これを見たら原作見てください。きっと好きになる。
「首をだせーい」
「ぎぃ!?」
刀を突き出せば、容易く頭が首から離れる。脆い脆い。
ゴブリンやら他のやつは大したやつじゃない。インプは面倒。オーガは問題ない。フロッグマン? あいつはキモいので全力で殺す。
左手に持つ黒い打刀と、右手に持つ白い脇差。私様の二本の愛刀で、インクブスどもを滅多斬り。ごめん嘘、一太刀で終わらせるから滅多じゃなかった。
夜はあいつらのフィールド。下手に動くのは得策じゃないけど、動かなければ死ぬ誰かもいる。
仕方ないので、守ってあげるのが私様なのだ。
「周辺のインクブスの排除を確認。おつかれさまでした、フルールラム」
「あれ、もう全滅?」
「他のインクブスは逃げ出しました」
「あー、なるほどー」
インクブスは性欲の権化だけど、だからといって性欲一辺倒じゃない。不利だとわかれば、すぐに逃げ出す。そこが面倒なんだけどね。
さてさて、今日は早めに終わってしまった。すぐにでも帰って学校の準備をしなくては。寝不足で遅刻はごめんなのだ。
「じゃあ帰ろっか」
「了解しました」
刀を両方とも鞘にしまい、帰路に着こうとして……ふと、空を見上げた。
暗い夜。ウィッチである私様にはお星さまの光もよく見える。
けどそれ以上にはっきりと見えるのは、何体かの空飛ぶ生物。生き物……と言っていいのか、あれ。よくわからないけど。
あれは虫のファミリアだ。確か、蛾だったっけ。蝶々に見えるけど、蛾で間違いない。間違えたからちゃんと調べたもんね。
「今日もおつかれさま。いつもありがとね」
多分、聞こえてないだろうけど。感謝の言葉を述べるのは、私の日課。私の、私たちの平和が護られているのは、軍でも、他のナンバーズのおかげでもない。他ならぬあの虫のファミリアこそが、私たちを守ってくれている。
それを、私はずっと前に実感している。
だからいつも感謝の言葉を忘れない。忘れたら、酷い人になりそうだったから。
「よぉし早く帰って寝るぞ〜!」
「寝不足は乙女の敵ですので、常日頃から睡眠時間を増やしてくださいね」
「それはぁ……ちょっと考えるかなぁ?」
……酷い人にはなりたくないけど、悪い子ではいたいかなぁ。夜更かしだって出来るし。
◆
私の名前は
趣味は運動と漫画。漫画は家でも見れるからつい夜更かししてしまう。
仕事はインクブスを殺すこと。あいつら生きても死んでても害しかないから動かない分死んだほうがマシだよね。
ウィッチになって、インクブスを殺して、死ななくても良い人たちを助ける。それが私のお仕事。使命とも言う。
「まぁでも……ふぁ……元が遅かったからかなぁ。眠いや」
「睡眠時間は取れるようにしてください」
「わかってるってば」
まるで親の小言みたいなことを言う私のパートナー。いや、親なんていないからホントはどうなのかわからないけどさ。
普段は剣のキーホルダーの姿になって、いざ戦闘になると白い脇差になる。頼れるパートナーだ。
「花崎さーん、これプリントー」
「おーあんがとー」
クラスメイトがプリントを渡してくる。普通に宿題ですねこれは。嫌だ嫌だ、面倒ですよ私様は。まぁやるんですけどね。満点とってやらぁ。
渡されたプリントを睨みつけていると、ふと匂いが漂ってきた。
知らない人の匂い……男子かな。クラスメイトじゃないみたい。この匂い……緊張と、好意の匂いだ。
ははぁん、さては告白に来たな、私様に。
まぁ私様は可愛いからな。そこらの女子とは比べ物にならない顔面偏差値よ。
ちなみに私は鼻が良い。匂いで相手の感情を読めるくらいにはスゴイよ。どこぞの炭焼きの息子みたいだよね。私そんな漫画見たことないし知らないけど。なんで知ってんだろうね?
「花崎さん?」
「ちょっと用事ー」
まぁ、さくっと断ってきますか。
私様が好きなのは女子なので。
異性は恋愛対象に見れないんだよね。だから告白されたらいつも断ってるの。
誰か私のハートを撃ち抜いてくれる女子はいないものか。
できればロリータボイスな人が良いな。身長も低ければ満点。だってかわいいは正義だからね。
◆
私にも失敗はある。ウィッチに成り立ての頃、一度敗北したことがある。その時はマジックの使い方や刀での戦闘法が成立していなかった時期なので、負けたのは仕方ない……なんて、言い訳は出来るけど。
やっぱり、悔しい。
助けに来てくれなかったら、私はここにはいなかった。死んでいたか、もしくは……ここらへんは想像もしたくない。
ただ、強くならなくちゃ、って、そう思った。だから、私は思いつく限りのことを試した。
剣技、身体の動かし方、肉体改造、マジック及びエナの制御と使い道……とにかくやって、駄目だったら改めた。それを繰り返して今の私がある。
ウィッチとして強くなれた……と、思いたい。
「フルールラム」
「敵はどこ?」
「西に十」
「わかった、じゃあ行こっか」
インクブスはエナを隠さない。自分たちが略奪者だと思っているから、狩られるなんて考えていないのだ。こういうところは莫迦だと思う。
今日は比較的数が少ない。多分分散してる。残りが何処に行ったのかは……まぁ、何処であれ虫のファミリアが喰い殺していることだろう。何処にいようと、彼らの襲撃から逃れることは出来ない。けれど、何事にも限度はある。
だから、私はいつもここにいる。守りきれないモノだってあるはずだから、私も動けば被害は減る。他のウィッチも動けばさらに被害は減る。
インクブスが来なくなるまで、それを繰り返すだけ。私はただそれだけでいい。
「ウィッチ…!」
「そうだよ。だから死ね」
十体のインクブスを確認。突撃する。
ゴブリンが八……あとは、オーガが二。大物だ。
多分、他のところにオーガが沢山いたんだろうけど……今はいい。
「ウォォォ!」
オーガが声を張り上げると共に、鉄塊の鈍器を振り下ろす。オーガは巨躯だ、その分パワーがあるから喰らえば無事では済まない。
最も、喰らえばだけど。
振り下ろされた鈍器に合わせるように、打刀を振り上げる。オーガと私、互いの武器が接触しあい……まるでバターを切るかのように、鉄塊は切断された。
呆然とするオーガの首を、振り上げた打刀の勢いに任せて切り裂く。首が離れ、血飛沫が舞う。
「なっ、なんだと!?」
もう一体、続けて攻撃しようとしていたオーガ。けれど、少し怯んでいた。流石に仲間の武器が何の抵抗もなく切り裂かれたのは驚いたのだろうか。
それと、それに隠れるようにして襲いかかってくるゴブリン三体。後ろから投擲物を投げようとしているゴブリン三体。他二体は、回り込もうとしているのかな。
風に乗ってインクブスの臭いが漂ってくるから、よくわかる。
対処は問題ない。殺すのにも、何ら問題ない。
ところで、私はマジックを苦手である。エナの性質が原因なのか、遠隔で操ったり守ったりといった行為ができない。
そんな私が使えるマジックは一つだけ。刀にエナを纏わせて飛ばす、即ち飛ぶ斬撃。私は遠距離の不利をこれで補っている。
刀を振った先にインクブスがいれば、紙一重で避けたとしても斬撃が当たる。例えばそう、こんなふうに。
「ぎがゃ!?」
流石に当たるのは不味いと踏んだオーガは紙一重で避けようとしたのだろう。しかし刀は既に振り抜かれていて、当然ながら先程説明したように斬撃が飛び、オーガの肉体を両断する。ついでのように後ろにいたゴブリン三体ごと。
動揺からか、回り込もうとしていたゴブリンの動きが止まる。けれどこちらに待つ気はない。
刀を振るい、斬撃を飛ばす。それを何度か繰り返す。
動きを止める頃には、五体満足に生存しているインクブスはいなくなっていた。
「周辺インクブスの排除を確認。おつかれさまでした、フルールラム」
「うん、ありがと」
インクブスの死骸が転がる現場。誰も来ないとは思うけど、もしものことがあってらいけないのでしばらく待機。そう長い時間待つことはないだろうけど……あ、来た。
風に乗って虫の匂いが流れてくる。ファミリアたちだ。いつものようにインクブスの死骸を回収しに来たのだろう。
空を見上げていれば、巨大な蜂の大群が羽音をブンブンとうるさく鳴らしてやってきた。
もう見慣れてはいるけど、流石に音がうるさい。場所が場所だから誰にも迷惑は掛からないんだけどさ。
「いつもありがとねー」
「フルールラム」
「わかってるよ。もう夜も遅いし、ちゃんと帰ったら寝るから」
インクブスの死骸を運び出したファミリアたちを確認した後、踵を返す。
家には誰もいない。親はいない。家族もいない。それでも私が戦う理由はなんだろうか。そんなことを考える。
今日はネガティブな日だ。普段ならもっと明るく振る舞えるのに。
それでも、考える。私が戦う理由。使命以外の、個人的な理由を。
「……うん」
考えられるとしたら、これしかない。
私はきっと─────
「どうしましたか?」
「ん? なんでもないよー」
パートナーからの言葉を誤魔化す。多分、知らなくても良いことだろうから。
そうして今日も、私は生きる。救える人を助け、敵を殺す。そんな日々を過ごしながら。
仮称:フルールラム
権能:
本名:花崎 刀華
出身:日本
特記:敵ぶっ殺刀ガール。戦闘時と非戦闘時で口調やテンションが変わる。
好みの相手がドンピシャでシルバーロータス。恐らくシルバーロータスと会わせてはいけない人物。名前と姿が一致しないタイプのウィッチ(和風)。
あと全く関係ないが、年齢にしては胸がある。身長もシルバーロータスよりも少し高い150cm。
会ったことのないシルバーロータスに重い感情を向けている。
無自覚であり記憶も薄れかけだが、転生者。