グエルなんだがミオリネ抱いた   作:鳥羽

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19話のシャディクがアレだったら思いついた一発ネタだから・・・
前の話とちょいちょいズレが


アスティカシア一年目

 ふと、目が覚めた。

 見慣れた天井、変わり映えしない部屋。ジェターク寮の自室で目覚める変わらない日常のようにも思える一日の始まり。ちらりと時計を確認すれば、朝食を取るにも校舎に行くにも早い時間帯で、それはとっくの昔に習慣になっている日課のトレーニングの為のものだった。俺は前世で碌に動けなかった分、今世ではそれを取り返すようにさまざまな事に挑戦している。今の人生の中ではスポーツや格闘技も齧っていて、その為いつもならランニングに出かける準備をするのだが、今日ばっかりは大目に見よう。

 

 何せ今の俺の二の腕には、整った顔の少女が服を着ずにこちらに穏やかな寝顔を浮かべている。つまりは腕枕状態となっているわけだ。そんな彼女の特徴として陶器のような白い肌、腰まで届きそうな白く美しいロングヘア、なだらかながらも柔らかさを感じる胸、華奢でスレンダーな体付き。どう見ても婚約者であるミオリネでしかない。

 正直に言えば未だに昨晩のことが夢のようにも思えるが、彼女の少し低い体温や大量の汗をかいた身体、それにシーツの赤いシミが現実であると告げている。そうだ、行為の後シャワーも浴びずにミオリネがすぐに寝てしまって俺もそのまま寝たんだった。

 

 なぜこういう関係になったのか、全てはこのアスティカシア高等専門学園に来た時から始まった。

 

 

 

 

 まずここは寮制なのだが、変わっている点として後ろ盾となる会社の寮に入ることになるというものだ。俺や弟のラウダの場合、ジェターク社の御曹司ということで当然ジェターク寮になる。御三家というだけあってか保有するMSの質だったり人員や金もかなりのものだった。

 

 前世で学校に行ったことのない俺は、初めての高校とも言える場所に正直興奮していたのだが、その気持ちは直ぐに底辺にまで落ちることになる。その理由は過度な血統主義だったりもあるのだが、なにより他の寮だけでは無く、このジェターク寮の生徒や教師ですらも地球寮すなわちアーシアンを蔑視していることだった。いや、スペーシアン同士でも出身で差別される者もいる。

 

 この時代においてアーシアンとスペーシアンが対立していることを学んではいたが、今までの人生で差別に対して直接関わることがなかった為に俺は甘く見ていた。所詮俺たちは同じ人間でしかないのに。……例えこれが世界の縮図だとしても、俺たちまで大人の真似事をさせられるのは非常に気分が悪い。

 

 

 しかし現状を上手く変えようにも俺は馬鹿だ。口頭注意や話し合いだけでは全く減らないし、学校に頼ってもダメだった。かといって彼らの根本的な対立を解決する手段もない。正直に言って具体的な解決策は浮かばない。むしろ下手な事をして悪化させてしまう可能性もある。きっと俺じゃなくてこの身体の人格だったり、賢い転生者だったら上手くやれるのだろう。だが現実は変えようがなく、ここに存在してる俺がどうしようもなく当事者なんだ。だから間違っていても、一時凌ぎであったとしても俺は今やれることをやることにした。

 

 

 まずそのために決闘の最優秀者であるホルダーになる必要がある。理由としては俺への注目を集めるためと価値の追加だ。決闘はお互いが賭ける価値に事前に納得しなくてはならない。つまり相手にとって常に魅力的な存在でなくてはならないのだ。

 

 とはいえホルダーっていうのになるのは簡単だ。何せホルダーには二週間に一回は戦わなくてはいけないルールが存在する。なので適当な条件で申し込んでサクッと倒した。そもそも公平だのなんだの言ってるが、優秀なモビルスーツを用意して良い教育を受けた強いパイロットを乗せるだけだ。つまり金と技術力が全てだ。シビアだね。

 

 次に肝心なアーシアンとスペーシアンの問題だが……差別する奴を片っ端から決闘で倒して、その報酬として負けた相手は卒業までアーシアンや田舎出身者への差別的な言動の禁止を強制させる。といったものだ。当然こんなことを賭けさせているんだ、俺も敗北したら学校を辞めたくなるようなリスクを賭けている。

 とはいえ自分でも力に対して力で押さえつけるやり方はどうなんだとか思うが、俺の頭脳ではこれが精一杯だった。更に地球寮の寮長とも話し合って、何もしてこなくなった者たちへの報復をしないようにと頼み込んだ。

 

 俺は手始めにジェターク寮の中から改革するために、言っても反抗してくる先輩たちから決闘し始めた。先輩たちからはなんでそんなことをと言われたが、普通に見てて不快だからとしか言いようがなかった。前世では地球で過ごしていたから? 前世で弱かったから? 分からない。残念なことに言葉に出来るほど自分でも分かっていない。

 

 ただ彼らが内心でどう思ってようと自由だが、それを表に出したら駄目だと俺は思う。後は単純にそんなやつと一緒の会社で働きたくないと思っただけだ。それが終わり次第、次々に他の寮の奴に決闘を仕掛けていった。ラウダや俺をよく知っている者たちからは呆れられていたが。

 

 最初は個人戦をしていたのだが、あまりにも対戦数が多すぎる上にハイスピードで戦うからメカニックに負担をかけさせすぎた事に気付いたので、最終的に連戦や集団戦をずっとやっていた。あと結果のみが真実と前口上で言われている通り、不正が多い。そんなのもう企業とやってる事一緒じゃねぇかと代理戦争かなんかなのかとキレながら正々堂々勝っていった結果、少なくとも俺の知る範囲では問題は起きていないようだ。一年で三桁近くは戦っていた気がするからそうでなければ困るんだが。不本意ながら操縦技術が上がっていった。

 あとは関係ないが俺が戦うと自寮の男の声援が多いが、シャディクが戦うとアイドルばりに女の子に応援されるのが羨ましい。多数の女の子と付き合ってるのにこの人気って。

 

 

 そして学年が上がり俺たちが二年生へとなった時、ミオリネがこの学校に入学してきた。その際、理事長でありミオリネの父でもあるデリングが今までの決闘のルールに追加を行った。それが自分の娘をホルダーと婚約関係にさせるというものだった。

 彼女は「ベネリットグループの総裁の娘」という血統主義が強いグループ関係者からしてみれば、次の総裁の座へ近づけるという喉から手が出るほど欲しい重要な立ち位置にいる筈だ。単純にデリング本人の思惑は分からないが、実の娘をまるでトロフィーみたいに扱うのはあまり良い気持ちにはならない。

 

 それはそれとして今まで徹底的に倒したことで決闘へのやる気を折ったパイロット達も、この情報で何割かはやる気を出している様子。更に面倒なことに父さんからも絶対にホルダーを維持しろとまで言われてしまった。俺も恋愛結婚は出来ないと思っていたが、まさかこんなしょうもない形で暫定とは言え決められるとは思わなかった。

 

 俺にやれることは……ひとまず仲良くなるためにミオリネに挨拶でもしに行くか。

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