IS学園において留年を回避する方法を100字以内で書きなさい。 作:その愛に解なし
当然、全部読み飛ばしても問題ないぞ!!!!!!
∑ヽ(○Д○#)ノ
「全部分かりません!」
勢い良く言った織斑一夏にどう返答すれば良いのか分からず、山田先生がおろおろしてしまっていた。
しかし、織斑一夏は思い切りの良い性格らしい。今だって「何か質問はありませんか?」という山田先生に対して教科書すら開けずに「全部分かりません」だ。メンタリティがなかなかに決まっていると見て良いだろう。
IS学園での最初の授業はLHR。中学の頃は学級活動、略して学活。アイカツの親戚みたいな名前だったが、高校にもなると『ロングホームルーム』とかっこよさげになる。内容は学園についてのガイダンス的なものだ。勿論、教科書なんていらない。それなら一体、織斑一夏の机上の書物は何なのか気になるところではある。
山田先生はチラッと時計を確認した。
「ではもう一回説明しますね」
説明してくれるのか。優しい。
ガイダンス、と言っても軽く聞き流せるものじゃない。特に手元のこれについてのこととか。私は山田先生の二回目の説明に集中した。
「今、皆さんの手元にあるのが『学生証』です」
学生証。
文字通り、その学校に所属している証だ。中学校でもあった。証明写真のうつりが悪くて笑った記憶がある。今回も死んだ魚の様な目していてダメだった。
「その中には皆さんがIS学園で過ごすに当たって、必要になるものの一部が入っています」
学生証の中とは何ぞや、と普通なら思うかもしれない。だが、IS学園の学生証を見てそう思う人間はいないだろう。
IS学園の学生証は小型の携帯端末だった。傷ひとつない青色に白いラインが1本入っている。さらに裏面の右下には、型番みたいな複雑な文字列が小さく並んでいた。青色は私達の年代の指定カラーなので『1年1組の~~の学生証』というのが見ただけで分かる様になっているのだろう。タブレット状なので、一見しただけではスマートフォンの様に見える。机の内側にセットされていたものの1つだ。
「まず、生徒証が入っています。皆さんがここの生徒であることの証書です。生活の手引きに学園内地図なども入っています。何かわからないことがあったら学生証を見ましょう」
学生証は「紙媒体で貰ってもいちいち持ち歩きなんかしてられねーよ」といった類いの書類やデータが入っている。山田先生が挙げた様に校則や学園のマップなどがそれに当たる。他にも時間割や年間予定みたいなのも入っている。ありがたい。そういうの無くすタイプだし。
「授業変更や学園からの連絡がある場合もここに届くので定期的に確認するようにして下さいね」
次に大きい特徴としてはメールと電話ができることだろう。IS学園内には通常のケータイやスマートフォンを持ち込むことはできない。だから、連絡網としてこういった機能も必要になってくるわけだ。ちなみに、この端末は外との通信も可能らしい。当然のことながら"可能"なだけだが。
例年はここまで内外の規制は厳しくないそうだが、今年は織斑一夏や"他の"男性操縦者のこともある。多少は厳重にしておきたいのだろう。
「あとは購買や食堂でも学生証は必要になってくるのでなくさないように」
購買、食堂。流石は高校だ。本の中にしか存在しない施設ではないのかと若干疑っていた。
食堂は基本無料。凄い。一部の生活用品や学業に必須な物も無料。しゅごい。その他の必須ではないものについては購買エリア──学園の地下にある──で購入可能らしい。その場合も学生証は必須。
というか学生証内でキャッシュレス決済をするので、現金を外から持ってこれない限りは学生証が財布代わりになる。毎月何円分かが、全員一律で支給されるとのこと。それ以上の金額を使いたいのなら学園内のATM(比喩にあらず)を使って指定の口座からチャージするとか。今までお小遣い制ではなかったので自分のお金というのをどう使えば良いのか分からない。親には思わぬ出費を強制する立場にあるので無駄遣いはできないが。
「次にパソコンについてですね。ひとりにつき一台、机の内側にセットされてありますか?」
机の中からパソコンを取り出す。ノートだ。これも青いボディに白いラインが1本。ご丁寧に充電用と思わしきACアダプタとUSBケーブルまで付属している。IS学園のことだし専用規格かと思ったが、USBに関しては普通にtypeーCだった。授業で使うとか何とか。プレゼン資料でも作るのかしら。
このパソコンはインターネットが使える。ネットで調べものをできる、ということだ。勿論、強力なフィルタリングはかかっているだろうし、ネットサーフィン的な用途には使えないのは明白だが。それでもインターネットを使えるのは大きい。
メールで敬語とか使う時に失礼のない無難な文面を用意したり、クラスメイトの名前から有名企業や政治家がヒットするかどうか調べたりといろいろと活用させてもらおう。ついでにタブレットも用意されていた。先進的なデジタル教育に慣れていないから、むしろ怖いまであるレベルだ。紙媒体が既に恋しい。
「次は設備について───」
IS学園は訓練機だけで7つもISを保有している。訓練機なので貸し出し申請さえすれば誰でも使えるということだ。もっとも、一度の申請で使える時間が60分かつ「ダブったら抽選」という山田先生の言葉で察するけれど。
ISの訓練には当然、広いスペースが必要になる。そこで出てくるのがアリーナだ。
IS学園にはISの訓練用アリーナがある。第1なら学生の演習場、第2なら外部観戦もある公的な行事などなど……それぞれ広さや用途が違っている。アリーナの使用許可は訓練機を借りると一緒に引っ付いてくる。アリーナ単体だけを借りることも可能らしいが、IS貸出者が優先なのでそんな予約の取り方は滅多にできないとのこと。
「じゃあ次に、寮での生活について説明します」
IS学園は全寮制だ。ひとつの部屋につき二人。まだ部屋自体お目にかかってないが、どうせ立派なものだろう。万年一人っ子かつコミュ障なので、見知らぬ誰かとの共同生活には若干の不安を覚えるところだ。パートナーガチャ、大事。
唯一の男性である織斑一夏がどういう扱いを受けるのかは気になるが、女子寮にぶちこむなんてヤバいことは流石にしないだろう。
件の織斑一夏をチラっと見ると、明らかに何か悩んでいる様子だった。ガイダンスの内容に胃を痛めているのかもしれまい。もしそうなら一般人サイドとして勝手に心の友となりたいのだが、先程の「全部分かりません」発言を聞く限りは環境だけでなくマインドも主人公気質なのかも。うーむ。求ム、小市民。
「ここまでで分からないところはありますか?」
山田先生もチラっと織斑一夏の方を見た。多分、全クラスメートが見た。しかし本人はしかめっ面をするばかり。周りの視線に気付いているのかいないのか。
「……では、次にいきますね」
私だったら耐えられないね、この気まずい空気感。
私は心の中で合掌した。
「IS学園は毎週日曜日が休みとなります」
これは有名な話だ。IS学園は普通の高校の教育カリキュラムもクリアしながらIS関連の授業を行わないといけない。そのため、土曜日も授業をしないと時間が足りないのだ。最初は辛いかもしれないが、私にとっては土曜授業どころか学校生活自体がハードコアだ。もうここまで来たら土曜日の休日がなくなろうが関係ないと言っても過言ではないだろう。いや、やっぱり過言だ。休みをくれ。
「時間割は学生証の中にあるので、それを確認して下さい。各教科について軽く説明しますね」
手元の時間割を見た。高校にもなると教科名もちょっと変わっていて、本当に高校生になった実感がわく。嘘だ。全然わかない。私だって「ごく普通の高校生!」ってやりたかったよ。
『現代文』や『英語表現』といった見慣れないけど、何をやるのかは分かる科目の中に、『整備学』や『パイロット学』などの見慣れないし、何をやるのか分からない科目が散見される。IS関連の科目だろう。一切の遊びがない6限授業は実に合理的で、既にちょっと泣きたくなった。
しかし、私が気になったのはそこではない。
時間割の中に『物理』や『化学』があるのだ。いわゆる、理系科目。
私だって一応、少し前まで受験生だったわけだし、高校については色々と調べていた。
高校には文理選択というものがある。その名の通り、文系理系を選択することだ。これによって受ける授業が変わる。文系なら、公民などの社会科関係が増える。理系なら、それこそさっき挙げたような物理やらなんやらが増えるといった具合にだ。
つまり、IS学園の1年生の時間割に『物理』や『化学』が最初から並んでいるというのは『IS学園は理系オンリー』という事実の裏返しではないのか。私は訝んだ。
よくよく見てみると『現代文』は2週間に1回しかない。『地理』はあるのに『日本史』はない。そのくせ『技術』と『体育』はある。
高校について色々と調べた時に知ったことだが、高校には『理科基礎』という科目があるハズなのだ。1年生の内は『理科基礎』や『科学総合』みたいな名前で物化地生をやるハズなのだ。
それがない。ダイレクトに物理化学だ。普通高校の教育カリキュラムはどこに行った。
「IS系統の科目をしっかりと学ぶためには高校レベルの理系知識は最低限必須なので、皆さんには1年生の内から物理と化学を履修してもらいます」
私は精神的に文系だと思うので「ふざけんな」だが、普通に考えれば当たり前のことだった。文系の人もいるにはいるようだが、IS学園に来るような秀才に高校レベルの理系科目なんて敵じゃないのかもしれない。
その後も色々説明されて、生徒が質問したりなんだりがあったが、私の産業廃棄物みたいな脳細胞では覚えることは不可能だった。
しかし、すぐに私はガイダンスなんぞ真の意味で"チュートリアル"に過ぎなかったことを思い知る。
(1)Translate the underlined part1.
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日本語でおk