[完]黒い沈黙の娘   作:こまごめピペット

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遅れてすいません?後悔はないです。タイトルをつけました?興味は惹かれます。薔薇ローシャを引けました?まだ育てられません。


8話 全員が特色級1家

「あぁ……掃除屋が私を対策し始めるとは思っても無かった……」

 

 私は此方に向かってくる者を斬っているだけで別に私に敵意は無いのだが……彼等は対策し始めてきた。暗殺者のように隠れ、私の死角を付いて襲いかかってくる。

 

 これでは掃除屋では無くただの殺し屋だ……

 

「……済まない。どうか都市の礎となってくれ……」

 

 都市を護ると言っておきながら、実際は私がこの都市に殺されないように、懺悔しながら彼等の命を摘み取った。

 少し身体が重たい……刺されてしまったか。

 

 

「あぁ……これはなかなか……効くな……」

 

 少し壁に背中を預ける。

 これは抜かったな……早く準備しないと……

 少量の液体でも意識が持って行かれる……

 

 フラフラとしながら剣を構え、回復は鞘に任せる。

 

 

 

 混濁とした意識の中。どこからかこの世ものでは無いほど美しく、蠱惑的な声が聞こえた。

 

 前にも聞いたあの透き通った声が私にもう一度問い掛けてくる。

 

 その返答に私は

 

「……あの時は申し訳ありません……しかし、誰か一人は他人の為に命を投げ出さないと、この朽ちていく都市は終わらない……皆が……貴女が、静かに風や水の音に耳を傾け安心して暮らせる世界が来るまで私は剣を執り、誰かの為に振ります」

 

 と答えた。

 

 きっと為せないであろう理想。

 誰も受け入れられない不完全な思想。

 だから私はこの剣を取る。

 

 世界は静寂に包まれる。

 私の衣が光り、銀色の刺繍と緑に光るラインが彩られる。

 彼女は微笑み、何処かに消えてしまった様な気がした。

 

 ……なんだか心が少し軽くなった様な、悩みが無くなったような、そんな感じがした。

 

 

「……そろそろか」

 

 私はエクスカリバーを構え、掃除屋を迎え撃つ体勢を整える。

 霧の奥から現れた影に向かって私は走り出した。

 

「ふっ!」

 

「うぉ?!」

 

 私は剣を振り下ろすがあっさり弾かれた。

 

「ん?」

 

「おいおい、アルガリア……お前気抜きすぎじゃないのか?」

 

「あぁ、ローランがきっと防いでくれると思ってたからね」

 

 聞き覚えのある二人の声。

 

 片方はこの前も聞いた叔父様だ。

 

 もう片方は……いや、叔父様と馴れ合うなんて天地がひっくりがえってもあり得ないだろう。

 

 1度距離を取る。

 

 もしかしたら何かのねじれに巻き込まれたかを疑うが、ゆっくりと歩を進めてくる二人に姿が視認出来た。

 

「……父さん……?」

 

 黒くのっぺりとした認識阻害の仮面を被り、ネクタイを少し緩め、スーツをきた男。その姿は見間違える訳がない。

 

 私の父の姿だった。

 

「此奴なのか?都市伝説つってたが……実力は都市悪夢位あるんじゃねぇか?こいつ……」

 

 先程の打ち合いで手が痺れたのか手をぷらつかせて話す。

 

「まぁ〜落ち着いてくれ、この前ぶりだね、ロンズデーラ……いや、今はロンズデーライトって呼ばれてるらしいじゃないか」

 

「……叔父様……1度だけ、と言ったはずですが……」

 

「まぁ〜そう怒らないでくれよ、俺は1度だけかも知れないが、ローランは違うだろう?」

 

「はぁ……」

 

 溜息を吐きながら私は剣を鞘に戻して叔父様の方を見る。

 

「まぁ、良い、早く連れて行って下さい」

 

「やぁ〜よかったよかった。ローラン、君のお陰だ」

 

「俺をだしに使ったな……?」

 

 相変わらずヘラヘラとしている叔父様に少しムカつきつつ、早足で母さんのいる巣へと向かった。掃除屋は1級以上の実力者が3人もいると障害にもならなかった。

 

 検問所は何も無くスルッと通れた……

 

 叔父様がなにか手続きをしていたみたいだが私は気にせず入れた。

 

 ・

 

 ・

 

 ・

 

「まぁ、何だ、なにもないが……掛けてくれ」

 

 認識阻害の面を取り、父はそう言って椅子に腰掛けるよう促す。

 私はそれに従って、ゆっくりと座った。

 

 まだ新居の香りがするが、私にとっては懐かしい場所だった。

 ベビーベッドが置かれ、子供が産まれてくる事を待ち遠しく思っている事を感じられた。

 

 対面には父と母が座っていた。

 

「……ローランさんは初めましてですね……私はアルトリアと申します……」

 

 私は認識阻害のフードを外した。

 

「はぁ?!ぇ?アンジェリカ?いや、違うか、なんだ?」

 

「うるさいですよローラン、そんなに彼女が私に似てますか?」

 

「いや、似てるも何も……髪の長さの違いしか分かんねぇよ……」

 

 私は母さんの顔を見る。母さんは優しく微笑んでくれていた。

 

「……母さん……」

 

「えぇ、なんだか夢みたいですね?まだ私の中にいる子がこんなにも大きくなるなんてね……」

 

「ん?子供……?」

 

 いまだ混乱している父と、だいたい理解した母。そして何か企んでいそうな叔父。そんな三人に私の出自を話始めた。

 

 

 

「はぁ〜……そんな技術か……」

 

「この話は外には出さない様にしてくれ、父さん」

 

「……なんかむず痒いな……」

 

 まだ呼ばれ慣れて無いのか、少しモジモジとしていた。

 

「なんかキモいなぁ〜……さぁ〜……とりあえず終わったみたいだね〜じゃ一筆ここで書いてもらえばお終いだ〜」

 

「へ?」

 

 父さんの間抜けな声が部屋に響いた。

 

「いやー、師匠からも頼まれてねぇ〜……ん、これだこれ」

 

 叔父は懐を弄り、書類を取りだした。

 

 文面には養子縁組と書かれていた。

 

「これで君は僕の姪だ〜……ん、サインよろしくね」

 

「何か企んでいると思えば……叔父様、最初からこれを狙ってましたね?」

 

「さぁ〜?どうだろうね〜?」

 

 叔父は悪戯が成功した子供のように笑った。

 

「はぁ……まぁ一人増える位なら問題ないが……アンジェリカ?」

 

「えぇ、良いですよ」

 

 ……トントン拍子過ぎないか? 私は呆気に取られながらも叔父が持ってきた書類へサインしていく。母さんは既に書き終えていたようだ。

 

 叔父様が書類をチェックし、懐に仕舞いこむ。

 

「アルトリア、これからフィクサーとして頑張ってくれよー?」

 

「……はい」

 

 そう返事すると叔父様は満足げに微笑んだ。

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