Infinite Stratos ~Pupil to Beni from Ao~《瞳は蒼から紅へ》   作:ぬっく~

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37話 夏休み

八月、臨海学校が終わりようやく夏休みに入った。

生徒たちはほぼ半分が帰省している為、ほとんどいない。

 

 

 

 

「……………………」

 

簪はとある表札を見つめる。

『織斑』と書かれたそれを、簪は確認して、インターホンを押す。

チャイムは鳴ったが、出てこない。

 

「一夏くん、外に出てるのかな?」

 

少ししてから、彼が現れた。

 

「あれ、簪。どうした」

 

「やっと帰ってきた」

 

そこには、コンビニ袋を下げた一夏が立っていた。

 

「まさか、ずっと待っていた?」

 

「大丈夫、今来た所だから」

 

「そっか。じゃあ、上がって行くか?」

 

「うん」

 

一夏は家の鍵を開け、一夏の家にあがった。

 

(ここが、一夏くんの家かぁ…………)

 

簪は、男の家に上がったこと自体初めてだった。

「しかし、今日も暑いなー。飲み物を出してくるから、座って待っててくれ」

 

「うん、ありがとう」

 

簪はソファーにかけて、リビングの中を見渡す。

 

(エレンさんが言ってたとおりだなぁ~)

 

簪はあれ以降、エレンとよく話している。

ただし、表に出るのはエネルギーの消費量が半端ないので、簪の頭の中で話している。

 

「ほい、麦茶」

 

どきぃっ!?

 

「今朝作ったヤツだからちょっと薄いかもしれないけど、そこは許してくれ」

 

「う、うんっ。ありがとうっ」

 

突然呼ばれたので簪は、驚いてしまった。

 

「(あ、そうだ)一夏くん、エレンさんの遺品ってどこにあるか知っている?」

 

「エレンの遺品?俺の部屋にあるが…………」

 

ピンポーン。

 

「ん?宅配便か?ちょっと出てくるわ」

 

「うん」

 

一夏は席を立って廊下に消えてから、簪はあることを考えていた。

 

(仮契約(パクティオー)カードを作ろうかな…………)

 

 

 

 

さかのぼること10分前ーー。

 

「この辺りの筈ですが…………」

 

ナビ着きの携帯でセシリアは、ある表札を探していた。

 

「ん?」

 

見覚えのある人影をセシリアは見つけた。

 

「シャルロットさん?」

 

「セシリア?」

 

偶然にも同じクラスメイトと出くわした。

丁度その時、一夏が家から出てきた。

 

「ん?セシリアにシャルロットじゃないか」

 

「ど、どうも。ご機嫌はいかがですかしら、一夏さん」

 

「来ちゃった♪」

 

「そっか。上がって行くか?」

 

「ええ、ぜひ!」

 

「お邪魔します」

 

セシリアとシャルロットは出されたスリッパを履いて、リビングへと向かう。

 

「「え?」」

 

ばったりと簪と鉢合わせをするセシリアとシャルロット。

セシリアとシャルロットは状況がよく飲み込めずにいた。

 

「今、麦茶を出すから、待っててくれ」

 

「え、ええ…………」

 

座って待っててくれを付け加えて、セシリアとシャルロットは簪の前に座る。

 

「「……………………」」

 

「……………………」

 

話題は無いわけではないが、自分からは切り出せずに沈黙を続ける。

 

「き、奇遇ですね、簪さん」

 

「あなたちが来るのは、予想通りでしたが?」

 

簪にはセシリアやシャルロットが来ることがわかっていたらしい。

 

「「「……………………」」」

 

そして、また沈黙する。

 

(ど、どうして簪さんがここに…………ハッ!?まさか)

 

(な、何で簪が此処にいるの…………まさか)

 

それぞれタイプの違う金髪少女が並んで座る様はなかなか絵になっていた。

 

「あなたちが思っているほどの事ではないわ」

 

((読まれた…………!?))

 

簪の隣には二冊の日記があった。

 

いどのえにっき(ディアーリウム・エーユス)

 

(エレンさんから借りてといって良かった)

 

「待たせたな」

 

一夏が麦茶とコップを2つ持ってきた。

セシリアとシャルロットの前に布のコースターを敷きながら、ふたりそれぞれに麦茶を配る。

そして、簪の隣に座る。

 

「さて、これからどうする?うちってあんまり遊ぶ物ないし…………」

 

「い、いえ!外は暑いですし、せっかくですからここで」

 

「そ、それに、できたら一夏の部屋をみたいなぁ…………なんて」

 

「俺の部屋?まあ、いいけど、面白いものなんかないぞ?」

 

「そんなことはありませんわ!」

 

「そうだよ!」

 

「そ、そうか…………」

 

妙に強い語調に押され、一夏はすこしたじろぐ。

 

「俺の部屋は二階あるからな」

 

その言葉に、一夏の後ろについてくる三人。

 

「ついたぞ。たなみに言っとくとあっちが千冬姉の部屋だから入るなよ」

 

勝手に入ったら絶対に殺されてしまうだろう。

 

「一夏くん。どうしたの?」

 

「いや、ちょとな」

 

一夏はそのまま部屋のドアを開ける。

 

「そんなに広い部屋じゃないが、どうぞ」

 

セシリアとシャルロットは部屋の中に足を踏み入れる。

 

「エレンの遺品だったな…………何を探してんだ?」

 

「本を」

 

一夏は押し入れから本が入った段ボールを取り出す。

箱にはエレンと書かれていた。

 

「これがそうだが…………」

 

丁度その時、電子音がなる。

 

ピンポーン。

 

「ん?誰か来たのか。ちょっと出てくる」

 

それを言い残して一夏は一階へと下りる。

 

「「……………………」」

 

「これじゃない…………」

 

部屋に残されたセシリアとシャルロットは部屋を見つめながら一向に動かない。

 

(これが一夏さんの部屋…………)

 

(寮とはやっぱり違うな…………)

 

「あった…………」

 

簪は探していた物が見つかり、セシリアとシャルロットが固まっていると、階段を上がる音が聞こえた。

 

「セシリア、シャルロット、一階に来てくれ」

 

「「えっ?」」

 

そんなにたっていなかった為に、セシリアとシャルロットは驚いた。

 

「一夏、何やってのよ。…………あ」

 

階段を駆け上がる音の後にドアを開けたのは鈴だった。

 

「何やってのよ、あんたたち!」

 

鈴の声は一階まで届いていて他の客も二階に呼んでしまった。

 

「どうした!」

 

「敵でもいたか?」

 

やって来たのは、箒とラウラだった。

 

 

 

 

「しかさ、来るなら連絡の一つ入れてくれよ」

 

大人数になってしまった為、昼飯はざるそばになった。

 

「ところで午後はどうするんだ?全員、室内がいいんだよな?」

 

こくん、と全員うなずく。

 

 

 

 

「それで、この後はどうするか。」

 

全員、食べ終えテーブルにくつろいでいた。

 

「私はこの本を読んでいる」

 

簪は『世界図絵(オルビス・センスアリウム・ピクトゥス)』を持っていた。

 

「そんじゃ、あれを見よ!」

 

鈴はテレビ下を漁る。

 

「鈴、まさかと思うが…………」

 

嫌な予感がした。

 

「中学の学園祭のライブ動画」

 

やっぱり…………。

 

「一夏さんの中学の学園祭ですか?」

 

「そう、えーと…………これ、これ」

 

鈴はあるシーンを探していた。

 

『では、次はGirls Dead Monster(ガールズ・デッド・モンスター)の皆さんです』

 

「ガールズ・デッド・モンスター?」

 

「ガールズ・デッド・モンスター…………通称、ガルデモ。四人の女子バンド」

 

『さて、派手にやろうぜ!曲はAlchemy』

 

そして、曲が始まった。

 

「すごです…………」

 

「うまいな…………」

 

「これほどとは…………」

 

セシリア、シャルロット、ラウラはガルデモの曲を聞く。

 

「真ん中で歌いながら引いているのがエレンでね」

 

「この人がエレンさんですか!?」

 

驚く四人。

まあ、そうだろう。

エレンに面識があるのが俺と鈴、簪だけなのだから。

 

「右に私で左に一夏…………」

 

爆弾を落とす鈴。

 

「え?これ、一夏さんなんですか?」

 

「女子バンドって言ってたよね」

 

「女装」

 

エレンに無理やり女装されたことを話す鈴。

そんで、その年の優勝者はガルデモで終わった。

 

そして時刻は4時過ぎになったところで、ある人物が帰ってきた。

 

「なんだ、やけに賑やかだと思ったらお前たちか」

 

織斑千冬が帰ってきたのだ。

 

「お帰り、千冬姉」

 

「ああ、ただいま」

 

一夏は立ち上がって、千冬から荷物を受け取る。

 

「随分、懐かしいのを見ているな」

 

テレビから流れる曲に反応した千冬。

 

「エレンってあんまり写真とかに写るの好きじゃなかったから、これぐらいしか残ってないからね」

 

エレンの紹介を含めて鈴は見せていたようだ。

 

「一夏!この後、仕事があるから行ってくる」

 

「そうなのか。秋物とか千冬姉の部屋にバッグで置いといてあるから、忘れないでくれよ」

 

「わかった」

 

そう言って、二階に向かう千冬。

 

「…………相変わらず千冬さんにべったりね」

 

「ん?そうか?」

 

簪を除く女子たちはため息を吐く。

 

「一夏。今日は帰れないから、後は好きにしろ。ただし、泊めるなよ」

 

そのままリビングを出て行く。

 

「緊急の仕事かな?」

 

いってらっしゃいを言う隙もなく行ってしまった。

 

「そういや皆は何時までいるんだ?夜までいるんなら、夕食の食材を買ってこないといけないし」

 

そんなこんなで話がまとまり、5時にスーパーに行くことになり、少し雑談に花を咲かせ、全員で食べるということに、暖かい気持ちを抱いて、夏の夜は過ぎていった。

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