Q、遊戯王の主人公ぽい奴と出会った場合は?   作:黒霧春也

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 前の二つの作品とは別の新作短編です。


・新規の短編(1話)デュエルアカデミアでの一幕

 ピビビとなる目覚まし時計。その音を聞いていつも通り目を覚ますが……。

 俺の目に映るのはボロアパートの茶色い天井ではなく、コンクリートのような真っ白な天井だった。

 

「こ、ここはどこだ?」

 

 昨日は深夜までに仕事を終わらせ、ふらふらになりながら自宅のボロアパートに帰ったはず。

 

「わけがわからん」

 

 ブラック企業の社畜が見覚えのない部屋。てか、誘拐しても旨みが少ない俺を誰がさらうんだ?

 まあでもこのまま寝ていても仕方ないから起き上がった方がいいよな。

 

「何か気になる物は……」

 

 部屋を見た感じシンプルな家具が置いてあり、テーブルの上には見覚えのある()()()()()()()()()()()()()()()みたいな物が置かれていた。

 

「いや、そんなわけないよな」

 

 首を振りながら黒い箱を開けると、中には遊戯王デュエルモンスターズのカードが入っていた。

 しかも一番前に入っていたのは、俺が大事にしていた相棒『No.107 銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオンドラゴン)』のカード。効果はOCGのままだがアニメのナンバーズ耐性が付与されていた。

 

「デッキの内容もタキオン特化型に近い……。って、そんな事を言っている場合じゃない!」

 

 遊戯王のカードはともかく、ここはどこだよ!

 部屋の中を見ても特に変わった物がないし、鏡を見たら高校生くらいに若がっていたし、マジでどういう事だ。

 

「一周回って意味がわからん」

 

 今の流れ的に遊戯王の転生した事は間違いなさそう。

 そうなると何処のシリーズに転生したかによって対策は変わる。

 

「タキオンがあるって事はゼアル以降の可能性が高いよな……」

 

 エクシーズはゼアルで出てきた召喚法で5Dsまではない。

 ならある程度は縛られそうだと思っていると、誰かが部屋のドアを叩いているのかドンドンと大きな音が聞こえた。

 

「蒼真、そろそろ起きないと入学式に遅刻するわよ!」

 

「あ、はーい!」

 

 外から聞こえてきた声は実家にいる母親の声。ただ少し若く聞こえる気がするが……。

 そう思いながら俺はタンスを開けると、青いブレザーやワイシャツが入っていたので戸惑いながら着替えていく。

 

「てか、入学式ってなんだ?」

 

 二年前に大学を卒業しているのにまた入学でもするのか?

 うん、よくわからないが夢かもしれないし楽しむだけ楽しんだ方がいいかもしれないな。

 

「さてと、着替え終わったし行きますか」

 

 テーブルに置かれていたデッキケースとタブレットを鞄に入れ、不安とワクワクが入り混じりながら部屋のドアを勢いよく開けた。

 

 ーー

 

 少し若返った以外は、前世と見た目が変わらない両親の車に乗り込み向かった先は、デュエルアカデミア・光宮校と呼ばれる学園だった。

 

「マジでデュエルアカデミアだったとは」

 

 入学式が終わった教室内。

 そこでは三十人ほどいる生徒達がワイワイと話しており、その内容の大半はデュエルモンスターズに関する話題。

 どのプロデュエリストが次の大会を優勝するかとか、デュエルディスクのメーカーがどうとか、ぶっちゃけ話についていけないんだが。

 

「どうしようかな……」

 

「ねえ、そこの塩顔君。少しいいかしら?」

 

 こう騒がしいとハブられた感じがするから居心地が悪いな。

 まあでも話す相手もいなから仕方ないのはあるし、適当に持ってきた本でも読むか。

 そう思って顔を上げた時、目の前にピンクのブレザーに包まれた慎ましい胸が目に映った。

 

「……え?」

 

 そのまま顔を上げると金髪ロングヘアの少女がジト目を浮かべていた。

 彼女の目線を受けて頭を傾けると、向こうはジト目のまま不機嫌そうに口を開く。

 

「声をかけているのに無視するなんて酷くないかしら?」

 

「うーん、名前を呼ばれた記憶がないんだけど?」

 

「名前なんてさっきから塩顔君って呼んでたじゃない!」

 

「塩顔は名前じゃない!」

 

 誰かに名前を呼ばれた記憶がないのに、それで無視していたって言われても知るわけないだろ!

 

「そう? なら名前を教えなさいよ!」

 

「他人に名前を聞く前に君の名前を言ってくれよ」

 

「確かに……アタシの名前はゆうさかはるか(遊坂遥)よ」

 

「遊坂さんか。俺その辺にいる脇役のきりさめそうま(霧雨蒼真)だ」

 

「へえ、蒼真ね。なんか雰囲気的に面白くなりそうな感じがするわね」

 

 よし、遊戯王あるあるの話が通じない相手じゃなくてよかった……。

 というか遊戯王の謎理論でわかるなら、リアリスト寄りの俺には無理な話だ。

 

「お、おう。それでなんで俺に声をかけてきたんだ?」

 

「別に、中等部で見た事ない顔だったから少し興味を持っただけよ」

 

「それなら他のやつでもいいだろ」

 

 高等部編入組は他にも以外にもいるはずなのに、わざわざ俺に声をかけてきた理由が思い浮かばないが……。

 

「確かにそうだけど! それよりも貴方、アタシのデュエル相手になりなさい!」

 

「別にいいけど……」

 

「あら、もしかして学年5位であるアタシの前に怖気付いたのかしら?」

 

「うーん、別件で気になる事があるだけだ」

 

「そう」

 

 さっき調べたがこの世界はゼアルの世界と同じARビジョン。

 つまり衝撃が発生するデュエルだし、相手は学年5位の相手でボコボコにされるかもしれない。

 でもこの世界の実力を知った方がいいと思っていると、クラスメイト達が興味深そうにコチラを見てきた。

 

「おお、学園7位がデュエルするらしいぞ!」

 

「相手は、ランカーではなさそうだな」

 

「見た目は整っているけどデュエルの腕はどれくらいかしら?」

 

 ちょっ!? 悪ノリするのもいい加減にしてくれ。

 そう思って目を逸らしていると、担任の女教師が教室の中に入ってきた。

 

「帰りのホームルームの時間。え、なんでこんなに盛り上がっているんだ?」

 

「阿笠先生! 学園7位の遊坂さんがデュエルするらしいですよ!」

 

「なるほど、なら放課後にデュエル場に移動するといい!」

 

「なんでそうなるんだ……」

 

 明らか面倒な気もするが、初めてのリアルデュエルは面白そうではあるか。

 俺はクラスメイト達の盛り上がりを見て引きつつ、教卓の前に立つ阿笠先生の方に目線を映す。

 

「デュエルは遊坂VS霧雨の対決でいいんだな」

 

「ええ」「はい」

 

「よし、ならデュエル場は私の方から予約しておくぞ」

 

「わかったわ!」「ありがとうございます」

 

 今のデッキで何処までやれるかわからないが、俺は覚悟を決めながらデュエルに望んだ。

 そしてこのデュエルがキッカケで遊戯王特有の問題に巻き込まれていくとは、この時の俺は気づかないのだった。

 

 ーーー

 

 デュエルアカデミア内にあるデュエル場は、アニメとかで出てきた野球ドームみたいな感じなんだな。

 

「物珍しそうにしてどうしたの?」

 

「別になんでもない」

 

「そう、なら始めるわよ!」

 

「ああ!」

 

 俺達のデュエルに興味を持ったのか集まる生徒や彼らの親御さん。

 その中で遊坂は堂々としながらデュエルディスクを展開したので、コチラも同じ行動をとる。

 

「「デュエル!!」」

 

 霧雨LP4000VS遊坂LP4000(ルール、マスタールール3)

 

 俺達の周りに0から9の数字が湧き上がった。

 その姿に感動しつつ、左目につけたDゲイザーのズレを治していく。

 

「これは、完璧な手札ね」

 

「え?」

 

「まずはフィールド魔法・竜の渓谷を発動するわ!」

 

 遊坂が竜の渓谷を発動した事で周りの風景が断崖絶壁へと変わり、ARビジョンとわかっていても怖い。

 

「アタシは竜の渓谷の効果発動。手札を1枚捨ててデッキからドラグニティ-セナートを手札に加えて通常召喚! そのまま自身の効果を発動!」

 

「マジかよ……」

 

 すごい回ってないか?

 というかしれっとセナートの効果でレムスが墓地に落ちて、デッキからファランクスが呼び出されたな……。

 

「さらに手札のドラグニティ-レガトゥスは自身の効果で特殊召喚するわ。そして墓地のドラグニティ-レムスも自身の効果で墓地から特殊召喚が出来る!」

 

「が、学年5位の実力は伊達じゃないな」

 

「遊坂はトップスだから強いカードが手に入れやすいのもありそうね」

「羨ましい話だ」

 

 装備扱いされているファランクスは自身の効果でフィールドに現れ、これで遊坂の場にはモンスターが四体。

 しかもチューナーが二体いるのでおそらく……。

 

「レベル4のレガトゥスにレベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚・レベル6! 現れてドラグニティナイト-ヴァジュランダ!!」

 

『グオォ!!』

 

 ドラグニティナイト-ヴァジュランダ

 ATK1900/DFF1200(攻撃表示)

 

 二体のモンスターが力を合わせるように光になり、合体した姿は細身だがしっかりととした体格の赤いドラゴン。

 レベル6のシンクロモンスターにしてはステータスは低めだが、コイツは効果が強いタイプだったはず。

 

「アタシはヴァジュランダの効果を発動して墓地に存在するファランクスを自身に装備させるわ!」

 

「それでヴァジュランダの攻撃力が倍になる効果が発動できるのか」

 

「へえ、コチラのモンスターの効果を知っているよね」

 

「まあな」

 

 ドラグニティデッキは前世で組んだ事があるので大体は覚えている。

 まあ、その経験からして遊坂の手札はかなりよかったのが理解出来るのが辛いところだが。

 

「まあいいわ! アタシはレベル4のセナートにレベル2のレムスをチューニング! シンクロ召喚・レベル6! 現れてドラグニティナイト-ゲイボルグ!」

 

『コゴォ!!』

 

「おいおい、連続シンクロ召喚をやり遂げだぞ!」

 

「それって高等技術だよな!」

 

「ああ、プロレベルじゃないと難しいと聞くわね」

 

 え?連続シンクロでプロレベルなの?

 なんかチグハグでわからなくなってくるが、この世界で少なくともレベル6のシンクロモンスターが二体いるのは厄介みたいだな。

 

「アタシはカードを一枚伏せてターンエンド! さあ貴方のターンよ!」

「お、おう。俺のターン!」

 

 向こうは連続シンクロで手札を使い切った状態。ならコチラもガンガン攻める方が良さそうだな。

 

「俺は魔法カード、龍の霊廟の効果発動! デッキから竜核の呪霊者とドラゴン族モンスター1体を墓地に送る!」

 

「アイツも墓地にモンスターを送ったぞ!」

 

 外野が何か盛り上がっているが気にする余裕はないので、次の展開を進めていく。

 

「俺は魔法カード・復活の福音を発動して墓地の竜核の呪霊者を守備表示で特殊召喚」

「守備力3000。でもコッチには攻撃力を倍にするヴァジュランダがいるわ!」

「それはそうだが、ヴァジュランダが生き残ったらな」

「え?」

 

 竜の鱗を纏った女戦士こと竜核の呪霊者。

 ARビジョンで見るとかなりの美女なので気になる……。うん、今こっちに微笑んだような?

 

「続いて手札の星間竜パーセクはフィールドにレベル8のモンスターが存在する場合、リリースなしで召喚が出来る!」

「でもそいつの貧弱な攻撃力で何ができるの?」

「まあ、みてろ」

 

 パーセクの攻撃力は800だがこれで条件は整った。

 俺は一つ息を吐いた後、フィールドに並ぶ自分が召喚したモンスターに頷く。

 

「俺はレベル8の竜核の呪霊者にレベル8の星間竜パーセクでオーバレイ! 二体のモンスターでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚、 現れろランク8! 神竜騎士フェルグラント!!」

「! ランク8のエクシーズモンスター」

 

 神竜騎士フェルグラント

 ATK2800/DFF1800(攻撃表示)

 

 俺の前に現れたのは、ピカピカと光る白銀の鎧を着た金髪のイケメンの竜騎士。

 ARビジョンでは初めて見るが、かなりイケメンで羨ましくなってくる。

 

「アイツ、ランク8のエクシーズモンスターを呼び出したぞ!」

「ただの塩顔じゃないわね」

「しかも遊坂のモンスターよりも攻撃力が上だぜ!」

 

 確かに素の攻撃力はフェルグラントが上回っているが、相手のドラグニティナイト達は自身の効果がある。

 そうなれば返り討ちにあうのはコチラだが……。

 

「バトル! 俺は神竜騎士フェルグラントでドラグニティナイト-ヴァジュランダを攻撃!」

「何があるかわからないけどヴァジュランダの効果発動! 自身に装備されているファランクスを墓地に送り攻撃力を倍にするわ!」

 

 ドラグニティナイト-ヴァジュランダ

 ATK1900→3800

 

 このままだと攻撃力2800のフェルグラントは返り討ち。

 まあでもこの状況はコチラが演出したので、俺は落ち着きながらフェルグラントの効果を発動する。

 

「ここで神竜騎士フェルグラントのX素材を一つ取り除いて効果を発動! ヴァジュランダの効果を無効にさせてもらう!」

「! そうなるとヴァジュランダの攻撃力は元に戻るのね!」

「その通り!」

 

 ドラグニティナイト-ヴァジュランダ

 ATK3800→1900

 

 フェルグラントの盾から放たれる光を受けたヴァジュランダの攻撃力は元に戻り、そのまま真っ二つに切り裂かれて破壊された。

 

「ぐうぅ!」

 

 神竜騎士フェルグラント・ATK2800

 VS

 ドラグニティナイト-ヴァジュランダ・ATK1900

 

 遊坂LP4000-900=3100

 

 ダメージが発生した事で遊坂は突発を受けるが、足に力を入れて踏ん張っていた。

 うん、彼女のスカートの下が短パンで良かった……。

 

「フフッ、やっぱりアタシの見る目は間違ってなかったわね」

「そうかよ。なら俺はカードを2枚伏せ、墓地のセイファードの効果で自身を除外して竜核の呪霊者を手札に戻してターンエンド!」

「まった! アタシは永続罠・ドラグニティ・ドライブを発動して墓地にいるファランクスをゲイボルグに装備させるわ!」

「ここでドライブかよ……」

 

 個人的に一番来て欲しくなかったカード。ただ発動を止める手段はないのでこのまま通すしかない。

 俺はもどかしい気持ちになりながら、自信満々な遊坂にターンを返してしまうのだった。

 

 ーー

 

〈ターン3〉

 

・遊坂遥、LP3100、手札1枚

〈フィールド〉

・ドラグニティナイト・ゲイボルグ

〈魔法・罠〉

・竜の渓谷〈フィールド魔法〉

・ドラグニティ・ファランクス〈ゲイボルグに装備されている〉

・ドラグニティ・ドライブ〈永続罠〉

 ーー

・霧雨蒼真、LP4000、手札3枚(1枚は竜核の呪霊者)

〈フィールド〉

・神竜騎士フェルグラント

〈魔法・罠〉

・伏せカードが2枚

 

 状況的には俺の方が有利なのに、遊坂の目は死んでいるどころか輝いてないか?

 

「来た! アタシは竜の渓谷の効果を発動して手札を1枚捨ててデッキからドラグニティ-ギサームを手札に加える。そして装備カード状態のファランクスを場に出すわ!」 

 

「これでまたシンクロ召喚が出来るんだよな!」

 

「ええ! アタシはレベル6のゲイボルグにレベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚・レベル8! 現れなさい、ハーピィ・レディ、SC!」

 

 シンクロ召喚の光の柱から現れたのは三メートルを超す緑の鱗を持つハーピィレディ。

 コイツの効果も面倒だが、正直クリスタルウィングよりはマシなのでホッとしてしまう。

 

「ホッとしているところ悪いけどバルーチャの効果発動! 墓地にあるドラグニティのチューナーモンスターを好きなだけ装備するわ!」

 

「リバースカードオープン・神の宣告!」

 

「! ここでそのカードを発動するの!?」

 

「あ、あたり前だ!」

 

 霧雨LP4000→2000

 

 神の宣告の効果でバルーチャは破壊されるが俺のライフも半分になる。

 というよりもダメージを受ける時の体の痺れ感がやばい……。

 

「でもまだ終わってないわ! アタシは墓地のドラグニティアームズ-グラムの効果を発動! 墓地に存在するゲイボルグとバルーチャを除外して自身を特殊召喚するわ!」

 

「! ここでそいつかよ!」

 

「そうよ! さらにグラムの効果でフェルグラントの効果を無効にするわ!」

 

 ドラグニティアームズ-グラム

 ATK2900/DFF2200

 

 ここでフェルグラントの効果を無効にしてくる……!

 向こうの残り手札はギサームだから、流れ的にレベル10のアイツが出てくるよな。

 

「チイィ! 俺はフェルグラントの効果で自身を守る!」

 

「へえ、そんな事も出来るのね。でもこれで妨害は無くなったわね!」

 

「!」

 

 グラムの一撃はフェルグランド自身を守るバリアに弾かれるが、その展開は予測していたのか、遊坂は嬉しそうに頬を緩ませた。

 

「これでやっと動ける。アタシはギサームを通常召喚して効果発動! 墓地のセナートを効果を無効にして特殊召喚するわ!」

 

「そろそろ展開をやめて欲しいんだけどな……」

 

「悪いけどアタシは止まらないわよ!」

 

「そうかよ」

 

 妨害札を使ったのにまだ回るかよ。

 てか相手のフィールドにまたチューナーが現れるとか、いい加減にしてくれ!

 

「いくわ! アタシはレベル4のセナートにレベル3のギサームをチューニング! シンクロ召喚・レベル7! 現れてドラグニティナイト-ゴルムファバル!!」

 

「やっぱりそうくるよな!」

 

「ええ! アタシはここでゴルムファバルの効果を発動して墓地に存在するギサームを自身に装備するわ! そして永続罠のドラグニティドライブの効果で墓地のファランクスを追加で装備!」

 

 ドラグニティナイト-ゴルムファバル

 ATK2600/DFF2300(攻撃表示)

 

 見た目はギサームが進化した姿っぽい大きなツノが生えた緑色の翼竜なのにやっている事がわりかしえぐい。

 

「まだまだ! アタシなゴルムファバルの効果でファランクスを墓地に送って貴方の墓地にあるパーセクと神の宣告を除外するわ!」

 

「ハハッ、マジかよ」

 

「あ、さらにギサームの効果で自身をフィールドに特殊召喚するわ!」

 

「もういい加減にしろ!」

 

 ほぼ最高値の周りじゃねーか!

 ここまで動かされると止めるにも止めきれないからどうしようもない。

 

「なんかこのデュエルの攻防がすごくないか?」

 

「ああ、塩顔の妨害を突破するのは流石ランカーだな」

 

「というかこのデュエルはなかなか見れる物じゃないわよ!」

 

「オレもそう思うぜ」

 

 観客席の方もかなり盛り上がっているのか歓声が聞こえてくる。ただ、その声と今の現実を見て苦笑いしか浮かべられないから少し泣きたくなった。

 

「これで最後よ! アタシはレベル7のゴルムファバルにレベル3のギサームをチューニング! シンクロ召喚、レベル10!! 現れなさいドラグニティナイト-アスカロン!!!」

 

「ついに来やがったか!」

 

 ドラグニティナイト-アスカロン

 ATK3300/DFF3200(攻撃表示)

 

 最後に現れたのは白銀の装甲に8枚の翼が生えた大型のドラゴン。正直あの状況と妨害でここまで回ると思ってなかったが、アイツの自力と運でここまで回るとは……。

 

「なんとか到達できたわ」

 

「どんだけ運があるんだよ……」

 

「たまたまよ! それよりも覚悟はいいかしら?」

 

「覚悟なんてしたくないんですが!」

 

 ただ相手フィールドに存在するグラムとアスカロンはフェルグラントよりも攻撃力が高い。

 しかも自身の効果で墓地に存在する復活の福音の効果を受けないから……。

 

「バトル! アスカロンでフェルグラントを攻撃!」

 

「させるか! 速攻魔法、収縮でアスカロンの攻撃力を半分にする!」

 

「!? ここで収縮!」

 

 アスカロンは天高く飛び上がり落下攻撃を仕掛けてきたが、コチラが発動した収縮の効果を受けて攻撃力が下がった。

 

 ドラグニティナイト-アスカロン・ATK1650

 VS

 神竜騎士フェルグラント・ATK2800

 

 遊坂LP3100−1150=1950

 

 相手の攻撃をフェルグラントは盾でいなした後、カウンターの一撃でアスカロンを仕留めたが……。

 

「まだよ! アスカロンの効果でEXデッキからドラグニティナイト・ゲイボルグをシンクロ召喚扱いで特殊召喚!」

 

「ぐっ! 止める手段が!」

 

「流石に打ち止めよね!」

 

「!」

 

 コッチの伏せカードはゼロ。

 相手のモンスターは二体揃っており、このままだと攻撃を受けて俺は負ける。

 

「いくわ! ゲイボルグで攻撃する前に自身の効果で墓地のレガトゥスを除外して攻撃力を上げるわ!」

 

「攻撃力3800……」

 

「今度こそ! アタシはゲイボルグでフェルグラントを攻撃!!」

 

「迎え撃てフェルグラント!」

 

 ドラグニティナイト・ゲイボルグ・ATK3800

 VS

 神竜騎士フェルグラント・ATK2800

  

 霧雨LP2000−1000=1000

 

 ここまでの戦いでフラフラになっているフェルグラントは、攻撃力が上がったゲイボルグの前についに倒れてしまった。

 

「ま、まだだ! この瞬間、手札の妖醒龍ラルバウールの効果で自身を守備表示で特殊召喚する!」

 

「なら、グラムでその雑魚モンスターを攻撃!」

 

「す、すまないラルバウール……」

 

 守備力0のラルバウールはグラムの一撃で沈んでいったが壁の役割は果たしてくれた。

 そのおかげでなんとかライフが残り、俺のターンが回ってきそうだ。

 

「これでも詰めきれないの!」

「そりゃ負けたくないからな」

「へぇ、アタシも同じ気持ちよ!」

「ならよかった」

 

 向こうもボロボロになりながらも嬉しそうに笑っている。

 その姿を見て俺も思わず笑ってしまうが、勝負は決まってないから気を引き締める。

 

「アタシはここでターンエンド! さあ、貴方の本気を見せてきなさい!」

「ああ、思いっきり行かせてもらう!」

 

 このドローで運命が決まる。

 そう思いながら俺はデッキトップに手を置き、思いっきりカードを引いた。

 

「俺のターン!!」

 

 ここで引いたカードはトレード・イン。まだ勝利の女神は俺を見捨てないみたいだな。

 

「俺はトレード・インを発動して手札の竜核の呪霊者を墓地に送り2枚ドローする!」

「!? その展開は!」

 

 これでやっと勝利の方程式は完成した。そう思った俺は手札のカードを使ってフィールドを整えていく。

 

「さらに手札にある星雲龍ネビュラの効果を発動! コイツの効果で自身と限界龍シュバルツシルトを特殊召喚させてもらう!」

「この土壇場でレベル8のモンスターが2体ですって!」

 

 ギリギリの展開で素材が揃い、向こうは驚いているが表情は笑顔のまま。その姿は美しいが幕引きは必要なので……。

 

「レベル8の星雲龍ネビュラと限界流シュバルツシルトでオーバレイ! 宇宙を貫く雄叫びよ。遥かなる時をさかのぼり、銀河の源よりよみがえれ! 顕現せよ! そして我を勝利へと導け! エクシーズ召喚! 現れろランク8、No.107 銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオンドラゴン)!!」

「なっ!? こんなモンスター見たことがないわ!」

 

 No.107 銀河眼の時空竜

 ATK3000/DFF2500(攻撃表示)

 

 遊戯王ゼアルの時と同じ変化モーション。

 その姿を見て思わずこのカードを相棒にして良かったと心から感動する。

 

「コイツで幕引きだ! バトル開始時にNo.107 銀河眼の時空竜の効果を発動!!」

「え!? この光はなに!?」

 

 モンスターの姿から待機モードに変化。

 その時に放たれる光で周りにいるモンスター達の効果が無効になっていく。

 

「この効果でモンスター効果は封じた! バトル、No.107 銀河眼の時空竜でドラグニティナイト-ゲイボルグを攻撃!」

「で、でも! この攻撃を受けてもアタシのライフは残るわ!」

「この瞬間、速攻魔法・虚栄巨影を発動! タキオンの攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

「なんですって!?」

 

 速攻魔法の効果で攻撃力が上がったNo.107 銀河眼の時空竜は、口に紫色の光を溜めながらゲイボルグを睨んだ。

 

「これで終わりだ! 殲滅のタキオンスパイラル!!」

「キヤァァ!?!?」

 

 No.107 銀河眼の時空竜・ATK4000

 VS

 ドラグニティナイト-ゲイボルグ・ATK2000

 

 遊坂LP1950−2000=−50

 

 勝者、霧雨蒼真。

 

 ーー

 

 決着がついたことでARビジョンが解除され、断崖絶壁から元のドーム会場に戻った。

 

「な、なんとか勝てた……」

 

 今のデッキでドラグニティの相手はきつい。というか勝ててよかった……。

 

「あー、もう! あとちょっとだったのに!」

「ハハッ、悪いが今回は俺の勝ちだな」

「ならもう一回勝負よ!!」

「ちょっ!? 少しは休憩させてくれ!」

 

 流石にしんどいので休憩したい。

 そう思っていると観客席にいる生徒達が目を輝かせており、腕にデュエルディスクを装着していた。

 

「なあ、オレ達もデュエルをしないか?」

「いいわね!」

「僕のデータデッキの強さを見せてあげます!」

「それならパワーデッキで迎え撃ってやる!」

 

 ガヤガヤと盛り上がる生徒達。

 その姿を見ながら俺は立ち上がり、彼らの方を見ながら叫ぶ。

 

「よし! みんなでデュエルをやるぞ!」

「「「おう!!」」」「「「ええ!!」」」

「アタシとの再戦が先よ!」

 

 前世のブラック企業で働いていた時とは違う楽しさと満足感。

 それがここまで面白いのは気持ちいいと思いながら、俺達は満足するまでデュエルを続けていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ)基準のデッキは何がいいか(世界観は序盤のアークファイブくらいのレベル➕エースはタキオン)

  • ・エース以外は現地調達
  • ・ストラクデッキ一個
  • ・現実でもガチガチの環境デッキ
  • ・アニメキャラのファンデッキ
  • ・攻撃力1000以下のモンスター縛り
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