魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
「あ、ウィズさんだ!」
「おー。訓練終わったのか?」
縛られたまま、放置されているとWF達が来た。
手にオボンもってるから午前の訓練が終わって今から昼飯ってところだろ。
「もう体は大丈夫なんですか?」
スバルが心配そうに聞いてきてくれた。
お前はいいヤツだ、うん。
「暫くは安静にしねぇと駄目だけど私生活には問題なし」
「え、じゃぁ模擬戦とか出来ないんですか……?」
「当たり前だ。って、なんでそんなに残念そう?」
まさかとは思うが、スバルもバトルマニアの素質があるのか?
……なら間違いなく、開花させたのはフェイ姉かシグナム姉さんだな。
「ウィズさん、聞きたいことがあるんですけど……」
「ティアナ? なんだ?」
「何で縛られてるんですか?」
「……黙秘で」
「お仕置き中なんや」
俺が黙秘権を使うと、ほぼ同時にはや姉とシグナム姉さんが帰ってきた。
しかし、俺が黙秘って言ったのも1秒と持たないとは……。
あれか?
有名な「俺の意思は?」的なやつ。
「お仕置き、ですか?」
「せや。私達に心配かけた罰や」
「……あぁ、なるほど」
納得しないでくれ、スバル。
後ろの三人も無言で頷くな。
あれ、もしかして俺の扱い悪くなって無い?
「そんなもんやて」
「そうですか……。で、その手に持ってるモノは何?」
「何って、お昼ご飯に決まってるやろ」
と言ってその煮えたぎっているモノを俺の前に置いた。
「何でおでん?」
しかもこの先の展開が容易に想像できるから嫌だ……。
「ってかよくこの時期にあったな……」
「昨日食堂の人に頼んどいたんや!」
「そって職権乱用だろ!?」
眩しい笑顔でサムズアップするはや姉に全力でツッコミを入れておく。
しかも本当にそれ職権乱用だからね。
その後、なの姉も来て皆で昼飯、と言う事になったのだが……。
「俺、どうやって食べるの?」
今の俺には現在進行形でバインドがかかっいる。
おでんがどうこう以前に手が使えないのです。
「勿論、こうやってに決まってるやろ」
「ですよね~」
お箸でこんにゃくを持ち、俺の顔の前まで持ってきたはや姉。
「ほら、あーん」
いやね、この先が簡単に読めるし、周りからの男性局員の目が痛いし。
ほら、ヴァイスさんなんか赤い涙流してるよ。
あ、スプーンがひん曲がった。
「い、いや。遠慮しておく……」
「遠慮せんでもええって!」
ジワジワと、湯気をたてたこんにゃくが俺に近づいてくる。
一発目からこんにゃくとはハイレベルな……。
「でも何となくはや姉が何しようとしてるかわかるし……」
「……ボケ殺しはあかんよ」
「いや、なんですかその目? なんか怖いよ、ハイライト消えてるよ?」
「そんなことあれへん……よっ!」
「熱あぁぁあぁ!!?」
そのままこんにゃくが俺の鼻を襲う。
しかも押し付けてて離してくれない!
ヤバイ、コレはマズイ!
「無理、もう無理や! 離してくれ!!」
「まだノルマは残っとる!」
「なんのノルマ!!?」
もう嫌だ!!
《……相棒、大丈夫ですか?》
「俺はもう駄目だ……。今までありがとうな……」
《相棒!?》
「じゃぁ……な、相棒……」
《相棒? 相棒ーー!!》
「もうええかぁー?」
「《ありがとうございました》」
あの地味にキツイおしよきを終えた後、俺は部隊長室に呼ばれていた。
なのに誰も居なくて暇つぶしに相棒とふざけているとはや姉に呆れられたような目で見られた。
自分だって、こういうのキライじゃないくせに。
「面白くないのはキライや」
「辛口ですね!?」
いや、本当に。
これでも付き合い長いんですから、面白くないは傷つきますよ。
「ねぇ、ウィズ君」
「ん。なに? なの姉」
はや姉からある意味一番キツイおしおきを食らった所で後ろから声をかけられた。
その後ろにはフェイ姉に加えてボルケンリッターの皆さんが全員集合していた。
なんで? なんて考えていると再びなの姉が声をかけてくる。
「何時くらいから訓練に復帰できるのかな?」
「行くだけならできるけど、訓練はまだ先」
「ホンマやったら退院もまだ許可できへん訳やしな」
《かなり駄々こねてましたからね》
うるさいよ。
怖い物は怖いんですから仕方が無いでしょ。
「それじゃぁ、そんなに無理させられないかなぁ……」
何をさせる気だったんですか?
「近いうちにFWの子達と模擬戦の予定なんだ」
「あ、そうなの?」
「うん。だから見に来るだけでも着てくれないかな?」
「わかった。見るくらいなら怪我にも影響ないし」
と言う事で、明日の模擬戦に見に行くことになった。
まぁ、元々訓練には顔を出すつもりだったから全然いいけどな。
「で、ここからが本題やねんけどな」
「アグスタの時の事だろ?」
頷くはや姉。
ま、当然だよな。全員集合してるし。
「まず、黒尽くめの男の事やけど私らはまだ見てないんや」
「どこかの誰かが夜に一人は嫌だと言って、デバイスを手放さなかったのだからな」
「この一週間作業が全然進まなかったですー」
「ゴメンなさい……」
だって怖かったんだもん。
なんて言えずに俺はアテナをモニターに繋ぎ、パネルを操作する。
部屋の中央にモニターをだし、あの時の映像をだす。
映し出された映像に、姉さん達が息をのむのが分かる。
映像の始まりは俺が男に殴り飛ばされるところから。
次に足を凍結、肩を穿たれる。
そしてザフィーラ兄さん、シグナム姉さんが助けに来る。
ここでアテネの記録が終わる。
「シグナムの攻撃を受けても無傷、か……」
「それに殆ど確認されて無い凍結の魔力変換資質……」
「速さはフェイトちゃんと同じくらいだよね」
姉さんたちは俺を置いてアイツの事についてお互いの考えを纏めている。
いえ、寂しくなんかありませんよ。
「ウィズ?」
「ん? なに?」
はや姉が話しかけてきた。
「あの男やけど、ホンマに見覚えはないんか?」
「まったく無いよ。昔も言ったと思うけど、俺の記憶の始まりは、はや姉の家からだから」
「そうか……」
「はや姉がそんな顔する必要は無いって」
「あはは、そうやな」
文字通り元気を振り絞ったような顔で笑いかけてくるはや姉。
むぅ……。昔はともかく今は本当に気にして無いんだけどな。
「俺の記憶より、今はアイツだろ? 中々厄介だぜ、アイツ」
「そうだね。それにあの時あそこに居って事はスカリエッティーと関係があるのかもしれないし……」
なの姉が自分の考えを言う。
だけど、コレは全員の認識。あのタイミングであそこに居たと言う事はスカリエッティーの関係者と考えて間違いないだろう。
「あと、気になるのはウィズを粗悪品って言ってることだな」
「それは俺が弱いからそう言ったんじゃねぇの?」
「違うだろう。もしそうならあの場に居た私やザフィーラの事も二つ名では無くそう呼んでいたはずだ」
「それもそうか……」
ならなんで粗悪品なんだ?
単なる嫌味か?
うん。絶対そうだ。何か気に食わない感じのヤツだったし。
とまぁ、始終こんな感じで。
分かったことと言えばあの男の容姿、そしてあの男の事を『アイスマン』と総称する事にした位だった。