早朝からアルトリアさんに起こされ、外に出ては、跡を探す。
虱潰しに動物のいた痕跡を取っては分布域を書き込む。
こうして次に備える様にする。
まぁ機械が来てしまえば蹂躙は必至だが……今の所は無さそうだ。
外郭に来てまでなんでこんな事してるんだろうか……と言うか僕ら2人で生き延びれる程平和な場所では無いだろう、普通。
都市に入る為だけに沢山の審査をしなければ行けないのに、こう易々と出入りできる時点でこの人は普通じゃ無いのかもしれない……
「……ランスロット」
「……えぇ、見るからに通った跡がありますね」
先を見れば沢山の足があり、通った跡は草の根1本も残らないほどに喰い荒らされていた。
「カヴァス、追うぞ、走れ!」
アルトリアさんと一緒にカヴァスに飛び乗り追跡する。
徐々に奥の方で土煙が見えてくる。
ドドドドとけたたましい工事音のような足音と共に、振動が伝わってくる。
あれが猪の群れか……凄い速さと迫力だ。
「あれだ! 着いていけ!」
アルトリアさんはそう言ってカヴァスは更に速度を上げた。
「どう意識を逸らしたものか……!」
アルトリアさんはそう言いながらも銃を抜いて構える。
銃を持っているのは不思議とは思わないが揺れるし遠い、その為に弾丸を使うのは余り良くないかもしれない。
「弾勿体なくないですかそれ!」
「それもそうか! カヴァス! このまま先頭に回れるか?」
「ワフ!!」
鳴き声と共にふわりと浮遊感が伴う。
「跳んでるっ……うっ?!」
「っと、アトラクションみたいだな!」
その一言であの時の凄惨な情景が浮かび気分が悪くなる。
「……その話は辞めてください」
「…あぁ、そうだな……悪かった、浮かれていた様だ…」
「えぇ…」
ひとっ飛びで先頭よりも前に着地し、余裕を持って迎え撃つ準備をする。
「気を取り直せ!来るぞ!」
「っ、はい!」
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「ブヒャァ!!」
「先ずは1頭……」
アルトリアさんは鮮やかに剣を振った。血飛沫が宙を舞う。
彼女の持つ光る刃が剣閃を彩り、肉を焼き骨を断った。
群れを生した猪共が此方に突っ込んで来る。
「カヴァス! 行くぞ!」
僕の掛け声共にカヴァスは僕を乗せたまま跳躍する。空中を蹴る様に加速し、風を切る音と共に、獣の悲鳴が響く。
肉や骨を断つ感触と生臭い血の匂いが鼻腔をつく。
血を振るいながら次なる獲物に向かっていく。剣を構えて斬りつける。
剣で獣を屠りながらもカヴァスを走らせ続ける。
「ブォオオオ!」
後ろで吠え声が聞こえる。振り返らずともわかる、あれは群れの長だ。
アルトリアさんの方を見ると先程の剣とは違う、刀を胸の前で構えていた。
「ふっ……」
鎺が光ったかと思うと、次の瞬間には煌めきを残さず静かに獣は息絶えた。アルトリアさんの剣筋は一切見えなかった。軽々と獣の命の灯火を吹き消した。
次々と手持ちの武器を取っかえ引っ変えして、敵を薙ぎ払っていくアルトリアさんはまさに"特色"と遜色ないように見えた。
「カヴァス、ここは任せた、僕はデカいのを殺る……! 行け!」
僕の指示を受けてカヴァスは一際大きく吠えると駆けていった。
群れの中心にいる獣、おそらくボスを仕留めるべく、アルトリアさんは僕とは反対方向に切り進む。
獣は群れの長を護る様に周りを囲んでいる。
「邪魔だ! 退け!」
ガツンガツンと物凄い速さでぶつかってくるが、それを全て剣で受け止めて往なす。まるで闘牛士のように華麗に身を翻し、斬り伏せる。
「はぁ、はぁ……」
7割は殺しただろうか。ほぼアルトリアさんの力で制したような物だ。もう息が上がっている。
「っ! まずっ、ぐぅ」
1匹の突進で体勢が崩れてしまった。
隙を見計らってか1番デカい頭の猪が突っ込んで来る。すぐそこ迄、牙が迫ってくる。避けられないっ……!
その時、鐘の音が響き、緑の光で目が潰された。
「ぐっ……は?」
徐々に目が慣れてくると共に状況の把握を始める。
目の前には獣の首が転がっていた。
死んでいるのに気付かず、身体はバタバタと足を動かし続けていた。
それどころか、周りを見ても似たように生きているか死んだかも分からない状態の奴らが倒れていた。
「……なんだ……これ……」
まるで致死性の疫病に掛かったように全員がぱったりと倒れ、絶命した光景は異様だった。
ただひたすら、唖然としていた。
カヴァスも何が起こったのか分からず、伏せて辺りを見渡して怯えてるようだ。
「アルトリアさんは……!」
彼女を見ると、先程着ていた装いとは違い派手な装飾のパーカーが緑色に燃え、炎を纏った姿となっていた。
「あぁ……よかった……無事みたいだね……」
徐々に鎮火していく様に彼女は膝を付き崩れ落ちた。
「ぁ……!」
咄嵯にアルトリアさんへ駆け寄り、身体を支える。
「すまない……一旦動けないな……」
「分かりました……」
彼女の身体は熱かった。燃えているのは幻覚では無かったのか?体温調節機能が低下してるのか? それとも何か他の要因なのかは分からないが。
「処理は任せた……暫く休む」
「はい、分かりました。任せてください」
それを聞くと彼女は僕に身体を委ねるように眠りについた。
「カヴァス、大丈夫だ。こっちにおいで」
怯えたカヴァスを呼び、アルトリアさんを背中に乗せた。
「……やるか」
僕は散らばった死体を集めては皮や肉を剥いでいった。
あの光は何だったんだろうか……アルトリアさんにはまだ何かがあるのだろうか……。
if、若しくは補填が必要か
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必要
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不必要