魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH   作:八神煌斗

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43.イーブン

 

 

はやてside――――――――――――――――――

 

 

ドンッ、と爆発音が鳴り、ゆりかごから離れていた私の所まで振動が伝わってきた。

見るとゆりかご先端部分の砲台付近から大量の煙が上がっている。

 

 

 「ウィズ……」

 

 

あそこにはウィズが居るはず。

スグにでも駆けつけたい衝動に駆られる。

 

だけど……

 

 

 『15番射出穴より小型機、再び出現しました!』

 『北側にも数が増えてきている! 増援を!』

 

 

私が今この場を離れたら間違いなく現場が乱れる。

 

それはあかん……。

 

 

 「3番隊から5番隊は射出穴の撃破。残りの部隊は小型機の撃破! みんな、頑張って!」

 

 

ウィズ……あんたも頑張りや。

 

 

 

side out――――――――――――――――――

 

 

 

 「ちっ……。、何処に行きやがった?」

 

 

煙が充満して視界が悪い。

 

アーラを発動して、カッコ付けた後にアイスマンの野郎……。

問答無用で魔法をぶっ放してきやがった。

 

ハイペリオンでギリギリ防いだが、おかげでこの有様だ。

 

 

――カッ

 

 

 「っ!」

 

 

後ろで一瞬音がした。

 

同時にアテナを縦に構え、体を半身にしながら後ろに体を引く。

 

刹那、漆黒の槍がアテナを掠め、目の前を通り過ぎた。

一瞬、アイスマンと目が合った。

 

体を半身から戻す勢いを利用し、後ろから切りかかる。

だがヤツも同じ事を考えていたようで、ヤリでよって防がれた。

 

そのまま鍔競り合う。

 

 

 「不意打ちたぁ、良い性格してるじゃねぇか……!」

 「……そう褒めるな」

 「褒めてねぇ!」

 

 

共に後ろに跳躍、距離をとる。

 

 

 「アテナ!」

 「レイラ!」

 

 《blanco(ブランコ) Sphere(スフィア)――……》

 《negro(ネグロ) Sphere(スフィア)――……》

 

 

共に相棒の名を叫び、頭上に魔力球が生成される。

 

俺が白でヤツが黒。正に対になっている。

 

 

 《fire!》

 《fire!》

 

 

白と黒のスフィアがぶつかり合い、新たな爆煙を発生させる。

 

と、そんな中から黒い魔力球が二つ飛び出してきた。

 

 

 「ちぃ!」

 

 

ヤツの方が数が多かったか!

 

それを横に跳び、交わす。

 

 

 《相棒! 20秒経ちます!》

 「持続だ! 絶対に今の状態を切るな!」

 《ハイ! ――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!――》

 

 

カートリッジを新たに二つロード。

魔力を補充する。

 

エクタランテは単身で最もバランスが取れていて、それでいて強力なシルエット。

だが、その為背負っているハンデも大きい。

 

コイツは20秒に一度カートリッジを二本消費しないとその形を保っていられない。

それも一度解除すると24時間、つまり一日使えなくなる諸刃のシルエット。

 

 

 「(カートリッジ、残りは何本だ?)」

 《(残りは丁度8本です)》

 

 

少し出来たインターバル、その間に確認すべき事を確認する。

 

 

 「(でよ、あれか? 似たような魔法使ってるけど……やっぱ姉妹機だからか?)」

 《(そうですね。私達に登録されている最低限必要と判断された魔法ですから)》

 

 

ほう?

俺はその最低限の魔法しか使えないのだが?

 

なんて少し自己嫌悪していると、やがて煙が晴れていった。

薄っすら霞が掛かっているように見合えるが、確かにアイスマンを確認する。

 

しかし、その容姿は先ほどとは違っていた。

 

 

 「ハ、ハハ……そんなんありかよ……」

 

 

 

ヤツの背中に、漆黒の翼が生えていた。

 

羨ましいって思ったのは秘密だ。

 

 

 《――negro(ネグロ) ala(アーラ)――》

 「どうだ? コレでイーブンだろう?」

 

 

嫌味な顔でいうアイスマン。

 

馬鹿言え。さっきまでがイーブンだったんだよ。

 

背中を冷たい汗が伝った。

 

 

 「はっ!」

 「ふっ!」

 

 

同時。

共に地を穿つ程の力を込め、目の前の敵に向って刃を振り下ろす。

 

互いの魔力がぶつかり合い、白と黒の魔力の奔流が巻き起こる。

 

 

 「ぐうぅぅう!!」

 「どうした、顔が強張っている……ぞ!」

 「ぐあっ!」

 

 

今度は力負けをして後ろに大きく飛ばされる。

だが、次の瞬間にはそれがラッキーだったと、頬が緩んだ。

 

 

 《相棒!》

 「分かってる!」

 

 

俺が飛ばされた方向。それは俺が侵入してきた方向。

後はどうやって外に出るかだが……。

 

 

 「何を呆けている?」

 「ちぃ!」

 

 

相変わらず容赦ねぇな、この野郎!

 

 

 「レイラ!」

 《――negro(ネグロ) stad(スタッド)――》

 

 

レイラに漆黒の魔力が纏わりつき、ランス状の魔力刃が形成させた。

 

 

 「くっ!アテナ!」

 《――Hyperion(ハイペリオン) Hexagram(ヘキサグラム)!――》

 

 

アテナに指示し、左手を前に出し、防ぐことに徹する。

 

だが――。

 

 

 「脆い!」

 「なっ!? ぐふっ……!」

 

 

数秒と持たず、ヘキサグラムはガラスの様に砕け散り、アイスマンの蹴りが腹部に入る。

 

俺はそのままゆりかご外部に弾き飛ばされた。

 

 

 《結果オーライですか?》

 「馬鹿言ってねぇでさっさとロードしとけ!」

 

 

こんな時に何故軽口がでてくるんだろうか、コイツは……。

 

アテナが二度目のロードを済ますと同時に、俺は砲台の上に着地する。

 

外に出られたは良いんだが……。

 

 

 「ふっ……。その左手はもう使い物になるまい?」

 

 

奴も砲台の上に着地をしながら、そんな事を言う。

 

 

 「冗談。ハンデだよ、ハンデ」

 

 

ウソだ。

俺は血が滴り落ちる左手を後ろにするように半身で構える。

 

さっきヘキサグラムが砕かれた際に攻撃を受けた。

手の甲から肘辺りまで、それはもう綺麗に切られている。

 

そういえば前にアテナに死亡フラグ立てるのだけは上手いって褒められたなぁ……。

 

いらない才能だな。

 

 

 「そう強がる物じゃない。ふむ、しかし……」

 

 

一歩づつ、ゆっくりと俺の方に歩いてくるアイスマン。

その手には初めて見る、ハルバート状のやりが握られている。

 

俺は後ずさりそうになる体を留めつつ、ヤツの動きに注意を向ける。

 

 

 「そろそろ飽きた。ここでなら本気で来れるな、粗悪品!!」

 「っ!」

 

 

アイスマンはそう言うと、ハルバートの刃部分に漆黒の魔力刃を固定させる。

そして、一瞬で俺の間合いまでつめて来た。

 

俺にはそれが、一瞬で俺も目の前に現れたようにしか感じられなかった。

 

 

 「サラバだ、粗悪品!」

 「くっ!」

 

 

そう。

俺はコイツにこの高速移動があった事を完全に失念していた。

この隙は大きかった。

 

避け切れねぇ!

 

 

 《――Reacter(リアクター) Purge(パージ)!――》

 

 

瞬間、俺の騎士甲冑の上着部分が爆発を起こす。

 

その爆風で俺の体は後ろに飛ばされ、ギリギリの所で距離を取る事が出来た。

 

そして再び体勢を立て直そうとした所で――……

 

 

 「……え?」

 

 

背中に衝撃があった。

 

 

 「は、はは……。何だよコレ」

 

 

気がついたら、腹から細く鋭い、黒色の魔力刃が突き出していた。

 

 

 「お前、アーラ使った俺のスピードを舐めていたな?」

 

 

腹からそれが抜かれ、背中に衝撃は走り、前に突き飛ばされる。

 

 

 「が、はっ……」

 《相棒!》

 

 

吐血する。

 

内臓やられたか……?

 

腕に力を入れるが、体が重くて持ち上がらない。

 

 

ヤバイ……。

 

マジでヤバイ……。

 

 

 「期待はしたのだが、所詮粗悪品止まりだったか」

 

 

横目で見るアイスマンの顔は、目がかすんでよく見えなかった。

 

俺もここまでか……。

まぁ、姉さん達なら何とかしてくれるだろ……。

 

すこし眠い。

 

 

寝るか……。

 

 

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