魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
《相棒!それで良いのですか!?》
……アテナ?
《貴方は何でここに来たのですか!? 貴方が見つけた理由は、そんなに簡単に捨てられる物なのですか!!》
ここに来た理由……っ!
「無駄だデバイス。そいつはもう動けん。そこで大人しくしていろ」
「誰が……動けねぇって?」
「む?」
うつ伏せの状態で、右手に力を入れ、何とか少しだけ起き上がる。
そうだ……。
俺はここで立ち止まる為に来たんじゃない。
生きる理由を、確かにするために来たんだ!
「(アテナ……)」
《(相棒! 体は大丈夫なんですか!?)》
アテナに念話を入れる。
かなり慌てた様子だが、念話でかえしてくれたことにまずは感謝する。
「(封印、まだ二つ在ったよな……?)」
《(ありますが……まさか!?)》
「(解け)」
その為にはまず、目の前のコイツを倒す。
《(アレは相棒がどうなるか――!!)》
「(どうせ今も体は思うように動かねぇんだ。一緒だ)」
《(それでも!)》
「(いいから解けって言ってんだよ!)」
《っ!?》
アテナが息を飲むのが分かった。
そして同時に俺はノーマルに戻ったアテナを杖代わりに、肩膝をついてだが、起き上がることに成功する。
アイスマンは何故か動かない。
目が霞んでて上手く見えねぇけど……驚いてる?
まぁ、今の俺にはその方が都合が言い。
「(どうせこのままじゃ制御装置として使われるんだ。それなら最後に思いっきり暴れてやろうぜ)」
《(……最後だなんて言わないでください)》
「(あぁ、ワリィ)」
こんな時だが、アテナの心遣いについ笑みがこぼれた。
《(30秒です)》
「(ん?)」
《(第四封印を解除する時間です。それを越えたなら強制的に再封印させていただきます)》
30秒か……。
本当にギリギリの時間だが……。
「いいぜ、やってやる」
ようやく、体に鞭打って立つことが出来た。
後は……万華鏡を開放するだけだ。
「……何故だ?」
覚悟を決めた所でアイスマンが口を開いた。
「何故そこまでして立ち上がる? 何故、自分の事を知って尚、この世界の為に戦う!!? 答えろ!」
コイツ……コイツも俺と同じ作られた側だったのか?
……だけどな――。
「……世界の為? ふざけんな」
「何!?」
アイスマンが驚いているのが口調で分かる。
だが、俺はかまわず言葉を続ける。
「俺が戦うのはな……自分の為だ。それ以上もそれ以下でもねぇ!」
《第四封印、解除!》
「――なっ!」
驚愕の声は――俺モノ。
何だよ、コレ……!
体が……弾ける!?
こんなの、30秒持つのか……。
――いや、持つのか、じゃねぇ!
持たせてやる!!
「セブンスシルエット――万華鏡、展開!」
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!!――Kaleidoscope(カレイドスコープ) Silhouette(シルエット) !!――》
残ったカートリッジ6本ロードする。
剣先をアイスマンに向け、魔力を流す。
同時に、エクタランテに劣らないほどの光をアテナが放ち始める。
「くっ……」
アイスマンの声が聞こえた。
そして次第に光は収まっていく。
黒かったインナーは白銀に、ズボンは白と黒の色が反転する。
白い腰布はそのままに、ブーツも白に変わる。
傷口には圧縮魔力で簡単な止血をした。
そしてアテナは……
「それが切り札らしいが……手遅れだったようだな。すでにデバイスもまともに起動していない」
指輪に戻り、俺の首にかかっている。
だが、この姿こそがアテナの万華鏡の形!
「アテナ、ガンソード!」
《――Gun(ガン) Silhouette(シルエット)――open(オープン)!――》
手をアテナの前に持って行き、引き出すようにして、その手にガンソードを収める。
「なに!?」
《――blanco(ブランコ) Sphere(スフィア)――fire!!――》
計10個のスフィアを作り出し、アイスマンに向けて全て打ち出す。
「ちぃ!」
驚いたままの表情、しかしヤツも体が反応したらしい。
バックステップで俺の攻撃をかわし、漆黒の翼をはばたかせ、上空に逃げようとする。
「逃がすかよ! アテナ、ダブルソード」
《――Doubul(ダブル) Silhouette(シルエット)――open(オープン)!――》
ガンソードを空中に投げ、再び両手でダブルソードを引き出す。
そのまま体を横に捻り、遠心力を利用し、二刀をアイスマンに向って投げる。
二刀はアイツマンの翼に吸い込まれるように飛行し、二翼を切り裂いた。
「なっ!? くそ――!!」
予想通りアイスマンの翼は消滅し、砲台上に落下した。
コレだけの攻撃が通っているのは単にヤツが混乱しているからだろう。
ハッキリした理由は分からないが、この気を逃せば確実に俺は殺られる。
だからこそ、ここで一気にたたみかける!!
「バスターソード!」
《――Buster(バスター) Silhouette(シルエット)――open(オープン)!――》
三度目、今度はバスターソードを手にアイスマンに走り出す。
が――。
「舐めるなぁ! 粗悪品があぁ!!」
アイスマンはハルバートの圧縮魔力刃を一回り大きくし、俺の攻撃を下から薙ぎ払いにかかる。
「くっ……!」
俺は勿論それを迎え撃つ。
が、おそらくハルバートはヤツの……レイラの切り札スタイルだったんだろう。
バスターは俺の手から弾かれた。
だが、止まってる暇は無い!
「テクニカルソード!」
《――Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット)――open(オープン)!――》
「はあああぁぁ!!」
今までで最も使い慣れたスタイルで迎え撃つ。
時には受け止め、時には受け流しつつ、アイスマンと打ち合う。
そして共に切りかかり、いつかの様に鍔競りになる
「なぜ……」
「……あん?」
「何故貴様は、その体でここまで……世界の為に戦う!?」
この至近距離だから分かった。
アイスマンの顔は……苦しんでるように見えた。
そうか……コイツも……。
「さっきも言っただろ。俺の為に戦ってるんだ! 世界の為、ましてや管理局の為なんて考えてもねぇよ!!」
「戯言を!!」
「んなんじゃねぇ!!」
渾身の力を込め、アイスマンを突き飛ばす。
俺は同時に走り出し、アイスマンに猛攻を仕掛ける。
アイスマンは体勢が崩されたせいか、防ぐことに徹している。
「俺は、俺が守りたいと思った人の為に戦ってるだけだ! 誰にも強要されたわけどもねぇ!」
徐々にアイスマンが後退を始める。
「そんなもので――!!」
「よく言うだろ、守りたいものがあれば、強くなれるんだよ!!」
「ちいぃ……っ!?」
アイスマンの動きが止まる。
理由は俺の先程弾き飛ばされたバスターソード。
それに後退を阻まれたのだ。
「くそっ」
「逃がさねぇ!」
横に逃げようとしたアイスマンを阻むように、ダブルソードが左右に刺さる。
セカンドカラーズの応用だ。
今回はアテナの本体は指輪の状態で俺の元にある。
だからこそ、投げっぱなしになっていた二刀を共にコッチに引き寄せることが出来た。
コレでヤツの逃げ場は正面だけになる。
だが、俺はその隙にヤツの懐に潜り込む。
これでヤツの槍は振えない。
「あぁ、そうだ。お前に言っとかねぇと駄目なことがあるんだ」
「っ!」
殴りかかってくる腕を左手で防ぎながら、右手で魔力球を作りながら言う。
「俺の得意な魔法なんてねぇ!」
《相棒が得意なのは――……》
「《暴発だけだ!!》」
「くうぅぅ!!」
辺りを空気ごと震わすような――爆発二人を包み込んだ。