魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
「アイスマン? ……あぁ、私の事か」
「何でテメェがここにいやがる!?」
俺が叫ぶと男――アイスマンは顎に手を置き考えるような動きを見せた。
それも数秒。
スグにその目は俺を捉えた。
「嵌められたようだな。私も貴様も」
「嵌められた?」
誰が何の為に?
……レジアスか?
「分からないのならそれでも良いさ。さぁ、折角会ったのだ……」
アイスマンが右手を横にゆっくりと上げる。
やがてその手は地面と平行になり、刹那、あの槍が握られた。
「戦おう」
その一言が最後。
アイスマンは床を蹴り、その矛先を俺に突き出してくる。
「――っ!? アテナ!」
《set(セット) up(アップ)!――Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット)!.Hyperion(ハイペリオン)!――》
甲冑を纏うと同時に前方にハイペリオンを展開させ防ぐ。
攻撃の直撃を防ぐことはできたが、衝撃に押させ足元が崩れ落ちる。
「ちぃ!」
崩れ落ちる瓦礫の上を飛び移りながらそこから抜け出そうとするが――
「逃がさん!」
「なっ!?」
アイスマンは尚も俺を追撃してくる。
その手には――
「二槍!?」
両手に一メートル程の槍を持ち、手数で攻めてくる。
すぐさまテクニカルの速度上昇魔力付与を全快にし、ヤツの攻撃に対処する。
点で繰り出させる攻撃に防戦一方となる。
地面が近づいてきたところで共に後方に跳び、互いに距離をとる。
だが、それも一瞬。
互いに再び、相手に向かい踏み出す。
「アテナ!」
《――Doubul(ダブル) Silhouette(シルエット)――》
足は止めずに、アテナをダブルに変更。
向こうが手数で来るならコッチも手数だ!
「はああぁぁ!!」
「ふっ――!」
共に打ち合う刃の雨。
防ぎ、切り、弾き、突き、交わす。
その繰り返し。
ほんの数刻の間に十を超える打ち合い。
火花が互いを照らしつつ、先に仕掛けたのは――俺だった。
「うらぁ!」
相手の攻撃を受け流しつつ、その勢いを利用し、足を軸に回転。
遠心力を利用しつつ切りかかる。
だが、それは間違いだった。
「――っ!?」
一瞬でも目を離してしまったこと。
その隙に俺の身の前からヤツは消えていた。
「脇が甘いのだ!」
「くっ――!」
薙ぎ払うように片腕を振り払ったせいで懐ががら空きになっている。
相手はその隙に風呂ころに入り込み、その矛先を向けてきた。
やられる――!?
そう感じた。
ここで俺は終わりなのだと、久しぶりに感じた死の感覚。
――その時、俺の中でカチリと……何かが外れた気がした。
「――ッ!」
《Buster(バスター) Silhouette(シルエット)》
薙ぎ払っていた双剣のうち一本を懐に投げ、バスターソードに変更、盾の代わりにする。
「防ぐか! だが――!」
「ぐっ!」
アイスマンは片足を軸に回し蹴りで、俺をバスターソードごと蹴り飛ばした。
そのまま俺は壁を突き破り、隣の一室に倒れこんだ。
「くそ……どんな馬鹿力してやがるんだ、アイツは……」
壁にぶつかる直前に障壁を張って直撃は避けたが……
「ダメージはあったぞ、この野郎……」
《重量級のバスターソードごと蹴り飛ばすとは……》
「それを言うなら私も驚かされたさ」
「――!」
俺が突き破った壁の穴から、光を背にしてアイスマンが入ってくる。
「あそこであの様な防ぎ方をするとわな。また一つ外れたか?」
「あぁん?」
外れたって予想がか?
確かに俺も殺られたって思ったけど……気づいたら体が勝手に動いてたし。
まぁ、結果的に助かったからいいけど。
それにしてもよくアテナも反応できたな……。
《何となくです》
「さいですか」
アテナを再びダブルに変え、今度は逆手に持ち構えなおす。
ヤツも二槍を構え、互いにいつでもいける状態になる。
《マスター》
「……戦闘中に何だ?」
声の元はアテナではなく、アイスマンのデバイス。
《スミマセン。ですが……》
「…………」
どうやら念話に切り替えたようだ。
ヤツは黙り込み、明らかに俺を見ていない。
「(舐められてるなぁ、チクショウ)」
《(ここまであからさまだとイライラしますね。殺っちゃいましょう)》
「(今発音おかしくなかったか?)」
まぁ、それは置いといて確かに今はチャンスだ。
剣を再び構えなおし、圧縮魔力刃を双剣に纏わせる。
と、その時――!!
「な、なんだ!?」
「ぬっ――!」
部屋の一角、片隅から眩い光が放たれだした。
構えをとき片手で光を遮る。
《相棒、ロストロギア反応です!》
「は、はぁ!?」
なんでこのタイミングで!?
今までの行動が何か発動のキーだったのか?
一体何が……。
《相棒!》
思考を巡らせていると相棒が呼びかけてきた。
その理由はすぐにわかった。
アイスマンが一歩ずつ、発動中のロストロギアに近づいていたのだ。
「テ、テメェ、何やってやがる! 下がれ!」
しかし尚も進み続けるアイスマン。
アイツに奪われるわけにはいかねぇ!
俺もロストロギアに向けて歩き出す。
しかし、その歩調はアイスマンには遠く及ばないない。
少し進んだところで足が動かなくなった。
《相棒、限界です! 脱出しましょう!!》
「……まだ……行けるっ!」
《相棒!》
一歩、気力を絞って足を踏み出すが、次が続かない。
そしてその間にアイスマンはロストロギアの元へたどり着いていた。
その手には一本槍でもなく、二槍でも無い――漆黒の突撃槍、ランス。
アイスマンはロストロギアに向けランスを構え、突いた。
刹那、唸りめいていた光達は槍先に集まるように集束していき、やがて――……
「ウソだろ……」
《現実です》
さっきまでの奔流がウソのように、治まった。
俺はそれが信じられなくて、ただ立ちすくむだけだった。
「おい、粗悪品」
「っ!」
呼ばれ、その方向を向くと、アイスマンが此方を見下ろしていた。
ヤツは既に上の階に居り、その手には淡く青く光る煌球がある。
「今回も俺の勝ちだな」
「まだ決まったわけじゃ……っ!」
言葉を言い切る前に俺に打ち出された魔力球の雨。
とっさにハイペリオンを展開し防ぐ。
「今の貴様は所詮道具。私に挑むなら、せめてもう少し外してから来る事だ」
「くっ!」
ヤツは一言を残し、去っていった。
それと同時に魔力球の雨も止む。
「くそっ!」
結局、ヤツにロストロギアを奪われた。
それに……一撃も与えることが出来なかった!
《相棒……》
俺は、まだ弱いままだ……。