魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
ティアナside――――――――――――
アグスタに付いた私は、周辺警護の任についていた。
外で待機していると、ホテル内に居るスバルから呟きの様な念話があった。
『(でも今日は、八神部隊長と守護騎士団全員集合かぁ)』
「(そうね……。あんたは結構詳しいわよね? 八神部隊長とか、副隊長達の事……)」
『(うん。父さんやギン姉に聞いたことくらいだけど……)』
そしてスバルは簡単にだけど知っている事を話し出す。
八神部隊長のデバイスが魔道書型で、名前が夜天の書という名前の事。
副隊長達や、シャマル先生、ザフィーラが八神部隊長の特別固有戦力だと言う事。
それにリィン曹長合せたら無敵の無敵の戦力だと言う事。
「(あれ、そこにウィズさんは入ってないの?)」
『(多分……。今までそんな話出てこなかったし)』
「(私も八神部隊長に弟が居るなんて聞いたことなかったけど……)」
『(まぁ、部隊長達の詳しい事は特秘事項だからかもしれないけどね)』
スバルが最後にフザケた様な口調で締めた。
そう、特秘事項なんだ。レアスキル持ちの人は皆そう……。
『(何か気になるの?)』
「(別に……)」
『(そ。じゃ、また後でね)』
そしてスバルと念話を切り、私は思考を巡らせる。
六課の戦力は無敵を通り越して明らかに異常だ。
隊長格全員がオーバーSランク、副隊長でもニアSランク。
他の隊員達だって前線から管制官まで未来のエリート達ばっかり。
あの年でもうBランク持ちのエリオに、レアスキル持ちのキャロ。
危なっかしいけど、潜在能力の塊で、家族のバックアップのあるスバル。
やっぱり、うちの部隊で凡人は私だけ……。
でも、そんなの関係ない。
私は立ち止まるわけにはいかないんだ。
でも、一人だけだけど気になる人がいる。
――神崎ウィズ二等陸尉。
隊長達の話を聞く限りじゃ、才能も、レアスキルも無い人。
剣術は普通の人より出来たらしいけど、他がまったく駄目で平均値が低かった人。
それがたった二年で、陸戦AAA+。
どういうトレーニングをしたのか、凄く気になる。
それこそ死ぬ気でしたんじゃないかしら。
あの人に教導して欲しい。
私はいつの間にかそう思うようになっていた。
考えを巡らしていると、突然アラートが鳴り響いた。
そして次の瞬間には私の頭上をバイクに跨ったウィズさんが通り過ぎて行った
敵が来たらしい。
私はホテルの方に走り出し、クロスミラージュのアンカーガンで二階部分のテラスに一気に駆け上がる。
「シャマル先生、私も様子が見たいんです。前線のモニターもらえませんか?」
『了解。クロスミラージュに直結するわ』
モニターを回してもらい、その様子をスバルと一緒に見る。
そこではヴィータ副隊長、シグナム副隊長、ザフィーラ、ウィズさんが次々にガジェットを破壊していく様子が映し出されていた。
「副隊長達とザフィーラ、ウィズさんすごーい!」
スバルが声を上げて言う。
「これで、能力リミッター付き……」
握る手に自然と力が入る。
「え、ウィズさんは付けて無いでしょ?」
「そういう事を言ってるんじゃないわよ……」
私が呆れていると、副隊長達の動きに変化が出た。
どうにも有人操作に切り替わったみたいだった。
ウィズさんは数が少なかったみたいで影響が出る前に全期破壊してたけど。
「遠隔召還、来ます!」
キャロの呼びかけと同時に、私達の目の前に紫のベルカ式魔方陣が現た。
そして次々に1型と3型のガジェットが現れる。
三人が少し慌てているけど、そんな暇はない。
「迎撃行くわよ!」
「「「おう!」」」
今までと同じ、証明すればいい。私は今までもずっとそうやって来た!
クロスミラージュを構え、ガジェットに打ち込む。
だけどそれもAMFに阻まれて、本体に届くことは無かった。
「ちっ!」
「ティアさん!」
エリオの声ではじめて気づく。
横からガジェットが3機接近していたことに。
「しまっ――」
「うらぁぁ!」
突然、森の中からバイクが飛び出してきて、そのまま1型を三機破壊した。
「大丈夫か、お前ら!?」
「ウィズさん!」
スバルが後ろから声を上げる。
side out――――――――――――
「防衛ライン、ここで守るぞ。今ヴィータ姉さんがこっちに向ってくれてる!」
インビエルノを待機状態に戻しながら叫ぶ。
「「「はい!」」」
FW陣が声をそろえて返事をする。
うん、戦場で大きな声を出せることはいいことだ。
しかし俺はこの時、一人だけ返事をしていなかった事に気づいてなかった。
「俺は左のヤツをやるから、お前らは右のヤツをやれ!」
そう言い残してインビエルノのエンジンを吹かし、一気に駆ける!
そのまま、アテナを横に振り、ガジェットを破壊しようとするが、交わされてしまう。
《動きが良くなってますね》
「有人操作に切り替わったみてぇだからな、しょうがねぇさ。――アテナ、一気にいくぞ! テクニカルソード!」
《――Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット)――》
テクニカルを手にガジェット軍に突っ込み、切りかかる。
だがそれも交わされることは承知の上。
着地と同時に反転、勢いをそのままにガジェットを串刺しにする。
それを引くように抜き、爆散する前にバックステップで下がる。
爆散と同時に砂埃が舞い上がり、数瞬視界をゼロにする。
スグにその砂埃の中に突っ込み、奥にいた二体のガジェットを破壊。
今度は空中に回避する。
「後何体だ!?」
《およそ五機。中には3型が一機ですが居ます》
「くそ、新人達が心配だ。一気になぎ払うぞ!」
《Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!》
「シングルカラーズ!」
二発のカートリッジを使った斬撃は3型を残し、破壊。
3型もシングル発射と同時に走だし、先ほどの用に懐に入って破壊する。
「よし! 新人は!?」
フォローに入ろうと視線を移した先に、一番に目に入ったのはティアナだった。
ティアナがやろうとしているのは……カートリッジ計4発?
あれはスバルがウイングロードを駆使しガジェットの的になり、そこをティアナが撃つクロスシフトAだっけか?
……理にかなってるけど、エリオを下がらせてまで使う場面じゃねぇだろ!
見るや否や、俺はティアナの元に走り出す。
「ティアナ、止まれ!」
「クロスファイヤー、シュート!!」
俺の制止を聞かず、ティアナの周りには10ほどの魔法で出来たスフィアが打ち出されていく。
それは次々にガジェットを打ち落としていく。
アレなら何とかなりそうだな。よかっ――なっ!?
俺が油断した瞬間に弾丸が一発反れてしまった。
そして、その斜線上にはスバルがーー!
「スバル、避けろ!」
「え――!?」
スバルの反応がおかしい。アレじゃ避け切れねぇ!
スグにハイペリオンを展開し、テクニカルのスピード強化の魔力付与も最大にする。
《相棒、間に合いません!》
「くっ!」
間に合わねぇ……!
俺が諦めかけた。
その瞬間、目の前に赤い人影が現れ、ティアナのスフィアを打ち返した。
「ヴィータ副隊長!?」
スバルが驚いている中、俺はヴィータ姉さんに近づく。
「ヴィータ姉さん、助かった」
「あぁ。本当にギリギリだったぜ」
「悪い、俺がもう少し気を配ってたら……」
「お前のせいじゃねぇ……。ティアナ! 無茶やった上に味方撃ってどーすんだっ!!」
ティアナは魔方陣を展開させたまま、唖然としている。
「あ、あのっ!ヴィータ副隊長。い、今のもコンビネーションの内で……」
「スバル、直撃コースを走るのがコンビネーションなのか?」
ヴィータ姉さんとは対照的に静かにスバルに聞き返す。
今回のは流石に流せるもんじゃない。
「違うんです! 今のは私が失敗して――」
「うるせえ、バカども!」
スバルのフォローを遮って姉さんが怒鳴る。
「もういい。後はアタシとウィズでやる! 二人まとめてすっこんでろ!」
二人はしばらく唖然としていたが、姉さんは気にせずに俺に指示する。
そして、二人が下がった後で俺は改めて口を開いた。
「良かったの? あの二人あんな風に下げちゃって」
「いいんだよ。今前線出てきたら、死ぬのはあいつ等だ」
相変わらずヴィータ姉さんは不器用だ。
心配しているのに、それを素直に出すことが出来ない。
「何ニヤニヤしてんだよ?」
「え? あぁゴメン。えっと、俺はアッチをやればいいんだよな?」
「任せたぞ」
そう言って姉さんは俺とは反対方向に飛んでいった。