魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
怪我が軽傷で済んでいた俺は、はや姉と一緒にアースラに来ていた。
はや姉は今俺に話した事を皆に話すため、会議を開いている。
会議はもう暫く後らしいから、懐かしむつもりで一人で館内を歩いてると言う訳だ。
そして俺は今、デバイス調整室に来ていた。
「廃艦予定って聞いてたからもっと汚いかと思ってたけど、綺麗にしてあるんだな」
《そりゃ一応掃除くらいはしているでしょう。相棒と違って》
「一言余計だからね!?」
そりゃまぁ、苦手なのは否定しないけど……。
《それで、人気が無い所に来て私をどうするつもりですか?》
「……何もしねぇ」
《それは女性に対する冒涜です!!》
「お前は俺に何を求めてるんだ!?」
《愛です!》
「だぁーーー!!」
乱暴に頭を掻き毟る。
なんでコイツはいつも何時も……。
「今はふざけてる気分じゃねぇんだよ! おら繋ぐぞ!」
《……という事はやはり?》
「あぁ、お前にかけたリミッターを解禁する」
おそらく、決戦は近いはずだ。
きっとなの姉達も自身にかけてあるリミッターを解除する筈。
そしてアイツ……アイスマンもきっと出てくる。
そんな時に全力が出せないのは痛い。
多分、六つ目のシルエットを出しても勝てる見込みは少ない。
だけど俺にはもう一つある
七つ目、万華鏡。
《無茶、と言っても止めないのでしょう?》
「当たり前だ」
《なら約束してください。この件が終わったら再び封印すると》
あまりに使いきれなかったこのシルエット。
今の俺に使いきれる保障なんて何処にも無いけど、準備しておくことに越したことはねぇ。
「当たり前だ。あんなモンいつまでも解禁してられるか」
《なら安心です。相棒が思うがまま、存分に私の体を弄くってください》
「…………」
《突っ込んでください!》
ヤだ、メンドくさい。
その後、俺はアテナのリミッターを外し、司令室に足を向けていた。
一応はや姉にはアテナのリミッター、万華鏡を解除した事を知らせておこうと思ったからだ。
まぁ、はや姉たちも詳しく……ってか、まったく知らない筈だからある程度脚色して話すつもりだけど。
《なんて姉不幸な弟でしょう……》
「それならお前はマスター不幸だな」
《語呂が悪いので却下です》
「あっそ……。ん、着いたな」
司令室に着き、扉を潜った。
「失礼しまー……」
そして言葉を失った。司令室に居るはや姉も含め、他の隊員たちも一切言葉を発しない。
俺が一番に見たもの、それは森ら巨大な戦艦が浮き上がっている所だった。
「なんだよ、あれ……」
『見えるかい?』
「!?」
画面が切り替わる。
これは電波ジャックされてるのか?
映し出されたのは王座らしきモノに固定されているヴィヴィオだった。
酷く脅えている。
『待ち望んだ主を得て、古代の技術と英知の結晶を、今、その力を発揮する……!!』
『ママァ……っ!?』
ヴィヴィオが呟やいた。
それと同時に王座に繋いであった装置が起動しだした。
『怖いよぉ、痛いよぉ……! ママ、ママァ!』
「くっ……!」
《なんて下種……!》
握る手に力が入る。
狂ってやがる。あんな小さい子を苦しめて、笑って……。
許せねぇ……。
『しかし、まだ夢には遠い……』
画面が再び切り替わり、スカリエッティ本人が映し出された。
コイツが……元凶……。
いくらでも沸いてくる怒りを抑えながら画面越しにヤツを睨んでいると、思いがけない言葉が出てきた。
『はっきり言ってこの【ゆりかご】、あまりに強力すぎて私には扱いきれないのだよ』
カメラ目線で、さっきまでに比べたら幾分大人しくなった口調てヤツは口を開く。
『しかし、手が無いわけじゃない! この世界には一つだけ、この問題を解決するロストロギアがある!!』
《――っ。まさか!?》
「相棒?」
相棒が今の言葉に反応をした。
まさか、そのロストロギアを知ってんのか?
『名前は――なんと言ったかな? アイスマン?』
「っ!」
その名前で、俺を含めた全員が再びモニターに目を移した。
そこに、スカリエッティの後ろに、アイスマンがいた。
『その名前で呼ぶな、マッドめ……』
腕を組み、不機嫌そうな声を出す。
しかし、次の瞬間にはその顔も不気味に笑った。
『一度しか言わない、よく聴いておけ。特に――機動六課の部隊長殿』
《――!! はやてさん、スグに回線を切ってください! 早く!!》
「アテナ?」
「ど、どないしたんや?」
俺もはや姉も相棒の慌てぶりに驚いていたその時、アイスマンの言葉が耳に入ってきた。
『名前は【神崎ウィズ】。この世界で作られた人造生態型ロストロギア……』
「!?」
反射的に画面に映るアイスマンを見る。
――今、なんて言った?
誰が、ロストロギアだって?
頭が真っ白に、何も考えることが出来なくなる。
『元々は闇の書を封印する為に作られたモノ。マッド、お前が弄ればゆりかごの制御装置位にはなるだろう』
「なんやて!?」
その声が誰の声か、判断できない。
『聞いたかい、神崎ウィズ? さぁ、私のところへ来い! 私が、貴様を有効活用してやる! フフフ、ハハハハハハ……』
《くっ――。相棒、スミマセン!》
誰かの声を最後に、俺の意識はここで途切れることになる。
はやてside――――――――――――――――――
「ウィズ!」
突然倒れたウィズに慌てて走り寄り、抱き起こす。
一緒に指令室に居たシグナムも心配そうな顔でよってきた。
《安心してください。強制的に意識を刈り取っただけです》
アテナの一言で、取り合えず安心する。
でも、それ以上に心配なことがいくつも出来た。
「隊長! 本局からウィズさんについての情報を提示しろとの命令が……!」
「行動が早いで、ホンマに……。取り合えず今は調査中とでも返しといて。いい? 絶対に引渡しには了解したらあかんよ!」
「はい!」
これで少し、本当に少しだけやけど時間が稼げるはずや。
アテナに聞くくらいの時間はな……。
「教えてくれるな?」
《はい……》