[完]黒い沈黙の娘   作:こまごめピペット

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18話 休憩。

 ベッドの上で黄色い髪の少女が静かに寝息をたてて寝ていた。いや眠り込んでいた

 それを囲む2人の女性。どちらも長身で特徴的な姿と髪色をしていた。

 

 

「ドンキ……起きないな……」

 

「仕方ない。ここは穏便に暴力で……」

 

「常人が私たちの一撃を耐えられる訳が無いだろう?」

 

「それもそうか……」

 

 

 あれから3日経った。遊園地モドキは私が勝手に解体し、協会に事後報告だけして金を貰った。

 親元の方には連絡を取り、3人とも死んだと虚偽の申告をして私が保護した。

 

 これが正解かどうかは分からないが精神的に不安定であろう子供達と元の場所に戻すのは収まりが悪い気がしたのでこれでいいだろう。

 

 大怪我負ったランスロットは、目を覚ましはしたが傷口が完全には塞がっておらず、私のベッドに突っ込んだ。彼が存命しているのは、一重にエレナのおかげだろうか。

 

 アイラは……無理だった……間に合わなかった。

 せめてもの手向けに、と彼女の遺体は火葬し、墓に葬った。

 肝心のドンキは……怪我も何も無いが、眠ったままだ。栄養はギリギリ摂ることは出来ているが、一向に起きる気配がない。

 

 

「タダより怖いものは無いな……エレナ」

 

「そうだな……」

 

 また救えなかった……

 もっと……もっと早く気付いて居れば……

 

「はぁ……」

 

 

 懐中時計を眺め、私は今日何度目かのため息をついた。

 まだ足りない……人を護る為には……まだ……

 

 

「アルトリア……看病もその位にしておけ」

 

 

 エレナの言葉に、ハッと意識が戻る。

 

 

「……うわ……拭くもの無いか?」

 

 

 よくよく見たら掌が真っ赤に染まっていた。血まみれだ……力を込め過ぎたか……

 

 

「ほれ、紅茶でも入れてひと息つこう」

 

 

 エレナからタオルを受け取りしっかりと拭う。

 

 

「砂糖は小さじ半分でいいからな、ミルクも入れておいてくれ」

 

 

 キッチンに向かったエレナにそう言ってランスロットの様子を見に行った。

 ノックをして扉を開ける。

 

 

「あ……アルトリアさん……ドンキは……どうですか?」

 

 

 弱々しい声で彼は言った。

 自分よりも他人の心配とは……なかなかだな。

 

 

「……未だ眠り姫だが、いつか目を覚ますだろうよ」

 

 

 私はベッドに腰掛け、彼の様子を伺う。

 あれだけ酷かった傷も治り、包帯はもうしていない。

 ……生身でこれなのだから普通に私より治癒力は高いだろう……

 

 

「……お前は大丈夫か?」

「どういう質問でしょうか……まぁ……アイラの事は悔しいですけど……」

 

 

 彼は苦虫を噛み潰したような顔でそう呟いた。

 

 

「私はあの時エレナとアルトリアさんがいなければ間違いなく殺されていました……自分の情けなさが本当に憎い……」

 

 

 彼は拳を震わせ、唇を噛む。

 ノックの音が聞こえ、ドアが開かれる。

 ティーポットを持ったエレナが入って来た。

 

 

「ほらよ、紅茶を入れたぞ」

「……ありがとうございます」

 

 

 カップを受け取ったランスロットは一口飲んだ。──少し落ち着いたようだ。

 私も椅子に座り紅茶を飲む。

 

 

「んん、紅茶を入れるのは上手になったな……」

 

 

「あぁ、飲みやすいからな……」

 

 

 この様子だとコーヒーは本当にに苦手らしい。

 まぁ苦味のする水なんて美味しくはないだろうな……

 

 

「……どうしてそんなに……二人は強いんですか……?」

 

 

 唐突に彼が口を開く。

 

 

「……どうした? 藪から棒に」

 

 

 私もアイラも思わず顔を見合わせる。

 彼の表情はいつも通りだが、どこか真剣だ。

 

 

「……僕は……エレナさんやアルトリアさんたちに守られてばかりです……」

 

 

 彼は自分の両手を見る。

 

 

「あの時も今も……何も出来ませんでした……! 僕も、強くなりたいです……!」

「……あー……うん……」

 

 

 私が何か言おうと考えているとエレナは腕を組んで小さく息を吐く。

 

 

「強くなる方法なんて無いさ、ただ……自分に出来ることを増やすしか無いだろう、何人もフィクサーを殺して思ったが、奴らの大半は自分の弱さを自覚せず無理して突っ込んで死にに来た馬鹿ばかりだったよ……ランスロット、あんたはそうじゃないだろ?」

 

 

 エレナの言葉に彼は俯いたままゆっくりと首を振る。

 

 

「僕は……弱いですよ……今だって、エレナさんがいなければここに居ないですし……」

「……ふむ……後は運もあるかもな」

 

 

 エレナは此方をちらりと見て笑う。

 

 

「良かったな、ランスロット。最強のフィクサー、アルトリア様があんたみたいなひよっこに目をかけてくださるんだ、感謝するんだな?」

 

 

 え? 私? もう叔母さんに投げようとおもってたんだけど……。私が何も言わず黙っているとランスロットが顔を上げて、少し嬉しそうに口を開く。

 

 

「はい! 頑張ります!」

 

 

 あー、うん……じゃあいいかぁ……外郭にぶん投げたら強くなるでしょ……久々に太湖も見に行きたいしな……

 私は軽く溜息を吐いて立ち上がる。

 

 

「━━━━わかった、外郭に出るのも都市に入るのも大変だから紫の涙に連絡する」

 

 

「が、外郭ですか?! 彼処って……!」

 

 

「まぁ私が生きているんだ、大丈夫だろ。道具はエレナと一緒に選んでくるといい。金は叔父様から巻き上げる……心配するな、青い残響なんて掃いて捨てるほど金あるだろうしな」

 

「……エレナさん、ほんとにアルトリアさんは何者なんですか……?」

 

「『黒い沈黙の義娘』ってところだな……此奴の父に私を殺しかけた奴が居るしな……」

 

「僕……ここに居ていいんですかね……」

 

 

 ランスロットが不安そうに俯いた。

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