救世のハーレムメイカー   作:夢泉

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たくさん評価頂きました…!
本当にありがとうございます!


3話:とりま説得へ

 

 

「あー、その何だ。せっかく集まってもらった所悪いんだが、まずは俺一人で説得してくるよ。それが一番正攻法で確実で、何より文明的で平和的だからな」

 

 視線を宰相に合わせながら言う事で、“毒殺よりは”と暗に伝える。

 だが。

 

「ミスル様……そんなに見つめられると照れてしまいます。いくら私が国一番の美貌の持ち主だからって……」

 

 両の頬に手を当てて可愛らしく「キャッ」とか宣いやがる。

 めちゃくちゃ腹立つな、こいつ。絶対俺の言わんとするところを理解していて、その上でこういう態度で返している。

 顔は美人の癖に、性格が国一番のド畜生だ。

 

「駄目だった時の案は幾つか考えておいてくれ。それじゃ」

「仮に死んでしまっても、アンデッドにして馬車馬のように使い潰してあげますからね」

「ふざけんな。何が何でも絶対生還してやる」

 

 確かに妹も勇者も難敵だが、このクズ共に任せて何か事態が好転するとは微塵も思えない。なので、自己紹介やら会議やら一通りの事を一切せずに足早に切り上げた。

 もう俺だけで何とかした方が数百倍マシだと腹を括ったのだ。

 あ、クローンショタ勇者くんだけは連れて行く。このクズ共の傍にいたら、間違いなく純粋無垢な心が汚染されるからな。

 

 

◇◇◇

 

 

 勇者夫婦が住まう、国外れのポツリと一軒家に向かう道中のこと。

 俺はクローンくんから色々と事情を聞き出す事にしたのだが。

 

「んで、お前名前は?」

「名前、ですか?」

 

 もうこの時点で嫌な予感しかしなかったよね。

 

「他の人から呼ばれるやつだよ。お前に何か言ったり頼んだりするときにさ」

「……? サードと呼ばれていましたが」

 

 はいクソ。

 サード。つまり3番目。数字でしか読んでないのも論外だが、これってつまりセカンドがいるってことじゃん。失敗作で廃棄されたとか無いよね? もうそれ普通に滅亡フラグなんだが。『廃棄処分されたクローン勇者なので世界を滅ぼす魔王になりました。』みたいな追放モノの英雄譚が始まっちゃうよ??

 とりあえず帰ったら王様タコ殴りにして、そんでセカンドを探す。ファーストはオリジナルであるディン自身の事を指すと信じたい。

 

「よし。じゃあ、俺がお前の名前を考えてやる」

「……え?」

「嫌か? 嫌ならやめるが」

「……えっと。その…」

 

 何やら言い淀む“サード(仮名)”くん。

 急かさず発言を待っていると、驚愕の言葉が飛び出した。

 

「嫌かどうかなんて聞かれたの初めてで、どう答えれば良いのか分からないんです」

 

 おーけー。この国、俺が滅ぼして良い?

 

「……そんな時は、自分の感じたままを言って良いんだ。悲しいとか痛いとか苦しいとかムカつくとか、そういう感情が少しでもあるなら断れ。そういうのが無いんなら受け取っておけ。それだけだよ」

「…………。それ、なら。お願いします。名前、欲しいです」

「良く言えたな。引き受けたぜ」

「わわっ…!」

 

 彼の頭をワシャワシャしながら考える。

 この子に相応しい名前……相応しい名前……。

 ディンから取ってディナム。……いや、駄目だ。クローンだからといって同じ道を歩む必要は無い。ディンとは別個の存在として名付けるべきだろう。

 そうだな。じゃあ……

 

「デュナン、でどうだ?」

 

 可能性を意味する植物の名から取った。俺の本職は農民だし。仕方ないよね。

 

「デュナン…デュナン……デュナン………あれ、何だろうコレ」

 

 与えられた名を呟きながら、少年は流れる涙を不思議そうに拭った。

 ……どうやら、気に入ってもらえたらしいな。

 

 

***

 

 

 そして、旅路を続けること暫し。

 遂に目的地へと着いた俺は――

 

「さて、兄さん。何か言い残す言葉はありますか?」

 

 あ、オワタ。

 

 

 

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