性別不詳両声類系Vtuberなんだが、現実でも性別不詳でいてくれって言われた 作:甘朔八夏
【オフコラボ!!】周ちゃんと対面!【星奈 泉】【天津 周】
「こんまね〜。泉さんのチャンネルでは初めまして!天津 周だよっ!」
「……」
「ほら、泉さん。挨拶挨拶!」
:待ってた
:オフコラボキタ━(゚∀゚)━!
:ふふ…下品なんですが…タイトルの「対面」で……本当に下品なのでやめておきますね
:タイトルとテンションが違う
:泉どうした?
まだ放心している泉さんの頬をぺちぺちと叩く。もう配信始まってるよ!
「ありがとうございます」
「え?」
:ご褒美なんだよなぁ
:草
:初の発言それでええんか…?
:なんか周の声遠くない?
:お?リアル身長差か?
「は?私の身長はつよつよだが?」
何やら聞き捨てならないコメントを発見。ここで訂正しなければ男が廃るぜ———
「頭を乗せるのに丁度いいくらいのサイズなんだよね、周ちゃん」
「えっちょっ」
:速攻バラされてて草
:泉はリアルとガワの身長同じって前言ってた気がする
:ということは、やっぱり周くんはリアルショタじゃないか!(大歓喜)
:ロリの可能性もあるのでは…?
「だから成人してるって!!」
泉さんはまだわかるけど(わかりたくない)、なんでコメントまでリアルの俺を幼くしようとするのだろうか。確かにガワは子供だけどさぁ…あれ?じゃあやっぱりこういう場合も子供っぽいムーブをした方がいいのか?
「泉さん、私もう少し子供っぽいキャラの方がいいのかな?」
「え?これ以上?……って、痛い痛い!ほっぺつねらないでよ!」
前言撤回。でも、本当に驚いたような反応をしないで欲しい。それは俺に失礼ではなかろうか。
:かわいい
:姉と妹だなぁ
:ちょっと抜けてる姉としっかり者でおませな妹…最高か?
:おねロリはいいぞ〜
:キマシタワー建てとく?
:頼む
「私的にはロリおねがいいんだけどねぇ…」
「何が違うの?」
「前が攻めだから。私は一方的にロリの甘やかしを受けたい」
「えぇ…」
流石に引いた。そんなキリッとした顔でいうことじゃないと思う。ここまで発言が終わっているのに、声が良いせいで名言っぽく聞こえるのもはやミームだろ。
:知 っ て た
:自分より小さな体に抱っこしてもらうのすごい癒されるよね
:幼い娘からふと漏れる慈愛の笑みにやられちゃうよ
:上級者多くね?
:泉の視聴者はみんな訓練されてるから…
:やばい!このチャンネルは魔境だ!
コメントのレベルが高い。泉さんについていけてる人多くない?
「…普段どんな話してるの?」
「聞きたい?」
「遠慮しておきます」
その「聞きたい?」っていうのずるくね?不穏さが溢れ出していて興味より恐怖が勝つわ。
…そういえば、今日は何の企画をするのか聞いていない。昨日尋ねたら「お楽しみ」って言ってたけど。
「今日は何をする予定?雑談?」
「ふっふっふ。それもいいけど、今日は視聴者が待ち望んでいることをしよう。みんな安心して。見えてるから」
そう言って懐から取り出すは、一本のゲームカセット。
「脱衣『スラッシュブラザーズ』やるよ!!!」
「え?」
:ガタッ
:脱衣???
:全然興味なんてないが詳細を聞かせてもらえるかな?
:私たちは見えないから関係なくない?
:心の目で見るのだ…
:泉が見たいだけ定期
:周ちゃん困惑しとるやないかい!
???
ついに泉さんおかしくなった?今までも十分やばかったけど今回は普通にライン超えでは?というか、ここスタジオ。逮捕RTAでもしようとしてる?
流石に意味がわからなくて泉さんの顔を見上げると、彼女は晴れやかな顔で俺にサムズアップ。ごめん、全然わからん。逆になぜその対応で俺が納得すると思ったのだろうか。
「……って言っても流石に脱いだら捕まっちゃうし。今回私たちは「プライベートの秘密」という名の服を脱いでいくよ!」
そう言って泉さんは二つの小箱を取り出す。真剣な顔でそれを机に置いた。
「ここに、私たちの秘密が詰まっている」
「!?」
思い出す。なぜマネージャーさんは妹から俺の話を色々聞いていたのだろうか。その答えが目の前に現れた。
どうせ妹のリークだよな!!嫌な予感しかしねぇ!!
「泉さん正気!?これ多分両方とも死んじゃうよ!?」
「…周ちゃんの秘密が知れるなら、私は死んでも構わない」
さっきのサムズアップは「一緒に死のう」かよ!自爆するなら一人で頼む…俺を巻き込まないで…
:なんて覚悟だ…
:妹ちゃんリーク再び
:妹関連の時は神回確定なんだよなぁ
:周ちゃんのプライベート、スイーツ巡りとかしてそう
:王道すぎ
:いや、スイーツ男子の可能性もあるぞ
:そういえば今泉ちゃんと周ちゃんって対面してるんだよな?周ちゃんって結局どっち?
:あっ
:性別不詳の称号ついに返上?
話題は流れていってリアル対面の話へ。このまま秘密暴露はうやむやになってくれねえかな…
「あ〜、周ちゃんね?んーっとね…」
ちらりとこちらを見る。にっこり。意味深な笑みをプレゼントだ。
:知りたくない自分がいる
:女の子ですよね?
:女性Vとオフしてるんだから女性だろjk
:男の子の方が萌える
「…わかんない」
:えぇ…
:分からないことはないだろ
:秘密じゃなくてガチでわからんの?
:ぽ ん こ つ
「いや、違うんだよ!今日お昼一緒に食べよーって誘われて行ったら周くんだったんだけど、スタジオで再会したら周ちゃんになってたの!」
:??
:何言ってるの?
:錯乱していらっしゃる?
:そもそも体つきで分からんか?
:胸は?
「胸は無い」
「いやそこだけ断言しないでよ。…まぁ、事実だけど」
やっぱりさっき抱かれた時にある程度の体型はバレてしまったようだ。性別はバレてない…はず。
あと、胸があったら逆に怖いからね?今はどっちつかずの反応を返しておく。
「はいはーい、リアルの詮索はここでおしまい。ゲームするんでしょ?」
「…そうだったね。周ちゃんのプライベートは『スラブラ』で勝って聞き出せばいいもんね」
あ。やべ、忘れてた。今回えぐめの罰ゲームあるじゃん!なんでこの話を蒸し返してしまったんだ俺は…このまま雑談にしとけばよかったよ…
「ということでゲーム開始!」
意気揚々としてるけど、泉さんも負けたらプライベート脱衣だからな?いやなんだよプライベート脱衣って。新手の露出狂か?
:周!ここが復讐の時だ!泉を恥ずか死させてやれ!
:周!ここが暴露の時だ!恥ずか死しろ!
:上のコメ言ってること正反対で草
:どっちもいいな…
◇ ◇ ◇
ステージはシンプルな足場のみの「終点」、泉さんのキャラは青い髪の細剣使い、俺のキャラはピンクの悪魔。
秘密暴露なんて罰ゲームがついていたのに、この企画にそこまで俺は反対しなかった。その理由は一つ。スラブラは結構自信があるのだ。小学生の時から一番やりこんでいるシリーズであり、配信外でのオンライン対戦の戦績は上々。
集中すると黙り込んじゃうから自分のチャンネルでは取り扱ってなかったけど、今回は企画もあるしいいだろうということで。
3,2,1——GO!
「…泉さん、実は私このゲーム結構得意でさ。絶対負けない———」
俺の言葉が言い終わる前に、泉さんは動き出していた。
真っ直ぐに仕掛けられたダッシュ攻撃をガード…するも泉さんは掴みを仕掛けてくる。そのまま上に切り上げられてそこそこのダメージが入る。
空中回避で離れようとするも、横強でダウンさせられて軽く吹き飛んで、着地する前にまた横に斬られて、また着地前に斬られて………
「え、ちょま」
は!?何この人うっっっま!!おかしい、俺もVIPで五分五分の勝率を出せるくらいの実力はあるはずだ。なのにコンボから抜けられない。ダメージが笑いたくなるほどの勢いで溜まっていき、あっという間に赤色ゾーンへ突入。
「おかしい!!おかしいよ!!」
:そういや泉スラブラくっそ上手かったな
:何その情報
:知らんかったんだが?
:周ちゃんも知らなかった模様
:まぁ泉ちゃん深夜のゲリラでしかスラブラやらないもんね…
:なんで?
:気分が乗ってくるとアウトよりの下ネタ叫ぶから
:草
:今休日のお昼よ?大丈夫?
「流石に今回は弁えるっ、よっ!」
「あぐっ!…もしかして泉さんコメント見ながら戦ってる!?それは流石に屈辱……でも抜けられない!!」
もうスラッシュ攻撃を決められたら一撃で死んでしまう。まずいまずい!!
「あっ」
その瞬間、泉さんがコンボをミスって俺を後ろへ吹き飛ばす。ダメージがめっちゃ溜まってるから軽い攻撃でも吹き飛ぶわ吹き飛ぶわ。…でもっ、耐えた!
すぐさま追撃してくる泉さんにジャストガードを狙う。これで流れを変えてみせ———
「それ狙いだよっ!」
パリン、と俺のシールドが割れた。シールドブレイク。やられた。完全に決められた。一応レバガチャは続けているが、心が諦めてしまった。これは無理だ。勝てない。
「…泉さん強くない?」
「うちのチャンネルのウリは私のプレイスキルだからね」
:こいつゲームスキルだけでも人気出るポテンシャルあるんだよな…
:ウリは性癖語りじゃないんですか?
:泉のプレイスキルに惹かれて来た新規が性癖語りで抜けていくという…
「それじゃあ、これでトドメ!」
シールドブレイクによる混乱状態が解除される直前に泉さんは勝負を決めにきた。くそぅ…なんて性格の悪いやつなんだ…だがこれはまだ一回戦。必ず次こそは——
『かかって来なさい!』
「…あっ」
画面の中のキャラが、口上を述べながら格好良くポーズをとった。アピールである。その瞬間、俺の混乱状態が解除される。
ほぼ無意識にハンマーを振りかぶる。無防備に観衆にアピールをしていた泉さんのキャラは、俺の攻撃をガッツリくらった。
「いてっ」
まあ泉さんはそこまでダメージが溜まっているわけでもないからそこまで吹っ飛ばなかったが。
と、いうことで両者初期位置に戻る。
「「………」」
:えぇ…
:そこでミスんの!?
:なんとも微妙な雰囲気
:黙んなよ、なんかこっちまで居た堪れなくなるから
…気まずっ。なぜそこでミスるのか。これで一発逆転!とかだったらまだしも、俺は瀕死のままなのでここから盛り上がるビジョンが見えないのだが。
…やっぱりこれ、俺が勝たないといけない場面?
「……ウオオオオッ!」
それで普通に負けるとかいう。