魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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20.星と剣

 

 

ヴィータ姉さんたちは今の俺には何も言わない。

多分、混乱してるんだと思う。

冷静だったら、俺を止めにくるはずだからな。

……だけど、今はそっちの方が都合がいい。

 

 

 「なの姉、どういうつもりだよ」

 

 

正直いま俺は相当頭にきてる。

肩の怪我とか知ったことじゃねぇ。

 

 

 「模擬戦はもう終わっただろ。追い討ちをかける必要は無いんじゃねぇか?」

 「ウィズ君こそ、どういうつもりかな? 教導の邪魔、しないでくれるかな」

 「――っ! そうかよ!」

 《Gun(ガン) Silhouette(シルエット)――blanco(ブランコ) Sphere(スフィア)――fire!》

 「――!?」

 

 

ガンソードを展開し、そこからノーモーションで五発のブランコ・スフィアをなの姉に打ち込んだ。

もちろん、なの姉も簡単に全て防いだ。

 

 

 「いきなり攻撃なんて、どういうつもりかな?」

 「頭にきたからだ」

 《私も、今回は相棒に賛成です》

 

 

正直言って撃墜するのもいい。

追い討ちも……する必要は無いと思うけど、まぁ、仕方ない。

でも……何も言わないで全否定は違うだろ!

 

 

 「アテナァ!」

 《了解です――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ),blanco(ブランコ) ala(アーラ)――》

 

 

カートリッジの二発ロード、俺の背中に魔力で構成した白い双翼を生やす。

 

俺の切り札、ブランコアーラ。身体能力上昇の魔法。

勿論、長時間使うことは出来ないし、使用後の反動はかなりきつい物があるけど……。

コレを使わねぇと、なの姉には勝負にもならねぇ。

 

 

 「少し相手、してもらうぞ!」

 

 

ハイペリオンを押し返すつもりで強く蹴り、なの姉に切りかかる。

それもシールドで防がれる。

 

 

 「頭にきたなんて理由にならないよ、ちゃんと説明してくれるかな」

 「なら俺にも説明してくれよ」

 

 

白と桃色、互いの魔力が反発し合い、激しい奔流を生み出している中、会話を交わす。

 

 

 「――何を?」

 「ティアナ達に何の説明もしないで、問答無用で追い討ちしようとした事だよ!」

 「それは――っ!」

 「あんたの信条はどうなったんだよ!?」

 

 

そう怒鳴り散らしてから、後ろに飛ぶ。

この翼がある間は、10秒も無いけど飛ぶこともできる。

 

 

 「アテナ、バスターソード!」

 《――Buster(バスター) Silhouette(シルエット)――》

 

 

アテナが5つ目の剣へと形を変える。

白い刀身の大剣。速さを殺し、破壊力のみを追求した剣。

普通なら両手持ちじゃねぇと扱いきれねぇけど、アーラ中なら片手でもいける!

 

 

 「はああぁぁぁ!!」

 「くっ!」

 

 

なの姉が飛行魔法を使い俺の攻撃をかわし、戦場を離脱。

俺はハイペリオンの上に着地。

元々バスターを出したのはなの姉の強固なシールドを破るため。

離脱されたら、追撃にはこの剣は向かない。

テクニカルに戻すか……。

 

 

 「いや……」

 

 

折角アーラを使ってるんだ。

わざわざ速力強化の魔力付与に頼らなくても追いつける。

 

なら――!

 

 

 「アテナ、ダブルソード」

 《――Doubul(ダブル) Silhouette(シルエット)――》

 

 

バスターをダブルシルエットに変化させる。

左手は使えないから、右手で指で挟むように二本持つ。

 

 

 「セカンドカラー、やるぞ」

 《相棒、今更ですがそこまでやる必要はないのでは?》

 「分かってるけどよ、ここまで来たら最後まで行くさ。それに――……」

 《それに?》

 「一発は入れねぇとコッチの気がすまねぇ!」

 《……頑張ってください》

 「おう!」

 

 

さっきは頭に血が昇ってすこし冷静さにも欠けてたけど、今は至って冷静だ。

 

だけど、ここまで来たらもう引き返せねぇ。

一発くらい入れて、分からせてやる。

ティアナたちを、正面から否定したことが間違いだったって事をな。

 

右手にある二本の剣をなの姉に向ける。

 

 

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――》

 

一本のカートリッジを消費する。

同時に二本の刀身を纏う様に圧縮魔力刃を構成する。

 

 

 「剣の舞、二つ目のバリエーション、受けてみろよ」

 

 

体を捻り、右手を後ろにまわす。

そして体を戻しつつ、一つの剣を投擲する!

 

 

 「ソードダンス――セカンドカラーズ!」

 

 

投擲された刃はまっすぐに、弧を描きながらなの姉の方に飛んで行く。

なの姉はそれを防ぐべく、シールドを展開する。

だが、それも無意味!

 

 

 「――え?」

 

 

剣はなの姉の少し手前で刃が纏っている圧縮魔力刃が小爆発を起こし、なの姉から離れていく。

 

 

 「驚いてる暇なんかねぇぞ!」

 「っ!!」

 

 

手に残った一本で、横から切りかかる。勿論横にまでシールドは張られていない。

 

 

 「くっ!」

 

 

しかし、それも再び張られたシールドに阻まれる。

だけどな……!

俺はその場にハイペリオンを展開し、その上に足を置く。

そして、手に持つ一本の剣を勢いよく引く。

 

 

 「え?」

 

 

勿論、傍から見たら何をやっているのか分からないし、隙だらけだろうが……。

なの姉の後ろからは、二本目の剣が俺の手元にある剣に引っ張られて迫っている。

理由は簡単、アテナが俺の魔力を辿り戻ってきているだけ。

 

 

単純、それ故に気づかない。

これで、終わりだ!

 

 

 

 

しかし、俺が一撃を決めたと思ったとき、邪魔が入った。

 

 

 

 

 「何時までこんな事やってるつもりだ?」

 

 

なの姉の背後から迫っていた剣は乱入したシグナム姉さんにとめられた。

俺となの姉の間にはヴィータ姉さん、剣を持つ右手はフェイ姉に握られた。

 

 

 「ウィズ、お前の気持ちも分からなくはねぇけど、今はそんなに無理していい体じゃねぇだろ」

 「…………」

 

 

何も言わずにアテナを待機状態に戻す。

同時に背中に生えていた翼も消える。

 

 

 「ウィズ、取り合えず医務室……シャマルのところに行こ? 血も出てるし」

 

 

フェイ姉に言われて左肩を見たら傷口が開いたんだろう、血が滲んでいた。

 

 

 「……分かった」

 

 

そして俺はフェイ姉に連れられ、その場を後にした。

なの姉の顔は見なかった。

 

 

 

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