グエルなんだがミオリネ抱いた 作:鳥羽
事前に言っておきますがダンスについて一切分かりません。適当を書いてる可能性もあるのでご了承ください。分からなすぎて頭の想像ダンスで疲れました。でも後半は殆ど台詞だけにしたのはわざとです。
得体の知れぬ空気感を感じそうな中、司会者がダンスタイムのアナウンスをし、スローテンポな音楽が流れる。
ミオリネは俺を見て微笑んでいる。というかウインクしてる。
その意図を読めない俺では無い。多分。
なるほどな……つまり、お前一応婚約者なんだから分かってるよね。ということだな。
「お願いしても?」
彼女と向き合って右の手のひらを差し出す。
「婚約者なら当然リードしてくれるんでしょう?」
不敵な笑みで左手で俺の手を取る。
「勿論、一曲と言わず何度でも」
とは言いつつ、こういうダンスではパートナーがいても相手が変わることはよくある事なので、ミオリネと踊り終わったら俺は壁のシミになりそうだ。なんならとてつもない失敗をしたら後日ジェターク寮のトマトにでもなっているかもしれない。すまんラウダ、兄は先にゆく。
俺が左手の平を出すと、ミオリネが右手の平を少しずつ合わせて重ねるようにやさしく乗せてくる。次にその細くしなやかな指先で確かめるように人差し指から順に触れていき、甲の部分を握ってきた。指から感じる彼女の手は俺の手と違って華奢で、触れれば壊れてしまいそうなほど繊細なようにも思えた。
だから俺は四本の指で決して壊してしまわないよう、優しく包むように握る。そして二人で手を重ねたままお互いの手の形を触れ合うことで理解しあって、親指の付け根付近同士を丁度良くくっつけるように擦り合わせる。なんだか触れている手の指先まで鋭敏になっているかのようだ。
それを終えたら適切な距離になり、もう片方の手の平を上体を逸らすミオリネの背中から離れないように左肩甲骨辺りに添える。指が開いていると目立ってしまうのでそうならないように、揃えてぴったり合うようにする。そして彼女の手も俺の右上腕の上に置かれる。これがクローズド・ポジション。
そして踊り始めるという合図として、右膝を少しロアした。
まず重要なのはリズム、身体で音楽を捉えることだ。そして繋がりを意識してミオリネの動きをしっかり読み取って、力任せではなく俺の身体で女性にステップ、タイミング、方向を伝えて動き続ける女性を案内し、女性もそれに反応を返すっていうことだ。つまり戦いではなく、あくまでコミュニケーション。
三拍子のリズムに合わせて俺が前方に左足を踏み出し、かかとを上げる動きであるライズをすると、彼女は右足を後退させてステップを始める。相手とのリード&フォローで協調して、調和しなければならない。
予備歩から始まり、ナチュナルスピンターン等といったスピンやターンを行っていく。前に踏み出すと後退して、後へ退がると前進して、俺たちを軸にして足の着く位置を意識しながらスピンする。左へ向きを変えるということ伝えるために、わずかに上体を左回転に逸らして左に向きを変え、横にステップする。
最初はぎこちなさもあったが、踊っていくほどにお互いの視線を感じ、動きを感じ、手を感じる。次第に呼吸が合っていき、より深く相手が何を求めているかが分かるようになっていく。そうなればスムーズに動けるようになり、リラックスして楽しめるようになってくる。ミオリネからそれが伝わってくる。
良いポジションを維持しつつステップ確認。人もそれなりにいるフロア。大きく動きすぎるとぶつかってしまうので、そうならないように腰を中心に体全体でリードする。本当に良かったぜ練習しといて、と心から思う。
「グエル、アンタ結構踊れるのね」
「ミオリネこそ、上手いじゃないか。結構練習しただろ?」
「伊達にクソ親父に習わされちゃいないわよ」
「必修科目なのかってくらい執拗にやらされるよな」
「ふふっそうね。わたし正直、ピアノを辞めさせられてから無理やり習わされて、なんでこんなことをってずっと思ってた」
「ミオリネ……」
「でも先生以外とはグエルが初めてだったけど……アンタとだったら悪くは無いかもね」
「ははっそれは俺もだ。俺もミオリネが初めての相手で良かったよ」
曲の終わりと共に踊り終わって彼女の目を見る。
「ありがとうございました」
「ありがと。ふふっわたし……初めて楽しく踊れたかも」
「それはやった甲斐があるってもんだ。まぁ楽しかったのなら……また何度でも俺と一緒に踊ってくれよ」
「勿論。アンタとなら何曲でも付き合うわ」
礼を終えたミオリネは、笑みを浮かべて穏やかな表情をしていた。
後日、あの会場に俺が知らないだけで学園の生徒がいたようで、学園で多少噂になっていることをまだ知らない。
どうでも良いけどレインボーアップルドラゴンハクハツチュン? オフコース!好き。
相手を決められない男を壁のシミというらしいです。女は花だそうです。