性別不詳両声類系Vtuberなんだが、現実でも性別不詳でいてくれって言われた   作:甘朔八夏

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今回周ちゃんはこの声で喋ってます。
あと今回性癖盛りすぎたかも…まあええか


9話 妹と服を買いに行こう

 

 

「ねぇ、私おかしくない?大丈夫だよね?」

 

「何回も聞かなくていいから!…その声、ほんとに脳がバグるな…」

 

自宅の最寄駅の隣の隣。現在、俺は妹とショッピングモールに来ている。ばっちりメイクして女装した状態で。知り合いに会ったら余裕で死ねるね。

 

「…そろそろしがみつくのやめてくれない?」

 

「ごめん、もうちょっとだけ…」

 

どうも、みっともなく妹の背中にしがみついて前を歩かせている兄失格人間です。周りからの視線が痛い。微笑ましい感じの視線もやめて。居た堪れなさがすごいので。

 

そんな感じでおどおどしてたら妹が耳打ちをしてくる。

 

「そんなに挙動不審だったら逆におかしいよ。女装してるのバレたいの?」

 

ぐっ… ど正論である。むしろ妹の影に隠れようとしている方が恥ずかしいことだろう。………よし。

長めの葛藤の末、妹の隣に戻って普通に歩く。

顔をずっと俯かせちゃうのはご愛敬と言うことで。あと、猫背になるのも許して———

 

ひゃっ!?

 

突然脇をつつかれて背筋が伸びる。反射的に振り向くと、いつのまにか後ろに回り込んでいた妹が俺の両脇に手を添えていた。いたずらっぽく笑って一言。

 

「背筋伸ばしてた方が見栄えがいいよ」

 

口で言え!!

熱くなった頬の感覚を無視して妹を恨みがましく睨むと、なぜか妹は微妙な表情をして俺から顔を背けた。

 

なにこれ、かわいい…こいつ兄なのか。複雑すぎるな…

 

聞こえないからぼそぼそ喋るなって!

 

 

 

 

 

 

 

服屋に到着。ユニクロじゃないの…?ここどこ…?って言ったら妹が信じられない物を見たような顔をしてきた。解せぬ。

妹に連れられてレディースコーナーへ。ほーん、メンズよりも種類が豊富な気がする。サーキュラースカートとフレアスカートって何?全然違いがわからん。まあ無難でできるだけ恥ずかしくないやつで…って、おい!

 

「…妹よ、その手に持っている物を今すぐ離しなさい」

 

妹が手に持っているのはいわゆるホットパンツ。太ももまで晒すやつである。

 

「えぇ〜、周ちゃんの体型的に脚見せた方がいいと思うんだけどな〜」

 

「ただ辱めたいだけじゃない?」

 

この格好で俺のことを「お兄ちゃん」なんて呼ぶわけにはいかないので、妹は俺のことを「周ちゃん」と呼んでいる。偽名のつもりである。しかし本名じゃなくても、妹にちゃん付けで呼ばれるのめっちゃ微妙な気持ちになるな。いや、お兄()()()は流石にノーカン。まあこれも家に戻るまでの辛抱だ———

 

「そうですね!お客様は平均より少し身長が高めですので、脚を見せるとかっこいい印象も持たせられると思いますよ!」

 

突然話しかけられてびくっとする。後ろにいたのはすごい笑顔の店員さん。

…まぁ、女性平均よりは身長高いけどさ。なんか逆にみじめな気持ちになってくるな…

 

「ほら、店員さんもこう言ってるし」

 

妹ォ!!乗っかるんじゃねぇ!

 

「え、いや、あの」

 

「試着室ならそちらです!お客様は髪がそこまで長くないのでこちらのビッグシルエットの服もおすすめですよ!」

 

「お、いいじゃん!周ちゃん、それも着てみたら?」

 

半強制的に試着室まで連行される。あばばばばば。

 

 

 

 

 

 

 

「お買い上げありがとうございましたー!」

 

結局上下3着ずつ買いました。店員さんの押しが強すぎるって!!オフコラボ1日だけよ?残りの2着どうしたらいいの?

 

「またプライベートで着たらいいじゃん」

 

「何言ってるの?」

 

真剣な顔で言わないでほしい。せめて冗談っぽく言ってくれよ…

 

もう流石に慣れたので妹の影に隠れることもなく堂々と妹の隣を歩く。人間の適応能力ってすごいね。今日は休日なのでショッピングモール内は盛況で、割とたくさんの人がちらちら見てくる。しかし等身大の自分ではなく「天津 周」を演じている、と考えるとその視線もそんなに気にならなくなった。俺、すごい。

 

あっ、俺を見ていた人と目が合った。微笑みを返すと相手が分かりやすく固まる。ふっ、ファンサービスだ。特別だぜ?

なんて調子に乗っていると妹が何か言いたげな顔でこちらを見てきたがスルーである。

 

こうやって周りを見ると次々と目が合うな。毎回微笑むのはだるいのでもうしないが。

バレないように目だけを動かしてこちらを見る男性。バレてるよ。

俺の脚を見て羨ましげな表情をした後に胸を見比べて安心したように去っていく少女。おい。

俺ではなく妹の方を見ている、妹と同じ学校の制服を着た少年……え?

 

「お、久しぶり」

 

「久しぶり。修了式以来だね」

 

条件反射で妹の後ろに隠れる。やばい。二人の口ぶりからしてこの子は妹のクラスメイト。ただでさえ妹の知り合いとか話すことがないのに、今の俺は女装している。気まずいことこの上ない。

 

「…後ろに隠れてる娘は?」

 

子とはなんだ子とは。俺は君より2歳は年上だぞ。敬いなさい。まあ直接言う勇気なんぞある訳ないが。

 

「あーっと…妹みたいなもん?」

 

「なんだよ、みたいなもんって」

 

軽く笑いながら俺の前までやってくる。あわわ…落ち着け。たとえ女装していたって俺はもうすぐ大学生。年上の威厳を見せつけなければ…

少年は軽く膝を曲げて俺と目線を合わせ、優しげに挨拶をしてくる。その背丈合わせてくるの悲しくなるからやめて?

……あー!こうなったらもうヤケだ!年上の威厳…年上…包容力?抱擁力?とりあえず少年の手を両手で包んで穏やかに笑って…あ、妹設定だっけ?

 

「これからもお姉ちゃんをよろしくお願いしますね」

 

…何言ってんだ俺は!?やばい普通に恥ずい。顔が赤くなっているのが自分でもわかる。隠したいけど少年の手を包んでしまったのでそれもできない!!

おい少年!固まるな!動け!俺も動けねえんだ!

 

「ほら、いつまで見つめ合ってんの」

 

硬直した俺たちを引き剥がす妹。我に帰った俺たちは弾かれるように距離を取った。

 

「あ、あはは!!ごめんなさい私ったら何を!?」

 

「…いや、大丈夫!そそそれじゃ!」

 

やべぇ口調が定まらん!顔を背けたまま一目散に去っていく少年。あっぶねぇ…あやうくすごく気まずい雰囲気になるところだった…いや、半分アウトかもしれんが。妹よ、まじでありがとう…

 

「お兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「私の友達の性癖歪めないでよ…」

 

歪めてませんけど!?

 

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