Infinite Stratos ~Pupil to Beni from Ao~《瞳は蒼から紅へ》   作:ぬっく~

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氷の女王

氷結呪圏内なら上級以下の氷属性魔法を無詠唱無制限に打つ事が可能


30話 簪の実力

ざぁ…………。ざぁぁん…………。

 

(ここは…………?)

 

遠くから聞こえる波の音、俺は何処か解らない砂浜の上を歩いていた。

歩くたびに、さく、さく、と白砂が澄んだ音を立てる。

足裏に直接感じる砂の感触と熱気。海から届く塩の匂いに波の音。それに心地よい涼風と、照りつける太陽の光。

 

(今は…………夏…………なのか?)

 

ここはどこで、今がいつなのかが解らない。

エレンの空間とは別の世界だと解るぐらいだった。

俺は何故か制服を着ていて、ズボンの裾を折り返した状態で裸足のまま砂浜を歩いていた。手には、いつ脱いだ解らない靴があった。

 

「ーー。ーー♪~♪」

 

歌声が聞こえた。

とても綺麗で元気な、歌声が。

俺は何故か無性に気になって、声の方へと歩きだす。

 

「ラ、ラ~♪ラララ♪」

 

そこには少女がいた。

波打ちの際、僅かにつま先濡らしながら、その子は踊るように歌い、謡うように踊った。

そのたびに揺るれる白い髪の少女。輝き、眩いほどの白色。

それと同じワンピースが風に撫でられ時よりふわりと膨らんでは舞った。

 

(何だろう…………)

 

俺は何故か声をかけようとは思わず、近くにあった流木に腰を下ろす。その木は随分前に打ち上げられたのか、樹皮は剥げ落ち、真っ白になっていた。

白いいびつなソファに座って、俺は少女を見つめていた。

時折聞こえる波の音と吹く風は心地よく、俺はただぼんやりと目の前の光景を眺めていた。

 

 

 

 

「……………………」

 

海上200mに静止していた『銀の福音』は、まるで胎児のような格好でうずくまっていた。

膝を抱くに丸めた体を、守るように頭部から伸びる翼が包んでいた。

ーー?

不意に、福音が顔を上げた。

次の瞬間、超音速で無数の氷の槍が飛来して来た。

 

「『氷槍弾雨(ヤクラーティオー・グランディニス)』」

 

5km離れた場所には打鉄弐式と氷の女王を纏った簪がいた。

福音が反撃に移るより早く次のを打ち出した。

 

「『魔法の射手(サギタ・マギカ) 氷の1001矢(セリエス・グラキアーリス)』」

 

(敵機接近まで…………4000…………3000ーーーくっ!予想よりも速い!)

 

魔法の射手を全て避け、あっという間に距離は1000mを切っていた。

 

「なめないで!氷圏内は全て私の支配域よ!」

 

簪の周囲の海が更に氷始める。

 

「『凍りつく氷柩(ゲリドゥスカプルス)』」

 

福音を氷の柱に閉じ込めるが…………

いとも簡単に突破された。

 

「ちっ!」

 

起動力に特化した福音は氷の柱を突破するなり、さらに急加速を行い、簪へと右手を伸ばす。

 

「『こおる大地(クリュスタリザティオー・テルストリス)』」

 

凍った海から無数の氷柱が現れ福音を近づけない。

 

「『氷爆(ニウィス・カースス)』」

 

福音の前で氷の大爆発が起こる。

 

簪の一方的な攻撃に福音はじわじわと消耗をはじめる。

 

『…………優先順位を変更。現空域からの離脱を最優先に』

 

全方向にエネルギー弾を放つ福音は、全てのスラスターを使って強行突破を計る。

 

「させない!

闇の吹雪(ニウィス・テンペスタース・オブスクランス)×16(・セーデキム)』」

 

離脱する福音を後ろから黒い竜巻16本が一斉に降り注ぐ。全てを受けた福音はそのまま海に沈んだ。

 

それと同時に氷の女王が強制解除された。

 

「や、やったの?」

 

だが、あれだけの攻撃を受けてなお、福音は機能停止させることはなかった。

 

突如、海面が強烈な光の珠によって吹き飛んだ。

 

「!?」

 

球状に蒸発した海は、時間が止まっているかのようなへこんだままだった。その中心では、青い雷を纏った『銀の福音』が自らを抱くかのようにうずくまっていた。

 

「まさか…………『第二形態移行(セカンド・シフト)』…………」

 

 

第二ラウンドの始まりだった。

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