魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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40.ゆりかごへ

 「ほんなら、隊長陣も出陣や!」

 「はや姉!」

 「ウィズ……」

 

 

俺はまず、まっすぐにはや姉のところに来た。

 

よかった、何とか間に合ったみたいだな。

 

そこには既に、はや姉しか居なくて、多分なの姉、フェイ姉、ヴィータ姉さんは既に出撃したんだろう。

上がってる息を整え、はや姉に向き直る。

 

 

 「俺も、連れて行ってくれ」

 「……大丈夫なんか?」

 

 

はや姉は他に何も聞かずにそれだけを聞いてきた。

色々な意味も含めた【大丈夫】という言葉。

 

俺はそれを全て理解した上で答える。

 

 

 「あぁ、大丈夫」

 「…………」

 

 

俺の顔をじっと見るはや姉。

俺もそれに答えるように見つめかえす。

 

そしてどれくらい時間が経ったか……。

 

 

 「分かった。連れていったる」

 「! ありが――」

 「ただぁし!」

 

 

ありがとうと言おうとして、遮られた。

はや姉は右手人差し指を俺に向けて言う。

 

 

 「帰ってきたら、色々聞かせてな。二年間の事ととかな」

 

 

眩しい笑顔でそんな事を言われた。

 

成る程。知ってるんだな、俺の二年間の事も。

 

 

 「あぁ、分かった」

 《それでお二人さん一つ聞きたいのですが》

 

 

あー……。

コイツはこんな良い感じの空気の時まで……。

 

 

 「このKYめ……」

 《空気(K)読める(Y)ですね、ありがとうございます》

 「何良い感じに解釈しちゃってるの!?」

 

 

ったく……。

何でこんな時までボケるかね?

 

 

 「それで、何なんだよ?」

 《皆さんはとっくに出撃してるんですよね? 早く行かなくていいんですか?》

 「「あ!!」」

 

 

そうだった!

何時までもこんな良い空気によってる場合じゃねぇよ!

 

 

 「テメッ! もっと早く言えってんだ!」

 《私のせいですか!?》

 

 

そして俺は開いている降下ハッチにむかって走り出す。

 

 

 「あ、ちょい待ち! ウィズ!」

 「待てない! はや姉も早く!」

 

 

そして降下ハッチに向って飛び出す。

 

そう、コレはこの時色んな事が一度にあり過ぎて忘れてたんだ。

 

 

 「あんた飛べへんやろ!」

 「《あ……》」

 

 

そうでした~……。

 

 

 

 「あああああぁぁぁぁ!!??」

 

 

真っ逆さまに、青い空に落ちていく俺。

って、俺なんでこんなに冷静なの!? し、死ぬ!!

 

 

 《相棒もこの高度からノーロープバンジーとは、ヘタレは卒業ですね! 私は嬉しいです!》

 「そんな事言ってる場合かぁ! お前俺の半身ならどうにかしろ!!」

 《無茶言わないでください!》

 

 

ここで最終回なのか……。

 

あぁ、空はこんなに青くて綺麗なのに……。

 

 

そんな諦めていたときに、両肩が誰かに掴まれた。

 

 

 「オメーってヤツは、元気になったと思ったらコレか……」

 「へ?」

 

 

目の前に居るのは不機嫌そうに真紅のバリアジャケットを纏い、肩にデバイスのグラーフアイゼンを担いでいるヴィータ姉さん。

ならこの両肩を持ってくれているのは……。

 

 

 「はぁ~……。ビックリしたぁ」

 「ウィズ、お願いだからこんなドッキリはやめて……」

 

 

やっぱりなの姉とフェイ姉でした。

 

 

 「あ、ハハハ……。ありがとう。本当に助かった」

 

 

久しぶりにリアルな死を感じたからな。

うん。本当にありがとうございます。

 

 

 「ウ、ウィズ! 大丈夫か!?」

 

 

そして次に上からはや姉が騎士甲冑を纏って降りて来た。

 

 

 「ゴメンなさい。ビックリしました」

 「ビックリしたのはコッチだ!」

 

 

ガツン

 

 

 「あいたぁ!? ちょ、アイゼンは駄目! マジで痛いから!」

 「ウルせぇ!」

 「ぎゃぁぁあぁあ!!」

 

 

 

 

 

 

その後空中なので逃げ場が無かった俺はボコボコにされた。

心なしかなの姉とフェイ姉が俺を前に押し出していたような気もしないでも無いけど……。

……やっぱり怒ってた?

 

で、今は二人に担いでもらってゆりかごに向っているところなのだが……。

 

 

 「で、どうすんだよコレ」

 「コレ扱いですか……?」

 

 

何とか声を振り絞って突っ込んでおく。

まぁ、勿論無視されたけどね。

 

 

 「そやなぁ。フェイトちゃんも、そろそろ分かれないとあかんし。ヴィータ、変わってくれるか?」

 

 

そ。

フェイ姉はゆりかごではなく、地上にあるスカリエッティのアジト攻略に当たっている。

 

だから、今は俺を運ぶ代わりについて話してるんだけど……。

 

 

 「えー。そんな丁寧に運ぶ必要ないよ。ほらこうやって……」

 

 

そういって俺の腹の周りにバインドが巻かれた。

その先はヴィータ姉さんの手。

 

 

 「コレで引っ張っていけば良いんだって」

 「……流石にそれだけは……」

 「ええかもしれんなぁ」

 「はや姉!?」

 《私も賛せ――》

 「お前はうるさい」

 《せめて最後まで言わせてください!》

 

 

まさかの敵の援護射撃!

味方の裏切りは防いだ。

 

それにしても……。

足手まといって事は分かってますけど、こんな扱いまでOKしちゃうんですか?

 

 

 「それやと皆速度上げれるしな。ウィズ、悪いけどそれで我慢してな」

 「……はい」

 

 

もうどうでもいいや。

 

 

 

 

ってな訳で俺は今引っ張られています。

まぁ、コレで少し姉さん達との距離も開いたし、丁度いいかな?

 

 

 「(アテナ、聞きたい事があるんだけどいいか?)」

 《(何でしょう?)》

 

 

念には念を入れて、念話で話すことにする。

……言いにくいな。

 

 

 「(俺に掛かった封印。それを解いたらどうなる?)」

 《(三番までは身体能力が上がるだけです)》

 「(……残りの二つは?)」

 

 

ここで少し間があく。

俺に話していいのか悩んでるんだろう。

 

 

 《(四番はどうなるか分かりませんが、体への負担が大きいのは確かでしょう。五番は……人ではなくなります)》

 「(……きっついなぁ、それ。で、今は何番まで外れてるんだ?)」

 《(補助はあの二年間で殆ど私が外しました)》

 

 

まぁ、今思えば二年間死ななかったのは封印をこいつがといていたから何だな。

そういえばクロノが急に強くなるって言ってたけど……コイツ訓練中にも外してたのか?

 

 

 《(そして後は一番と二番が外れています。三番は一度外れましたが再び封印しなおしてます)》

 「(なんだ? 封印しなおせるのかよ?)」

 《(えぇ。三から五は私の制御下でしたから)》

 

 

あぁ、成る程。

それで一と二は外れたままって事だな。

 

 

 「(なら相棒。もう一回三番解いてくれ)」

 《(……この戦いが終わったなら封印しなおしますよ?)》

 「(分かってるよ)」

 

 

俺だって何時までもそんなもんに頼っていたくない。

強くなるなら、自分で強くなりたいんだ。

 

 

 《(分かりました。それでは第三ロック、解除します)》

 

 

そして俺は一つ、封印を解き、決戦の場へ向う。

 

 

 《引っ張られるの間違いでは?》

 「……うるさいやい」

 

 

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