グエルなんだがミオリネ抱いた 作:鳥羽
あと戦闘シーンとかはどっかで書きます。
「悪いなシャディク、進級早々に」
「なに、頻繁にお前の決闘に付き合わされた先輩方よりはマシさ」
進級してもシャディクは相変わらず飄々とした態度だ。新入生も入り、メンツが変わった決闘委員会だがやることは変わらない。基本的に御三家のような有力者の子供か寮長などが入るため、今年は御三家が全員決闘委員会に入っている。
あ、そうだ。これからは決闘ごとに一応ミオリネにメッセージ送った方がいいな。彼女にとっては俺の決闘の結果で人生を左右することになるんだから。想像してみたんだが、もしも俺を負かした奴がとんでもない性格の悪い奴だったなら、正直彼女に申し訳ない気持ちになるぞ。そう思うとなんだか負けられない理由が増えた気がする。
因みに決闘は俺が勝った。そこから一週間経ったが、特に何かが変わることはなかった。俺は相変わらずホルダーで、ミオリネとは毎日話すようにしているが特に変わったことはない。
そしてとある日、俺は日課であるランニングをしていた。アスティカシア学園には様々な場所があるが、この森林に囲まれたエリアを通ることが多い。ここはなんとなくだがリラックスしやすい。
とはいえコースは日によって決めている為、最近は来ていなかったのだが、普段は誰とも出会わないこの場所で俺は予想外の人物に出会った。
「アンタ……こんなところで何やってんの?」
木々に囲まれたこの場所に、球体型のコンテナが二つくっついたようなモノの中にミオリネはいた。部屋の中は植物などが中途半端だが飾ってあるのが見える。そういや最近ミオリネ越しに見える理事長室も、ちょっとずつ改装されてた気がする。結構思った以上に好き放題してるな……。
「俺は日課のランニングだが……ミオリネこそ何をしてるんだ?」
「わたしが何してようとアンタには関係ないでしょ」
「関係はあるだろ、俺たち一応婚約者だぞ。ま、それ抜きにした俺個人としても単純に気になったんだよ」
言いたくないなら言わなくていい、と付け足した。誰にだって触れられたく無いことは存在する。ミオリネはこちらを見て少し逡巡した後、話すことを選択した。
「見ての通り植物を育てるのよ。まだ温室自体が完成してないけどね」
「へぇ良いな。もうちょっと近くでも見てもいいか?」
「……中に入ってこないなら勝手にしなさい」
「分かった。ここで見てる」
階段を登った先の温室の中。その場所が大事なんだと分かるほど強く拒絶するミオリネ。彼女は真剣そのもので特にある植物に関しては他の比ではなく、作業の一つ一つその全てが丁寧で美しいものだった。手伝おうかと聞いたが、これは断られるわけだ。
「その植物、もしかしてトマトか?」
「……驚いたわ。実も生ってないのによく分かったわね」
「あんまり知らないけどな。昔、画像越しでなら見たことがあってな」
この後は話しかけて集中力を乱しては悪いだろうと黙って眺めていた。そのまま会話のないまま数分が経った頃、背中を見せているミオリネの方から作業を止めて話しかけてきた。
「どうせ……なに地球の真似事なんてしてるんだって、そう思ってるんでしょ」
「馬鹿にしてねぇよ。ミオリネにとってそのトマトが本当に大事なのは俺にも伝わってる。それに、この学園にも安らげる場所があって良かったとも思ってる。というかそんなこと言う奴がいたら俺が決闘でぶっ飛ばしてやる」
彼女の境遇を考えるとそう言ったものが無いと辛いだろう。そもそも菜園に関してこの時代では珍しいとは思うだけだったが、言葉の意味をしっかり考えてみるとそれだけアーシアンとスペーシアンの溝は深いということだろう。
前世の俺なんて結婚して庭を持ったなら、植物を育ててみたいと思っていたのにな。世界はいつからこうなってしまったんだろうか。
「……そう。アンタはそういう奴なのね」
彼女がどういった心境なのかは分からない。俺の言葉は望んでいたものでは無いのかもしれない。作業をやめた彼女は驚いたような困ったような声音で呟いて、変わらずこちらを見ずに作業を再開した。まだ見ていたいと思うが、生憎と時間が迫ってきていた。
「悪い、そろそろ時間だ。あと言い忘れていたが部屋は余ってるからもし何かあれば、いや無くてもいつでもジェターク寮に住んで良いからな。また明日!」
次の日から俺は、ランニングの際に彼女の温室に寄る事にした。彼女の性格が攻撃的なのは、父や周りの人間と言ったものたちに道具だと思われている環境によるものだろう。だから俺としては少なくとも彼女にストレスを与えないような、彼女の色々な感情を引き出せる友として信頼関係を結びたい。
そのために俺はミオリネと交流を深めるべく、過去の体験から様々な手を尽くした。
「ミオリネ、一緒に筋トレしないか? どうやら宇宙では地球よりも筋力が落ちやすいという説があるらしくてな」
「興味ない」
「そうか、運動したくなったらいつでも言ってくれ。なんならジェターク寮に遊びに来てもいいからな」
「行くわけないでしょ」
ラウダやカミルたちと大量の汗を流した。
次の日、
「ミオリネ、一緒に踊らないか? 今はこのダンスが流行りらしいぞ!」
「嫌」
「ならこれはどうだ? 俺が子供(前世)の時に流行ったものでな」
「なんか古臭く無い?」
「……まじか」
精神的に少し来たことは内緒にしておく。
次の日、
「ミオリネ、一緒に歌わないか? どこでもカラオケが出来るマイクを買ってきたぞ!」
「なんでアンタと歌うと思ってんの?」
「植物に音楽を聴かせると良いって聞くし、ダンスよりハードル低いかなって」
「まずアンタとやるっていうハードルが高いのよ」
マイクはジェターク寮では喜ばれた。
次の日、
「ミオリネ、キャンプしないか? 今ならいい肉を使ったBBQも付いてくるぞ」
「するわけないでしょ。というかアンタ御三家の御曹司よね? キャンプなんてするの?」
「日々色々なものに囲まれているからこそ、こうして森に囲まれているひと時が魅力的なんだ……」
「アンタ……疲れてんじゃないの?」
代わりにジェターク寮と地球寮のみんなでBBQした。
次の日、
「ミオリネ、マジックを見てくれないか?」
「勝手にやれば?」
「……すまん、トランプを一枚選んでくれないか」
「はぁ……じゃあ、これ」
「よし、柄は覚えたか?」
「覚えたわ」
「じゃあ今から帽子からハトを出すぞ」
「は?」
本人は否定するだろうが、怒ると怖いのは父親譲りだと思う。
次の日、
「ミオリネ、一緒にゲームしないか? このゲーム対戦から協力プレイまで遊べるぞ」
「わたしが勝ったら帰ってくれる?」
「俺が勝ったらもう一回な」
「いいわ、後悔させてあげる」
「悪いが手加減はしないぞ」
何回か遊べた。あれはストレス発散によくゲームしてる人のプレイだ。
次の日、
「ミオリネ、ネタ切れだ。どうしたらいいと思う?」