ダンジョンに英雄を、伴侶を、名声を、正義を、混沌を。果ては出会いなどを求めるのは間違っている   作:七海香波

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 お疲れ様です、作者です。
 本来はここから本編を再開しようと思ったのですが、やっぱり前章の最後にこそっと置いてたフラグを回収してからじゃないと駄目だよね~?
 ということで皆さん薄々察していたかもしれませんが、そういうことです。最近カードゲームが主題の作品が増えて触発されたせいもあるのよ。
 しかし何しろ初めての試みなので、内容がこれまでと同じく稚拙なのは許してヒヤシンス。


決闘! 太陽神VS究極銀河!!

 

「――と、いうわけで☆」

 

 見渡す限りの、大『砂』原。

 渇いた風が空しさと熱を孕み、訪れる者に試練を与えんと厳しく吹きつける。

 オラリオより南東に進んだ先に存在するこの地は『カイオス砂漠』。

 その中に点在する観光街(オアシス)から少し外れた、人気のない区域に位置する『遺跡群』……かつてこの一帯を統べたラー・ファミリアの夢の跡を遠くに見やりながら、クレスは彼と並んで熱砂の大地に影を落とすもう一人の快活な声を聞く。

 

「オラリオから遠路遥々、やってきましたは旧メネフス王国跡地(・・・・・・・・・)! レポーターは私ことヘルメス・ファミリア前団長リディス・カヴェルナと、ゲストのエルダ・マク・ディーヒタイン(クレス・カタストロフ)君でお送りするよ☆」

「誰に向けて言っているんだ……」

「そりゃもうこの世の生きとし生けるもの、森羅万象に対してに決まってるでしょ? オラリオのアイドル、愛され系冒険者のリディスちゃんはファンの皆を等しく愛してるんだもの。……なーんてね、きゃはっ☆」

「……そうか」

「ちょっとー、そんな適当に聞き流さないでよ~。寂しいでしょ!」

「ここに来るまでの旅路で俺が学んだ一番のことは、案内人のお前の戯言に一々付き合っていたらキリがないということだ」

「えー? アスフィと違って面白くないなぁ~、よよよ……」

 

 リディスの口から発せられた単語(キーワード)、『旧メネフス王国』。

 別名、『太陽の神の治むる王国』。

 更に分かりやすく呼称を変えるなら、其れは今は亡きラー・ファミリア(・・・・・・・・)拠点(ホーム)だった国である。

 昔にはカイオス砂漠の9割強を支配していた大国だが、今や分裂を繰り返した結果、この一帯は小国の乱立する紛争地帯にまで堕ちてしまった。最近ではシャルザードとワルサという国の間でも戦争を行っていたらしいが、どこからともなく現れた『八人の勇士』によってシャルザード側が逆転勝利を収めたとかナントカ……。

 

 ともあれ、そんな古の大国の『首都』が存在していた地域に、クレスはリディスという旅の同伴者をつれて足を運んでいる訳である――正確には彼の方がリディスの付き添いであるのだが、それはさておき。

 その長い旅路の目的とは……?

 

「ま、いっか。それじゃー、ちゃちゃっと用件を済ませようか。キミが欲しいっていう、『タイヨウコガネ』とやらの素材を手に入れにね……という訳で、レッツ☆盗掘(・・)!」

 

 

 

 

 

 遺跡群の中でも特に天高く聳えたつ栄華の象徴、『ピラミッド』。

 数え切れないほどの石が積み上げられたその四角錐の建造物こそは、歴代のラー・ファミリアの団長(ファラオ)を務めた傑物たちの墓である。

 クレスが来たるべき『大儀式』に備えて欲している『王墓を仰ぐタイヨウコガネの目玉と薄羽』は、その中に副葬品として奉納されていると言われている。

 既に生きた個体が失われた絶滅種(カメノス)の素材をなんとしてでも手中に収めるべく、クレスとリディスは王墓の一つの側面に空けられた横穴から内部へと足を踏み入れた。

 

「あ、ちなみにこの盗掘孔はね? 別に私たち(オラリオ側)が開けたわけじゃないから。外交問題とかは気にしなくたって無問題(モーマンタイ)だよ!」

「だろうな。外壁を壊した痕跡はもう百年以上も前のものだろう」

「そ。私たちの先駆者サマの仕業だねー。でも地元住民の話によると、みーんな失敗しちゃったらしいんだ。なんでも『王家の呪い』ってのが残ってる、ってね? 中にはとんでもない量の罠とか呪詛道具(カースアイテム)とかが設置されてて、『神の恩恵(ファルナ)』がない普通の人だと絶対抜けられないようになってたんだ。(おっそ)ろしいよね~」

 

 そこでリディスはクレスの顔色を窺うが、残念なことに、彼は彼女の期待したような様子を見せなかった。

 『死者の呪い』やら『屍生人(ゾンビ)』やらに類する言葉といえば通常、聞いた者の心胆を寒からしめるものなのだが、クレスはそれを平然と仏頂面で話を聞き流す。

 そんな愛想のない依頼者(ゲスト)にちょっとばかり頬を膨らませつつ、「でも安心して☆」と彼女は気分を切り替えてクレスに説明した。

 

「その辺はもう優秀なウチの団員(メンバー)が大方解いちゃったから! いやぁ、あんなに可愛かった後輩たちが立派に育っちゃってリディスちゃん大満足☆ ……でも、最後の最後だけはいくら解錠(ピッキング)には慣れてる私たちでもよく分からないものがあってねー。それで仕方なく依頼者の貴方を呼んでみたってワケ」

「ああ」

「一応手紙にも書かせてもらったけど、語るより見る方が理解してくれやすそうだし。という訳でどーでもいい罠はじゃんじゃん超えちゃってこー! おー!」

「……」

「そこは一緒に腕を上げるところでしょ!?」

 

 そんなこんなで、リディスは道すがら罠の説明を行いながらどんどんクレスをピラミッドの奥部へと誘っていく。

 数多の毒蟲が湧く落とし穴を飛び越えて。

 落下する釣り天井を真上から擦り抜けて。

 壁面から突き出す槍衾をアクロバティックに回避して。

 満ちる無味無臭の毒ガスを風の魔剣で吹き飛ばし。

 襲い来るミイラたちを冷凍の魔道具で氷棺に封じて。

 

 そうして辿り着いた、王墓の最奥――そこへ至るための最後の試練の前に二人は立つ。

 彼らの目前に聳えるのは、神聖文字(ヒエログリフ)の刻まれた金属製の門。

 

「これを開けようとするとね? ――ほら、来るよ!」

『――近頃は、特に騒がしい』

 

 リディスが扉に近づくと、おどろおどろしい声が王墓の中に響き渡る。

 その発生源は、門の向こう側から擦り抜けるようにして彼らの目の前に姿を現した。

 

『また来たか、神聖なる王の寝床を荒らす不埒者どもめ』

「ごめんねー。でも私たちも依頼を受けちゃった以上は完遂したいし、許してちょうだい?」

『妄言を吐くのも大概にせよ。貴様らの都合で死者の安寧を脅かしてよいなどとは、今の地上はよほど傲慢な生者に溢れているらしい……』

 

 それは、透き通る身体を持つ大男だった。

 腰布を巻き、黄金と紫紺を織り交ぜた豪奢な装飾をいくつも身に着けている……それはここに来るまでの道中で幾度もクレスたちが壁画の中に見て取った、数多の国民に傅かれる『王』の装束に他ならず。

 

生霊(アストラル)系のモンスター……元『王様』の亡霊って言えば良いのかな? 元々任せてた子たち曰く、アレがどうしても抜けられなくってねー。なにせこっちの攻撃は物理も魔法も効かないし、なのにアッチの攻撃はこっちにバツグンなんだってね。それで、依頼者であるキミなら何か攻略法を知ってるんじゃないかって思って連れてきたんだ。それで、どう?」

「察しはついていた。準備も当然出来ている」

 

 クレスは自らが主犯であると名乗りを上げるように、リディスの前に立つ。

 その目は相手の男――元『王』らしき亡霊の腕に装着された、古めかしい板のようなものに向けられていた。

 それに対抗するように、クレスもまた懐から一つに纏められた『紙の束』を取り出す。

 

「――ラー・ファミリアの(ファラオ)、及びそれに仕える衛士(ガルド)には共通して一つのスキルが発現する。その効果は半永久的な『不死』……とある一つの限定された方法を除いて、連中は損傷を受けないし死に至ることもない。お前たちが奴を倒せなかったのは、そのためだ」

「ええ……なにそれ? 掟破り(チート)ってやつ? そんなの絶対下界でやっちゃダメな奴なんじゃ……」

 

 リディスのそれ以上の言葉を遮る形で、亡霊は叫ぶ。

 

『多言は無用! 我が力の前に平伏すが良い、愚民め。行くぞ――!』

「押し通る。方式(ルール)は『クロスオーバー・マスターズ』――」

 

 亡霊の腕に装着された石板……『デュエルディスク』が、目覚めるように表面に光の線を走らせる。

 同じく相対するクレスの手に握られた紙の束……『デッキ』が、眩い光を放つ。

 そして――。

 

『「決闘、開始(デュエル)!!」』

 

 宣言と同時に両者の間に漂い始めた異様な雰囲気に、リディスは思わずゴクリと唾を呑む。

 距離を取って佇む二人には、彼女にとって慣れ親しんだ剣や魔法を扱う気配は微塵もない。

 しかし、彼らの視線が交錯して発生する闘志の火花を、彼女は確かに幻視していた。

 彼らは今まさに始めようとしているのだ……リディスの知らない、勝敗を決するための『闘い』を。

 

『先攻は(われ)のものだ! フフフ……完璧な手札だ。王墓を荒らす不届き者に相応しい死をくれてやろう! 余は《古の呪文》を発動! そして《ラーの使徒》を召喚!』

 

 ラーの使徒 ATK/1100 DEF/600

 

 高笑いする亡霊がリディスには理解の出来ない呪文を唱えた後、彼と同じ顔をした神官がクレスと亡霊の間……決闘(デュエル)の盤上に出現する。

 

『続けて《ラーの使徒》の効果によりデッキより《ラーの使徒》2体を追加召喚!』

 

 ラーの使徒 ATK/1100 DEF/600 ×2

 

 更に同神官を2体追加で召喚し、亡霊は歓喜の声を上げて手札のうち一枚を高らかに掲げた――。

 

『これにて儀式の場は整った……さあ、貴様に我が神の現身を見せてやる! 恐れおののけ! 平服せよ! そして咽び泣き、崇めるが良い! 《ラーの翼神竜》、召喚ンンンッッッ!』

 

 3体の神官、更には亡霊さえも呑みこむ黄金の炎が何処からともなく現れる。

 炎はやがて卵のように球状に纏まり、その内側から弾けるようにして、『隼頭持つ竜神』が姿を現した。

 

 ラーの翼神竜 ATK/?→11300 DEF/?→9800

 

『フハハハハハ――ッッッ!!! 見よ、これこそが我ら神の真の御姿! 偉大なる太陽神ラーの栄光である! その力と余が一体化したことにより、攻撃力11300!!』

「……攻撃力? 11300?」

「この場で俺と相手は互いに8000のライフを持つ。それをどうにかして削り切れば勝利となる」

「……それって! つまりアレでそのまんま殴られたらキミの負けじゃない! ってか先攻有利過ぎでしょ!? そんな無茶苦茶な……いや」

 

 ルールを平然と説明するクレスに、リディスは叫ぶ。

 しかし彼女は自身の疑問を口にするとほぼ同時に、その回答に思い至った。

 

「もしかして、先攻は攻撃できなかったり?」

『然り。先攻を選んだ者に攻撃権はない。貴様らを神の炎で以て焼き去るには次のターンを待たねばならぬ』

 

 隼頭でクレスらを睥睨しながら、亡霊は嘴の隙間から炎の吐息を漏らす。

 その奥に煮え滾る並々ならぬ『神の力(アルカナム)』の発露を感じ取って、リディスはほっとしたのも束の間、「うへぇ……」と小さな呻きを漏らすのだった。

 

『余は続けて《真なる太陽神》を発動。デッキより《ラーの翼神竜-不死鳥(ゴッドフェニックス)》を回収し、墓地へ。そしてターンエンドだ』

 

 亡霊の扱うデッキ、それはカードという触媒を経て『神の力(アルカナム)』をその身に卸す神憑り。

 『変神魔法』とでも記録すべき恐るべき力の象徴で以て、直接不忠者を誅殺するタイプだ。

 まさに神意と同化したとでも言うべき強大な敵となった、かつての『王』の亡霊。

 存在するだけで対戦者の魂を揺らすようなその威容から目を逸らすように、リディスはそれと真っ向から対峙するクレスの背を見る。

 

 しかし、彼の背が動じることはなかった。

 迷いのない手つきで、クレスは自らのターンを始めるべく山札の上に手をかける。

 

「俺のターン。ドロー……俺は手札より《ドンドン吸い込むナウ》を発動」

『ほぅ、聞いたことのないカードだな。……いや、なんだその『呪文』とやらは? 『魔法』ではないのか?』

 

 デッキの上から5枚を公開した上で、クレスはその内1枚を自らの手札に加える。

 しかし亡霊はそのサーチを行う行動(プレイ)そのものよりも、公開されたカードの種別に気を取られていた。

 だがクレスは構わず、自らのターンを順調に進めていく。

 

「《無双翔天ポッポ・イシュキク》を召喚」

 

 無双翔天ポッポ・イシュキク パワー/5000 → 1900

 

 その小さな身体に反して巨大な翼を生やした鳥が、クレスの肩に留まる。

 

『今度は『モンスター』ではなく、『クリーチャー』だと……? 余が知らぬ間にルールが変わったのか……?』

「さらに俺は手札から《サーガ・レオシェルター》をジェネレートし、《無双翔天ポッポ・イシュキク》へクロス。更に《サーガ・レオシェルター》を進化、《覚醒せしグランドクロス・カタストロフィー》をジェネレート」

『いや、待て。なんだ……なんだその召喚法は? 『クロスギア』? それに『進化』だと……貴様、そのカード群は何だ!?』

 

 蛇の腹部を模した盾が小鳥の翼に握られたかと思えば、次の瞬間、その姿が光の粒子となって輪郭を崩す。

 光はやがて巨大な光輪を背負う天使の姿へと再臨し、小鳥を護るようにその力のベールを纏わせた。

 

 その幻想的な光景に構わず亡霊は声を荒げるが、クレスは我関せずと言った態度を崩すことなくカードを発動させていく。

 

「対象を《無双翔天ポッポ・イシュキク》に指定し、《ヒラメキ・プログラム》発動。《無双翔天ポッポ・イシュキク》を破壊するが、《覚醒せしグランドクロス・カタストロフィー》の効果によりバトルゾーンに留まる」

 

 亡霊を置いてきぼりにして、突如クレスの手元から迸る水色の光の奔流。

 幾つもの数式が複雑に空間を入り乱れ、ピラミッドの内部を妖しく照らし出す中で、小鳥の纏う力の一部が取り崩され、脈動を始める。

 その清廉な光がクレスの山札を一気に捲り上げ始めたかと思えば、やがて目的のものを探り当てたようで、引き抜かれた一枚のカードが輝きながらクレスの正面に舞い降りる。

 

「そして。同じ《無双翔天ポッポ・イシュキク》の効果を読み替え、マナではなく手札から《光明神羅鳳インフィニット・フェニックス/羅月ソウル・フェニックス》を進化元に、山札から《無双翔天ポッポ・イシュキク》よりコストの1多い《究極銀河ユニバース》をバトルゾーンに出す」

 

 究極銀河ユニバース パワー/17000 → 8500

 

 山札より姿を現したカードから、その内に秘められた無窮の闇が解き放たれる。

 クレスの周囲を取り巻く石壁ばかりの光景が瞬く間に漆黒へと塗り替えられ、次第に、その内側に無数の極光が浮かび上がり始める。

 それこそが空に瞬く無数の星々――人々とクリーチャーの輝跡を余すことなくその大翼に内包するクレスの今回の切り札、《究極銀河ユニバース》の真なる姿。

 

「うわぁ、なにこれ……キレー……」

『っ……! しかし攻撃力は《ラーの翼神竜》の方が上! 如何に(ソラ)を従えようと、その程度のモンスターで我が神に勝つつもりとは、笑わせ――』

「バトル。《究極銀河ユニバース》で《ラーの翼神竜》へ攻撃」

 

 亡霊の声に聴く耳を持たず、クレスは《究極銀河ユニバース》で《ラーの翼神竜》に攻撃を命じた。

 そのままでは無論、攻撃力の小さいクレス側がダメージを受けることは必至。

 それを無謀と笑うほど亡霊は愚かではなかった――つまり、《究極銀河ユニバース》には攻撃力の差を覆せる何らかの効果があると彼は読んだ。

 

「俺はこの瞬間、《究極銀河ユニバース》のメテオバーンを発動」

『『メテオバーン』……?』

 

 しかし、亡霊は知らなかった。

 それは攻撃力の差どころではなく、盤面そのものを引っ繰り返す埒外の一手であったことを。

 

「進化元となった《光明神羅鳳インフィニット・フェニックス》を墓地へ送る。これが最後の1枚でなおかつ種族:フェニックスであることで、俺は特殊勝利条件を満たし、この決闘に勝利する(・・・・・・・・・)

『……ハ?』

 

 絶句。

 

『――……!?!?!?』

 

 ただ、絶句。

 

 クレスの宣言した言葉があまりに衝撃的だったことで亡霊が声を失う中、状況をよく理解できないままのリディスが先に現実を受け入れた。

 

「え……それって、なに? もうこれでキミの勝ち、ってこと? え? え……ええっ!?」

「妨害札はないようだな。では、これで終わりだ。――やれ、《究極銀河ユニバース》」

 

 クレスの命ずるがままに、星々が渦を巻く。

 それはやがて一つの銀河と化し、その内に秘めたる強大な力の奔流を産む。

 その脈動は、そう、太陽一つを容易く呑みこむほどの大いなる不死鳥の羽ばたき――!

 

「太陽の不死鳥が旅立つ今、決闘に終焉が訪れる……【荘厳なるかな銀の河、王輝を束ねし渦翼(エスメルズ・ボルテックス)】!」

 

 唸る空間を突き破り、放たれるは遍く星輝を背負う宙の一撃。

 それが亡霊を、その身に宿す天上神の『神の力(アルカナム)』ごと根こそぎ押し流す。

 

『なんだ……なんだ、それは! こんな、こんなことが、あってたまるハズが――ぐぁァァアアアッッッ!?!?!?』

 

 断末魔を上げて、亡霊の姿は門の向こう側へとかき消えていった。

 少し遅れて周囲は元の石壁の姿を取り戻し、戦いの終わりを告げるように、クレスのデッキからは光が失われる。

 それでようやくリディスも今の決闘(やり取り)の結果が相方の勝利となったことを察したのか、慌てて彼の側へと駆け寄った。

 

「――すっごいね! 何今の!? 私、それなりに冒険者やってるけどこんなの初めて見たよ!?」

「昔流行っていたんだが、いつの間にか廃れていたからな。ただ、連中はこれの勝敗で無いと殺せないから、倉庫から引っ張り出してきた。……まあ、決闘(デュエル)と銘打っておきながら初見殺しを叩きつけただけだったが。それよりも、門が開いたぞ」

「あっ! そうだった……アハハッ、完全に本来の目的を忘れちゃってたね! まあいいや、ここを出てからでいいからね? さっきの決闘(デュエル)? せっかくだし教えてよ!」

 

 たった今目にしたばかりの興奮が冷めやらぬままに、リディスはついに開かれたこのピラミッドの主の寝所に突入していく。

 それに遅れて続くクレスの懐で、先ほどまで輝いていたデッキが何かを訴えるように『熱』を持つ。

 

「分かってる、あの娘にも布教しろと言いたいんだろう……しかし、それならどんなデッキから始めさせるか」

 

 ――最終的には、自分がいない間に主神の相手をするまでになってくれたりすれば良いのだが。

 そんな、自らの『呪い』が解決した後のことを考えながら、クレスは珍しい素材を見つけては歓喜の声を上げるリディスに「どうせ今ので奴の魂は現世に留まるだけのエネルギーを使い果たしただろう。死人に権利なし……残りは好きに活用してやると良い。なんなら本体の木乃伊は――」と悪魔のような囁きを与えるのだった。

 

 

 

 

 

「なに、罰が当たる? 死者に所有権は認められんし、今時自らに相続権があるなどと知っている奴もいないだろう。だったら有効活用した方が供養にもなろうさ。それに、もしそんなものがあるとしたら、迷宮(ダンジョン)を攻略した後にいくらでも受けてやるさ」

 

 




【Tips】
方式(ルール):『クロスオーバー・マスターズ』
 遊〇王しか持っていない友人と、デュエル・マ〇ターズしか持っていない自分。
 「ここで遊ぶのを諦めるくらいならばいっそ」と、その場で無理矢理両者を突合させるルールを作って楽しくデュエルする小学生のやり方。クリーチャーの攻撃力をレベル(コスト)に応じてダウンさせたり、属性をなんとか文明に読み替えてみたり。詰まった時はその場その場で効果を調整してプレイするが、どうしても無理な所は出てくる。でも楽しければ良いですよね。

 以下、今回の話で出したオリカです。
 作者の初めての切り札がソウル・フェニックスだったからこっちの方が思い入れがある
のに、何故か現実ではデス・フェニックスばかりが注目・強化されてばかりでつらたん。ソウル・フェニックスのリメイクも下さい。

・《光明神羅鳳インフィニット・フェニックス/羅月ソウル・フェニックス》 火/自然文明(6)
 進化クリーチャー:フェニックス/ルナティック・エンペラー 13000
 究極進化:進化クリーチャー
 T・ブレイカー
 自分の他のクリーチャーは「スピードアタッカー」を得る。
 バトルゾーンを離れる時、かわりに進化元の進化でないクリーチャーをそれぞれ別のクリーチャーとしてバトルゾーンに出し、「スピードアタッカー」を与える。(バトルゾーンに出ることによって起こる効果はすべて無視する)
 自分の火のクリーチャーと自然のクリーチャーがあれば、このクリーチャーを自分のマナゾーンから召喚してもよい。
 (このカードは、《羅月ソウル・フェニックス》として召喚してもよい)

・《無双翔天ポッポ・イシュキク》 火/自然文明(4)
 クリーチャー:ファイアー・バード/アース・ドラゴン 5000
 このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から2枚をマナゾーンに置いてもよい。
 自分の進化フェニックスを召喚する時、バトルゾーンにあるクリーチャーのかわりに自分のマナゾーンにあるクリーチャーの上に置いてもよい。

・《覚醒せしグランドクロス・カタストロフィー》 光/自然文明(4)
 進化クロスギア
 進化−自分の光または自然のクロスギア1枚の上に置く。
 これをクロスしたクリーチャーは「ブロッカー」を得る。
 これをクロスしたクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、パワーが0より大きければ、かわりにとどまる。
 自分のターンの終わりに、これをクロスしたクリーチャーをアンタップする。
 (※クレスがデッキを光らせられるようになった切っ掛けの一枚)

今後の展開どうするべ?(参考程度に)

  • ①本編にちまちま関わる
  • ②これまで通り『深々層』攻略
  • ③ファミリアクロニクル:クレス
  • ④カオス・レコード
  • ⑤迷宮神聖譚:『冥洞一灯伝』
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