リメイク前デュエルがアッサリしすぎて納得できなかったので展開を少し変えてみました。
ただ大まかな展開は変わってないのであくまでリメイクバージョンです。
〈1話〉
Q、遊戯王デュエルモンスターズの世界に転生した結果、主人公キャラと出会った場合の対処は?
A、知るかそんなん!
正直俺が第三者なら間違いなくそう答える。だってまず遊戯王の世界に転生するなんてまずないし、万が一転生しても主人公キャラに合う確率はそこまでないはずだ……。
なのに俺・桐原蒼也はある大好きなカードと共に異世界転生。しかも高校生くらいに若返る+親はいないが生きて行くための貯金や住民票はある状態。
「これは遊戯王の世界を楽しめるんじゃね?」
俺は近くで空いている相棒、俗に言う精霊のカード(SDバージョン)にジト目を向けられるがそれはさておき。
早速ショップにカードを買いに行こうと……そして調子に乗ってデッキを組み、そのまま試しに午後の大会に出た結果は優勝した。
(な、なんかガキ相手に調子に乗っている大人だよな)
なんとも言えない感じにはなったが、優勝賞品を持ってショップを出た時に1人の少年が声をかけてきた。
「あ、あの!」
「……」
「そこにいる青髪の方!」
あ、青髪?確かに俺は転生して黒髪から青髪になったが違うよな……。俺はシレッと周りを見ていると、いきなり肩を叩かれたので振り向く。
すると茹でカニみたいな鮮やかで奇抜な髪型をした中学生くらいの少年が俺の方を掴んでいた。
「? もしかして俺の事?」
「は、はい! 先程のショップ大会で優勝した方ですよね!」
「そ、そうだけど(汗)」
「よかった!」
まさか、調子に乗ってイキっていたから不快感でも与えたか?
俺は冷や汗を流しながらSD化した相棒を見るが。うん、首振っているのでどうにもならないみたいだ。
(ここは逃げようかな?)
どう見たって関わりたくないタイプの少年。俺はそのまま離れようとするが、相手が肩を掴んでいるので離れられない。
てか周りの人から冷たい視線を向けられているので、無理矢理振り解くと批判されそうなので……。
「君は何が狙いなんだ?」
「それは、場所を変えてもいいですか?」
「お、おう」
話を聞いてもらえると知った茹でカニ頭の少年は嬉しそうにしている。というかかなり強引な気がするが気にしても仕方なさそうだ。
俺はこの後に気づく事になるが、少年の名前は遊坂斗真というらしいので……。
ーーー
彼からの話を聞いてある事を思う。
(コイツ主人公じゃね?)
近くにあるカフェでアイスコーヒーを飲みながらダラダラと冷や汗を掻き始める。
それもそのはず、遊坂が俺に声をかけた理由は驚きの内容だったからだ。
「夏に開かれる大型大会のデュエリスト・ネクサスで優勝したいんです!」
「……はい? えっと、その大会と俺はなんの関係があるの?」
「それはですね」
彼の話をまとめると、遊坂は今の俺と同じ高校入学前の15歳。普通なら高校に入学して生活して行くはずなのだが、妹が難病にかかって多額の治療費を稼ぎたい。でもそんな額は高校を通いながらバイトしても無理な金額。
なので、7月にガーネットグループが主催する大型デュエル大会『デュエリスト・ネクサス』で優勝すれば賞金が手に入って妹が助かるらしい。
(いきなりジェットコースターみたいだな……)
てか、俺は今日転移したばかりで右も左もわかってない状態なのに、見ず知らずの少年を助ける義理はないが。
だが……相手は主人公っぽいオーラを纏っている感じがする。
「つ、つまり。ショップ大会で優勝した俺にデュエルを教えてほしいのか?」
「ソユコトです!」
「うん、同い年だし敬語はなくていいよ」
「あ、それは助かるぜ!」
タメ口になった遊坂は笑顔を作り、俺は冷や汗を流しながら店員さんに追加のアイスコーヒーをお願いする。
(脈略が無さすぎる)
まだ異世界生活半日でいきなり主人公みたいな少年に捕まるのはある意味ご都合主義に見える。
まあ、それに展開的に第三者として俺が外から見ていたら意味不明と頭を傾ける。
「……でも現実なんだよな」
「ん? なんか言ったか?」
「いや、なんでもない」
店員さんから追加のアイスコーヒーを受け取りつつ、俺は店の天井を見上げる。
(マジで知恵◯に「遊戯王の主人公と出会った時の対象はどうすればいいですか?」と書きたいレベルだな)
こちとら前世は24歳の大人だったので10歳くらい年下の少年と話すのは違和感がすごいが、それ以外にも相手が主人公みたいな感じがするので思わず泣きたくなる。
だが、それをやるとみっともないのはわかるのでなんとか堪えつつ質問してみる。
「そ、それで! オレにデュエルを教えてくれるか」
「いや、その前に親とか親戚に助けてもらえば良くない?」
「……父さんは仕事ばかりで家にいない。母さんはそんな父さんに嫌気がさして出ていったんだよ」
「つまり家にはお前1人なのか?」
「そうだ」
俯きながら答える遊坂に俺は申し訳なさを覚える。
(うん、なんだこの罪悪感は)
『グオォ』
隣でプカプカと飛んでいる相棒も申し訳なさそうに頷いているので、俺はアイスコーヒーを飲み干して言葉を返す。
「俺でよければいいぞ」
「! それは助かる!」
流石に放置するわけにはいかないので適当に後方師匠ズラすればいいか。その結果、俺・桐原蒼也は主人公っぽい遊坂斗真との奇妙な関係が始まった。
〈余談〉
遊坂の自宅の場所は俺が住んでいるマンションから5分くらいのアパートだった。
なのでそこまで街に迷わないことに安心しつつあることを思う。
(なんかご都合主観じゃね?)
近くで空いている精霊化状態の相棒も俺の考えが伝わったのか首を振っていた。
そして遊坂が住んでいるアパートの中に入りつつ、俺は不安で心がいっぱいになっていく。
ーー
次の日。
俺は遊坂が住んでいるアパートの一室で、昨日買って来た食材で朝ごはんを作っているとチャイムがなった。
(こんな朝早くから誰だ?)
今は朝の6時半。
普通に考えてお客さんがこの時間で訪ねてくることは少ないはずだが……。俺は嫌な予感がしつつ、IHを止めて部屋で爆睡している遊坂を起こしにかかる。
「おい遊坂、誰かチャイムを鳴らしているぞ!」
「むにゃむちゃ」
「おい、アニメみたいな寝言を言うな!」
「……」
「いや黙るな!」
なかなか起きない遊坂をどうやって起こすか悩んでいると、チャイムの連打が始まり。
「斗真ここを開けなさい!!」
「いや、本人は爆睡しているから開けれないんだが」
外から聞こえる少女っぽい声にアタフタする。てか、コイツの名前を呼んでいるならほぼ知り合い確定だろ。
俺は半ば強引に起こしたいと思った瞬間、遊坂が目を覚ます。
「あ、蒼也おはよう」
「ああ、おはよう……。って、お前の知り合いが来ているぞ!!
「ああ、歩のことか?」
外の扉からガンガンと叩く音が聞こえるので俺は内心でビビるが、コイツがここまで落ち着いているなら大丈夫か?
俺はそう思っているとパジャマ姿のまま遊坂がドアに向かって行く。
(だ、大丈夫か?)
俺はキッチンに戻り味噌汁が入ったIHのスイッチを押し、隣でだし巻き卵を作り始める。
てか、前世では自炊はしていたが転生してまで作るとは思ってなかったので天井を見上げていると、遊坂がドアを開けたみたいで外からピンク髪でポニーテイルの少女が焦りながら中に入って来た。
「と、斗真! この美味しそうな匂いは何!」
「多分師匠が朝ごはんを作ってくれているんだよ!」
「そうなの! って、知らない人がキッチンを使っている!?」
「まあ、そうなるよな……」
相手の少女と俺は初対面。まあ、知らない人がいきなりいればビックリするよな……。
「アンタは誰よ!」
「おい、遊坂。コイツに俺の事は言ってないのか?」
「まあな、って俺の事は斗真でいいぜ!」
「そうか……なら、俺は朝ごはんを作っているし説明よろしくな」
「おう!」
「ええ!? アタシが作るつもりだったのに!」
(そこかよ!)
少しズレている気がするので内心で突っ込みつつ彼女の面倒を斗真に任せ、俺はだし巻き卵を焼き始める。
ーーー
今日の朝ごはんはワカメと豆腐の味噌汁、だし巻き卵、納豆、白米の安定スタイル。
ただ、ピンク髪の少女が自分も食べたいと言ったので量の計算が少し狂ったが……。
「お、おいしい!」
「どうも」
だし巻き卵を美味しそうに食べる彼女の名前は月川歩(つきかわあゆみ)。斗真が住んでいるアパート近くに住んでいる幼馴染で、今でもよく遊んでいるらしい。
ちなみに俺の方は、昨日たまたまショップで見た少年で「ショップ大会で優勝したから連れてきた』と言ったので……。
「斗真! アンタ赤の他人を連れてきたの!」
「赤の他人って蒼也はいいやつだぞ!」
「それは結果論でもし悪い奴ならどうしたのよ!」
「その時はその時だ!」
『グオォ……』
なんか夫婦喧嘩みたいに言い合っている2人に相棒も呆れている。てか俺もあまり聞きたくないので味噌汁を飲んで誤魔化す。
(まあ、少なくとも月川の言い分は間違ってないな)
斗真の人を見る目や主人公補正は除くとして、一般的に考えれば月川の言っている事は正しい。
なのに家に招くはともかく次の日まで一泊させるのは流石におかしいだろう、と彼女は至極真っ当なツッコミをした。
「ハアァ……。ここまできたら蒼也の方が可哀想ね」
「いや、俺も数日前に星宮市に引っ越してきたから知り合いが出来たのはありがたいぞ」
「へえぇ! じゃあ学校はどこなの?」
「一応、星宮第三高校に入学するよ」
「! オレ達と同じ高校だな!」
「おお、そうなのか(汗)
正座しながらも嬉しそうに笑う斗真にジト目を向ける月川。
うん、俺も気持ちはわかるがこのままだと話が進まないので一言。
「話を戻して。まとめると月川の言い分は間違ってないが、斗真にもやりたい事があるから俺を誘ったんだろ」
「やりたい事? まさか雪ちゃんの治療費!」
「ああ! 前も言ったがデュエリストネクサスで優勝したいんだ!」
「アンタね……。アマでも大型大会ならレベルはかなり高いと思うわよ!」
「それはわかっている! だから蒼也にデュエルの勉強を頼んだからな」
「な、なるほどね」
(いや納得するんかい!)
確かにこの世界ではデュエルの比率は高そうだが、それでも常識ってものはあるだろ!
俺はそう思っているが、斗真の一言で月川が納得してしまう。
「まあ、そんな感じで朝飯を食ってからデュエルをするんだよ」
「そう……。なら、アタシも見るわよ」
「おう!」
『グオォ』
隣にいる相棒に俺は隠れてだし巻き卵を食べさせていると嬉しそうにしている。うん、お前も食えるんだと思いつつ話が纏まったみたいだ。
そして、俺達は準備を整えてアパート近くにあるデュエルコート(テニスコートくらいの大きさ)の場所に移動した。
〈2話〉
アパート近くあるデュエルコート。
今は朝7時過ぎなので人がほとんどいないのでほぼ貸切状態だ。
「よっしゃ! 誰もいないぜ」
「珍しいわね」
『ガオォ』
今は春休み期間なので子供が集まりやすいらしいが、誰もいない事に2人は喜んでいる。
てか相棒よ、めちゃくちゃ楽しそうに咆哮を上げるのはやめてくれ……。
(朝からハイテンションだな)
俺と周りにスピードカウンターが5個くらい離れているようにも見えるが、それはさておき。
俺と斗真はデュエルコートに入り互いに向き合う。
「そんじゃ、まずはお前の実力を見せてもらうぞ」
「おう!」
「斗真、頑張って!」
俺は持ってきたリュックからデュエルディスクとゼアルのアニメ・漫画で出てきたDゲイザーを取り出す。
「いくぞ! デュエルディスクセット! Dゲイザーセット! ターゲットロックオン!」
(おお、主人公キャラがやると様になるな!)
『グオォ!』
隣いる相棒にお前もやれ!と言われるが少し恥ずかしいのでやりたくない。まあ、それはさておきエリアに沢山の数字が現れて特殊なフィールドが形成される。
《ARビション、リンク完了》
「「デュエル」」
・蒼也LP4000VS斗真LP4000
女性っぽい機械音が聞こえた瞬間、俺達はデッキから五枚のカードを引く。そして先行は俺なので展開して行く。
「それじゃあ。オレはマスマティシャンを召喚して効果発動! デッキからクリスタル・ガールを墓地に送る!」
「クリスタル・ガール? 見た感じはあまり強そうなモンスターじゃないわね」
「いきなりか!」
マスマティシャン・ATK1500
近くでコチラを見ている月川は俺が墓地に送った『クリスタル・ガール』を見て疑問符を浮かべている。
だが昨日のデュエルを見ている斗真は少し警戒しているみたいだ。
「さらにカードを2枚伏せてターンエンド!」
手札的にはかなりいいので今は回っている。そう思っていると斗真は勢いよくカードを引いた。
「オレのターン! よし! オレはスピードウォリアを召喚!」
「でた! 斗真の切り込み隊長ね!」
「おうよ!」
(過労死ウォリアか……)
スピードウォリア・ATK900
この世界は前世よりもかなりレベルが低い。
理由はレアカードの値段がクソ高いのが上がれるので、それを考えると低レベルのモンスターでも上手く使えばかなり強くなる。
(まあ、前世のデッキを持ち込んだらチートになるけどな)
ティアラメンツやスプライトみたいなガチデッキを持ち込めば無双はできるだろう。でもそれは世界観をぶっ壊しかねないのと周りからそこまで印象よく持たれないだろう。
なので……って、それはさておき俺はデュエルに集中する。
「そわじゃいくぜ! オレはスピードウォリアでマスマティシャンを攻撃!」
「! まあ、そう来るよな」
「この瞬間スピードウォリアの効果発動! 自身の元々の攻撃力を倍にする! くらえ、ソニック・エッジ!」
「ぐうぅ!」
まるでカポエラのように繰り出される蹴りが反撃しようとするマスマティシャンを粉砕。その余波を受けた俺は腕でガードして防ぎ切る。
・蒼也LP4000→3700
斗真から先制攻撃を貰ったが、俺は戦闘で破壊されたマスマティシャンの効果を発動する。
「やったあ! 斗真が先制攻撃を決めたわ!」
「まあ、そうだが……。オレは破壊されたマスマティシャンの効果で1枚ドロー!」
「! 流石にタダではやられないな!」
斗真はカードを1枚伏せてターンエンド宣言をしたので、ここでさらにカード効果を発動する。
「この瞬間、リビングデットの呼び声を発動!」
「! なんでこのタイミングなのよ!」
「ああっ!」
月川は俺がエンドフェイズに蘇生罠を発動した理由がわからないみたいだが、斗真は何か思ったのか焦り始める。
まあ、この展開は昨日もやったからな……。
「俺が蘇生するのはクリスタル・ガール!」
「え? そんな低級モンスターを呼んでどうするの?」
「いや、蒼也の場合は違う!」
「まあな。そしてクリスタル・ガールの効果発動! デッキからブリザード・プリンセスを手札に加える!」
「!! レベル8のモンスター!」
・クリスタル・ガール・ATK200
コチラがエースを加えた事で向こうは焦り始めるが、斗真はエンド宣言をしているので俺のターンになる。
「では改めて俺のターン!」
「でも! レベル7以上のモンスターを召喚するには2体以上のリリースがいるからこのターンは出せないわ!」
「あ、ブリザード・プリンセスは魔法使い族モンスター1枚をリリースする事でアドバンス召喚できる!」
「えええ!?」
・ブリザード・プリンセス・ATK2800
フィールドにいるクリスタル・ガールは魔法使い族。そのため彼女をリリースしたら大きな杖を持ったお姫様みたいなモンスターが現れた。
って、俺の方にウィンクしてないか?
『グオォ!』
「ど、どうした?」
隣にいるSD化した相棒が吠えているがブリザード・プリンセスはそれをスルー。
そのまま相手の方に向き手に持っている杖を構えた。
「さてとバトル! ブリザード・プリンセスでスピードウォリアを攻撃!」
「ぐっ! トラッ……発動できない!」
「ブリザード・プリンセスは召喚されたターンに相手の魔法罠の発動を封じる!」
「そ、そんな」
「白銀の吹雪!」
ブリザード・プリンセスは手に持った杖を使い相手のフィールドを氷でカチカチに凍らせる。
そのおかげで相手モンスターと伏せカードは固まり、動けないスピードウォリアに杖の一撃が刺さる。
「うわあぁ!」
「斗真!」
・斗真LP4000→2100
モンスターが破壊された事で起きる氷の衝撃波を受けた斗真は地面を転がる。だが彼はすぐに復帰して立ち上がった。
「さ、流石だな!」
「そりゃどうも! 俺はカードを1枚伏せてエンド!」
氷の衝撃波をまともに受けて何事もなく立ち上がれるのタフすぎね?俺にはそんな耐久力はないぞ(汗)。
「ここから巻き返しよ!」
「ああ! オレのターン!」
相手の手札は4枚。普通に考えれば巻き返せる札があればかなり回りそうだな……。
「よし! オレはジャンク・シンクロンを召喚! 効果で墓地のスピードウォリアを特殊召喚するぜ!」
「!!」
・ジャンク・シンクロン・ATK1300
・スピードウォリア・DFF400
フィールドに現れたのはアニメ5Dsの主人公が使っていたカードで、彼が序盤によく見せていた流れ。
俺は次の展開であるシンクロ召喚からのジャンク・ウォリアーが見れるのかとワクワクしていると、斗真はまさかの展開を行う。
「オレはさらに二重召喚を発動して召喚権を一回増やすぜ」
「やった! これで上級召喚できるわ!」
(うん? ここで低レベルモンスターを出さないのか?)
ジャンク・ウォリアーの効果はレベル2以下のモンスターの攻撃力を自身に加える効果。
まあ、異世界なので違うシンクロモンスターがいるかもしれないからスルーするか。
「そうだ! オレは2体のモンスターをリリース!」
「……は?」
「二色の眼を持つ竜よ、我が元に現れ勝利へと導け! アドバンス召喚! 現れろ、オッドアイズ・ドラゴン!」
・オッドアイズ・ドラゴン・ATK2500
相手のフィールドにいた2体のモンスターがリリースされて、現れたのはまさかのオッ素。
確かに弱くはないが、そこはジャンク・ウォリアーだろ!
「やっと来たわねオッドアイズ・ドラゴン!」
「いや、まだ3ターン目だが」
「う、うるさいわね!」
思わずマジレスで突っ込むと月川は顔を真っ赤にしているが、堂々と咆哮したオッドアイズ・ドラゴンの方に振り向き焦り始める。
『クオオ!』
『グオォ!』
(お前も反応するのかい!)
オッドアイズに反応して相棒も咆哮を上げる。てかSD化を解こうするのはやめてくれ。
そう思っていると、斗真が嬉しそうな笑顔を浮かべつつ言葉を口にする。
「オレのエースはどうだ?」
「え、あ、驚いたな」
「だろ! コイツは父さんが誕生日にくれた大事なカードなんだぜ!」
父さんから貰ったカードか……。
俺は少し引っかかりを覚えていると、オッドアイズ・ドラゴンがコチラを睨みつけてきた。
〈3話〉
オッドアイズ・ドラゴン。アニメアークファイブで出番が速攻で無くなったドラゴン。
そいつが今、堂々とフィールドに現れておりコチラを睨みつけてきた。
「まあ、攻撃力はブリザード・プリンセスの方が上だけどな!」
(ヤベェ、負けフラグを立ててしまった)
「それはどうかな?」
うん、綺麗に負けフラグを立ててしまった。
俺は内心で後悔していると、ニヤッと笑った斗真があるカードを発動した。
「魔法カード・破天荒な風を発動! これでオッドアイズの攻撃力は1000ポイントアップする!」
『グオォ!』
(あ、チートドローとかカード変化とかしないのね)
今までの遊戯王主人公ならやらかしそうな状況なので冷や汗を流したが、ある意味普通のカードだったので冷静さを取り戻す。
「やった! これでオッドアイズの方が強くなったわ!」
「ああ、バトル! オレはオッドアイズでブリザード・プリンセスを攻撃! 螺旋のウィンクボルト!」
「!!」
コチラに向かって紫色のブレスを吐くオッドアイズ。対するブリザード・プリンセスは俺に向かってウィンクを飛ばしてきたので、俺は呆れたようにため息を吐く。
「トラップ発動、ハーフアンブレイク! ぐうぅ」
「なっ! オッドアイズの攻撃が防がれた!」
・蒼也LP3700→3350
俺が発動したのは防御罠のハーフアンブレイク。このカードの効果でブリザード・プリンセスは戦闘破壊させれず、俺が受けるダメージも半分になる。
だが半減してもそこそこ余波があるので、さっきと同じく俺は軽い傷を負う。
(しっかし痛みがあるのはやばいな)
質量があるモンスター達が放つ攻撃を受けると当たり前だが怪我をする。てか原作でもよくある光景だったので俺は諦めるよう頷く。
そしてオッドアイズの攻撃が終わったので、なんとか深呼吸をする。
「まさか防がれるなんて!」
「いやいや、2枚の伏せカードがあるのにブラフなのはあまりないだろ」
「確かにそうだろうな! オレはカードを1枚伏せてターンエンド!!」
向こうはさらにカードを伏せた。おそらく片方は防御罠なのはわかるので、俺はどうするか悩む。
すると隣で空いている相棒がオッドアイズを見て吠える。
『グオォ!』
「お前も出たいのか?」
『クォ♪』
確かにコイツを出せば勝つ可能性は高くなるが今の手札では出せない。そう思ってドローすると引いたのは、ピン刺ししている『ギャラクシー・クインズ・ライト』だった。
(ま、マジかよ!?)
『グオォ!』
自分が出られることに喜んている相棒に、俺は手加減を頼みつつ準備を進める。
「いくぞ! 俺は魔導戦士ブレイカーを召喚して効果発動! 3ターン目に伏せたカードを破壊する!」
「なっ! くず鉄のかかしが!」
俺が召喚した魔導戦士ブレイカーが剣に紫色の魔力を纏わせて相手の伏せカードを破壊した。
てかくず鉄のかかしか……。まあ、悪くないな。
「だけど斗真のフィールドには攻撃力3500のオッドアイズがいるわ!」
「確かに今のままだと突破はできないが、俺は墓地に存在するクリスタル・ガールの効果で自身を蘇生させる!」
「な、何をする気だ!」
これで準備は整った!
俺はフィールドに揃うモンスター達を一瞥した後にある魔法カードを発動する。
「こうするんだよ! 俺は魔法カード・ギャラクシー・クインズ・ライトを発動!」
「ぎゃ、ギャラクシー・クインズ・ライト?」
「なんだそれ!?」
この世界ではほとんど使われないカードであるギャラクシー・クインズライト。
てか、見た感じエクストラからモンスターを特殊召喚する人が少ないので使われないのは当たり前か。
「簡単に説明すると、他のモンスターがブリザード・プリンセスと同じレベル8になるんだよ」
「ええ!? でもそんなことをして何になるのよ!」
「それは見てからのお楽しみだ」
「!?」
月川達はかなり驚いているがそれはさておき。俺のフィールドにいる魔導戦士ブレイカーとクリスタル・ガールのレベルが8に変更される。
「そんなわけでいくぞ相棒!」
『グオォ!』
アタフタする向こうをスルーしながら隣にいる相棒に声をかける。すると喜びの咆哮を上げたので、俺は思いっきり叫ぶ。
「俺はレベル8となった魔導戦士ブレイカーとクリスタル・ガールでオーバーレイ!」
「「お、オーバーレイ!?」」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」
突如現れたブラックホールに光の柱となって入って行く俺のモンスター達。そのおかげで中から大型の端型のモンスターが現れた。
「え、エクシーズ召喚ですって!」
「マジかよ!?」
今の状況に斗真と月川は目を点にしているが、隣いた相棒・タキオンは自分の分身が特殊召喚された事にかなり嬉しがっている。
まあ、このままだと変形しないので俺は口上を続けた。
「宇宙を貫く雄叫びよ。遥かなる時をさかのぼり、銀河の源よりよみがえれ! 顕現せよ! そして我を勝利へと導け! No.107!銀河眼の時空竜《ギャラクシーアイズ・タキオンドラゴン》!!」
「クオオォ!!」
俺の相棒でありアニメゼアルを見て初めて惚れたモンスター。それがNo.107銀河眼の時空竜た。
(やっぱりすごい変形だよな!)
頑張って覚えた厨二口上は恥ずかしいところもあるが、今の状況を見るとテンションの方が上がり気にならなくなる。
てか待機状態からモンスター状態になるのがめっちゃかっこいい。
・No.107、銀河眼の時空竜・ATK3000
ちなみにウチのタキオンはOCGの効果+No.耐性があるのでかなり強い。うん、改造ではなく転生した時に変化したらしいので俺は突っ込めなかった。
「なんかめっちゃ強そうな奴が出てきたわよ!?」
「それよりも蒼也! お前、エクシーズ召喚を使えたのかよ!?」
「? エクシーズ召喚はカードさえあれば誰でも使えるだろ!」
「「いやいやいや!?」」
何か彼らとのズレがあるみたいで突っ込まれたが今は置いといて。俺はバトルに入りタキオンの効果を発動させる。
「とりあえずNo.107、銀河眼時空竜の効果発動!」
「グオォ!」
「なっ、オッドアイズの攻撃力が元に戻った!?」
「そ、そんな!」
破天荒な風の効果で上がっていた攻撃力がタキオンの効果で元に戻った。そのため斗真は焦り始めたので、俺はニヤッと笑いながら言葉を吐く。
「てなわけで! ブリザード・プリンセスでオッドアイズを攻撃!」
「ぐっ!」
斗真LP2100→1800
この攻撃で相手を守るモンスターないなくなった。俺は最後にタキオンの方を見ながら頷く。
「これで終わりだ! No.107、銀河眼の時空竜でダイレクトアタック!」
「クオォ!」
「こ、この攻撃が通れば斗真は……」
攻撃力3000の攻撃を受ければライフ1800の斗真は敗北する。そのため月川が祈るような目でコチラを見ていると、相手は立ち上がりリバースカードを発動させた。
「ここで終わってたまるか! トラップ発動、ドレイン・シールド!!」
「なっ!?」
向こうが発動したのは防御罠のドレイン・シールド。効果は相手の攻撃を無効にしてその攻撃力分のライフを回復する。
そのおかげで斗真のライフはタキオンの攻撃力である3000回復した。
斗真LP1800→4800
「ど、どうだ!」
息切れしながらコチラを見る斗真だが、俺はここでタキオンのさらなる効果を発動する。
「悪いがNo.107、銀河眼の時空竜の効果発動! 相手がカード効果を発動した場合、攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
「だ、だけどそいつの攻撃は終わっているぜ!」
「いや、この効果を発動したターンはコイツは2回目の攻撃が可能になる!」
「なんだと!?」「な、なんですって!?」
「くらえ! 殲滅のタキオンスパイラル!!」
「クオオォ!」
先程の一撃とは違い口に紫色の光を溜めているタキオン。そして、コイツが放つ一撃は斗真を大きく吹き飛ばして行く。
「ぐっ、ああ!?」
「斗真!」
斗真LP4800→800
攻撃力が4000となったタキオンの一撃を受けた相手は地面を転がって行く。
(これで決着か?)
手加減しているとはいえこの一撃をマトモに受けた斗真が立ち上がれるか怪しい。
てかやりすぎた感じがするのでヒヤヒヤしていると、ボロボロだが立ち上がり笑顔を浮かべる相手がいた。
「こんな奥の手を隠しているなんてな!」
「お前……」
「さあ蒼也、次は何をする気だ?」
(本当に主人公かよ)
冷や汗を流す俺は手札のカードを1枚伏せる。そして、ここで俺は斗真を睨みつけながら一言。
「さあこい、主人公《ヒーロー》!」
「ああ、行くぜ! 師匠《マスター》!」
(ちょい待って!? 俺別にお前の師匠じゃないぞ!)
相手の手札は0枚で次のドロー次第。
ここで運命が別れると思っていると予想外の展開になったので思わず突っ込んでしまった……。
〈4話〉
斗真の手札とフィールドは0。普通に考えれば絶体絶命だが、向こうは笑っておき気が抜けない状態。
なので俺は緊張していると斗真はデッキからの勢いよくカードを引いた。
「オレのターン! きたぁ! オレは魔法カード、逆境の方札を発動!」
「そ、そのカードは!」
「ああ! コイツの効果でデッキからの2枚ドロー!」
逆境の方札はアニメオリカ。
自分フィールドにモンスターが存在せず、相手に特殊召喚されたモンスターが存在する場合に2枚ドローできるカード。
ぶっちゃけ初手でつかえばかなり強いので個人的に欲しいが、それとは別になんかやばい気がする。
「おっしゃあ! オレは魔法カード、死者蘇生を発動して効果でオッドアイズを蘇生させる!」
「ここで死者蘇生を引いたのか!」
「ああ! さらに魔法カード、フォースを発動してブリザード・プリンセスの攻撃力を半分にするぜ!」
「!? これで攻撃力が逆転したわね!」
「ああ、これでオッドアイズの攻撃力は3900だ!!」
しかもオッドアイズは戦闘で破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える効果を持っている。
すなわち……。
「この攻撃を受ければ俺は負けだな」
「ああ! これで終わりだ!」
「!!」
逆転のカードを引いて周りが見えてないのか斗真はバトルに入る。そしてオッドアイズがブリザード・プリンセスに攻撃を仕掛けた。
「いけ、オッドアイズ! 螺旋のウイングボルト!!」
「グオォ!」
「いけえぇ!」
オッドアイズから放たれる極太のブレス。もちろん弱体化したブリザード・プリンセスは防御もままならない。
だが俺は冷や汗をながしながらこのタイミングで伏せカードを発動する。
「リバースカードオープン! ブレイクスルースキル!!」
「そ、そのカードは!」
「対象はオッドアイズでエンドフェイズまで効果を無効にする!」
「ええ!?」「!?」
ブレイクスルースキルの効果無効は戦闘自体には関係ない。だがオッドアイズの効果が無効になった為、追加効果を発動できず俺を倒しきれない。
「これで、ぐあぁ!?」
ただし戦闘ダメージをモロに受けた俺は綺麗に吹き飛んでいく。そして地面に転がりつつ、なんとか受け身を取る。
(な、なんて衝撃だよ)
蒼也LP3350→850
今度は俺がボロボロになるが立ち上がり、心配するタキオンの方を見て頷く。
「ここで仕留めきれなかったか!」
「でもまだチャンスはあるわ!」
「そうだよな! オレはこれでターンエンド」
フォースの効果でオッドアイズの攻撃力は元に戻ったので、俺は少しフラフラになりながら考える。
(手札のアクア・マドールを召喚してタキオンでオッドアイズを倒せば勝てるが)
それだと勝てるが面白くないので、俺はタキオンをチラッと見ると視線を合わせてくれた。
なので俺は笑ってデッキからカードを引く。
「行くぞタキオン!」
「クオォ!!」
「俺のターン!!」
この状況で引いたカードは……破天荒な風。奇しくも斗真がエースを強化した魔法カードだ。
(これも運命なのか?)
俺は自分の運がいいのか?と思いながら斗真の方に向く。
「悪いなヒーロー、俺の勝ちだ!」
「そうかよ! ならやってみろ!」
この状況で嬉しそうに笑う斗真。俺は久しぶりにデュエルが楽しいと思いながらドローしかカードを発動する。
「俺は魔法カード、破天荒な風を発動! その効果でタキオンの攻撃力を上げる!」
「!? これであのドラゴンの攻撃力は4000ね……」
「そ、そう来たか」
破天荒な風を発動した時、相手は驚いていたが俺は笑顔ままタキオンに指示を出す。
「バトル! 俺はタキオンでオッドアイズを攻撃! 殲滅のタキオンスパイラル!!」
「お、オッドアイズ!!」
向こうのオッドアイズが口に溜めたブレスを吐くが、コチラの紫色の光線が貫き倒れて行く。
だがそのタイミングでオッドアイズが斗真を守るように倒れる。
「ぐっ、あぁ!?」
「と、斗真!」
斗真LP800→0
勝者、桐原蒼也
『ARビション解除完了』
始まった時と同じく女性っぽい機械音が流れてARビションが解除された。
(なんとか勝ったか)
このデュエルはピンチな場面もありしんどくなったが最終的には楽しかった。
なので俺は斗真に駆け寄る月川を尻目に彼に近づく。
「このデュエルはどうだった?」
「ハッ、わかっているのに聞くのかよ!」
「一応確認したいだけだ」
立ち上がる斗真の顔は笑顔というよりも満遍な笑みなのでかなり嬉しそうだ。
まあ、俺もかなり楽しかったので思わず笑顔を浮かべる。
(こういうデュエルも面白いよな)
前世では先行制圧やソリティアでジャンケンゲームになっていた遊戯王だが、こうやってモンスターの殴り合いで決着がつくのも面白い。
俺はそう思っていると、月川が不思議そうにコチラを見ながら頭を傾けた。
「そういえば蒼也はなんでエクシーズ召喚が使えるの?」
「え? そんなのエクシーズモンスターを持っているからだろ」
「あー、確かに! ってそんなわけないだろ!?」
「? そんなにおかしいことなのか?」
俺の返答に何か勘付いたのか斗真が立ち上がる。そして2人はコチラをじっと見ながら言葉を続けた。
「当たり前よ! ってかEXデッキからの特殊召喚は高等技術で普通のデュエリストがポンポン使える物ではないわよ!?」
「それにカード自体もかなり高額だからオレ達じゃ手が出しにくいしな」
「あー、ソユコトか!」
昨日の大会でもEXデッキを使っているやつはいなかった。それを思い出して俺も理解できたので空を見上げた。
そして彼らからこの世界の常識を知る事になって行く。
〈余談〉
今知ったが、EXデッキからモンスターを特殊召喚する技術はこの世界ではかなり高度な物らしい。
遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ)基準のデッキは何がいいか(世界観は序盤のアークファイブくらいのレベル➕エースはタキオン)
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・エース以外は現地調達
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・ストラクデッキ一個
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・現実でもガチガチの環境デッキ
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・アニメキャラのファンデッキ
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・攻撃力1000以下のモンスター縛り