魔法少女達との日常   作:切嗣

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今回ガンダムネタが含まれているので、苦手な人は注意してください。


天才少女はガンダムがわからない

 

 

「へー、これが魔法少女を召喚できるタブレットなんだ」

私のタブレットを興味深そうにいじる少女。彼女は里見灯火。お嬢様学校に通っている小学生。天体物理学を修めた理系の天才。

その彼女が何故いるのかというと、私のタブレットを調べるためだ。彼女曰く、自分自身の好奇心と魔法少女の救済につながる手がかりになるかもということらしい。

「うーん、お兄様が魔法少女を呼び出すアプリが見つかんにゃい」

「いや、ここにアプリのアイコンが表示されているよ」

アプリの場所を彼女に教えるため、私は彼女が持つタブレットに指をさす。

「えー、画面にはそのアプリなんてないよー」

「いや、ここだって」

再度私が教えると、彼女はうーんと言って考え込む。

「困ったにゃー。そのアプリ私には、見えないんだよね」

えっ。見えない?

「お兄様にしか認識できないのか、魔法少女だから認識することができないのかは分からにゃい。お兄様は他の魔法少女にアプリを使用させようとしたことはある?」

「いや、ないけど」

彼女の問いに答える。

「じゃあ、次の質問。このタブレットはどこで買ったの?」

「それは、たしか人からもらったんだよ。」

「たしか?人からタブレットなんてもらったのに、覚えてないの?それに誰からもらったの?」

彼女にそう言われて、タブレットを入手したときのことを思い出そうとする。

あれ、おかしい。いつから、タブレットを持っていたのか。どこで貰ったのか。誰から貰ったのかを。私は思い出せなかった。

私が黙り込んでしまったのをみかねてか、不安そうに灯火は話しかけてくる。

「お兄様?大丈夫?」

「ああ、大丈夫。でも、ごめん。タブレットを貰った時のことが思い出せない」

「なぜ思い出せないのかは気になるけど、今はおいておくね。じゃあ、このタブレットのメーカーは分からないままだね」

残念だにゃー、とがっかりする灯火。

そういえば、タブレットのメーカーについても気にしてなかった。

「このタブレットどこにもメーカーの名前がないんだよ。お兄様は今までおかしいと思わなかったの?」

「うん。言われてみれば、気にしてなかった」

私の返答を聞くと、灯火は考え込みはじめた。時折、精神操作系の魔法、魔女の口づけといった独り言が聞こえてくる。考えがまとまったのか、彼女は私に話しかける。

「現状このタブレットは分からないことだらけ。そして、お兄様の記憶障害。はぁ、ねむにも話してみる。お兄様、そのときはよろしくね」

「うん、分かった。私にできることなら、何でも言って」

「ありがとう。お兄様」

私に礼を言う灯火。タブレットや記憶喪失といった謎が増えたが、彼女たちが協力し合えば解決するはずだ。彼女たちを信頼し、協力することが今の私にできることだ。

タブレットの件に関する話は一応終わった。しかし、彼女に厄介事を押し付けたまま帰すのは気が引ける。このまま、彼女を帰すのはいただけない。せっかく私の家に来てもらっているのだから、彼女に何かしてあげたい。

「灯火、何かしたいことあるかい?」

「えっ、じゃあお兄様のお部屋行ってみたい!」

「それくらい、お安い御用さ」

私は机の上にタブレットを置いて、彼女を自室まで案内する。

 

〇〇は知らなかった。灯火がなぜおガキ様と呼ばれていたのかを。このあと、〇〇は身をもって知ることとなる。

 

「へー、ここがお兄様のお部屋なんだ」

彼女は私の部屋を興味深そうに見る。部屋の中にはゲーム機やゲームソフト、フィギュア、プラモデルがズラリと並んでいる。

「お兄様はロボット好きなの?」

どうやら灯火はロボットのプラモデルに目が行ったらしい。彼女の視線の先には2本角のロボットがカッコよく飾られている。

「うん、そうだよ」

「このロボットって何ができるの?教えてお兄様!」

慕われている少女からの教えて発言。これは非常に難しい問題だ。こういう時加減を知らないオタクはその知識から、わざわざ聞かれてない詳細な設定や裏話などをしてしまう(偏見)。彼らは善意で話すが、その膨大な情報を一般人には耐えることができない。その結果、ライト層をドン引きさせてしまい、人間関係を悪くしてしまう(オタクに限らず、自分だけ話続けるのはやめよう。)。私は彼らのように悲劇をくり返さない。

私は脳内にある知識を参照し、情報を簡潔にまとめた。

「それはね、Ξ(クスィー)ガンダムっていうロボットでね。こいつは超音速で飛びながら、ミサイルやビーム、バリアを出せるんだ。」

「へー、凄いロボットだにゃー。ん、超音速?飛行?」

「どうかしたの?」

「お兄様このロボットの大きさや重量ってどれくらい?」

雲行きが怪しくなってきた。

「全高28mで、本体重量は32tだけど」

「ふーん、武器とか乗っけたらどれくらいの重量になるの?」

「全ての装備があって総重量は80t」

「えー、あり得ないよー。そんな質量に大きさを持ったロボットが超音速で飛ぶなんてありえなーい。非科学的だよ」

イラッ。だが、私は怒らない。彼女は子供。彼女の発言は子供特有の無邪気さからの発言だ。そして私は大人。そのため、私は彼女に優しく諭す。

「そうだね。でもロボットものってそういうものだから」

「でも、いくらフィクションだからって設定盛りすぎだよー。子供が喜びそうだからってさー。そもそも巨大人型ロボット自体が非現実的だよ」

その後、彼女は巨大ロボットが倒れたら大惨事が起きるなど巨大人型ロボットの非現実さを論理的に話し続ける。

彼女の言葉は〇〇の地雷を踏み抜いた。

「…だよ」

「えっ、お兄様?」

「巨大人型ロボットはロマンなんだよ!!」

ひっ、と怯える灯火。そして、〇〇を確認するとその顔は真っ青になる。そこにいたのは、彼女の知る優しい〇〇ではなく一人のガノタだった。

「いいかい、灯火。ガンダムという作品はどうして巨大人型ロボットが運用されているかもちゃんと理屈も理由付けも作られているんだ。例えば、このクスィーガンダムはミノフスキーフライトユニットという反重力推進装置によって飛行が可能になるんだ。これはミノフスキー粒子という架空の粒子が反発することで推進するという設定があって。ああ、ミノフスキー粒子というのは」

〇〇はまくし立てながら灯火にじりじりと近づく。瞳孔は開いていることから、興奮していることがよみとれる。

「ご、ごめんなさい。お兄様、ガンダムのことはわかったから」

灯火は謝罪して、〇〇の怒りを鎮めようとする。今の灯火を見れば、彼女のことを知るものならば驚くだろう。あの我儘な里見灯火がと。普段の彼女であれば、その反論を丁寧に、理路整然と崩していくだろう。しかし、無理もない。彼女は魔法少女である前に一人の子供。成人男性が鬼気迫った顔で、自分に迫ってくるのだ。怖いわけがない。

「わかっただって!?いや、灯火はまだガンダムのことをまだ理解してない!!ガンダムというのはリアルロボットの金字塔の一つなんだ。ガンダムは当時のロボットモノとは異色だったんだ。あっ、DVDがあるから灯火も一緒に見よう。ああ、うん、それがいい」

灯火の謝罪を受けても、彼は元の〇〇には戻らない。それどころか、布教活動を勧めようとする。事態はより悪化した。

「こ、来ないで」

怯える灯火に、迫る〇〇。しかし、無常なことに助けはこない。

後ろに後退した灯火は壁にぶつかる。逃げ場はない。

「だ、誰かたすけ」

〇〇は灯火を仕留めるために床を駆け、灯火を狙う。

憐れな少女の悲鳴が家中に響きわたり、しばらくすると静寂がおとずれる。彼女はガノタの餌食になった。

 

 

しばらくして、机に置かれたタブレットは主の命令無しにアプリを起動する。タブレットから光が発生すると3人の少女が現れる。いろはとうい、ねむの3人である。彼女たちは戻ってこない灯火を探しに来たのだ。

「〇〇さーん、灯火ちゃんいますか?」

「お兄ちゃん、灯火ちゃんはいる?」

「お兄さん、灯火を見なかった?」

いつもなら、彼女たちに出迎えの言葉をあげる〇〇がいる。しかし、今彼女たちの言葉に返答をするものはいなかった。

「あれ、タブレットだけ?〇〇さん別の部屋かな?」

いろはの視線にはタブレット。主人は別の部屋にいるのだろうか。いろはは〇〇の居場所を考える。

「お姉さん、お兄さんは自室にいるかもしれない。ひとまずはそこに行ってみよう」

「もしかしたら、そこに灯火ちゃんもいるかも」

可愛い妹たちからの提案にいろははのっかることにした。

 

「失礼します、○○さん。灯火ちゃんいm」

ノックをして、○○の自室に入るいろは。彼女はそこにあったものを見て絶句する。

部屋には灯火と○○がいた。灯火は椅子にロープで縛りつけられており、テレビを見るように固定されている。灯火の瞳は黒く濁っていて、年頃の少女が見せる顔ではなかった。その隣には椅子に座った○○。○○はテレビに映ったアニメ(ファーストガンダム)の解説を灯火に笑顔で聞かせている。

「ん?」

ドアが開けられたことに気づいた○○は振り返った。

「お兄ちゃん」

「お兄さん」

いろはの後から入ってきたういとねむ。二人は信じられないものを見てしまった顔をしている。

「○○さん、灯火ちゃんに何をしているんですか」

いつもより低い声で○○に対して尋ねるいろは。彼女の姿は制服ではなく、魔法少女姿に変身していた。いつもの優しい彼女の姿はなく、妹分を守るための姉なるものへと変貌していた。

 

3人の姿を見て正気に戻り、自分のしでかしたことを悟る○○。今の彼は客観的に見て、誘拐犯としかしかいえないだろう。

「ご、誤解です。あっ、違っ、何もしてないです。ねっ、灯火」

いろはの態度がいつもと違うことに驚き、恐怖する○○。この誤解を解こうと、灯火に証言してもらおうとする○○。

 

「お兄様は私に新しい世界を教えてくれただけだよ、お姉さま」

そう証言する彼女はカルト宗教に取りつかれた信者の様な発言をするだけだった。ガノタの洗脳を受けたことにより、いつもの里見灯火はいなくなってしまった。というかレ○プ目だった。

 

灯火の発言を聞いた彼女は下手人を仕留めるべく、ボウガンを構える。

「イヤーーー、本当に違う。いろはさん。」

彼女に許しを請う○○。

「さようなら、○○さん。」

ボウガンの引き金が引かれ、一人の男の断末魔が響き渡った。

 

Side○○

あのあと、私は事情を3人に説明した。いろはは謝罪してきたが、もとはといえば私のせいだ。私が暴走したせいでこの悲劇が起こったのだ。反省しなくては。

後日、なぜか那由他からお礼を言われた。灯火が那由他の父親、民俗学を馬鹿にしたことを謝罪したらしい。人の好きなものを馬鹿にされる痛みが彼女はよくわかったのだ。あの一件が、謝罪に繋がるとは思わなかった。

こうなったら、

「そうだなっ、次は灯火にZガンダムを教えなくては」

「それは違うと思いますよ、○○さん」

ツッコまれた。




タブレットの伏線や設定は今のところ考えていません。ですので、便利なひみつ道具みたいなものだと思ってください。
灯火ちゃんってロボット系の設定を否定しそうじゃないですか。現実主義だし。そういうイメージがあったので、今回の話を書いてみました。やっぱり、ああいう生意気な子が分からされるのは気持ちがいいですからね。あっ、灯火ちゃんのことは好きですよ。アンチとかじゃないです(本当)。皆さんは灯火ちゃんのことがどれくらい好きですか?僕は腹パンしたいほどに好きです(歪んだ愛)。
次回も楽しみにしてください。

小説の分量について(作者は小説1000字書くのでも、キツイです)

  • 今の分量で満足(作者に任せる)
  • 時間をかけて 3000字〜4000字
  • 同上 5000字〜6000字
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