食用スライムだけど生き延びたいっ! 作:貝がら
僕の身体は斬られて小さくなる。だけどオーバースライスほど小さくならない。三分の一ぐらいの大きさのスライム3匹に分けられる。
ここまでは計画通り。「シショーゴハンマダノコッテル?」
そう聞くと師匠は腰につけていた袋を漁る。出てきたのはパンと蜂蜜。「これで体力と魔力は大丈夫な筈。だけど二つしか無いから半分にして」
お礼を言って自力で食パンを燃やしてトースト状態に蜂蜜をたっぷり塗って頂く。一匹だけ半分になったスライムは食パンの耳を焼いてラスク風にしてそこに蜂蜜を付けたもので満足して貰った。
これで3匹とも元の大きさに近くなった。上手くいくかな?不安を抱えながら僕は魔法を唱える。
『
「えっ…」師匠が驚いた顔が小さく見える。いや僕が大きくなっただけだ。奴が大きくなったならそれ以上に大きくなって火力を上げれば良いゴリ押しだ。
「大きい…」師匠は驚きのあまり尻もちをついた様だ。
「シショー…アノクモハナンデアンナニオオキク?」一つ気になったのでそれを聞くことにした。
「簡単」そう言って師匠は僕を指差して言う。「半分以上貴方のせい…貴方がレアな食用生物で貴方を食べた蜘蛛ごと食べたそのせいで強くなった。
今のアイツは
「悪い事は言わない。逃げよう…命があればお金は稼げる。生きている事が最大の譲歩。それは譲れない」
「シショー…ヒトツオシエテ」「ん…何?」
「ドウシテ…シショウハジブンデタタカワナイノ?マホウヲツカワナイノ?」
「…」その質問に師匠は唇を強く噛んで悔しそうな表情をした。明らかに言いたく無い。聞かれたく無いと言う感じだった。でも気になった…使えない訳では無い筈。だってSS級冒険者とか言われてたし…
「…ごめん今は話せない。いつか話せる時が来たら全て話す。今はそれで許して欲しい」
師匠は口をパクパクとさせてからそう言った。「ワカッタ…」本人がそう言うのに無理して聞く程じゃない。そうは分かってるけど気になる…
「オマタセ!」目の前のでかくて紫色の蜘蛛に集中する。僕達が喋っている間蜘蛛はずっと待機してた訳じゃ無い。その間にこの辺りを奴の糸で何重にも囲んで奴のテリトリーにしたみたいだ。周囲の木同士は糸でグルグル巻きだ。樹木が紫色に染まってるもしかして…
「糸には触れない方が良い。毒が付いてるから出来るだけ避けて。」やっぱり?
「リョーカイッ!?」返事をしたとほぼ同時で奴は糸に乗って移動して距離を詰めて来て
糸が僕目がかけて排出される。「ウワァ…!」何とか側転もどきの様な動きで転がりながら回避する。この身体ヘビー級なせいで重いし跳ねられないから不便だ。ここからどうしようっ!
攻防と言うか一方的なリンチを何度も繰り返され地面が毒まみれになる。あちらこちらには蜘蛛の巣が張られている。
「…フゥ」やるしか無い。僕は覚悟を決めて奴のエリアに内に突っ込んだ。
そして奴は嬉しそうに僕を毒糸で縛って口を大きく開けて中へ放り込み飲み込もうとする。僕は大声でそれに反応する。
「クエルモンナラクッテミナァ!」
『
詠唱と共に僕の体から大量の水が凄い勢いで流れ出し…
凄い勢いで吹き飛ばされ脱出に成功した。
『グゥッ…』奴は水をパンパンに含んで膨らみ丸まって動かなくなった。その後はオーバースライスで相手を巻き込んで足を切り刻んでギルドまで転がした。
…この世界では簡単に死ぬ事がある。それを恐ろしいなと思うのと同時にだんだん慣れて行く自分がいるんだろうなと思ったらなんか怖くなった。もしかしたら形が違えばこうなっていたのは僕かもしれない。
「どうしたのスラもっち」「…ナンデモナイ!」
まあ取り敢えず家賃の問題は大丈夫そうだ。僕は安心して師匠の頭の上で眠りにつくことにした。