Infinite Stratos ~Pupil to Beni from Ao~《瞳は蒼から紅へ》   作:ぬっく~

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55話 襲撃者

 

 

今日は9月27日、キャノンボール・ファスト当日になった。

会場は満席で、花火が空に上がっていた。

キャノンボール・ファストのプログラムは、最初に二年、次に一年の専用機持ち、そして一年の訓練機。

最後に三年のエキシビション・レースが行われる。

俺はあんまり油を売っていても仕方ないので、ピットで準備を始めた。

 

 

 

 

盛大な観声はピットまで聞こえてくる。

今は二年のレースが行われていた。

 

「みなさーん、準備は大丈夫ですかー?」

 

山田先生の若干のんびりとした声が響いた。

全員、マーカー誘導に従ってスタートラインに移動をした。

 

『これより、一年生の専用機持ち組を開催します!』

 

俺たちは各自位置に付いた。

満席の観客が見守る中、カウントダウンが始まった。

3……2……1……GO!!

 

『『縮地无彊(しゅくちむきょう)!!』』

 

一夏と簪はスタートと同時に超長距離瞬動術で先頭に立つ。

その後にセシリアが追いかけてくる。

あっという間に第一コーナを過ぎ、簪と一夏は最後尾に追いつき始めた。

 

「ちょっ!!あんた達、一体何km出しているのよ!!」

 

簪と一夏はカーブに入る瞬間、虚空瞬動(こくうしゅんどう)を繰り返して飛んでいる為、差が全く開かなかった。

カーブを抜け、一気に加速を繰り返していた。

 

「お先にな」

 

あっという間に、一周差をつけてさらに加速する。

白熱するバトルレースの中、二週目に入った時だった。

 

「…………」

 

突如、上空から飛来した機体がレースを妨害した。

 

「!?」

 

「あれは……サイレント・ゼフィルスだと!!」

 

突然の襲撃者はにやりと口を歪める。

 

 

 

 

突然の事態に大会主催者側もどう対応していいのかわからず、パニックになっていた。

 

「織斑マドカ!!」

 

「その眼はエレン姉さんの物だ!!返してもらうぞ!!織斑一夏!!」

 

お互い、ブレードを構える。

 

「「『神鳴流奥義 斬岩剣 弐の太刀!!』」」

 

お互いに同じ技を出し、相殺する。

隙を出せば、すぐにやられてしまう位に高速戦闘が始まった。

 

 

 

 

「流石はマドカさんですね」

 

アリーナの屋根の上ではクロエがマドカの戦闘を観戦していた。

 

「しかし、他の人たちが残念です」

 

つまらなさそうにため息を漏らすクロエに背中から、声をかけられた。

 

「あら、イベントに参加しといて、それはひどいんじゃない?」

 

クロエは振り向きもしなかった。

何故なら、その声の主が分かっていたからだ。

更識楯無、IS学園生徒会長にして、自由国籍を持つロシア代表の天才。

 

「初めましてでしたね」

 

「そうね」

 

「では、名乗らせてもらいましょう」

 

クロエは振り向く。

 

「クロエ。クロエ・クロニクルと申します」

 

「クロエちゃん、あんたたちの狙いは何かしら?」

 

「言うと思いますか?」

 

「そう。なら、無理矢理にでも聞き出させてもらうわ」

 

楯無はランスを呼び出す。

四連装ガトリング・ガンを内蔵しているそれは、展開するなり一斉に火を噴いた。

 

「…………」

 

完全にクロエを捉えた楯無だったが、その顔に余裕の色はなかった。

クロエの後ろから、魔物の腕らしき物が複数生え、クロエを守る。

 

「やめましょう?」

 

「…………」

 

「今のあなたでは、突破すらできないです。わかっているはずです」

 

「確かに、勝てないから、倒すことができないから、戦わない。それはある意味、賢い選択かもしれない…………でも!」

 

楯無はポケットから一枚のカードを取り出す。

 

「私はIS学園生徒会長、更識楯無。敗北の二文字は…………ない!!」

 

来れ!(アデアット)

 

(アーティファクト・カード!)

 

クロエは楯無が仮契約を使ったことに驚く。

 

アーティファクト『水帝の娘』

 

楯無の周りにいくつもの水の塊が浮かんでいた。

 

「なるほど。それが、あなたのアーティファクトですか」

 

水の塊はクロエの攻撃をすり抜ける。

 

「!?」

 

水の塊は目の前に来ると、大爆発を起こした。

黒煙が立ち込める中、楯無はハイパーセンサーで無傷のクロエを確認する。

 

「アーティファクトで出した水の中に元からあったナノマシーン入りの水を混ぜてくるとは、いい考えですが……」

 

クロエは先ほどとは違う服装になっていた。

 

「その程度の攻撃では私の多重高密度魔法障壁を突破するのは不可能です」

 

「くっ…………」

 

「ですが、どうやら時間なのでここまです」

 

クロエは一枚の札を取り出す。

 

「では、またどこかでおいしましょう」

 

クロエはそのまま、何処かに転送する。

 

「転移魔法符……これで二回連続で逃がしちゃったな…………」

 

普通の人間なら、勝つことは可能だが、相手が魔法を使うとなると未熟な今の楯無では無理があった。

 

(まだまだ、だめね………)

 

本当に悔しそうにしている楯無がそこにいた。

 

 

 

 

「うおおお!!!」

 

「はあああ!!!」

 

お互いに攻撃を止めず、機体が悲鳴を上げていた。

白式はシールドエネルギーがほとんど残っておらず、限界だった。

 

「『神鳴流奥義 斬岩剣!!』」

 

マドカは神鳴流を放つ。

 

「これで最後だぁぁぁ!!『神鳴流最終奥義 真・雷光剣!!』」

 

一夏は最後のエネルギーを使って神鳴流を放った。

 

「やったか…………」

 

真・雷光剣は手応えはあった…………だが。

 

「!?」

 

マドカの前に渦巻の面をした者がいた。

 

「邪魔をするな!マダラ」

 

マダラと呼ばれる者はウィンドを提示する。

 

「撤退だと……ちっ!わかったよ」

 

マダラはマドカの肩を掴むと何かに吸い込まれて行った。

 

「待ちさい!」

 

神羅天征(しんらてんせい)

 

簪はマダラに向かうが、逆に弾き飛ばされた。

 

「くっ!(この力は!?)」

 

マダラはその隙に自身を吸い込んで消えてしまった。

襲撃者を誰一人と捕まえることすら出来なかった。

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