魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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33.封印、外れる

六課は火の海に包まれていた。

辺りにはガジェットの残骸が大量にあるが、それ以上に稼動いているガジェットが多かった。

 

 

 「っはぁはぁはぁ」

 「くっ……」

 

 

俺、シャマル姉さん、ザフィーラ兄さんの三人で何とか六課を守って戦っていたが、既に体力の限界が近づいてきていた。

三人とは言っても実際シャマル姉さんは後方支援型。

このメンバーでは足止めもロクには出来なかった。

 

 

 「たった三人でよく頑張った」

 

 

俺達を見下ろす影、戦闘機人が口を開いた。

 

中世的な顔立ちをしているから性別は判断できないが、明らかに俺よりも年下の子供。

体にフィットしている紫のボディスーツにズボンと上着を着ているだけの装備。

 

そんなヤツがガジェットを連れていたとはいえ、俺達三人を相手に六課を火の海に変えたのだ。

 

 

 「だけどもう終わり。僕のIS、レイストームの前では抵抗は無意味だ」

 

 

戦闘機人が手を上にかざし、今までに見たことの無い魔法陣が浮かび上がった。

それを見て、今まで膝を付いていたシャマル姉さんが慌てて立ち上がった。

 

 

 「クラールヴィントふせいで!」

 《Yes》

 

 

六課に向けて打ち出された翠の閃光を全てシャマル姉さんが防ぐ。

 

 

 「ウィズ!」

 「分かってる!」

 

 

既に俺には敬語を使っている余裕は無い。

ザフィーラ兄さんと共に、四方から撃たれる攻撃を交わしながら、浮かぶ戦闘機人に向けて走り出す。

 

 

 「うおおぉぉ!」

 「はあぁ!」

 

 

同時に飛び上がり、共に攻撃を繰り出そうとしたその時――

 

 

 「ディード」

 「IS、ツインブレイズ」

 「ぐあぁあ!?」

 

 

新しく現れた戦闘機人から赤く怪しく光る二刀が兄さんに直撃、地面に叩きつけられた。

 

 

 「兄さん!?」

 「余所見をしている暇は、ありませんよ」

 「なっ――があぁ!!」

 

 

敵から気を逸らした一瞬を狙われ、兄さんと同じように地面に叩きつけられた。

同時に、シャマル姉さんが張っていたシールドも破壊。

一人目の戦闘機人の攻撃が六課に直撃、強大な爆発を起こした。

 

 

 「くっ……」

 

 

煙が晴れ、見上げる空には以前二人分の影。

ディードと呼ばれていた長髪栗色の髪をした女性。

少し大人びて見えるが……それでも俺よりは年下だろう。

 

向こうは俺達の姿を確認し――

 

 

 「さよなら」

 

 

六課を打ち抜いた翠の閃光を打ってきた。

 

 

 《Hyperion(ハイペリオン) xagram(ヘキサグラム)》

 「ぐううぅぅ!!」

 

 

とっさにヘキサグラムを展開させるが――

 

 

 《相棒、持ちません!》

 「弱音吐いてんじゃねぇよ! 持たせろ!」

 《コレばかりは……崩れます!》

 「ち、くしょうがぁ……」

 

 

数秒の内、ガラスの様に砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

なんで、こうも俺には力が無い……?

何時も大事なときには参加できずに足を引っ張る……。

 

 

 

 

 

……なら、外せばいい。

 

 

 「拘束封印魔術、解除申請」

 《相棒?》

 「第三拘束、解除」

 《……承諾しました。第三拘束、解除します》

 

 

意識が薄れていく中、カチリと音が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

another side――――――――――――――――――

 

 

 「コレで後はルーテシアお嬢様を待つだけか」

 「そうね。私達はここで待――!?」

 「はああぁぁ!!」

 「何!?」

 

 

まだ黒煙が漂っている中から、一人の男、ウィズが飛び出してきた事に二人は驚いた。

確かに自分のレイストームは直撃した筈だった、とオットーは表情に出さないまでも驚いていた。

 

直撃した上で飛び出してきならまだ分かる。

しかし、ウィズの体には戦闘で受けた傷さえあったものの、先のレイストームで出来たはずの新たな傷が見当たらなかった。

 

さっきの感覚は一体なんだったのか、オットーには分からなかった。

 

 

 「IS、ツインブレイズ!」

 「邪魔だアァ!!」

 

 

間に入ってきたもう一人の戦闘機人、ディードを技ではなく、強引に、力任せに弾き飛ばす。

 

 

 「テクニカルソード! 魔力付与、最大展開!!」

 《Technical(テクニカル) lhouette(シルエット)

 「なっ!」

 

 

オットーが驚きの声を漏らす。

無理も無い。管理局魔導師、特に今回攻める予定だった六課の情報は予め手にいれ、頭に叩き込んでいた。

その中には勿論ウィズの情報もあった。

 

しかし、目の前にいるウィズはその情報を上回っていた。

少なくとも、コレだけの速さを出せるなんて記録はなかった。

 

 

 「こんなの、データーには……っ!」

 

 

今のウィズでも、パワーではヴィータに、速さではフェイトには及ばない。

しかし、倒したと油断し、気を緩めていたオットーに反応できる速さではなかった。

だからこそ、目の前に現れても反応できなかった。

 

 

 「はあぁぁぁ!!」

 

 

振りかぶられる白銀の剣。

オットーはただ死を感じ、覚悟を決めた。

 

だが――

 

 

 「邪魔だ、粗悪品」

 「がっ!?」

 

 

突如現れた第三者によって、その命は永らえた。

ウィズは新たに乱入してきた一人によって、弾き飛ばされ、地面に直撃した。

 

 

 「レイラ、撃て」

 

 

しかし乱入者は手を休めない。

乱入者の一声で縦に二つの黒い魔法陣が浮かび上がり、砲撃を打ち出した。

その砲撃はまっすぐウィズに向い、飲み込んだ。

 

 

 「意識下では無いとはいえ、三つ目を外したヤツなら死ぬことはない……か」

 

 

乱入者、アイスマンの先には大の字になって倒れているウィズの姿があった。

微かに胸元が上下している事から生きている事だけは確認できた。

 

 

 「助かりました」

 「なに、コレくらいなんでもないさ」

 

 

オットーが礼を言い、弾き飛ばされたディードが合流する。

オットーが見る限りは小さな傷はあれど、大した外傷は無いようだった。

 

アイスマンはゆっくりとオットーに向き直る。

 

 

 「聖王の器はまだか?」

 「あ……はい。現在はルーテシアお嬢様が中で捜索中です」

 「一人でか? ……いや、ガリューも居る事だし大丈夫だろう」

 

 

そう呟いたアイスマンは腕を組み、瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

暫くして六課の中から紫の髪をした少女、ルーテシアが戻ってきた。

傍らにはヴィヴィオを抱いた男性ほどの人型も付き添っている。

彼女、ルーテシアが召還した、召還虫、ガリューである。

 

 

 「さて、私達の用事は済んだ、コレ以上ここに居る必要もあるまい。帰るぞ」

 

 

アイスマンの一言で5人は六課を後にする。

 

 

後に残ったのは、炎に包まれた六課だけだった。

 

 

 

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