Infinite Stratos ~Pupil to Beni from Ao~《瞳は蒼から紅へ》   作:ぬっく~

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42話 簪の思い

放課後、第三アリーナには二人の少女が向き合っていた。

 

「か、簪ちゃん」

 

「…………」

 

簪は何も答えない。

そして、試合のカウントダウンが始まった。

 

3…………2…………1…………試合開始

 

「くっ」

 

簪はブザーが鳴ると同時に瞬動術で近づいた。

 

(瞬間加速(イグニッション・ブースト)!?いくらなんでも速すぎるわ)

 

(シールドエネルギーの消費量が少ない…………)

 

瞬間加速(イグニッション・ブースト)はシールドエネルギーを消費するが、瞬動術は一切消費することはなく使用できる。

 

(でも、簪ちゃんのISには武器が一つも搭載されていない…………近接戦闘で対応すれば…………)

 

この後、楯無の予想を大きく上回った。

 

「(上!…………!?)くっ」

 

楯無は上をガードしようとした瞬間、簪は体制を低くした。

 

硬開門(こうかいもん)!!!』

 

楯無は一瞬、体制を崩し、簪はそこを見過ごさなかった。

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル」

 

簪は呪文を唱え始めた。

 

「影の地統ぶる者、スカサハの、我が手に授けん、三十の棘もつ霊しき槍を『雷の投擲』」

 

簪は雷の槍を造り出す。

 

「ちょ!?(何よあれは!?)」

 

ミステリアス・レディに表示されたデータには打鉄弐式は武器は一つも搭載していないと言われていたのに簪は何処から出したのか、雷の槍が出現した。

 

(どういうことよ…………)

 

楯無は一瞬の出来事に目を奪われ、回避行動が遅れた。

 

「くっ(ナノマシーンが消滅した!?)」

 

楯無は理解した。

あの槍は雷そのものだと言うことに。

 

(これ以上受けたらきついわね…………)

 

楯無はランスを構えた。

 

 

 

 

管制室でもパニックが起こっていた。

 

「あれは一体…………」

 

「何ですかあれは!?」

 

「雷の槍?」

 

「すごい…………」

 

「あれほどの物を一体何処に隠していたんだ…………」

 

箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラは雷の槍が出現すると同時に驚きが隠せなかった。

 

「織斑、アレは一体何だ」

 

織斑先生ですら、驚く内容だった。

 

「魔法ですが?」

 

俺の言ったことに、さらに悪化した。

 

「魔法だと!?」

 

「一夏、冗談も大概に…………」

 

「一夏さん、ご冗談を…………」

 

「そうよ!いくらなんでも…………」

 

「そんな夢物語が存在するわけ…………」

 

「?」

 

ラウラを除く全員が信じることが出来なかった。

 

「残念ながら魔法は実在する」

 

普通なら、頭のおかしい奴と言われてもおかしくない。

だが、現実に起こってしまった為に信じるしかなかった。

 

 

 

 

アリーナでは楯無は絶対絶命だった。

 

(一体どうやって攻略すればいいのよ)

 

楯無は簪の攻撃を可能限り回避して、反撃のチャンスをうかがっていた。

 

「…………」

 

攻撃が外れる度に簪の腕の翼の痣が大きくなってくる。

 

(私は勝ちたい!)

 

簪の思いに反応するかのように打鉄弐式と闇の魔法は一気にピークにたした。

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル」

 

先ほどとは比べものにならない位の魔力が溢れだした。

 

 

 

 

「簪!?まさか、あれを使うつもりか!!」

 

俺は簪から出る魔力を感知して、怒鳴ってしまった。

 

「織斑先生!大変です!!」

 

「どうした、山田先生」

 

どうやら、山田先生も気づいたようだ。

 

「簪さんを中心に高エネルギー反応です!」

 

織斑先生はすぐさま、モニターを確認すると…………

簪を中心に高エネルギーの渦が出ていた。

 

「山田先生、すぐさま観客席にいる生徒の避難を!」

 

「あ、はい!」

 

俺は山田先生に避難勧告を指示した。

 

「織斑、アレは一体何だ…………」

 

「雷系最強魔法…………『千の雷』」

 

 

 

 

「契約に従い、我に従え、高殿の王」

 

簪が呪文を唱えると同時にミステリアス・レディから警告アラームが鳴りまくる。

 

(あれを受けたら…………)

 

楯無はランスを構え、簪に向かって瞬間加速するが………… あっさりかわされた。

 

「来れ、巨神を滅ぼす燃え立つ雷霆」

 

簪はランスの軌道を反らし、紙一重で避ける。

 

(やばい!)

 

高エネルギーは呪文を唱える度に大きくなっていく。

 

「百重千重と重なりて、走れよ稲妻」

 

簪は楯無を蹴り飛ばし距離を取る。

 

「『千の雷』」

 

アリーナに巨大な雷が落ちた。

 

 

 

 

管制室では千の雷の衝撃で機材がほとんどやられてしまった。

 

「大丈夫か…………」

 

生徒の避難はギリギリだが間に合い、死者は出なかった。

 

「今のが…………」

 

「なんと言う…………」

 

「もう、人間止めているでしょ…………」

 

「人間兵器…………」

 

「うきゅ~」

 

千の雷の衝撃で多少負傷したものの、全員が生きていた。

 

(簪…………お前)

 

俺は万華鏡写輪眼にして、アリーナを見る。

アリーナには二人の気があった。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

楯無は満身相違だった。

かえて、簪は無傷で上から見上げていた。

 

(もう、ナノマシーンは残っていない…………シールドエネルギーも50を切った…………機体損傷レベルB…………)

 

楯無は簪に勝つ方法は残されていなかった。

 

「お姉ちゃん…………」

 

簪は地上に降り立つと話しかけた。

 

「私は、くやしかった!羨ましかった!全てが!何もかも!だから、私は強くなりたかった!どんな手段を使ってでも勝ちたかった!例え!この身に呪いを受けてでも!」

 

簪の両腕から巨大な白い翼が姿を表した。

 

「…………」

 

楯無は何も言えなかった。

 

「だから…………私は…………」

 

「簪ちゃん…………」

 

楯無はわかってしまった…………

もう、簪は子供ではない。

もう、一人前であることを…………

 

「来なさい」

 

楯無は最後の力を振り絞って、ランスを構える。

 

「うん…………」

 

簪も構える。

 

「はぁぁぁ!!!」

 

楯無は残りのシールドエネルギーを使って簪に突っ込んだ。

 

「『轟き渡る雷の神槍』」

 

簪も負けず、雷の槍を造り出す。

 

そして、二つの槍はぶつかりあった。

 

 

 

 

「で、アリーナを完全破壊してどうする…………このバカ姉妹」

 

アリーナは跡形もなく破壊され、瓦礫の山が残っていた。

 

「「あははは…………」」

 

「たく、帰ったら、反省文とか色々とやってもらうぞ」

 

「「はい…………」」

 

ともあれ、史上最強の姉妹喧嘩はこうして終わった。

 

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