魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

42 / 47
42.純白の剣

 

 「はああぁぁ!!」

 「ぬうぅ!!」

 

 

切る、弾く、防ぐ、攻める。

何度も打ち合い、金属音と風を切る音だけが俺の耳に入ってくる。

 

 

 「お得意のシングル何とかは使わないのかね? それに動きが遅くなってきてるぞ?」

 「うるせぇ!! あとシングルカラーズだ!!」

 

 

……意外に余裕あるのな、俺。

 

なんて考えたのも一瞬。

アイスマンの鋭い突きが俺の顔を掠めた。

俺は慌てて大きく後ろに跳び距離を取る。

 

 

 「逃がすと思ってるのか!?」

 

 

そう言うアイスマンの背後にいくつもの黒い魔力スフィアが現れる。

ザッと数えて10は在る。

 

 

 「そら、防いで見せろ!」

 《――fire!――》

 

 

それが、アイスマンの合図と共に俺に一斉に射出された。

 

 

 「くっ…、アテナ!」

 《――Buster(バスター) Silhouette(シルエット)――》

 

 

アテナを瞬時にテクニカルからバスターに変更する。

両手に圧し掛かる重量感を無視し、バスターを肩に構え、魔力を溜める。

 

 

 「ソードダンス――」

 《――third(サード) colors(カラーズ)!――》

 

 

目の前の足場にバスターを叩きつけ、サードカラーズを前に広域で発動。

魔力を乗せた衝撃波を、盾に代用する。

 

 

 「やはり意識化にある為か? 以前より強くなっているな」

 「っ!」

 

 

サードの壁を突き破ってくるアイスマン。その手にはあのロストロギアを封印した突撃槍(ランス)が握られている。

ちっ、サードも封印でもしやがったのか!

 

 

 「ふっ」

 

 

そんな時、不意にアイスマンが笑いやがった。

 

 

 「……何がおかしいんだよ?」

 「いや、そんなに盛大に魔法を使っていいのかね?」

 

 

は?コイツ何言ってんだ?

 

魔法使わねぇとお互いに……いや、お互い使わなかったらイーブンか。

なら俺を動揺させるつもりか?

 

 

 「訳が分からないという顔をしているな」

 「む……」

 「なら教えてやろう」

 

 

何だよ、えらそうに。

 

戦いの最中に緊張感無ぇな、なんて頭のどっかで考えていたけど、次のヤツの言葉でその考えも吹っ飛ぶことになる。

 

 

 

 「この砲台の核は、あの暴走したロストロギアだ」

 「なっ……!?」

 

 

暴走したロストロギア、思い当たるのはあの管理外世界でアイスマンが封じた【あれ】。

確かにアイツが持って帰ってたが……この砲台に使われているだと!?

 

 

 「あのロストロギアはな、魔力を外部から吸収し、ある臨界点を超えればそれを何倍にもして吐き出すという効果だ。

  おそらく、効率のいい魔力運用でも目指していたのだろう。今はあのマッドのお陰で私の制御下にあるが……暴走する可能性が無いは言えんな」

 「くっ……」

 

 

その話が本当なら俺はもう魔法が使えねぇ。

 

逆にアイツは魔法を使い放題って訳だ。なんせ、コレを撃つのが目的なんだからな……。

 

 

 《(コレで一刻も早く外に出る理由が増えましたね……)》

 「(それも最大級のな。ったく、なんでこう厄介事ばかり!)」

 

 

どうする?

この空間で魔法はもう殆ど使えないと考えてもいい。

どうやって外に押し出す?

 

どうやって……。

 

 

 「ボーとしていていいのか!」

 《――negro(ネグロ) Sphere(スフィア)――fire!――》

 「くっ!」

 

 

打ち出されるさっきと同じ黒い魔力球。

 

一瞬癖でハイペリオンを出しそうになるが、それを堪え、横に転がるようにしてそれを交わす。

 

第二射は数か少なかったため、何とか交わす事ができた。

 

片膝をついてだが、体制を立て直し、アイスマンに向き直る。

アイスマンはまだ攻撃の手を休めない。

 

 

今の隙にレイラをあの二槍に変え、左手に持った槍で俺に向かって来る。

 

スグに立ち上がり、ヤツの手数に対抗するためアテナをダブルソードに変更、構える。

 

そして四つの刃がぶつかり合い、何度目かの金属音が鳴り響いた。

 

 

 「体制を立て直すのが早かったな!」

 「姉さん達に散々鍛えられたからな。これくらいなら対処できる!」

 「なら、防ぎきってみろ!!」

 

 

ここから始まるアイスマンの連撃。

 

両手に持った漆黒の二槍。

片手持ちだから攻撃は重くは無いが、それを補う以上の攻撃回数と速度がある。

 

それに加えさっきも見せた魔力球をとばしてくる。

既に思考はヤツの連撃に追いついてこず、体の反応に身を任せている状態だ。

 

 

 「(コレも封印解除したお陰か? ……にしてもこのままじゃ本当にやばいな……)」

 

 

実際、俺はアイスマンの攻撃を防ぎきれずに何度かハイペリオンを使っている。

ヤツの言葉を聞いてからアテナに解析させていたが、実際ハイペリオンに使っている魔力がどこかに吸い取られているらしい。

 

くそ、戦う時間が長引けば不利になるってのは分かってたけど……なんで俺がハンデを背負わねぇと駄目なんだ!

 

ヤツの攻撃が一瞬緩んだ隙を見て後ろに大きく跳躍。

ほんの少し、攻撃が止む。

 

 

 《(相棒、一つですがこの状況を打破する方法があります)》

 「(……どんな方法だ?)」

 

 

話しかけて来た相棒、その案を聞く。

 

 

 《(この際あのロストロギアの事は忘れて最大出力で攻めることです)》

 「(バッ……何考えてるんだ!そんなことしたら……!)」

 《(このままじゃジリ貧です!!)》

 

 

相棒が怒鳴った。

コイツが怒る……というか怒鳴る事が滅多に無いため普通に驚いた。

だが、同時にそれだけ頭に血が昇っていたという事も思い知った。

 

 

 《(ジワジワ時間をかけて遣られるくらいなら、相手が油断している間に倒しましょう。六番目、そしてアーラを同時に使えば押し出す位は出来る筈です)》

 「(ゴメン……分かった。それで戦い方は?)」

 

 

今は口論している暇も無いし、俺が悪い。

だから素直に謝り、相棒の案を聞く。

 

 

 《(なるべく砲台……侵入してきた所を背にしてください。それなら吹き飛ばされても外に出ることが出来ます)》

 「(了……あんまり喜べないぞ、その案)」

 《(事実ですから)》

 「(ハッ! 違いねぇ!)」

 

 

相棒と、この後の方向、戦い方を決めたところで構えなおす。

 

 

 「作戦は決まったか?」

 「あぁ。何もしないで立ってたこと、後悔させてやる」

 「それは楽しみだな」

 「言ってろ!」

 

 

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!――blanco(ブランコ) ala(アーラ)!――》

 

 

アテナがカートリッジを二本ロード、俺の背中に純白の二枚翼が生える。

 

 

 「魔法を使う事を選択したか!」

 

 

アイスマンはそう言うとレイラをあの2m程の槍に変え、突っ込んでくる。

だが――!!

 

 

 「コレで終わりじゃねぇ!」

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!――Eclatante(エクタランテ) Silhouette(シルエット)!――》

 

 

俺がアテナを前に出すと同時に再び、二本のカートリッジをロード。

刹那、アテナが白く発光しだす。

 

 

 「何!?」

 

 

その光にアイスマンが一瞬怯む。

俺はその隙に切りかかる。

アイスマンに防がれはしたが、結果後ろに大きく飛ばす事が出来た。

 

 

 「なんだ、その剣は……?」

 

 

アイスマンが驚いている。

その視線は淡く白く発光し続けるアテナを捕らえている。

 

その形状はノーマルに酷似しているが、刀身は少し長く、全て純白。

このアテナの姿こそ、六つ目のシルエット。

 

エクタランテ・シルエット

 

 

 《主役は奥の手を隠しているものなのです》

 「で、ここぞって時に出す訳だ」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。