魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
ゆりかご周辺は乱戦といって良い状況だった。
ガジェットと航空魔導師の戦い。
無限に沸いてくるのではないかというガジェット郡を数の少ない俺達魔導師が撃墜する。
非常に不利な戦いとなっていた。
足場が無いため360度、上下左右全ての方向に気を配りながらの戦闘に必然となる。
AMFも展開されている為、戦闘は此方に有利なところは一つも無い。
それでも戦えているのは姉さん達のお陰だろう。
はや姉が全体の指揮をし、ヴィータ姉さんとなの姉が次々とガジェットを破壊する。
それだけで俺を含め、他の魔導師達は負担がかなり減っていた。
俺も負けてられねぇ!
「アテナ! 次だ!」
《はい!》
俺はハイペリオンとガジェット、二つの足場を使い分けつつ、戦闘に参加していた。
ガジェットを足場に、そこを去るときは一撃を与えてから。
数が少なくなるに連れて俺の足場は消えていくが、その分、AMFも薄くなる。
そしたらハイペリオンを織り交ぜてゆく。
それで何とかやり過ごしていた。
《相棒、全貌に新たな密集点です!》
「見えてる! 一気に潰す!」
足場にしていたハイペリオンを思いっきり蹴り密集点に突っ込む。
「シングル……カラーズ!」
打ち出してから気づく。
今までと同じ魔力運用で、今までより大きな斬撃を飛ばすことが出来た。
今までもそう。
ハイペリオンの展開速度、強度も上がっている。
もちろん、体も軽い。
コレでも俺の本来の力じゃない……。
少し怖くなった。
『ウィズ!』
通信でヴィータ姉さんが話しかけてきた。
「なに!?」
『中への突入口を探すんだ! お前に空戦はきついだろ! 少しでも早く足場作れ!』
「分かった、突入部隊の位置を送ってくれ!」
どうやら頭の回転も上がっているみたいだ。
突入部隊が居ない所に俺が行く、その考えが一瞬で出たことに自分で驚いた。
《相棒! 再びガジェットが!》
「ちっ! 姉さん切るぞ!」
返事を待たずに通信を切り、迫るガジェットに向き直る。
「気張れよ相棒! 約束があるんだからな!」
《口約束なんて守ったこと少ないのに……》
「言ってろ!! いくぞ!」
《ハイ!》
アテナをテクニカルにし、構えをとる。
同時に砲撃は撃たれる。
俺はそれを跳んで交わし、ハイペリオンを展開。
相手の攻撃をかわしながら近づき、切る。
ガジェットを足場に、空中を走り、飛び回る。
今は余計なことは考えなくて良い。
帰る。
今はそれだけで、十分だ!
「はあぁぁあぁ!!」
アイスマン side――――――――――――――――――
「来たな……神崎ウィズ」
モニターごしに、そう呟く。
映るのは足場など気にせず、アクロバティックな動きをしながらガラクタを叩ききっている粗悪品の姿。
あの動きを見るからに、まだ外しているのは三番までらしい。
しかし、制御下にある為か?
前回に比べて動きがよくなっている。
まぁ私には関係ないか。
さて、此方もやる事をやらせてもらうとしよう。
俺は傍らにあるスイッチを押した。
side out――――――――――――――――――
「第三密集点撃破! 次は……」
『ウィズ君!』
「なの姉?」
一つの密集点を撃破した所でなの姉から通信が来た。
「何?」
『突入穴が見つかったみたいなの、ウィズ君も一緒に!』
もう見つかったのか。
早……かったのか? 時間の感覚なんて殆どねぇからな……。
それにしても、ちゃんとした足場が出来るのはありがたい。
「分かった。俺もスグにそっちに――」
《相棒!》
「あ? どうし……。なんだよ、ありゃ……」
相棒に即され、通信モニターから視線を外した。
同時に俺の目に飛び込んでくる考えられない、信じられない光景。
それは――。
「……砲台?」
そう、文字通りの砲台。
ゆりかごの前方部分、先端部分から強大な砲台が現れたのだ。
あんなもんブッぱなられたら一たまりもねぇぞ!
「はや姉!」
なの姉との通信をそのままに、はや姉に通信を繋ぐ。
『ウィズ? 砲台の事か?』
「確認してるなら話が早い! 俺があれを破壊しに行く。いいだろ!」
『危険やねんけど……。何時までもほうって置けるわけでも無いし。……頼めるか?』
「あぁ!」
はや姉に答えるため、強く、確かな自信を込めて返事をする。
『そ、それなら私も……!』
「駄目だ。なの姉は中に入ってヴィヴィオを助けに行って」
『でも……!』
「俺は大丈夫だから。ね」
なの姉には一秒でも早くヴィヴィオを助けてもらいたい。
あんな苦痛……はやく開放してあげたい。
『……うん。ウィズ君、頑張ってね!』
「なの姉も!」
そこで通信を切り、砲台に向き直る。
銀色に鈍く光る砲台は、かなり巨大だ。
俺が砲台の上に立っても、それなりの広さがあると思う。
「じゃ、行ってくる」
『任せたで!』
最後にはや姉とも通信を切り、俺はハイペリオンを使いながら砲台破壊の為接近する。
「シングルで壊せると思うか?」
《無理でしょうね。あれだけ大っぴらに出してきたんです。耐久力、防御力共にかなりのモノと考えていいでしょう》
だよなぁ……。
ならどうする?
アーラ使って、ぶった切るか?
……いや、この先なにが起こるか分かんねぇのに、カートリッジを無駄遣いは出来ねぇ。
同じ理由でセカンドから上も却下。
なら残る方法は……。
「内部に潜入して砲台の本体を叩くぞ」
《今の状態ならそれが一番でしょうね》
相棒のお墨付きも貰ったところだし、手っ取り早く壊すとしますかね!
なんて考えているうちに砲台に付いた。
俺はテクニカル状態のアテナを握りなおし、砲台の上に足を下ろす。
そのまま砲台を伝うように、内部に侵入。
「うわ。AMF濃いな……」
《内部空間全部に展開されているようですね》
「マジかよ……。こんな時に戦闘機人とか出てこねぇだろうな?」
《敗北決定?》
「こんな時にですか!?」
そういう冗談はこういう時言っちゃ駄目なのよ?
俺打たれ弱いから。
「ふ……。こんな時にまで喧嘩とは、余裕だな」
「っ!」
ふと、声が聞こえ体に悪寒が走った。
《Hyperion(ハペリオン)!》
とっさにハイペリオンを後方に展開、同時に空間に響いた衝突音。
「大層なお迎え、ご苦労さん」
「なに……気にすることは無い」
そして俺は二度目のアイスマンとの出会いを果たした。
一言会話を交わすと同時に、共に後ろに跳び距離を開ける。
俺は砲台の上へ、ヤツ、アイスマンはこの部屋の入り口付近だろう所へ。
俺が砲台上に跳んだ理由は一つ。
このAMFが充満している空間では魔法が思うように使えない。
だが、今の俺は第三封印を解いたお陰か、なんとか魔法を使うことは出来る。
だが足りない。
コイツ相手に俺がハンデを背負うという事は負け意外意味することは無い。
「(隙を見て砲台上まで下がるぞ)」
《(分かりました)》
念話で相棒に意思を伝えておく。
「私を見てもあまり動揺していないな……。全てを知った上で納得したか?」
アイスマンが構えたまま話しかけてきた。
「馬鹿言え。納得なんてするか」
「ほう?」
「だけどな、生まれた理由が重要なんじゃない。生きる理由が重要なんだよ」
アテナの剣先をアイスマンに向け、そう宣言する。
「そうか……」
それだけをつげ、アイスマンはそのデバイス、レイラを構える。
姿は2mほどの漆黒の槍。
おそらく、俺と初対面したときと同じシルエットのヤツだ。
「ならば、その答えが正しいと、私に証明して見せろ!」
「言われなくてもそうしてやるよ!!」
テクニカル状態のアテナを握りなおし、俺は、アイスマンへと突っ込んだ。