魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 作:八神煌斗
アテナがレイラへの交信(?)を始めてまだ10秒足らず。
しかし、今の現状は――
「がああぁぁぁ!!」
「このっ! 少しは遠慮しやがれってんだ!!」
絶賛ピンチ中。
俺はヤツの両手を掴み、あの砲撃を撃たせないようにしてるが……。
あの砲撃が使えなくても宙にスフィアを作り出し、射撃魔法を俺に向って撃ってきていた。
実際デバイスの補助無し、それに加えて錯乱状態にある為か一発の威力は小さい。
だが、塵も積もれば何とやら。
今までの分を含めそろそろ限界が近づいて来ていた。
「アテナ、まだか!?」
《後少し……。もう少しでアクセスできます》
「――っても、もう持たねぇ……」
「が、あぁぁあぁ!!」
突然、本当に突然アイスマンの動きが変わった。
さっきまでは俺と力比べするような形だったが、急に暴れ始めた。
――やったのか?
それが油断だった。
力を緩めた一瞬、その一瞬で隙を突かれ俺は両手を離してしまった。
「しまっ!」
ヤツの手には急速に魔力が集中していく。
離れる?
いや、ここで離れたら確実に……!
――それなら!
俺は意を決し、更にアイスマンの懐に潜り込み……。
「コイツでも、食らいやがれ!!」
拳を握り締め、一発。
残る力を込め、ヤツの腹部に殴りかかる。
だが……。
「邪魔だああぁぁ!!」
「ちっ……ぐふっ!?」
それは全く意味を成さずに、ヤツの蹴りをもろに受け俺は後ろに大きく飛ばされた。
そのまま後ろの壁に背中から衝突。
その場にずり落ちる形で座り込む。
「とうとう魔力も尽きたか…。甲冑か構成できないとわな」
座り込んだ俺を見ていうアイスマン。
そう。
俺は今、なの姉が着ていたような白と青の教導官が着る服に戻っている。
「何をしようとしていたかは知らんが、終わりだ、ゴミがぁ!」
「くっ!」
据わったまま状態で、ヤツに向き直る。
既にその手には巨大な漆黒の魔力球が出来上がっている。
アイスマンは打ち出そうと構えを取って――。
「っ!?」
動きが止まった。
「な……体が…」
「思うように動かねぇだろ? 間に合ったみてぇだな」
混乱しているヤツに向って一言くれてやる。
「貴様、何をした!!」
「はっ。自分の腹でも見てみな」
「何? ……っ!!?」
言われた通りに自分の腹を見て、そして絶句しているアイスマン。
そこには俺の相棒。
アテナが引っかかっている。
「やっちまえ、アテナ! レイラ!」
「この……クソがあぁぁアァ!!」
「なっ!?」
そうアイスマンが叫ぶと、ゆっくりだが砲撃の発射体勢に移った。
《(相棒、抑えきるにはもう少し時間が必要です!避けてください!)》
アテナが念話で俺に知らせる。
つまり、間に合っていなかったという事。
確かにアイツに接触してから30秒は経っていない。
俺の……負け。
そう覚悟を決めたとき、俺の耳にある音が入ってきた。
この音……あの時の。
「覚悟を決めたか、ゴミ?」
「はっ。んな訳あるかよ。勝つのはコッチだ」
さっきまでの俺とは違う。
この音は、この俺の、六課隊員としての始まりの音。
始まりの駆動音。
「強がりを! 貴様はもう動けん!」
「誰が俺っつったよ? お前を倒すのは――」
俺の横を、青い風が通り抜けた。
「お前だ、スバル!」
「はい!」
自身のデバイス、マッハキャリバー駆けるスバル。
そのスピードを維持したままで跳び上がる。
「ディバイィィン――……」
その左手には、青い魔力球が保持されている。
「バスタアアァァァ!!」
その魔力球を右手に装備しているリボルバーナックルで力強く殴りつける。
同時に爆発するように撃ち出される青い砲撃。
「チクショウガアァァ!!」
スバルの砲撃はまっすぐにアイスマンに向い、飲み込んだ。
「ウィズさん!大丈夫ですか!?」
「おースバル。はっきり言って限界だぁ」
その後アテナを回収、俺に渡してくれたスバルに何時ものように軽口でかえす。
でも限界なのは本当なのよ。
正直止血に回している魔力もそろそろ限界、残りはここ脱出用か残ってません。
……ん?
「スバルお前、何でこんな所に居るんだ?」
「あ、それは……」
「ウィズ!!」
スバルが話そうとしたところで聞きなれた声が、別の駆動音と一緒に聞こえてきた。
そして暫くもしないうちに、俺の隣に一台の真っ赤なバイクが止まる。
同時にバイクから駆け寄ってくる影が一つ。
「はや姉……」
「ウィズ!大丈夫か……って凄い怪我やない! 早く治療を……!」
「大丈夫だよはや姉。見た目より酷くないから」
うん。強がってるだけだけどね。
「そうか……なら遠慮すること無いな」
「え? 何がって、あ痛たたたたた!!」
スッと手を俺の両頬に持ってきたはや姉。
ドキッとしたのも束の間、力強く左右に引っ張られる。
地味なのにものすごく痛い!
「ふぁ、ふぁや姉! ごふぇん! マフィでゴフェン!」
「え、何? 痛くも痒くも無い?」
「そんなふぉと言ってまふぇん!!?」
「はやてちゃん、今はそんな事してる場合じゃ……」
横からなの姉が静止を呼びかけてくれる。
「む……。まぁ、今はコレで許したろ。マズはここから脱出するのが先やな」
パッと手を離し、ティアナやスバルと話し出すはや姉。
うん、助かった……。
俺はなの姉にお礼を言おうと改めてなの姉に向き直った。
そして見つけた。
なの姉の腕の中に居る金髪の少女を。
「よかった。ヴィヴィオ、助けられたんだ」
「うん。今は寝ちゃってるけど、一応大怪我とかはして無いよ。ウィズ君の方がよっぽど……」
「あぁ、俺は正直疲れたよ。暫く有給貰う。意義は認めん」
「にゃはは。うん、そうした方がいいよ」
「な、何考えてるのよ! バカスバル!!」
「うえーん、ごめんなさーい!」
なの姉と和やかに話していると一瞬でその空気を消し飛ばす怒号が隣から聞こえてきた。
俺達は呆気に取られながらも何があったか聞いてみる。
「あ、なのはちゃん。どうも脱出が出来なくなった見たいなんや」
「は?出来ないって……なんで?」
その疑問に答えたのはティアナだ。
凄く疲れた顔をしているが……あれば絶対に違い種類の疲れた顔だ。
「それが、ここを脱出するのにスバルのウイングロードを使う予定だったんですが……」
「さっき魔力全部使い切ったもうたみたいなんよ」
……ん?
「つまり脱出出来ないと?」
「……はい」
マジかぁぁああ!!?
「ウィズ君、ハイペリオンじゃ無理かな?」
なの姉がそんなことを聞いてきた。
「あー……アテナ、いけそうか?」
《正直無理だと思います。相棒の魔力も殆ど枯渇状態ですし、展開してもコレだけの人数使える程の強固なモノは作れないと思います》
「……だって」
とまぁ脱出手段が完璧に絶たれたところで俺達の周りには暗く、重い空気が流れる。
俺も何か無いかと相棒と一緒に考えるのだが――。
《まぁ、人生諦めが肝心といいますし》
「って言うか、そもそも魔法はここではもう使わない方がいいだろ?」
《あぁ、そういえばそうでしたね》
と、ふざけてるのかどうか分からない回答しかしない。
さて……マジでどうするか?
「ウィズ君、魔法を使わない方がいいって、どういう事?」
悩んでいるところになの姉が聞いてきた。
はや姉もスバルたちも頭の上にハテナを浮かべている。
「いや、さっき皆が通ってきたところにロストロギアがあってさ」
「ロストロギア!?」
「うん。それの効果ってのが魔力を吸収、何倍にもして吐き出すってやつなんだよ」
一度体感してるから間違いありません。
あとはもう少しだけ皆にロストロギアの事を説明する。
今飽和状態だっていう事も忘れずにな。
「えっと、もしかして私のディバインバスターも?」
「多分吸い取られたな。正直爆発しないか冷や冷やした」
サーッっという音が聞こえそうな勢いでスバルの顔色が悪くなっていく。
因みにそれに釣られたのかどうか分からないがはや姉含め皆さん顔色が悪い。
そんな人たちは放っておいて、マジで脱出方法を考えねぇとな……。