魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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23.大切なこと【後編】

そして今、俺達はロビーに集まっている。

FW四人と向かい合うように、シグナム姉さんとシャマル姉さん、シャーリーさんが座っている。

因みに俺は椅子に空きがなかった為、近くの壁に背を預けて立っている。

 

シャーリーさんはずっとモニターを弄っていて、何かを準備している。

 

その間は無言、かなり気まずい。

俺こういう空気苦手なんだよ……。

 

 

 「―――昔ね、一人の女の子がいたの」

 

 

唐突に、何の前触れもなくシャーリーさんが口を開いた。

 

 

 「本当に普通の女の子で、魔法なんて知りもしなかったし……戦いなんてするような子じゃなかった」

 

 

ここまで言ってモニターに移ったのは、栗色の髪は左右に結んだ小さな女の子。

10年前のなの姉だ。

 

 

 「友達と一緒に学校行って、家族と一緒に幸せに暮らして、そういう一生を送るはずの子だった。……だけど、事件が起こった」

 

 

モニターにはなの姉がジャケットを生成して、何かと戦って居る所が映し出される。

たしか……ジュエルシード、だっけ?

 

 

 「魔法学校に通ってたわけでもないし、特別なスキルがあったわけでもない。

   突然の出会いで魔法を得て、たまたま魔力が大きかったってだけの、たった九歳の女の子が魔法とであってたった数ヶ月で……命懸けの実戦を繰り返した」

 「これ……」

 「フェイトさん……?」

 

 

モニターには当時のなの姉とフェイ姉が戦っているシーンが流れる。

ライトニングは勿論、スターズも驚いている。

 

という俺も驚いている。

昔は敵同士だったって言うのは聞いていたが、そのシーンを見るのは初めてだったからだ。

 

 

 「フェイトちゃんは当時、家族関係が複雑でね……あるロストロギアをめぐって……敵同士だったんだって……」

 「……この事件の中心人物は、テスタロッサの母。

   そこから名をとってこの事件の名を、プレシア・テスタロッサ事件、あるいはジュエルシード事件と呼ばれている」

 

 

シャマル姉さんに続き、シグナム姉さんが説明をする。

そしてモニターにはなの姉がお得意の集束砲で海を割っているシーンが映し出される。

コレにはもう渇いた笑いしか出てこない。

なの姉が凄いことは知ってたけど……ここまでとは。

 

 

 「収束砲……っ!? こんな大きな……」

 「九歳の……女の子が……」

 「ただでさえ……大威力砲撃は体に負担が掛かるのに……」

 

 

FWたちも驚いている。

無理は無いけどな。

 

 

 

 「その後もな、さほど時も置かず、戦いは続いた」

 「私達が深く関わった事件……闇の書事件」

 

 

モニターには、ヴィータ姉さんがハンマーをなの姉に叩きつけている場面が映る。

 

 

「襲撃事件での撃墜未遂と、敗北。それに打ち勝つために選んだのは、当時はまだ安全性が危うかった、カートリッジシステムの使用」

 「――――体への負担を無視して、自身の限界よりも超えた出力を出すフルドライヴ、エクセリオンモード」

 

 

言葉が出ないと言うのはこの事だろう。

モニターに移る激しい戦いの記録に俺はある意味付いていけない。

 

 

 「誰かを救うため、自分の思いを通す為の無茶をなのはは続けた。――だが、そんな無茶を続けて体に負担が生じない筈もなかった」

 

 

 

モニターが再び変わる。

雪の場面。コレは俺も知っている。

あの事故の記録だ……。

 

 

 「事故が起きたのは入局二年目の冬」

 

 

シャマル姉さんが口を開いた。

その口調は重い。

 

 

 「異世界での操作任務の帰り、ヴィータちゃんや部隊の仲間達と出かけた場所。不意に現れた未確認体。

   いつものなのはちゃんならきっと何の問題もなく味方を守って、墜とせるあいてだった。

    だけどたまった疲労が、なのはちゃんの動きを鈍らせちゃった。その結果が、これ」

 

 

モニターに移るのは酸素吸入器をつけ体には包帯を巻いた、痛々しい姿のなの姉。

そして苦しいリハビリの様子。

FW達は言葉を失い、顔色の悪くなっている。

 

 

 「……なのはちゃん、私達の前では、迷惑かけてごめんなさい、無茶しちゃってごめんなさい、って笑ってたんだけど……。

   もう飛べなくなるかも、たって歩くことすら出来ないかもって。それを聞いてどんな思いだったか……」

 

 

シャマル姉さんの声が震えている。

当時を思い出して来るモノがあったんだろう。

 

それを察してか、シグナム姉さんが変わって口を開く。

 

 

 「無茶や、命を掛けねばならない時は確かにある。だが、お前がミスショットをしたあの場面は、その時だったか? 

   訓練中のあの技は、誰の為の、なんの為の技だ?」

 

 

ティアナが俯く。

間違いとは言わないが……自分のしたことがどういう事だったのかわかったんだと思う。

 

 

 「なの姉は、お前らに自分と同じ思いをして欲しくねぇんだよ」

 

 

俺が口を開くと、視線が集まった。

 

 

 「俺も昔は弱くて、結構無茶してたからな。よく言われたよ。何の為に強くなりたんだって。

   ……まぁ、これはなの姉だけじゃなく、色んな人に言われたけど……」

 「当たり前だ。今でこそマシになったがあの頃は目を離せば怪我をしていただろう」

 「訓練の時は絶対に誰かに見張ってもらうようにしてたしね」

 「ぬぐっ……」

 

 

シグナム姉さんは予測できたが、まさかシャマル姉さんまで復活するとは思わなかった。

って、なんで俺この場面でアウェイ?

 

 

 「ま、まぁ、それで、お前らが無茶しないで済む様に、無事に帰ってこれるように、本当に丁寧に教導メニュー考えてくれてるんだよ」

 

 

 

 

この後、FWたちを残し俺達はロビーを出た。

シャーリーさんは丁度帰ってきたなの姉に謝りにいくといって屋上に行った。

 

そして俺達三人は食堂に居た。丁度いい場所がなかったんですよ。

 

 

 「それにしても、お前も説教する側になるとは……感慨深いものだ」

 「説教って……そんなに大層なモンじゃないでしょ」

 

 

俺はただ、なの姉の考えを言っただけだし。

というか俺も同じような事してたからそんな資格は無いしな。

 

 

 「それで肩の具合はどうなんだ?」

 「あぁ、大丈夫大丈夫。そんなに大きく開いたわけじゃないし」

 

 

元々アーラ使った反動だろうしな。

 

 

 「ならウィズ。説明してもらおうか」

 「……何を?」

 「勿論、セカンドとあの翼の事だ」

 

 

あー……やっぱり。

まぁ、姉さんたちなら良いか。

 

 

 「セカンドは簡単。ダブルに魔力を纏わせて投げるだけ」

 「だがお前は魔力球操作が苦手だろう。戦闘中にあんな正確な動きが出来るとは思えんが?」

 「うん。だからその辺もアテナに任せてるんだよ。アテナに俺の魔力を辿って戻ってきてもらうんだ。因みにあの変な機動だけど、圧縮魔力を小爆発させたから」

 「ウィズ、実は射撃魔法の類はあまり成長してないんじゃないか?」

 「ぐ……」

 

 

まぁそうなんですけどね。

実際、射撃魔法も砲撃魔法もアテナのバックアップが無いと上手く使えないし。

 

このセカンドに限っては完璧に俺一人じゃ使えないしな。

 

 

 「それじゃぁ、翼のほうは?」

 

 

シャマル姉さんが聞いてくる。

珍しいな、シャマル姉さんが興味を持つなんて。

 

 

 「アレは身体能力の底上げの魔法ね。翼は……」

 「ん、どうした?」

 

 

言葉に詰まった俺を不思議に思ったのかシグナム姉さんが声をかけてきた。

どうもしないんだが、翼の理由を言うのはなんて言うか……恥ずかしい。

 

 

 「無視か……。アテナ、翼なのはどうしてなんだ?」

 《はやてさんの黒翼がカッコよかったかららしいですよ》

 「うおぉい!!」

 

 

なんでアッサリ言っちゃうか、コイツは!!

そしてお姉さん方、ニヤニヤするのは止めてください!!

この後、俺は二人+一個《酷いです!》がにとことんカラカわれました。

 

チクショウ……。

 

 

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