Infinite Stratos ~Pupil to Beni from Ao~《瞳は蒼から紅へ》   作:ぬっく~

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31話 第二形態の実力

福音は顔を簪に向ける。

そこには無機質のバイザーに覆われた顔から何の表情も読み取れなかったが、そこに確かな敵意を感じた。

 

「くっ、『解放・固定!千年氷華!!掌握!!』」

 

もう一度、氷の女王を使おうとした瞬間…………

 

 

福音からの正拳突きをもろに受けた。

 

 

(え?……)

 

あまりの速さに警鐘すら間に合わなかった。

そして、頭部からゆっくりと、蝶がサナギから孵るかのようにエネルギーの翼が生えた。

 

「それでも…………私は…!!『魔法の射手 氷の…………』」

 

簪は魔法の射手を福音の顔面へと向かって放とうとした瞬間。

 

ドンッ!!

 

胸部から、腹部から、背部から、装甲がまるで卵の殻がひび割れ、小型のエネルギーの翼が生えた。それによるエネルギー弾の迎撃が魔法の射手を吹き飛ばし、簪の体も吹き飛ばした。

 

(そんなっ…………)

 

威勢を立て直しを計ろうにも、その眼前に福音が迫る。『瞬時加速』ーーそれも、両手両足の同時着火による爆発加速だった。

 

「くっ?『断罪の剣(エンシス・エクセクエンス)』」

 

光の剣を福音に向かって降り下ろすが、その腕の部分を真横に蹴られてしまう。

そして、次の瞬間には両翼から一斉射撃を受け、反撃らしい反撃も出来ず、簪は近くの岩場に叩きつけられた。

 

(ごめんなさい。一夏…………)

 

後方に待機していた専用機持ちは危険と判断し、福音に攻撃に開始したが、ものの数分で撃墜されてしまった。

 

福音は簪の前に降り立ち。

 

『危険度Sランク。目標最優先に排除』

 

福音は止めを刺そうと右手を振りかざした。

 

 

 

 

さざ波を聞きながら女の子を眺め続けていた。

その歌、その踊りは、何故か俺を懐かしい気持ちにさせる。

 

(…………あれ?)

 

ふと気がつくと少女の歌は終わっていた。

踊りをやめ、じぃっと空を見つめる。

俺は不思議に思い、座っていた木から離れ少女の下へと向かう。

波打ち際までやって来た俺を、涼しい水の調べが濡らす。

 

「どうかしたのか?」

 

声をかけたが、少女はじぃっと空を見つめたまま動かない。

俺もなんとなく空を眺めると、少女の声が耳に届いた。

 

「よんでいる…………行かなきゃ」

 

「え?」

 

視線を戻すが、そこには少女はいなかった。

ーーあれ?

左右わ見るが、誰もいなかった。

俺は仕方なく木のソファに戻ろうと体を反転させたら、背中に声を投げかけられた。

 

「あなたは、力を欲しますか…………?」

 

「え…………」

 

振り向くと、白い翼を背中に生やした黒髪の中学生ぐらいの少女が立っていた。

 

「あなたは、力を欲しますか…………?何のために…………」

 

「ん?随分と難しい事を訊くなぁ」

 

波だけが俺と少女の間にある。

 

「…………そうだな。友達をーーいや、仲間を守るためかな」

 

「仲間をですか?」

 

「ああ、世の中って結構色々と戦わないといけないだろ?単純な腕力だけでなく、色んなことで」

 

俺は妙な饒舌に喋っていた。

 

「そう言う時に、できるだけ仲間を助けたい。この世界で共に戦うーーー仲間を」

 

その時、少女は静かに笑った。

 

「だったら、行かなきゃね」

 

「えっ?」

 

また後ろから声をかけられた。

振り向くと、白いワンピースの少女が立っていた。

 

「ほら、ね?」

 

手を取られ、にこりと微笑みかけられた。

 

「ああ」

 

すると、変化が訪れた。

ーー空が、世界が、眩いほどの輝きを放った。

その真っ白な光に抱かれ、目の前の光景が徐々に遠くほやける。

夢が終わる、そんな感じだった。

 

 

 

 

福音は簪に向かって右手を振りかざすが…………

 

 

簪に届くことはなかった。

 

 

目を閉じていた簪はそっと開けるとそこにいたのは一夏だった。

 

「一夏…………?」

 

「良く頑張ったな。簪」

 

一夏は福音の右手に掴み簪への攻撃を止めていた。

 

「さあ、始めようか。福音!!」

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