魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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14.邂逅

 

 

 

 

 「これで、最後だ!」

 

 

シングルカラーズを叩き込んで、周辺に見える限りのガジェットは破壊し終える。

 

 

 「アテナ、周辺に反応は?」

 《いえ、ありま……! 相棒、横から何か来ます!》

 「なに!? って横ってどっちだよ!?」

 《ツッコミを入れてる場合ですか! 来ます!》

 「ちっ!」

 

 

取り合えず前に跳んだ。

すると、さっきまで俺が居た場所に、何かが横切った。

 

 

 「おいおい……マジかよ」

 

 

木に刺さったそれを見て、つい口に出してしまった。

 

黒い魔力の刃、それが三つ。

俺の頭、首、心臓があった場所。全てが一撃でこの世を去る為に十分な所。

 

 

 「ほう、避けたか。それなりにやる様にはなった、と言う訳か」

 

 

魔力刃が撃たれただろう方向から、声がした。

 

そこに居たのは一人の男。

纏っているのは漆黒の騎士甲冑。

白いカッターの様なインナーに黒のズボン。

そして白いラインの入った漆黒のコート。

銀の鎧はコートの内側の胸部と右肩部分に。

頭には親指サイズの白い髪留めらしきものをつけている。

 

そして顔は……。

 

 

 「俺……?」

 

 

俺と瓜二つだった。

 

 

 「なんで、俺と……」

 《生き別れの兄弟でも居たんですか?》

 「いや、居ねぇ……と思う」

 

 

実際親なんて顔も名前も思い出せねぇから完全には否定できないけど。

俺の記憶の始まりははや姉の家だし……。

 

立ち上がり、もう一度男の顔を見る。

 

あ、目が違うな、目が。

俺は灰色だけど、アイツは黒だな。髪も俺より若干黒いな。

 

……そんなに黒が好きですか?

 

 

 「相当混乱しているようだな」

 「そりゃするだろ。俺と同じ顔が出てきたら。あんた何者?」

 「ふっ……」

 

 

鼻で笑う男。

何、少しイラっと来ましたよ。

 

 

 「なんだよ」

 「俺と同じ顔、か……」

 「それが? 事実だろうが」

 「逆は考えないのかね? お前が、私と、同じ顔をしているかも知れないのだぞ」

 「……言葉遊びだ」

 「どうだろう……な!」

 「っ!?」

 

 

男が一瞬で視界から消えた、と同時に腹部に痛みが走り、俺の体は後ろに大きく飛ばされた。

そのまま木に背中からぶつけ、地面に倒れこむ。

 

 

 「が……はっ……」

 《相棒!》

 

 

息が、出来ねぇ……。

 

 

 「ほぅ……。打撃攻撃に対する体勢も中々のようだな」

 

 

足音が近づいてくる。

顔を上げると男の手には黒い、2m程の長槍が握られていた。

相棒を握りなおし、上手く力が入らない足で何とか立ち上がる。

 

 

 「立ち上がるか。流石だな」

 「そりゃ……どーも……」

 

 

上手く動かない口で皮肉交じりに返す。

口を開くのもやっとだけど、そこまで悟らせたくない。

 

 

 「なら、今度は急所でも突いてみようとしよう!」

 

 

同時に再び俺のほうに向ってくる男。

スグに横に避けて……!

 

 

 「なに!?」

 

 

避ける前に足が凍りつき、地面に固定された。

 

凍結魔法!?

いや、魔法を発動された様子は無かった。

 

ならコレは――

 

 

 「凍結の魔力変換資質!?」

 「ご名答!」

 「しまっ!」

 《――Hyperion(ハイペリオン)!――》

 

 

槍の矛先が俺に刺さる前に相棒がハイペリオンを展開した。

 

 

 「甘い!」

 「な――ぐぁ!?」

 

 

しかし、それも次の刹那にはガラスのように砕け散り、槍は俺の左肩を貫いた。

 

 

 《相棒!》

 「惜しかったな。せめて今の魔法……デバイスの独断でなければ交わす時間は稼げただろうに」

 「ぐ……あぁ……」

 

 

あまりの痛みに、右手に持っていたアテナを落としてしまう。

コレはヤベェ。

 

 

 「ふむ。折角だ苦しんで逝きたまえ、粗悪品」

 

 

そのまま、俺を貫いた槍は抜かれる事なく、心臓に向けて少しづづ動かされてゆく。

 

 

 「ぐっ、あああぁぁぁ!!」

 

 

右手で槍の進行を抑えても、既に力は入らない。

 

 

 「ほら、も少し抵抗して見せろ」

 「ああぁぁぁ……!!」

 

 

ヤベ……限界かも……。

痛みで意識が朦朧とし、その手に力が入らなくなる。

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 「鋼の軛(くびき)!!」

 

 

懐かしい声がしたと同時に、俺と男の間に白い拘束条が飛び出した。

男は俺から槍を抜き、後ろに大きく飛退いた。

前のめりに倒れこむ俺を、何かが受け止める。

 

 

 「大丈夫か、ウィズ」

 

 

顔を上げる。

そこには白い髪に浅黒い肌、そして犬みたいな尻尾に耳。

それは人型の――

 

 

 「ザフィーラ兄さん……」

 「遅くなった」

 

 

顔はアイツを見ながら、それでも俺を気遣う兄さん。

今は嬉しいより助かったと言う気持ちが強かった。

 

 

 「ほぅ。守護獣が駆けつけたか」

 「それだけではない!」

 「何!?」

 

 

凛とした声が響いたと同時に、男の頭上に連結刃は降り注ぎ、砂埃が大きく舞い上がった。

 

そして俺達の前にその剣士……シグナム姉さんが降りてきた。

 

 

 「大丈夫か、ウィズ」

 「えぇ、痛い以外は大丈夫です……」

 

 

俺の台詞を聞いて安心したような二人。

 

 

 「フフフ……」

 「!?」

 

 

声がした方向を見ると、砂埃の中から男が無傷の状態で歩き出てきた。

 

 

 「まさか守護騎士が二人も現れるとは、本当に予想外だ」

 「それはこちらの台詞だ。貴様、何故ウィズと同じ容姿をしている」

 

 

俺を右手で抱えたまま、姉さんがアイツに問いかけた。

 

 

 「君もそれを聞くか。ふむ、一々説明するのも面倒だ。そこの粗悪品にでも聞いてくれ。ついでに何があったかもな」

 

 

そう言って、男はこちらに背を向けた。

 

 

 「逃げるのか?」

 「そう取ってくれても構わない。が、君達もそこの粗悪品を守れはしても、私を倒せるとは思ってもいまい」

 「……」

 

 

姉さんも兄さんは何も言わない。それが事実だと分かっているからだ。

 

 

 「ではな。烈火の将に盾の守護獣。そして粗悪品。また会おう……」

 

 

そして男は嫌味な笑みを最後に浮かべ、空に飛んでいった。

 

 

 「姉さん、兄さん、助かった。ありがとう」

 「喋るな。ひとまずシャマルの所へ連れて行く。少し響くかもしれんがガマンしろ」

 「分かったけど……これはどうにかならない?」

 

 

完結に言おう。

 

 

俺は今兄さんにお姫様抱っこをされている。

なんて言うか、苦しいだろ?

 

コレは男女で始めて成立するものよ?

何で男同士でせにゃならん!?

 

 

 「仕方なかろう、肩を怪我している以上おぶる事も出来ん。狼などもっての他だ」

 

 

いや、そうですけど……。

 

 

 「なんなら私が変わってやろうか?」

 

 

姉さん、それだけは勘弁してください……。

 

 

 《(今回は素直に兄さんに従っておきなさい)》

 「(なんで命令口調!?)」

 「行くぞ!」

 「うおお!?」

 

 

ちょ、はや……。

 

 

 

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