1人……人によっては発狂しそう……

なんかサラサラと髪が解けたような感触が背中に伝わる

 

「髪が解けた?」

 

そして次に制服を突き破るようにボタンが外れて緑色の複数の触手のようなツルが紋章から出てきた

 

「何これ!?」

 

そのまま触手が私の体全体に巻き付いて……

 

「ッ……少し痛い……」

 

強く人に握られたような感覚が数秒間、全身伝わり、そしてツルが役目を終えたようにゆっくりと光になりながら消滅していく

 

「あれ、終わった?」

 

白い世界から元の景色へと戻った

まるで昔見ていた変身ヒロイン作品みたいな感じだった

それにしても体が全体が軽いというかスゥースゥー……

 

「!?」

 

お腹が出て!!!白い肩出しインナーシャツに!!!少しでも風が吹けば下着が見えそうなくらい短いミニスカート!!!制服以上に露出が多くて!?

 

「え?え?なんでなんで!!!」

「翠川さん落ち着い……」

「見ないで!!!」

 

思わずうずくまって体を隠した

なんで男子がいる前でこんな格好にならないといけないの!?

 

「もうやだー!!」

「翠川さん?」

「何!?」

「いや、こんな女の子みたいな表情をするんだーと思って」

「……」

 

なんか別の意味で恥ずかしくなり自然とスッと体が上がった

 

「……体を近づける時は地肌を触らないで、本当に拳が出そうだから」

「おっ、おう……」

「……界、頑張って」

「ああ、怒らせないように頑張る……」

 

私……そんなに怖いように見えるのかしら?

 

「あのさ、準備はいいかしら?そちらが先行でいいわよ」

 

あっ、そうだバトスピをしないと……えーとどうすれば……

と、キョロキョロしていると目の前に半透明のテーブルが出てきた。……なんか凄い

 

[ターン1]

 

「まずはデッキから4枚カードを引いて」

「え、うん」

 

まずはカードの束から4枚引く

4枚引いたカードの中にはフラウのカードもある。知ってるカードがあるとなんか安心するー

 

「そっからは、スタートステップ」

「スタートステップ……」

 

宣言した瞬間にテーブルが光った。なんか凄い!

 

「次はドローステップ。デッキから1枚引いて」

「1枚引く」

 

私はさっきと同じように1枚引く

 

「そして、メインステップ。ここでカードを使う事が出来る」

「なるほど」

 

つまりある程度メインステップで動けって言うことね

 

「そのリザーブにあるコアが使用出来る範囲だったらコストを支払えばカード使用できるから。あっ、左上の数字がコストだから」

 

つまり最初は4つだから、左上の数字が4以下のカードなら出せるのね

 

「まずは……3コストのレンモットを召喚!」

 

四角い緑色の宝石が割れるとタヌキのような生物が出てきた。かわいい!

 

『いいじゃん〜その調子だよ〜』

「フラウ!?」

 

どこから声が……てか、急に喋らないで!?

 

『手札だよ〜やっと話せたよ〜』

「そこにいたのね!」

『そうだ〜ワタシのカード効果が使えるよ〜』

「そうなのね。なら、手札のフラウの効果を発動!」

 

と言われた通り手札のフラウのカードの効果を宣言した瞬間にお腹の方が温かい!

カウント0→2

ライフ5→7

 

「凄い!ライフが回復してく!」

「え、ライフが回復ってそんなに凄いの?」

「……高速でライフが減る今ではライフ回復は結構有り難いのでは?」

「いやー絶甲だと限界があるからなー」

 

バトスピをしている人にもそれなりの悩みがあるわけね

 

「……それから……どうしたらいい?」

 

手札を星詠さんに見せる

やっぱり、カードゲームは難しいな……

 

「うーん。バーストカードは無いな……レンモットの効果でコアが1つあるけど……今の手札でやること無いしー……ターンエンドでいいんじゃないかな?」

「う、うん。わかったわ。ターンエンド」

 

[ターン2]

 

「なら私のターンね。コアステップ、ドローステップ、メインステップ。さぁー実験の開始よ!コレオンを2体召喚!バーストセット!」

 

赤い宝石が割れて、子供のライオンのようなモンスターが出てきた。これはこれでかわいい!

 

「あなたには耐えられるかしら?」

「え、何?」

 

薄気味悪く笑う彼女に少し悪寒を覚えた

 

「コレオン2体でアタック!」

「え、え、え、どうしよう!?」

 

こっちに来る子供のライオンのようなモンスターがこっちに来る。

 

「……本来ならライフで受けるのがいいんだけど……凄く痛いからなー」

 

痛い!?どういうこと?

 

「でも、ライフを受けたらいいのよね?」

「う、うん。まあ……」

「じゃあ、2匹ともライフで受けるわ!!」

 

私の目の前にバリアが出てきた。……よかった直撃じゃないみた……

 

「……!!?」

 

バリアが割れた瞬間に全身にとてつもない痛みが伝わる

 

「痛い!!!」

ライフ7→6

 

痛いじゃない……死んじゃう…………

自然と体をうずくまって……涙が出てしまう……そんくらい痛い……

 

「翠川さん大丈夫!?」

「さあさあ、もう一体はどうかな?」

 

そうだ……もう一匹いる……

目の前にバリアが現れて、そして砕けて……

ライフ6→5

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

「翠川さん!?」

 

痛い……痛い……絶対に腕一本逝ったって……

 

「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」

 

ダメだ……過呼吸でまともに考えられない……

 

「翠川さん……」

 

……背中を……優しく擦ってくれる……感触……

少しだけど……少しづつだけど……まともに思考でき……るように……なってきた……かも……

 

「アハハ!悲鳴はいいものね!」

 

……あの人……本当に趣味が悪い……

 

「……ありがとう……だいぶマシになった……」

「ふらふらだけど……」

「……問題ないわ」

 

[ターン3]

 

「……私の……」

 

ッ……腕を動かすだけで痛い……

 

「2ターン目以降はコアステップでコアが増やせる」

「……わかった……スタート……ステップ……コア……ステップ……ドロー……ステップ……メイン……ステップ……」

 

……よし……だいぶマシになった……

 

「……ライフが減ったからコアはある……レンモットを召喚!召喚時、コアを1個リザーブに、コッペリア・ワスプを召喚。召喚時に4枚オープンして緑のブレイヴと花契約のスピリットを手札に加える……」

 

オープン︰フェンリーフ サプリン ブルーム・ステム グロス・コーン

 

「えーと、ブレイヴって何?」

「あー。説明しないといけなかったな。名前の左にブレイヴって書いてるカードがブレイヴのカードだよ。ブレイヴの特徴としてブレイヴ時の効果と、ブレイヴ時のBPを追加とシンボルが追加できるよ。まあ、なんでもブレイヴ出来るわけじゃないけど」

「条件があるわね」

 

名前の左にブレイヴて書かれてるカード……この場合だとブルーム・ステムってカードを手札に加えればいいんだね

 

「ブルーム・ステムを手札に加えるわ!残ったカードはデッキの下に戻す。レンモットをレベル2にアップ!」

BP7000→8000

 

「アタックステップ!レベル2のレンモットでアタック!」

 

私の指示で突撃していくレンモット

 

「フラッシュタイミング!」

「フラッシュタイミング!?」

「フレイムサイクロンLT!BP5000以下のスピリットを破壊するわ。あなたの夏が刺激しそうなスピリットを破壊するわ!」

「赤の得意な破壊だ」

 

なるほど、赤はこっちのモンスターを破壊するのが得意なのね

 

「まあ、その子はライフで受けるわ」

 

彼女の目の前にバリアが出てきてレンモットは破壊した

ライフ5→4

 

「ッ……効くわね」

「ちょ、なんでそんな余裕そうな顔をしてる!?」

「慣れればなんとも無いわよ」

 

慣れる?あの痛みが?

 

「……え、コワァ……」

「……まあ、実際慣れだしな……」

「もう一体のレンモットでアタック!」

「ライフで受けるわ。ッ……」

ライフ4→3

 

本当に慣れであの痛みに耐えれるのかしら……

 

「とりあえずターンエンド!」

 

[ターン4]

 

「なら、私のターンね。ふふふ!これであなたを一気に追い込むわ!」

 

え?何?あの気持ち悪い笑いは……

 

『なんか。いやな予感がするよ〜』

「私もそんな気がするわ」

「さあ、発走準備よ!コレオンは神皇を召喚する時にコストをマイナスするわ!さあ、私の動物実験の完成形!音速を越えて神速へ到達!全馬を吹き飛ばして一着へ!!」

 

カチカチと金属が擦れる音が鳴り響き、どんどん近づいて来てる……

そして彼女の頭の上を通り、鎧を着た赤い馬が現れた

 

「これが私のキースピリット!午の十二神皇エグゼシードよ!」

「エグゼシード……」

「不足コストはコレオンから確保する!贄になりさなさいコレオン!」

 

エグゼシードは容赦なくコレオンを踏み潰した

……ヒドイ……

 

「見せてあげるわ!エグゼシードでアタック!アタック時に封印!」

「封印?」

「ソウルコアをライフに置いて能力を発揮する効果」

ライフ3→4

 

「じゃあ、ライフ回復して攻撃してくるの?ズルじゃん!」

「……いや……簡単にライフを2つも回復するあなたの方がズルいかと……」

 

このトカゲ……うるさいわね……

 

「さらに封印時効果発揮!【走破】!さあ、レンモットに指定アタック!」

 

こちらにかけてくるエグゼシード!そして、レンモットは無理やりブロックされる

 

「ちょ、私はブロック宣言してないわよ!?」

「指定アタックは相手のスピリットを強制的にブロックさせる効果だから、こっちの宣言は関係無しにブロックさせる」

「そして走破の効果は!」

 

レンモットが容赦なく破壊されエグゼシードがこちらに突進してくる!

 

「え?ちょっ!ま、ま、まっ……うわぁぁぁぁ!!!」

ライフ5→3

 

体が貫かれた……ような感覚……クソ……あの……馬……容赦なく私のライフを……

 

「翠川さん!!」

「……あ、ありがとう……」

 

……星詠さんが……私の……体を……支えてくれた……

……もし、もう一度……倒れたら……絶対に……立ち上がれなかった……

 

「どうかしら、エグゼシードの突破力?」

「マジで……最悪……体が吹き飛んだかと……思ったよ……」

「まあ、ライフは削り切れないしターンエンドね。おっと、ライフが削れたからフレイムサイクロンを回収するわね」

 

[ターン5]

 

危なかった……フラウの効果を使ってなかったら……終わってた……

 

「私の……ターン……」

 

てか……このターンで決めないと……ヤバいのか……

 

「ッ……全身が……痛い……」

 

さっきのエグゼシードのダメージがぁ……

 

「ドロー……このカードは……」

 

……他のスピリットの……カード……とは違う……

 

『ねぇ〜このターンで決めないとヤバイよ〜』

「わかってる……」

「なら、フラウを召喚してそのブレイヴを使えば……」

「えっ、でもエグゼシードのアタックは受けきれないわよ!」

 

あのBP差じゃ絶対に勝てない……

 

「受け身じゃ、バトルは勝てない!ここで決めきれないとチャンスは無いと思う」

「受け身じゃ……勝てない……」

 

星詠さんの言葉に私の祖母の言葉が頭に過った。小さい頃に言われた私の名前の由来

 

『伊織、私がどうして伊織と名前を付けたと思う?』

『?』

『どんな事にも意を決して立ち向かい勝利する。それがあなたに付けた名前の由来』

 

意を決して立ち向かい勝利する……昔はあまりわからなかったけど、今ならよくわかる。……ここで覚悟を決めないとね

 

「……フラウ。覚悟はいい?」

『戦いは嫌だけど……いいよ〜』

「ありがとう!なら、手元のフラウを召喚!」

 

緑の宝石が割れてフラウが出てきた

 

「あれ、さっき引いたカードが光って……」

 

そしてお腹のタトゥーも……まるでフラウと共鳴してるみたい

 

「星詠さん。このカードって……」

「ブレイヴカード。条件が満たしていたらソウルコアをトラッシュに置いて煌臨出来る」

 

つまり、このカードはカウント3以上でフラウに煌臨するわけね

 

「なら、このカードを使わせてもらうわ!翡翠色の原野に咲く鮮やかな花の槍!翠花槍ブルーム・ステムを召喚!」

 

って、何を言ってるの私!?口が勝手に……!!

 

「……翠川さんも召喚セリフ言うんだ」

「う〜ん。いいんじゃない〜」

「ちょっと待って!?私の意志じゃ……ねぇ、星詠さん!!」

「……ノーコメントで……」

「星詠さん!?」

 

目を逸らすな!!

 

「もういい……で、こっからどうするの?」

「ブルーム・ステムをフラウにブレイヴ出来るから、ブレイヴするのがいいよ」

「わかった。ブルーム・ステムをフラウにブレイヴ!」

BP5000→14000

 

『ドクン』っと心臓が高鳴る音。凄いお腹を中心に力が全身に伝わってくる

 

「なんだろ……この優しい温かな気持ち」

「ワタシも感じるよ〜」

 

まるでフラウと1つになった感じ。なんだか優しい気持ちになる

今の私とフラウならなんでも出来る!

 

「やろう。フラウ!」

「うん」

「コアが少ないあなたに使えるカードは無いはずよ」

「ええ、だからアタックステップ!まずはレンモットでアタック!」

 

彼女はダブルシンボルのダメージを受けたくないはず、だから、レンモットでまずはライフを削る!

 

「ライフで受ける!ッ……」

ライフ4→3

 

よし!

 

「次はフラウでアタック!アタック時の効果!カウント+2して」

カウント2→4

 

「出ておいで〜」

 

フラウはブルーム・ステムを天高く上げた。そしてブルーム・ステムが光だして、私の手札のスピリットを導くように差す

 

「私はアマゾ・ジャガーを召喚!レンモット、力を借りるわ!」

BP3000→2000

 

レンモットのレベルを1つ下げて弓を引く肉食獣が出てくる

 

「召喚時の効果でボイドから1個コアを置き!」

「効果で召喚をしたら〜スピリット1体を重疲労させるよ〜」

「よって、エグゼシードを重疲労!」

 

アマゾ・ジャガーの弓がエグゼシードに突き刺さりグッタリする

よし、これで保険も完了

 

「だけど、私にはコレオンが居る。あなたのライフは削りきれない!」

「それはどうかしら?」

「え?」

「ブルーム・ステムの効果でバーストできなよ〜そして、コレオンには寝てもらうよ〜」

「だから、あなたはブロック出来ない!」

「ッ……重疲労って……てか、あんたキャラが変わり過ぎなのよ!」

「あはは!今とても気分がいいもの、そりゃテンションも上がるわよ!」

 

くるっとその場で回転するほど気分は最高潮!

無限に元気とテンションが湧いてくる。ホントにこんな感情は久々だ

 

「ぐぬぬ……ライフで受けるわ!キャッ!?」

ライフ3→1

 

「あはは!可愛い声が出るじゃない。どう?ダブルシンボルの痛みは?」

 

フラウの槍が彼女のバリアを同時に2つ貫いて、やっと性格の悪い彼女の歪んだ表情が見れた。これでスッキリした!

 

「……あんた……性格悪いわよ!」

「あんただけには言われたくない!アマゾ・ジャガーでアタック!」

「クソ……ただでは終わらないわ!フレイムサイクロンLTを発動!アマゾ・ジャガーには消えてもらうわ!」

 

燃える赤い風がアマゾ・ジャガーを焼き尽くした

そういや、フレイムサイクロンがあったわね

 

「あなたがライフを2点を削ったことを恨みなさい!」

「ねぇ、星詠さん。この手札でどうにかならない?」

「無視するな!」

 

彼女の言葉なんて、今は馬の耳に念仏。全くなんとも思わない!

 

「神速スピリットならフラッシュタイミングで召喚出来るな!」

「ありがとう!」

「……本当に翠川さん?」

 

少し引かれた気がするけど、でも、関係ない!

 

「フラッシュタイミング!神速召喚!樹精サプリン!」

「なっ!?神速!?」

「ふふふ、サプリンでアタック!」

「ッ……ライフで受ける……」

 

サプリンの突進が最後の彼女のライフを砕いた

 

「キャァァァァーーー!!」

ライフ1→0

 

彼女の悲鳴を上げて物置に強く体をぶつけた。思いっきりぶつかっているから絶対に痛い……

 

「あれ?これって……」

「ワタシ達の勝ちだよ〜」

「ライフが0になっから翠川さんの勝ちだよ」

 

え、嘘!?初心者の私が勝ったの

 

「よし、意を決して立ち向かった。私の勝ちってわけね!」

 

と私の衣装が光の粒子になって消えて……ヤバい!もし全裸だったら……

 

「ちょ、見ないで!!!」

 

体を見せないように丸くなる

 

「翠川さん?」

「見ないで!!見たら一生許さない!!」

「いや、元の制服姿に戻ってるよ……」

 

え?あれ、確かに元の制服姿に戻ってる……

 

「……これって……」

「服が戻らなかったら声も掛けてないし、契約する前に言ってる……」

「………………!?」

 

これ、私だけがただただ恥ずかしい想像してただけ!?

 

「大丈夫〜顔が赤いよ〜」

「ちょ、見ないで!?」

 

目の前が真っ暗になる

本当に恥ずかしい。早くこの場から逃げたい……

 

「ちょ、あんた達だけで盛り上がってるのよ!」

 

あっ、そうだ。すっかり忘れてた

 

「なに、まだなんか用?」

「急にキャラが戻ったわね」

 

本当にさっきの事を思い出すと恥ずかしいから、あまり突っつかないで……

 

「……まあ、全身が痛いし今日は諦めるわ」

「その前にフラウに謝って!」

「悪かったわよ……」

 

この女……マジで……

私の怒りに反応するように、彼女の目の前に巨大な樹木の根が現れ、突き刺しかけた

 

「ッ……これが契約者の能力な訳ね……」

「ちゃんと、頭を下げて謝りなさい!もし、しないのなら賢いあなたならわかるわよね?」

「……あなた、私を殺せば豚箱行きよ?」

「正直、少年院や、刑務所にぶち込まれるのは嫌よ。ただ、私の親友を傷つけて謝らないクズを許せるほど、私は善人じゃないのよ!」

 

私の怒りに共鳴して、地面から巨木の根がもう2本出てきて彼女に狙いを定める

彼女は「あはは」と元気のない乾いた笑いを出した

 

「……本当にいい性格してるわヒステリックガール……本来なら実験動物だった物には謝らないんだけど……」

「あっ?」

 

さっきみたいに無限に元気とテンションが湧いてこず、ひたすら殺意しか湧いてこない

理性が無ければ確実に殺してた。そんくらいプッツンしかけてる

 

「……あまり言い過ぎると命が無くなりそうね……ごめんなさい」

 

彼女は膝をつき土下座でフラウに謝った。正直、フラウにあんな事をした彼女を許したくないんだけど……

 

「やり過ぎだよ〜私はもういいから〜」

「……フラウがいいなら……」

 

私の思いに反応するように根が枯れるようにその場に倒れて消えていく

それを見たのか彼女は安堵した表情を見せる

 

「……許してくれるのね」

「フラウが許したから許すだけよ。私は許してないから……」

「わかったわ。もうあなたの親友に手は出さない。それは約束するわ」

「……わかったわ」

 

彼女はそう言ってその場を去るように雑草が生えまくった方へと歩いて行った

 

「これで一件落着ってわけね……」

 

なんだか疲れた……足から自然と力が抜けていき、ドサッと座り込んだ

 

「大丈夫〜?」

「うん。ありがとう……」

 

ゆっくり立ち上がる。……やっぱり少し倦怠感があるなー

 

「凄い気迫だったね」

「……その事は忘れて……」

 

私らしく無かったわね……

……だけど、あんな樹木を出せるなんて……凄い力だ

私は制服のボタンをはずす

 

「やっぱり、タトゥーは消えてないのか」

 

ハッキリと描かれたタトゥーのマーク

 

「紋章は消えないからな」

「……そう。お風呂入る時にはどうしようか」

 

まあ、そんな事は後でいいか

 

「ねえねえ〜」

「何、フラウ?」

「ありがとう〜」

 

フラウの感謝の言葉。私はフラウの目線までしゃがむ

 

「ん~ん、感謝を言うのは私の方」

 

フラウの言葉で私の弱点に気づいた。だからこそ、この言葉は

 

「だから、ありがとう。そして、これからよろしくねフラウ!」

 

私の大親友

 

「うん。え〜と、なんて呼べばいいのかな?」

「私のこと?別に翠川でも、伊織でもいいけど……」

「う~ん」

 

腕を組んで考えだしたフラウ。そこまでして悩まなくてもいいよ……

 

「よ~し、いいあだ名を思いついた〜」

「ん?あだ名?」

「伊織だから〜イオリンってあだ名にしよ〜」

「いお……りん」

「どうしたの〜。もしかして、あだ名よくなかった〜?」

「んーん」

 

忘れたくない記憶から響くまんま同じあだ名

本当に懐かしいなーそのあだ名

 

「いおりんかぁ……ふふふ、イオリンでいいよ。よろしくねフラウ」

「う~ん。よろしくねイオリン!」

 

私とフラウは正式に契約を交わした

きっと、いろんな壁にぶつかるかもしれないけど、でも、フラウとなら乗り越えられる!私はそんな気がする




今回のカード紹介

伊織「今回は私の親友、花相棒フラウを紹介するわ」
界「コストが重いな……」
伊織「問題ないわ。その分サポートもあるし。それよりもフラウの最大の特徴はカウントを溜めつつライフ回復だと思うわ」
界「確かに碧雷のスピリットかネクサスを召喚、配置したら使えるからな……」
伊織「出してしまえばアタックステップの時にノーコストでスピリットを召喚出来るから追撃や、コストの高いスピリットを出せるから、みんなも使ってみるといいと思うわ」
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