食用スライムだけど生き延びたいっ! 作:貝がら
「乾杯」
ガヤガヤとした人が多い酒場兼ギルドで僕達はグラスを重ねてほぼ同時に飲む。
「ぷはぁ…この一杯の為に生きてきたって言うのは過言だけど美味しい」師匠はそう言って喉を鳴らす。
「うるせえな…いつもいつも一言多く言いやがって…良い加減素直に美味いって言えよ」キッチンの奥からマスターがそう返す。本気で怒ってる様には見えないからいつものじゃれ合いの様なモノなんだろうと思った。
「…いつも美味しい料理ありがとう」「…は?」コワモテのゴツいマスターが鳩に豆鉄砲みたいな顔をしている。
「別に…礼を言われる筋合いはねえよ客だからな。金さえ出してくれればな。しゃあねえな出すつもりは無かったんだが…試食だ食ってみろよ」
マスターは奥に行って何かをすると何かが乗ったお皿を持って帰ってきた。上には茶色い塊が何個か積まれている。
「これは最近来た旅人から教わった料理でな…何でも鳥肉を白い粉につけて油で揚げるらしい。…そいつの話が上手くてよ。実際に俺も食ってみたくなって試しに作ってみたんだ…」
そう言ってカウンターに皿が置かれた。フワッと油の匂いと鳥の匂いが合わさり鼻孔をくすぐる。まるで黄金色に輝く金山の様に積まれた唐揚げを見て僕と師匠は顔を見合わせた。
「これ…絶対美味い奴」師匠は近くにあったフォークを掴んで齧り付く。
「あふっ…おいひいっ!」目を輝かして小さい口にいっぱい頬張りながらそう呟く師匠を見てマスターは笑った。「そっかそら良かった…ほらスライムの!アンタも食べてくれ!」
ぱっとみ美味しそうな鳥の唐揚げって感じで…でも作って貰って有難いし食レポっぽくやってみようかな?あっ喋っちゃいけないんだった。
取り敢えず進められたので僕も一つ頂くことにする。湯気がまだ収まってない。そんな宝の山を崩して一口齧る。
「ン〜ッ!」カリッと揚げられた衣の中には柔らかい鳥肉が姿を表す。全然バサついても無いし硬くも無い現代でも通じそうな味だ。白飯欲しい…
「おっ!口にあったみてえだな!良かった良かった。それにしても話の続きになるんだが…ソイツもソイツの仲間もめっずらしい変な格好をしててな…よく印象に残ってんだ」
「ほれはどんなはっこう?」「それはな…白い服に黒い上着を着ていて…首にカラフルな首輪見たいのをつけてたな。アイツらよっぽど田舎から来たのかな!」
そうマスターは豪快に笑う。確かにここら辺では見ない変な格好だ。一体何をしてたんだろう…
「まあそんな事はどうでも良い。おいっ…サナ。お前さっきから酒ばっかり呑んでるけど金はあるんだろうな?」
そうマスターが言うので僕も師匠の方を見ると場所が無くて僕のスペースまで空のグラスが置いてあるほど呑んでいた。
「勿論…さっき手に入ったお金がある」懐から重い音を出して机の上に置かれる袋。その中身は全部金貨。さっきの蜘蛛の買取金なんだけど凄かった。まあまた後で話すよ
「だからって呑みすぎじゃねえか?まだガキなんだからよ…もう辞めとけ」そう言ってグラスを取り上げると師匠は取り返そうと手を出す。
「私は成人を十回は超えてる」「それはレベルの話だろ?いくらこの世界がレベル=年齢の世界だからって本当の年齢はいくつだ?17ぐらいだろ?」「ぶー!18でした」「変わんねえ変わんねえ…やっぱりガキじゃねえか子供はスライムと仲良く柑橘系のミックスジュース飲んでな」「子供じゃない」「かぁー…ガキはすぐに言い返すしムキになる。そう言う所が子供なんだよ」「子供じゃないもん」
最後まで師匠は子供じゃないと主張して頬を膨らませていた。