魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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12.ホテル・アグスタ

 

ここ最近は平和なもんだ。

レリックの情報も入ってこないし、他の部署でも大きい事件は起こってないみたいだし。

だからと言って姉さんたちの訓練が無くなる訳じゃ無いんだけど……。

というかシグナム姉さんは「こういうときこそ」とか言って何時もより訓練がキツクなってる。

俺教導官として来たんだけどなぁ……。

そんな悩みを抱えつつ、俺は今、医務室に来ていた。

 

 「シャマル姉さ~ん、頭痛止める薬ない?」

 「ウィズ君? 頭痛いの?」

 「うん……。ここ数日ずっと。頭を握られてるような感じ……」

 

原因は不明。

夜更かしもして無いし……ってか模擬戦の後だから出来ないし。

生活環境が変わったから、とか言う理由も無いはず。

今までに比べたらここは天国だからな。

 

 「はいこれ、少ししたら効いてくると思うわ」

 「ありがと……」

 

貰った錠剤を水で飲み込む。

 

 「それより大丈夫なの? 明日はアグスタよ?」

 「あーうん。大丈夫、大丈夫。頭痛くらいで休んでられないよ」

 

シャマル姉さん過保護だからなぁ……。

さすがヴォルケンリッターの母。

 

 「何か失礼なこと考えなかった?」

 「……ソンナコトアリマセンヨ」

 《シャマルさん。相棒の声が上がるときはウソを付いている証拠です!》

 

おい、こらあぁ!

何言っちゃってくれてるのこの子は!?

 

 「うん、知ってる。これでも付き合いは長いから」

 

しかもバレてるーー!!

 

 「じゃぁ、俺はこれで!!」

 「あ、待ちなさい! ウィズ君!」

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

翌日、俺は一人インビエルノでホテル・アグスタに先行していた。

 

骨董美術品オークションの会場警備と人員警護、それが今日の俺達の仕事。

取引許可が出てるロストロギアがいくつも出品されるから、その反応をレリックと誤認したガジェットが出てくる可能性が高いらしく、俺達が警護することになった。

大型オークションだと、密輸取引の隠れ蓑になったりもするしな。

 

もう既にシグナム姉さんとヴィータ姉さんは前日から現地入り。

新人ほか、他の姉さん達は少し遅れて現地入り。

俺は一人で現地入り

……なんか寂しい。

 

 

 

 

今はシャマル姉さんと一緒に屋上に陣取っている。

頭痛の事を黙っておく代わりに傍に居ろとの事。

 

 《(で、頭痛はどうなのですか)》

 

相棒が念話で話しかけてくる。

流石にバレましたか……。

 

 「(マシになってる)」

 《(と言うことは今もですか?)》

 「(あぁ。なんなんだろうな、これ)」

 《(一度病院で見てもらった方がいいのでは?)》

 「(ヤだ。病院怖い)」

 《(……ヘタレ)》

 

しょうがないだろ、怖いものは怖いんだから。

注射の針なんて直視できません。

 

 

相棒と念話で話しているとピリと、一瞬だけ頭に電気が走った。

そして同時にシャマル姉さんのクラールヴィントが明るい翠色の光を放ちだした。

 

 「クラールヴィントのセンサーに反応、シャーリー!」

 

姉さんがシャリオさんに連絡を入れる。

その間、俺はなんとも言えない感覚に包まれていた。

 

 「姉さん、俺も出る!」

 「あ、ウィズ君待って!」

 

姉さんの言葉を訊かずに屋上から飛び降りる。

騎士甲冑を纏い、テクニカルソードを持ち、インビエルノで森を駆ける。

 

 《どうしたんですか? らしくありませんよ》

 「俺もそう思う……。だけど、ヤな予感がするんだよ」

 《ヤな予感、ですか》

 「あぁ、取り合えずWF達と合流する。正確な位置、分かるか?」

 《少し待ってくだ――相棒右です!!》

 「っ!」

 

ハンドルを大きく左に切る。

しかし、それも間に合わず、爆風に巻き込まれインビエルノから投げ出されてしまう。

 

 《相棒!》

 「大丈夫だ、受身は取った。……何体いる?」

 《…………1型が10、3型が2です》

 

少し多いな……。

 

 「アテナ、初めからとばすぞ! カートリッジロード!」

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートジッジ)! Technical(テクニカル) and(アンド)Gun(ガン) Silhouette(シルエット)――》

 

右手にテクニカル、左手にガンソードを持ち、構える。

 

 《――blanco(ブランコ) Sphere(スフィア)――》

 「細かい操作は任せたぜ!」

 

俺が出来るのは魔力球を作り、打ち出すだけ。

標準できるのは一箇所。だから複数の的を打ち抜く時はアテナに補助してもらう。

 

 《了解です! fire!》

 

五つの魔力球を1型に向けて打ち出す。

発射と同時に巨大な球体状の3型に向って走り出す。

 

 「アテナ!」

 《――sword(ソード) dance(ダンス) single(シングル) colors(カラーズ)――》

 「はあぁぁ!」

 

白い斬撃は相手を破壊するためにまっすぐに3型へと向う。

3型もアームを取り出して防ぐ。

 

だが――!

 

 「懐ががら空き、てな!」

 

アームをガードに回していた為に、本体部分を守るモノがない。

その隙に懐に潜り込み、正面からガンソードを突き刺す。

3型は大きな爆発音と共に、ジャンクに変わり果てた。

 

 《スフィア、全弾命中。1型、五機破壊です》

 「丁度半分に減ったな」

 《AMFの濃度も下がっています。次はシングルカラーも通るでしょう》

 「そりゃ助かる。唯でさえ少ない魔力、もう囮には使えねぇからな」

 《本当、弱いくせにハンデだけは一著前に持ってるんですから……》

 「……こんな時まで嫌味ですか?」

 

まぁ、事実なんだけどよ……。自分でも、嫌になるね。

 

 「おら、まずは細かいヤツからだ!」

 《――blanco(ブランコ) Sphere(スフィア)――》

 

それにしても俺ってあんな化け物じみた姉さん達に囲まれて育ったのに、特別な資格も何も持ってないんだよな。

 

 

姉さん達と同じ空戦魔導師志願だったのに、空が飛べないから駄目。

はや姉の大隊指揮の資格は全体を見る事が出来ないから駄目。

ヴィータ姉さんやシグナム姉さんの小隊指揮官も上と同じ理由で駄目。

フェイ姉の執務官の資格はまず学力が足りないから駄目。

なの姉の戦技教官はレベルがまだまだ足りないから駄目。

 

最近になってようやく戦技教導官の資格が取れたんだ。

 

……本当、何も出来ないのな俺。

 

 《何泣いてるんですか。ホラ最後にまだ3型が残ってますよ》

 「分かってるよ。ほら最後だ!」

 

トドメの一発、シングルカラーズを叩き込み残った3型を叩き切った。

相棒をテクニカル一本に戻す。

 

 「周辺に反応は?」

 《ありません。全期撃破しました》

 「よし、急ぐぞ!」

 《はい!》

 

 

 

 

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