魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
「さて、話が横道にそれてしまいましたが……」
「改めて、機動六課設立の裏表について。それから……今後の話や」
はや姉の一言でさっきまでやんわりしていた空気が引きしまる。
緊張感に包まれたと言った方がいいかもしれない。
カーテンが閉まり、部屋が暗くなる。
「六課設立の表向きの理由。それは、ロストロギアレリックの対策と、独立性の高い少数部隊の実験例」
クロノが口開き話し出す。
表向き、ね。
って事は違う理由があるってことか……。
「知っての通り、六課の後見人は僕と騎士カリム、そして僕とフェイトの母親で上官、リンディ・ハラオウンだ。
そして非公式ではあるが、かの三提督も設立を認め、協力の約束をしてくれている」
空中にモニターが現れ、クロノたち、続いて三提督が表示された。
なんていうか、凄いな。
後ろ盾は無敵に近い。クロノたちだけでも心強いのに、三提督まで……。
「その理由は私の能力と関係があります」
カリムさんが立ち上がり、古ぼけた紙束を取り出した。
その紙束を結んでいるヒモをほどきながら、説明を始める。
「私の能力、預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)」
紙束が黄色く発光しだし、カリムさんを囲むように浮き、回りだす。
「これは最短で半年、最長で数年後の未来、それを詩文形式で書き出し、預言書の作成を行うことが出来ます」
さらに詳しく自らの能力の説明をしてくれる。
簡単に纏めると
二つの月の魔力が揃うときでないと発動できす、預言書の作成は年に一度しか出来ないらしい。
そして、中身も古代ベルカ語で、解釈によって意味の変わる難解な文章らしい。
つまり、未来を知ることが出来るのではなくて未来の可能性を知るという事か。
自身でも割りとよく当たる占い程度って言ってるし。
「そんな騎士カリムの予言に、数年前から少しずつ、ある事件が書き出されている」
そいってカリムさんに合図するクロノ。
カリムさんもそれに応じて一枚の預言書を読み上げはじめた。
【古い結晶と無限の欲望が集い交わる地、死せる王の下、聖地よりかの翼が蘇る。
黒白の翼は真を求め舞い、なかつ大地の法の塔はむなしく焼け落ちる。
それを先駆けに数多の海を守る法の船もくだけ落ち、虚翼は散り行く】
「それって……」
「まさか……」
なの姉とフェイ姉が驚き声を上げる。
俺も声は上げはしなかったが、内心動揺している。
もし今の予言か当たるのなら……。
「ロストロギアを切っ掛けに始まる、管理局地上本部の壊滅。そして……管理局システムの崩壊」
言葉を失うとはこの事だろう……。
「この事をレジアス中将は?」
気になったので聞いてみる。
「対策はとくには取らないそうだ。そもそも、地上部隊はそんなものを信じるつもりは無い、と……」
「あぁ。納得」
レアスキル、そもそも魔導師キライなんだから当たり前か。
クロノも疲れたような顔になってるし。苦労したんだろうなぁ。
「六課はこの予言が本当になったときに素早く動けるために作られた部隊って事か」
「その通りだ」
成る程。
この後、改めてはや姉は俺たちに協力を願い出てきた。
勿論俺たちは二つ返事で了承。
こういったら言い方は悪いかも知れないが、はや姉の頼みを断る訳は無いからな。
多少の危険は覚悟の上だ。
説明が終わったところで、はや姉が話しかけてきた。
「ウィズ、少しだけ席外しておいてくれるか?」
「え、別にいいけどなんで?」
「少しだけ大事な話があるんや。ここまで話しておいて失礼やとは思うけど……」
申し訳なさそうに言うはや姉。
まぁ、少し内容は気になるけど……トップ同士の話し合いってのも必要なんだろう。
元々ここに俺が呼ばれたのも不思議なくらいだし。
「分かった。なら先にヘリに戻ってるよ」
「ゴメンな」
そうして俺は一人、部屋を後にした。
はやてside――――――――――――――――――
「はやてちゃん、ウィズ君には言えない話って?」
なのはちゃんが不思議そうに聞いてくる。
「クロノ君にな、ウィズの事を調べてもらったんよ」
「ウィズの事を?」
「ホンマやったら本人に居てもらったほうが言いねんけど、コッチも内緒で調査してもらったしな」
「それに本人が隠している以上、ここに居ても何も話さないだろう」
私の言葉にクロノ君が補足をしてくれる。
それも理由ではあんねんけど、ホンマは知られたくないってのもあるねんけどね。
弟が秘密にしてることを調べるなんて、やったらアカン事やしね……。
「クロノ君、お願いするわ」
「……あぁ」
重い返事をして、モニターの操作を始めるクロノ君。
その口調を聞いて、いい結果はでなかったんやろなぁ、なんて考えてまう。
「はやてに頼まれていたのは、ウィズのこの二年間の事だ」
「二年間を? あぁ!」
なのはちゃんも気づいた見たいや。
そう。
ウィズの急激な成長。コレは訓練で身に付いたモノなのか。
それとも――……身に付いてしまったモノなのか。
どうしても知りたかった。
「とは言っても、殆ど極秘扱いされていたから深くは分からなかったんだが……」
そう言ってモニターを立ち上げる。
そこに映し出されたデータは、ウィズがこなしただろう任務の数などが乗っていた。
数としては少し多いくらいなだけでそんなにおかしくは無い。
だけど内容は……。
「なんや、これ……」
「……全部、単独任務ばっかり」
「それにこれ、ロストロギアや危険指定惑星関連ばかりだよ……」
そう。
全部ロストロギアの回収、または破壊。
そして管理局でも危険指定されている惑星での任務ばかりだった。
詳しく読んでくと何度も病院にも運び込まれとる。
コレを二年間……強くなるはずや。
殆ど毎日、休み無く死線を潜り抜けてたんやから……。
「この任務、指示してるのは誰?」
フェイトちゃんが聞く。
あの口調は、相当怒っとる。
「レジアス中将だ。彼はウィズの直属の上司という形になっている」
「魔導師ギライがウィズを直属に?」
可笑しな話や。
協力することさえ拒む人が魔導師を部下にするやて?
「正確には違うんだが、支持する際にはいつも個人的にしていたそうだ」
それでこの危険な任務かいな……。
「なんでウィズ君はこの事を内緒にしてるんだろ……」
「アイツの事だ。心配をかけたくないんだろう」
それでも、相談はして欲しかったわ……。
この後は特に進展も無く、クロノ君に引き続き調べてもらうことにした。
……私のほうでも少し調べる必要があるかもしれんね。