シルバー・アウトサイド   作:オルフェイス

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 捕食者系魔法少女がぁ、書籍化するのでぇ……復活、しました。

 ……でもやっぱ難しいですね、介入させずに存在感出すのは。
 独自解釈です。どうぞ。




ルック イン ザ ミラー

 

 学校は楽しい。

 いや楽しいというか、なんというか……なんだろうね、安心する、っていうのかな?

 ウィッチとして戦ってる心を癒やしてくれる……みたいな。勉強はアレだけど、学校という居場所は楽しいと思うよ。

 部活とかは……私様はウィッチだからやってない。時間が惜しいからね。こうしてる間にもインクブスは蔓延ってるから。

 じゃあ何をしてるかと言えば……

 食べる、寝る、遊ぶ、学ぶ。この四つかな。

 朝昼晩に毎日食べて。

 夜には就寝。もちろんウィッチとしての活動もあるから遅めだけど。

 外でいっぱい動いて遊んで心を癒やし。

 学校で勉強して、ウィッチとして学びも忘れない。

 ……こんなところかなぁ?

 ウィッチであることに生涯を捧げる。そんなことが出来るのなら、話は早いんだけど。

 まぁ無理だよね。

 少なくとも今の日本ではそんなことはしなくてもいいし……それだけ余裕がある。

 それもこれも彼女が頑張ってインクブスを殺して、敵の少ない土地によって強いウィッチが育ったおかげだ。

 本当に、敵わないよね。

 ─────けれど。

 

「それでも、絶対じゃない」

 

 それを私は知っている。

 彼女を狙う敵は多く。

 そして残念なことに、彼女の価値を真に知る味方が少なすぎる。

 なんで彼女の敵対者や他国の人間の方が力を入れてるんだろうね。

 ……知らなければ、そうなるのも仕方のないことだとはわかってるけど。

 今日は、外からの()()が多いようだ。

 

「インクブス……だけじゃない」

ウィッチを複数人確認しました

「愛されてるね、彼女」

この場合、執着ではないでしょうか

「言えてる」

 

 本当に、ふざけた奴等だ。

 自分たちの国の危機だから。

 そのために、国の守護者である彼女を奪い取ろうとする。

 そしてインクブスもまた同じ。

 日本中にいる彼女の虫が、インクブスという害悪を取り除いている。

 だから元凶を断たんとしている。

 以前のように、略奪を行うために。

 

どうなされますか?

「……どうしようね」

 

 普通なら、介入するべきだ。

 彼女を奪おうとする国も……彼女を辱めようとする淫魔も。

 皆殺すべき害獣だ。

 ……私にとっては、だけど。

 それを気軽にしていいのか。

 もちろん、彼女にとっては良くないことのはずだ。

 現在、匂いで確認できる範囲にいるウィッチの数は……

 六人、二人、四人、一人、一人、一人……こんなところか。

 ただ四人組に関しては少し妙だ。微妙に匂いが違うからいいけど、何処か同じ匂いがする。

 もう少し近ければ詳しく判別できるんだけど。

 ……外の国のウィッチみたいだから、何か事情があるんだろう。今はいいか。

 警戒すべきは……六人組と、一人組。

 六人組はインクブスと行動している。間違いなく敵だ。

 一人組……一つは嗅ぎ慣れた匂い。彼女だろう。こちらはいい。

 もう一つ……こちらが厄介だ。かなりのエナを含んだ匂いがする。私よりも多いな。

 ウィッチだろうし……何より人間と行動してる。四人組とはまた違う国だな。多分ナンバーズ。

 最後の一人組は……こちらも気にしなくていい。何を企んでいるのかは知らないけど、敵ではない。

 二人組は……あ。

 

ウィッチ同士での交戦を確認……どうやら数を分けたようです

「インクブスのところだね。で、数を同じ二対ニにしたと」

 

 ……まあ、数だけならそれは間違いないけど。

 愚策だよ、それは。少なくとも今そこにいるウィッチを相手にするには、それは無意味な戦力分散にしかならない。

 その代わりと言うのか、彼女の虫たちがマークの外れたインクブスと四人のウィッチを追い込んでいる。

 誘導、してるんだろうね。

 

フルールラム

「いやほんと、どうしようね」

介入するべきかと

「それが邪魔にならないのならね」

 

 こう言ってはなんだが……下手な介入は、ただ邪魔でしかない。

 彼女の戦い方に他のウィッチの存在は加味されていない。ただ自分とファミリアでもって、どうやって敵を殺すか。ウィッチを無力化するか。

 自分たちでどうやって成すか。元より他者の援護を期待していない。

 ……自分でなんとかするしか無いと。自分がやらなくてはならないと。そう、思っているのだろうか。

 いや、そこを考えても仕方ないか。

 私に彼女はわからない。そんなの、当たり前のことだから。

 

「仮に私が介入したとして……それが彼女の邪魔にならないと言える?」

……

「言えないよね。私も言えないよ、そんなこと」

 

 しかも、状況は混乱を極めようとしている。

 倒すべきインクブス、救うべきウィッチ、敵か味方かもわからないウィッチに……とにかく陣営が多い。

 彼女の矛先はあくまでインクブスに向くだろうけど……それが他のウィッチにも当て嵌るかといえば、もちろん違うわけで。

 つまり頭を使う。そこに私という初対面のウィッチが介入したら……

 

「私が行こうものなら、余計に拗れるよね。もし介入するとしても……それは一瞬でいい。あとは彼女が上手くやってくれる……と祈ろう」

……どちらに祈られるのですか?

「それはもちろん、彼女にだよ」

 

 私の信じる者なんて、彼女くらいだよ。

 この世界に、神様なんていないと思うから。

 

 ─────油断してたか。

 後ろの存在に気付くのが遅れた。

 

「あなたは行かなくていいのかしら? フルールラム」

「私が行っても邪魔になるかもだからね、ラーズグリーズ」

 

 ナンバー1、ラーズグリーズ。

 自他ともに認める最強のウィッチが、私の後ろにいた。

 いつの間に、というのは考えるだけ無駄か。

 後ろに佇んでいたラーズグリーズは、私の横に並んだ。

 

「でも、シルバーロータスの危機には馳せ参じるんでしょう?」

「必要な時には、必ず。ラーズグリーズはどうなの」

「今は様子見。介入するのは、ことが終わったあとね」

 

 ……なるほど。

 それがラーズグリーズの意思なのか……それとも国防軍の意思なのかは知らないけど。

 わかってて放置している。そういうことだろう。

 私は子供だから、陳腐な感想しか出せないけど。

 大人の戦い、というやつなのだろうか。

 ……しかし、ラーズグリーズもいるのなら私はいらないか。

 

「……これ以上は過剰戦力かな」

「あら、帰るの?」

「ラーズグリーズ。あなたもいるなら私は必要ない」

「私が助けないとは思わないの?」

「……思ってもないことを言わないでくれる?」

 

 他ならぬラーズグリーズが。

 彼女の戦力に助けられていることを実感しているあなたが、彼女を助けないはずがないだろう。

 私は数いるウィッチの一人に過ぎない。私がいなくなったところで、また別のウィッチが育つ。

 けどラーズグリーズと彼女は違う。

 替えが効かない。

 だからこそ、その価値は計り知れない。

 そのことをラーズグリーズ自身が理解しているはずだ。

 そしてラーズグリーズは溜息を一つ。

 

「もう終わりなら、帰るよ」

「……最後に一つだけ」

「何?」

 

 何処か不機嫌そうに、ラーズグリーズは言葉を紡いだ。

 

「英雄の死因って、何か知ってる?」

「裏切り」

「……正解は過労よ」

「ふーん?」

 

 ……過労か。なるほど、たしかに。

 彼女とラーズグリーズは、よく働いている。

 それこそいつ休んでいるのかと疑問に思うくらいには。

 そうして背負いすぎて、許容量を超えた人から……潰れていく。

 ……確かに、彼女が陥りそうな状況だ。

 ただの推測でしか、ないけど。

 

「じゃあね」

 

 そう言って、私はその場を立ち去った。

 

「……彼女、シルバーロータスって言うんだ。初めて知ったな」

 

 そんなことを、小声で呟きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと。

 複数のウィッチが入り乱れた戦いが、どのような結果になったのかはわからない。

 いつもと変わらない……ように思える。

 少なくともすぐにわかるような変化はなかった。

 けれど。

 彼女の虫は健在。

 彼女の無事が確かであることは、確信できた。

 

 少なくとも、今はそれだけで十分だ。

 

 

 




 鏡を見ろ。

 ラーズグリーズが当時の戦いを詳しく見ていたかどうかは不明なので、何処かで見ていた、という予想で進めています。

 働き過ぎにはご注意を。
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