グエルなんだがミオリネ抱いた   作:鳥羽

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クソ適当戦闘シーン許して・・・
この世界の今の個人戦オッズランクの順は一位グエル、二位シャディク、三位エラン、四、五位を彷徨いてるラウダです。後は決まってません。
ラウダは兄との模擬戦や兄に相応しい弟になろうとした結果です。



二年目⑤

 

 アスティカシア高等専門学園。

 その戦術試験区域の一つにてジェターク・ヘビー・マシーナリーの開発したモビルスーツであるディランザに乗って俺は戦っていた。

 

 ディランザはジェターク社の特色であるパワーに優れた重量級の汎用モビルスーツ。そしてそこの御曹司たる俺、グエル・ジェタークが乗るのは俺向けに性能強化などチューニングされ、寮のイメージカラーである赤(マゼンタ)に染められた専用機だ。

 

 因みに決闘では、学園の規定に基づいて約30パーセントの出力制限とコクピット周りに攻撃できないように設定されている。これは俺にとって非常にありがたい。一度死んだことのある俺からしてみれば、こういったことで事故であったとしても人を殺してしまうようなことは絶対避けたかった。

 なによりこういうルールが学園にちゃんと存在して、それを誰もが守っているのがとても良いことだと思う。俺たちは学生なんだから可能な限り人を殺さない努力する必要があるからな。

 

 

 敵機は何度か戦ったことのあるファリサ・ロボティクス製のモビルスーツ、アズラワン。移動しながら前腕部のビームバルカンを俺に向けて撃ってきている。

 

 俺は戦闘経験による予測とホバー推進による高速移動で、相手のビームバルカンを避けながら敵機に近づいていく。当然それだけではなく、こちらもビームライフルを放つ。

 アンテナのある頭部を含め様々な場所に向けて、相手の回避や防御の反応を見るために何発か間隔を空けて撃った後に、際どい場所にビームを撃つことで攻め入るタイミングを作る。

 その後間髪入れずに隙間を狙って撃ち右手の肘関節を破壊する。アズラワンはビームを弾く防御力の高い紫部分に注意すれば、ディランザと俺なら倒せる。

 

 相手が盾をプロテクターのように前面に装備して接近戦をしようとしてきたので、そのまま近づいて拳を避けてすれ違いざまにビームトーチで片足を落とす。アズラワンが体勢を崩したところで、ビームライフルで横から頭部ごとアンテナを撃ち抜いて決着はついた。

 

 俺はコックピットの中でヘルメットを脱いだ。これでバッテリー交換無しで六連戦目。今日はこれで終了、一週間以上決闘の予定はない。ホルダーの決闘も少なくなったものだ。周りはそこまで変わってないというのに。

 

「ふぅ……」

 

 

 

 ディランザはビームであれば何度か装甲で耐えることもできるが、その代わりに機動力が低い。連戦や団体戦、実戦であったら一機を倒せば終わりではない。いかに効率よく勝つかが重要となっていく戦いで、受けたら何があるか分からない可能性のある攻撃を俺は受けたくない。ジェターク社特有の傷ついても先に倒せれば良いという戦い方は、得意だが最後までとっておくべき戦法だと個人的に思う。

 

 

 そのため俺は正直、機動力やスピードに優れていると言われるペイル社のモビルスーツに乗りたいが……立場的にそれは口が裂けても言えない。そして現実的にディランザ含め重めの機体しかいない。

 

 だったらどうするか。それは幼い頃からの生身やシミュレーターの訓練に加え、この学園で多くの相手、様々な機種と戦っていく中で鍛えられた、俺自身の技術に戦闘の勘や反応速度で補うことだ。つまり機械の性能は変わらないが人間の能力は変えられると言うことだ。

 

 そういう結論になった一年の中盤あたり、いつものように決闘をしている最中だった。その日は団体戦で対戦相手の数を異様に多くしてしまった挙句、予想以上に練度の高い連携に十分に対応できなかった俺のせいでディランザは片腕を失い片足も負傷していた。遂には囲まれて銃口を向けられていた。

 

 学園に来てから無茶をして追い込まれかけたことはある。だけど初めて敗北を意識して、心臓の鼓動が痛いくらいに早まった。勝ちたいと、心の底から思った。この戦いに賭けたものを得るために。何より今までの全てを失わないために。限界を超えろ、全てに適応しろ。それが出来ないのなら……俺は何も前世と変わっちゃいない! 

 

 

 そこから、俺の中の何かが変わったのか今まで以上の力を発揮していった。複数の相手の動作を読んで予測し反応、今までの経験でそれをどう回避できるか高速思考、最後に勘を信じて積み上げてきた技術で正確に近距離からのビームライフルを避けることができ、そのまま次の動きに繋げてビームトーチで一機倒していた。その後もこの状態が続き、一度も被弾せずに全機を切り伏せた。

 

 結局のところ火事場の馬鹿力、というやつだったのかもしれない。だがそれで満足できるわけでもなく、一度出来たのだから当然いつでも出来るようになるまでひたすら自分を追い込んだ。そしてこの重厚なモビルスーツであっても、生徒が相手なら必要最低限の動きで躱わすことが出来るようになった。

 

 

 

 

 コクピットから降りてリフトで降下すると、ラウダやカミル達ジェターク寮や地球寮の面々が近寄ってきて多くの歓声が聞こえる。こういう応援みたいなものが次も勝とうと思える気力の一つになる。

 

「おめでとう兄さん。これで累計123勝だね」

 

「おう、ラウダもめちゃくちゃ頑張ってるし負けてられないからな!」

 

「今日も勝ったなグエル」

 

「カミル、お前たちのお陰さ! みんなも応援ありがとうな! お陰でいつも通り勝ってきたぜ」

 

 サムズアップして勝利の喜びをみんなに伝える。結局俺は操縦しか出来ないからな。前にメカニックの手伝いを多少してみたが大変なんてもんじゃない。あんなのを毎回するなんて凄すぎる。

 

「それにしても今日は結構気合入ってたんじゃないか?」

 

「まぁな、こいつとも後少しの付き合いになりそうだからな。せっかくなら箔をつけてやらなきゃな」

 

 

 俺は学園に入ってからの相棒、マゼンタ色のディランザを見上げた。

 予定はまだ決まっていないが、近いうちにジェターク・ヘビー・マシーナリーが第5世代実証機として開発を進めている、赤いモビルスーツ「ダリルバルデ」のテストパイロットになりそうだからだ。

 

 本当は来年ぐらいになる予定だったんだが、俺がホルダーとして三桁もディランザで戦ってきたことやラウダも個人戦オッズランクも四位になったこと。それを父さんがPRした結果、実戦用ツノ無し機体であるディランザ・ソルが結構好評になってそのお金で結構開発を進められたらしい。

 

 

 次の相棒となるダリルバルデは、ドローン兵器のモビルスーツへの搭載と以前から父の会社が進めている意思拡張AIを合わせた次世代機となる予定だ。ただジェターク社の自動操縦AIはギリギリ実戦運用できるレベルだからなぁ。

 

 実験として戦ったことあるけど普通にブラフに引っかかったりして弱いんだよなぁ。よく分からんが学習不足なんじゃないか? なのでドローンを上手く扱ってくれるならそれで十分というのが今の本心だ。

 というか機動性は良くなってるらしいのだが、ネックなのは射撃兵装がしょぼくなるらしいことだ。ディランザより射撃弱いとか俺はまたジェターク社縛りで戦わされるのか、個人的には全距離対応の方が好きなんだけどな。まぁおもちゃじゃないから仕方ないか。

 

 

 しかし濃密な一年を過ごしたディランザとも、もうすぐ別れとなると何とも言えない気持ちになる。

 最初見た時、正直に言うとディランザだけアンテナがデカくね? と思ったし、この羽飾りに関してはまだ邪魔になってないから一応付けたままではいるが本当に意味がないとしか思えなかった。父さんは勝った時に見栄えがいいとか言ってるが、むしろ負けて角が折れて羽が舞った時の方が映えるのでは? とも思ったこともある。だって負けた機体の上から羽が落ちてくんだぜ、どのポーズでも似合いすぎるだろ。

 

 

 

 決闘が終わり次第、周りが解散していく。

 最初は決闘ごとに祝勝会のようなものを開いていたが、戦う数が多すぎて流石に大変だから10回ごとみたいなキリのいい数で開くことにした。100勝した時なんかみんな授業放り出して一日中パーティーしてたからな。あれは今思い出しても楽しかったなぁ。歴史に残るぞなんて大袈裟に言う奴もいたがそれくらいみんなテンションが上がっていた。

 なんて振り返っていたらなんと、珍しいことにミオリネからメッセージが届いた。確認してみるか。

 

 

『放課後、時間空いてる?』

 

『空いてるけどどうしたんだ?』

 

『わたしの部屋に来れる?』

 

『分かった。放課後すぐ行くわ』

 

 ラウダに伝えて理事長室に向かうと、ロックされてないみたいで普通に開いた。2階から見えるミオリネが来なさいとばかりに手で引き寄せるようにジェスチャーしてくるので、階段を登ってみる。そのまま座りなさいと言われたので普通に座ってみたんだが、え、何なんだ今日は? 

 

 

 内心で驚いている俺に気付かないミオリネが、テーブルに置いたのは苺のショートケーキ二つだった。それも結構おいしそうなやつだ。その瞬間、俺は先程までの高揚感を忘れて全身に大量の冷や汗をかいた。もしかして俺はとんでもないことをしてしまったのでは? 

 

「っすぅ……もしかしてミオリネって今日誕生日だったか?」

 

「違うわよっ! アンタが決闘で勝ったから! 婚約者として今までの分も含めてお祝いしてあげようと思っただけよ! というか婚約者なのにわたしの誕生日知らないの⁉︎」

 

「本当にすまん、知らない! 正直に言うとミオリネはあまり自分のこと喋らないからな、あんまり聞かないほうがいいと思ったんだ。申し訳ない」

 

 むすっとした顔で机をバンバン叩いて怒りを見せるミオリネ。うん、急に何でそんなことになったのかは分からないが、俺も悪いからここは素直に謝ろう。

 

「まったく……別にアンタだったら良いわよ……バカ」

 

「え?  今なんて」

 

「っ! 別に何でもないわよっ!」

 

「俺だったら良いなんて嬉しい言葉が聞こえたんだが……これは幻聴か?」

 

「張っ倒すわよアンタ! 何で聞いてんのよ! というかわたしのことなんて噂で色々知ってるんじゃないの?」

 

「いや噂は所詮噂だしな。それに本当だったとしても何をしたかは分かっても、その時のミオリネの気持ちまでは分からないだろ? やっぱりそういうとこも大事だからな」

 

「くぅ……もう分かったから! さっさと食べて温室に行くわよ!」

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