「ふふふーん♪ ふふふふふーん♪」
届いた新聞を片手にスキップしながらピカピカの机にそれを置く。
「ご機嫌だな? ドンキ?」
「はい、エレナ殿! 今日はフィクサー特集なのですよ! しかも特色のランキングアンケートの結果発表もあるでござるよ!」
「ふーん……誰が強いかって奴か?」
「そうでございます! エレナ殿も是非見てくだされ!」
エレナ殿と共に新聞を開き、特色のアンケート結果を見ていく。
【特色最強ランキングTOP5】
1位『赤い霧』
2位『黒い沈黙』
3位『青い残響』
4位『赤い視線』
5位『灰の陽光』
「見て下され、やはり特色最強は『赤い霧』殿にござるな! 」
「ふーん……最強な……何したヤツなんだ?」
む、エレナ殿は赤い霧を知らぬと申すか。
ならば拙者が説明するしかあるまいな!
「エレナ殿、赤い霧はなんと、頭の爪に打ち勝ち、調律者を相手に引き分けた事があるのでござるよ!」
「へぇ……今は生きてるのか?」
「む、それは……分かりませぬ……その後どうなったかは……」
「そうか……なら、赤い霧は生きてるかもな」
そう言ってエレナはドンキを優しく撫で続ける
「まぁ、もし頭と戦うとしてもウチの最優には勝てないだろうな……?」
「流石はエレナ殿……拙者もそう思います」
最強は赤い霧で間違いはないだろう。
しかし、最優ならば我らが『灰色』だろう。
「ふ、楽しそうだな、私は居眠りに戻るよ……」
そう言ってエレナはまた、事務所の隅のソファで眠り始めた。
ドンキはフィクサーの活躍した記事をルンルンで切り出しスクラップ帳に丁寧に貼り付けていく。
ドンキはフィクサーと言う存在に憧れていた。
記憶はあやふやだが、正義のフィクサーアルトリアに助けられ、その背中を追いかけ、今に至る。
ドンキはフィクサーの先輩としてアルトリアとエレナを尊敬し、憧れていた。
「むむ……やはり『赤い霧』殿の人気は凄まじいでござるな……む、『黒い沈黙』殿は未だにご乱心か……」
地上に繋がる玄関の方からカランカランと鐘の音が響いた。
「ただいま。ドンキ、エレナ。弾の定期便来たから運ぶの誰か手伝って〜」
「む! 今行きますぞ!」
椅子から立ち上がり、アルトリア殿の方に向かうと、両手に紙袋を持ち背中にはローズ殿を抱っこ紐で確りと括り付けられ、背負っていた。
依頼で出かけた訳では無い様で、特徴的な衣装は身に付けておらずあくまで1一般人として買い物に行ったのだろう。
「叔父様は相変わらず気付かないな、まさか自分の通帳から弾丸の定期便の代金や銃の税金が引かれているとは……ん、ドンキが来てくれたか、地面にあるのを一つずつ運んでくれ」
「了解でござる!」
「エレナは?」
「いつもどーり、ソファで居眠りでござるよ」
それを聞くとアルトリア殿は少し眉間に皺を寄せる。
「む……電話番を任せたんだがな……まぁいいか」
ため息をつきながら事務所の奥に入っていった
「重い……体幹を鍛えねばな!」
いいフィクサーとは自らの欠点も見つけ出し、其れを改善しようとする者である!
「何を買ったのでござるか〜!」
「ん、そうだな、離乳食とかを……」
◇◇◇
裏路地のだだっ広い家で、黒い塊になったローランが紫煙を吐く。
巣の家はもう既に手放しており、買った家具や、赤子用品達が使われずただただ部屋を埋めていた。
「ちっ、もう酒もねえな……買いに行かねぇと……」
クシャリと空の缶を片手で潰し、床に放り投げた。吸いきった煙草も灰の詰まった空き缶に押し付け鎮火し、中に放り込んだ。
酒に呑んだくれ、煙草を吹かす姿にはかつての1級フィクサーの面影は何処にもなかった。
愛する全てを失って、荒れた狂った男は、ねじれの原因を徹底的に調べ怪しい奴は指を折って問いを繰り替えし、中指すら半壊させ、仕舞いには分からずじまい。昔の仕事仲間に止められた。もう何がなんだか分からなくなるぞ、と。
もう止まれなかった。言った通り何も分からなくなって……。
「はぁ……」
「コンコーン。腹黒小僧、そこに居るよね? 居なかったら困るけれど」
聞き覚えのある声が玄関の方から聞こえた。
「どうせ変な場所で腹いせして帰ってきて寝っ転がってるんでしょ?」
あぁ、仰る通りだよ畜生……。
「お前が断れない提案をしに来たんだけど……聞いてみない?」
if、若しくは補填が必要か
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必要
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不必要