空っぽになった心で俺は仮面を被り、アンジェリカを殺した奴を生み出した原因を調べあげ、殺す。
「おい……お前、ピアニスト、エンバーマーについて何か知ってるか……」
「ヒッ、や、やめてくれ! 来るな! 来るなぁァァァ!!」
「頼む! お金やるから! 何でもするから!」
「や、やめろ!」
「……」
これだけ痛め付けても心は痛まない。それが此奴らか受けるべき罰なのだから。エンバーマーは、俺のアンジェリカを殺した。ねじれの原因を探す為。
俺が味わった絶望だけ、こいつらも味わせる。
「良いか? 俺が聞きたいのは、ねじれとかいう奴を知ってるなら……そのよく回る口から教えてくれって言ってるんだ」
「そ、それは……」
「……言えよ……!」
妻の形見を外し、素手でぶん殴る。
「ぐっ……! 知らねぇって! なんの事だよ! このイカレ野郎が!」
「チッ、もういい。死ね」
再び手袋をつけ直し、俺の愛剣を取り出して一刺しでトドメを刺した。
「……はぁ……次は……中指の奴らが気になるな」
手袋にデュランダルを仕舞い、血で汚れた裏路地を歩く。
◇◇◇
「っ、なかなか……育児は難しいな……」
哺乳瓶に入った粉ミルクの作り方と注意事項が載った育児本を横に放り、一息ついて……妹、ロンズデールにミルクを飲ませる。
「アルトリア、写真を撮っておくと、成長の記録を残せて、良いらしいぞ……」
「まぁそれは後でも良いかな……」
「そうか……」
少ししょんぼりしながらエレナは寝室に行った。
ローズがミルクを飲み干したのを見て、背中を優しく擦り、ゲップを促す。
「ケプっ……」
「お、偉い……よくできたね……」
私は優しく微笑んで頭を撫でてあげる
「ンゥゥー」
「可愛い……」
私は思わず、その小さい体を抱きしめてしまう
(柔らかい……)
とても温かい。
「……ごめんね、お母さんは居なくなったから……母乳もあげられなくて……」
……あの穏やかな父は今どこで何をしているんだろうか……。
「よしよし、よし……よし……いい子だ……」
特に意味も無く、伝わらない言葉を繰り返しながら優しく揺れる。
次第にこくり、こくりと、子供の高い体温に釣られて私は舟を漕ぎだす……。
妹が何か言う度に、よしよしと言って宥め、共に眠りにつくまで、優しく揺らし続ける……。
・
・
・
「おい、アルトリア! ドンキが起きたぞ!」
エレナの声に驚き目が覚める。
……ローズは起きてはいないようだった。
「っ、大声を出すな……」
「ん……すまない……それより、ドンキが目覚めたぞ……」
「……わかった見に行く」
ローズをベビーベットに置いて、ドンキホーテを見に行く、彼女は既に目覚めていたのか、私の足音に気付いて、此方を向いた。
「アルトリア殿! おはようございます!」
ドンキは私に抱きつき、顔を胸に擦り付けるように飛び込んで来た。
「っとと、相変わらず元気だな……」
1ヶ月も寝ていたにもかかわらず、あまり衰えは見えない 。ただ筋肉量はちゃんと落ちている。リハビリには少し時間がかかるだろう。
「えへへ」
ドンキは私の胸に頰を当てて、満足そうにしていた。
「入口で止まらないでくれ……」
後ろに居たエレナが呆れ顔で言う
「ほらドンキ、一旦落ち着いて座ってくれ」
私はドンキを椅子に座らせ、その向かいに腰掛ける
「……ドンキ、アイラとランスロットだが……」
「? 誰ですか? あ、もしかしてアルトリア殿の新たなお友達でございましょうか?!」
「…………」
「…………」
「……え? 違うのですか?」
私とエレナは目を合わせ、察した。
これ以上は踏み込んではいけない。自衛の為の記憶障害と私は判断し、
「……いや違う、気にしないでくれ」
そう答えるしかなかった
「そうなのですか、? 別に隠さずとも私は気にしません!」
「……そっか……」
彼女の黄色い髪をポンポンと撫で、追及されないよう誤魔化した。
if、若しくは補填が必要か
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必要
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不必要