ダンジョンに英雄を、伴侶を、名声を、正義を、混沌を。果ては出会いなどを求めるのは間違っている 作:七海香波
初動の揺れが1月1日と同じだったからまーたあのクソデカ地震にやられるかと心臓縮み上がっちゃったZE☆
なーんで月曜日の朝とか言うただでさえグダグダな時間に追い打ちを食らうのか、これが分からないね。
キレたので初投稿です。
ガネーシャ・ファミリア
「精霊ぃ? はっ、所詮は俺たちがいない時代に作られただけの型落ちジャーン? もうとっくに皆死んだんじゃあないのぉー?」
「ンマー、そんな昔の時代のことより今の話をしようぜぇ! なんでもこないだタケミカヅチんとこの秘蔵っ子がレベルアップしたとかナントカカントカかくかくしかじか――」
「いやーそれよりやっぱ俺の
「分かるマン。でもあーいうマグロっ娘っぽい雰囲気を醸し出してる女の子ほど、実際に寝屋に誘っちゃったりすると顔を真っ赤にしてキョドってきちゃうんだよなー。蔑み系もイイけど、俺には真面目っ娘のメ〇堕ちが一番
「「「「ギャハハハハッ――――――――!!!!」」」」」
結論。
「うん、やっぱりこいつら全然役に立たねーわ」
まあ予想はしていたっつーか、知ってたけどねェ……と半目になって肩を竦めるカオス。
その顔に薄い諦観を滲ませながら、彼女は身に纏う紫を基調としたシックなイブニングドレスの裾を翻して男神どもの下卑た笑い声の輪から足早に遠ざかるのだった。
ガネーシャの名の下に彼の
オラリオ内の神々が――主目的たる真面目な情報交換などは二の次に、己の愉悦を満たすための下らない
だが、返ってきた反応はやはりと言うべきか、どれも上記のようなしょうもない戯言ばかり。
とはいえ、彼らの言葉に確かな一つの真実が含まれているのもまた事実であった。
神々の降臨よりも前の時代に英雄たちを支えていた『精霊』の役割は、既に失われて久しい。
存在意義を『
そのような時代の敗北者に『未知』を愛する神々が見向きもしないのは当然も当然、端から期待するだけ無駄というのが
とはいえ、それはそれとして
せめてもう少し常識的な会話の成立する相手はいないものかと、カオスは一度壁際に寄って気分を落ち着かせながら会場全体を見渡した。
そうしてマトモそうな雰囲気を漂わせる男女二柱を見つけた彼女は、その組み合わせに目を丸くしながら彼らの下へ足を運ぶのだった。
「――おやおや。そこに居るのはデメテルにディオニュソスだね? いったい何を話してるのか、私も良ければ混ぜてもらっても良いかい? 私の記憶が正しければ、君たち二人はそう仲良く話すような性格じゃなかったはずだけど……」
「あら? お久しぶりね、カオスおばあ様。ふふっ、いえ、ちょっとワインの話をね? ほら、私の所ではワイン用の葡萄も作っているし。ちょうど彼に味見してみて貰っていたところなの」
「これでも酒には一家言ある身だからね、御身も是非飲んでみると良い。味は私が保証しよう。……しかし、それは天界でのことを指して言っているのかい? いや、あの頃は私も若かったんだ。むろん反省はしているとも。だから今はこうして大人しくさせてもらっているんだ、この通りね」
司る『豊穣』の証をたゆんと見せつけるデメテルに一度微笑んだ後、煌びやかな貴公子然とした装いを控えめに見せつけるディオニュソスをカオスは一瞥した。
というのも、ディオニュソスは神々の言葉で言うところの
『酒』に紐づく神性であって、彼が愛するのはそれが齎す薬効ではなく、酩酊そしてその後に連なる『狂乱』であるからだ。
己を祖とする
「ふーん、そう言うことにしておこうか」
「ハハハ、手厳しいな。……まあ、私もこちらに来て眷属を持ったんだ。今は天界であれだけ煽っていた騒乱よりも、可愛いあの子たちの成長を見る方が楽しくて仕方がないのさ」
「別に責めている訳じゃないんだけどね。少なくとも、あそこで下世話な会話を開けっぴろげに垂れ流している愚物どもよりは好感が持てるよ。それで、君の所は噂を聞いたことがないんだがデメテルと同じ生産系なのかい?」
「いや、無難な探索系だよ。とはいえ団員のレベルは2が上限だし、そこまで大々的な何かを成し遂げたわけでもない。ま、これからを楽しみにしておいてくれといったところかな。ちなみに御身のファミリアこそどうなんだい?」
「私かい? あー、同じく探索系だよ。とはいえ今は現役の眷属もいないし、実質休業中だね。前の眷属君が遺してくれた権利や財産やらで
クレスの名を公に出せないカオス・ファミリアは、表向きには『お休み中♡』の看板を掲げている。
たまに地上でも活用できる『深々層』の成果を発見した時に、ギルドとの協議の下、実体のない偽りの眷属を作ったりするくらいだ。
しかし、最後にそれを行ったのはもう八十年も前のこと。
現状のカオス・ファミリアは公的には、誰も構成員がいないこととなっている。
「それは……悪いことを聞いてしまったかな。謝罪させてもらうよ」
「構わないさ。私たちにとって死なんて一瞬の別れに過ぎない、天界に戻ればまた会えるわけだしね。――ところで、お詫びと言うなら知っていたら教えて欲しいことがある。君たち、名のある『精霊』の居場所に心当たりはないかな?」
「「『精霊』?」」
首を傾げる彼らに、カオスはさらりと嘘偽りの理由を並べ立てた。
「最近になって手に入れた趣味なんだが、今の私は歴史探求なんてものをやっていてね。対象は
「ほぅ。……故にその時代を直接目にしていた精霊たちに取材したい、という理解で良いかな?」
「その通り。高度な思考を有する中級精霊以上が望ましいし、実際に英雄と共に旅をした上級精霊に話を聞ければ最高だ。と、いう訳なんだけど中々お相手が見つからなくてねェ。こうしてチマチマと情報を得られないかと聞き回っているのさ」
ふむ、と二柱は悩まし気に眉を寄せる。
「……私たちが畑の水を引いている河の源流には泉があって、そこには水の中級精霊がいるわ。あんまり話したりすることはないから、あの子が泉の外のことをどれだけ知っているかまでは保証できないけれど」
「……いや、申し訳ないが、デメテルと違って私では御力になれなそうだ。下界に来てからはずっとオラリオに腰を落ち着けているし、外のことにはあまり目を向けてこなかったんだ。人並みのことは知っているが、それは御身の知る範囲と何ら変わらない程度だと思う」
「なるほどね、ありがとうデメテル。それじゃ、今度君の畑のところにお邪魔させてもらおうかな。ディオニュソスもすまないね。このお礼はいつかさせてもらうよ」
「ふふふ、気にしなくてもいいのに」
「こちらもあまり力になれなかったんだ。別に要らないんだが……まあ、貰えるというなら気長に待っておくよ」
そこで、ディオニュソスが思い出したかのように手を叩く。
「と、そうだ。さっきロキが私たちの所に来たんだが。彼女のところほどの大所帯なら、世界中から眷属が来ているはずだ。そちらに聞いてみるのもどうだい? 確かあっち、ヘスティアたちの方に行って……あっ」
「……あらあら、さっそく喧嘩してるわね。仲が悪いのは天界の頃からだけど、下界に来てからも元気なこと」
『そこだ、行けぇロキ無乳ぅーっ! 今度こそ絶壁の意地を見せつけてやれーっ!』
『ぶっ飛ばせー、ロリ巨乳! 相手の胸元はガラ空きだぞぅ!』
「やれやれ……あれじゃ、今日のところは聞けなさそうだね。次回まで持ち越しかな」
――ヘスティアともいくつか、
そこに付け加えて、段々と
『諸美男子、美女人。我が珍宝に貫けぬ孔は無いと知れ。領域〇開――【
『遍く三千大千世界に、性実なる言の葉を説いてみせよう。領〇展開――【
「……あーあ、須弥山の連中に怒られても私は知らないからね」
宴もたけなわになりつつある『神の宴』を眺めて、カオスは「あっ、女神様! こちらをどうぞ! 美味しいですよ!」と愛らしい顔立ちの
《Tips》
・須弥山
仏教・インド神話で言うところの
下手に挑発した場合、宇宙をも焼き尽くす焔で存在ごと灰にされるとかなんとか。
今回のネタはお経を茶化した形になるので、聞かれていればたぶんアウト。
今後の展開どうするべ?(参考程度に)
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①本編にちまちま関わる
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②これまで通り『深々層』攻略
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③ファミリアクロニクル:クレス
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④カオス・レコード
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⑤迷宮神聖譚:『冥洞一灯伝』