[完]黒い沈黙の娘   作:こまごめピペット

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ほんっっっとにおまたせしました……!
ごめんなさい。現実の方で山ほどやる事があり、大遅刻しました!お気に入り登録200人と嬉しい限りでございます。

遅刻のお詫びと登録者200人の感謝をここに。

(ぐちゃぐちゃだったらすいません……)


46話 調律者

 

 

 

 

 

 

 ……眩しい。

 

 

 

 光の程暖かくはない。

 

 ゆっくりと目を開くと図書館の広間が広がっていた。

 

 

 手に持っていた銀時計はひび割れ、ピアニストの起こした惨事の時刻を指したまま止まっていた。

 

 

 そっと胸にしまい込み周りに目を向けると、返り血だらけの父が此方に気付いた。

 

 

 

「……アルトリア……? アルガリアみたいにねじれて無いよな?」

 

 何処か吹っ切れ多様な表情。憑き物が落ちたように変わっていた。

好ましい変化だ。いつもの父さんに戻って良かった。

 

 

「……はい、この通り」

 

 くるりとその場で回り、一切の変化がないよう見せた。

 

 ほっとした様な、一旦緊張が解れたような表情を見せた。

 少し前の戦っていた時の表情よりも柔らかくなったように感じる。

 

 

 

 

 

 父が振り返る先に目をやると、対面には黒い服に黄色いハニカムラインの入った人物が私を見るなり溜め息を吐いた。

 

 ……あの特徴的な服は調律者だろうか。

 

 図書館も厄介な奴らに目をつけられてしまったか……。大方あの人擬き……アンジェラだっけ……彼女が人に近い機械だからだろう。

 

 

 

 じっと調律者を見詰めていたら彼処から話し始めた。

 

 

 

「……あぁ、アルトリア……人為らざる者。お前は動かぬ様、特色を付与したにも関わらず此処で出会うとは……」

 

「……どうも、初めまして、調律者」

 

 嫌味を言われ、少し引き攣った顔で挨拶をする。

 

「やはり……お前はこの都市に居てはならないよ。都市に不協和音を齎す」

 

 

「はっ、あの悲劇と苦痛が繰り返される都市が和音を奏でているとは思えないんだけど……」

 

「……ほう、存外口は回るみたいだね。処刑者、之も図書館に押しとどめ、外郭へ放逐する。私も参加しよう」

 

「承知した」

 

 対話は無理だそうだ。する気は無かったけれど。

 

 しかし、あれはどう見ても足爪だな……後ろのは監視者だが……頭が攻めに来たか……

 

「父さん、手伝うよ」

 

 殲滅は現実的では無い……が無くもない。狙うべきは調律者だが……足爪が先か。

 

「あぁ、助かる……あとはアンジェラを待つだけだ……」

 

 光の剣を顕現させる。

 

 どうやらそこ迄耐えれば道は開かれるそうだ。

 

ある話を思い出した。

他人の為に命を賭し、調律者と爪2体を相手して互角迄持っていった話。

ならば……

 

「……赤い霧に出来て、私に出来ない事は無いさ」

 

 言い終えると同時に飛び出した。

 

「ッ?!」

 

 すぐさま詰め寄り足爪の体勢を崩し、押し倒す。

 

「マジかよ……」

「灼けろ……」

 

 胸に突き刺し内側から沸騰させる。

 

「っぐぅ……!」

 

 

 

「っ、ふっ!」

 

 直感で感じた、線が飛んで来る。

 剣を引き摺っては打ち返す。

 

「いっ……!」

 

 隙を狙った足爪が私の足首を裂いた。

 

「待ってろ、アルトリア!」

 

 もう線は飛んでこない。

 父さんが調律者の方を相手しているようだ。

 それが出来ている内に

いつの間にか立ち上がった足爪が、自身にに刺さっていた緑のアンプルを注入した。

 

 灼き付けた穴は見ないうち何も無かったように塞がっていた。

 

 

 

「……K社のか……」

 

 

 

 便利でもあり厄介でもある技術だ……

 本当に……本当に……あれで母さんも救えたと言うのに……

もっと使い道があると言うのに……

 

 あの傷で使えるのだから金はたんまり有るのだろう。

 痛みを伴いながら足首が治ってゆく。

 

 この程度ならば問題無いが頭まで行くと私は苦しいものがあるか……。

 無傷は無理だが抑えておこう。と決意した。

 

 

 

 パチンッ と指鳴りと音がしたと思えば、立ち位置は戻っていた。

 

 もう少し詰められればな……と内心舌打ちしつつ、構え直す。

 もう崩しは通じない。警戒されるだろう。

 

 正面から戦ってみるか……。

 

「はっ……!」

 

 私はまた駆け出した、剣を片手に。

 切り込める距離まで詰寄る。

 

「ふっ! っ、まずいっ!」

 

 嫌な予感を感じ、咄嗟に身を翻す。

 

「レディに掴みかかるのはよろしく無いなっ!」

 

「チッ……」

 

 避けた重心をそのままに蹴飛ばし、大きく距離を置く。

 その間に少し離れた調律者へ注目し、父との間に飛び込んでいく。

 

 飛んでくる線を剣の切っ先で流す様に受け火花を散らし、進む。

 

 

 

 もう時計は無い。静かな時はもう必要無い。新しい殻を手に入れ、停滞せず、進む事を決意した。

 

 

 

 

 

ジャケットを握り締める。燃えるような怒りを、冷めるような哀しみを込めて。

 

 

 

 ふっとジャケットは透け、私の身体から離れ、影を形作る。

 人の形を取り、見覚えのある姿へ。

 

「……やはり、いつも私の傍に居てくれたのだな」

 

 顔は認識阻害で見えない。左手は義手。右手には槍を。

 

 

 私と並び走る。

 

 意識せずとも呼吸が揃う。

 時計の歯車の様に噛み合う。

 

 

 

 

 

 彼が先陣を切る

 調律者の攻撃を弾き、出来た隙から私が懐へ踏み込んだ。

 

「木の葉っ」

 

 装着したガントレットで殴る、その瞬間目に沁みるような、え辛い煙が溢れ出した。

 

「ベディ!」

 

 彼を呼ぶとヒュンという甲高い風を裂く音。

 

 彼の穂先が調律者の眼を掻くように掠め私の手を引き、脅威範囲から離してくれた。

 

 

 

「助かる」

 

 彼は何も言わない。

 ただ、頷いた。

 

「アルトリア!」

 

 響く父の声、それと殺気。

 

 私は片手で剣を振って足爪の指先を払い、その勢いで切り払う。のちロジックアトリエの銃口を向け、胴に撃ち込んだ。

 

 強烈な爆破音、突き刺さる鉛玉。

 

 それでも足爪の命を手折るまで至らなかったようだ。

 

 

 

 そしてパチンッという音と指鳴りが聞こえ、元の立ち位置に戻されていた。

 

「全く……正午を過ぎてしまうような戦いだ……」

 

 

 

「あぁ……ほんとだな……」

 

 父は息も絶え絶えで頷いた。

 限界は近そうだ。

 

 そう思っていた時。ゴト、ゴト、と重量感のある足音が後ろから聞こえてきた。

 

 

 

 血のような赤い髪を靡かせ堂々と歩く女性がそこには居た。

 

 鳥肌が立つ程の存在感。

 

 異質で肉々しい目玉の付いた大剣を肩にに担ぎ現れた。

 

「漸く顔を見せるのね」

 

 調律者がそう口にする。

 

「……私たち、どこかで会ったことでもあったか?」

 

 

 

「アンジェラが耐えてくれって……お前を起こそうとしたからか……」

 

「わざわざ助けに来たってのにあんまりありがたくないみたいだな」

 

「……不満なんてございませんよ」

 

「まぁ、実際……要らなさそうだな……ほら、早く立ち上がりな」

 

 

 

 彼女は、私をチラリを見つつ、父と軽口を叩き合う。

 大方仕事仲間と言った所だろうか。

 

「……幾ら束になった所で変わる事は無いはずだよ」

 

 調律者は嘲笑を崩さず、足爪に指示を出した。

 

 

if、若しくは補填が必要か

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