狂愛と時の円環で   作:クローサー

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最近「死に戻り」の作品が面白いなぁと思い始め、ふと自分も書いてみたいなぁと思って書いてみる。
プロット全然組んでないけど、福音編までやれたら良いな。


???回目の始まり

また、懐かしい場所で目が覚めた。

 

「────ッ!!」

 

衝動のままに勢い良く身体を起こし、過呼吸になる勢いで荒れ始める息を精一杯に整えようと深呼吸。

また失ってしまった悲しみと怒りに、一気に汗が吹き出してきている身体が震え、両手で己の身体を抱き締める。

 

「ハーッ………ハァッ………」

 

気持ちを落ち着かせ、息を整え、衝動を理性によって押し込める。

周回初めの、慣れてしまったいつものルーティン。

 

ベットの横に充電したまま置いてあるスマホを手に取り、日付を確認。

…やはり、始まりの瞬間は変わっていない。

 

「…また、失敗した…」

 

身体が汗だくなのも気にせず、再びベットに身を沈める。精神的にはとても寝る気分ではないが、身体は睡眠を求めている。このタイミングで起き続けても、何の価値も生み出さない。

 

汗を流すのは、起きてからでも十分に間に合う。故に目を瞑って再び眠る。

今は、無駄に身体に疲労を溜めるべきではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私…篠ノ之箒は、ある時をきっかけに時間を繰り返し続けている。

 

その目的はただ一つ。私の幼馴染の「織斑一夏」を、死の運命から救う為。

一夏は男性でありながらISを装着出来た事をきっかけにIS学園へ入学し、そこで3年間の高校生活を送る事になる。

その時に私は数年振りに一夏と再会し、事件に巻き込まれながらもIS学園の高校生活を満喫していた。

 

…全ての始まりは、一夏が銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の攻撃から私を庇って、死んだ瞬間からだった。

一夏の血と肉片によって、私の身体と紅椿を赤く紅く染めたあの感触は、今でも覚えている。

忘れる筈が無い、忘れる訳が無い。紅椿(専用機)の力に溺れ、愚かな選択をした私の原罪なのだから。

そして、一夏の死に呆然として動けなかった私にも、銀の福音は容赦無く攻撃し…私も、死んだ。

 

次の瞬間、私は時間を遡ってIS学園の入学日に目覚めていた。

…最初は私の身に起こった事が信じられず、余りにもタチの悪い夢だったと思い込んでいた。

だから2周目でも、あっけなく銀の福音に殺された。

3周目で漸く時間のループを利用した立ち回りを始めたが、しかし過程は違えど結果は同じだった。

4周目は銀の福音ではなく、VTシステムに殺された。この時に、巻き戻る世界が同一では無い事を私は悟った。

 

一夏が死ぬ度にもう一度時間を巻き戻し(一緒に死んで)、そしてまた違う結末によって一夏を失う。

もう何回、何十回、何百回繰り返してきたのか分からない。一夏を護る為だけに、ひたすらに膨大な時間と世界を渡る。

一夏の命を奪う敵は多い。無人機、銀の福音、亡国機業、何処かの特殊部隊、テロリスト…時には、クラスメイトでさえ。場合によっては、味方など存在しなくなる。

 

だから狂気と恐れられても良い、狂人と蔑まれても良い、狂愛と遠ざけられても良い。

 

 

貴方が生きてくれるなら、私は何にだってなってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ループの初めは、毎回決まってIS学園入学の当日。

繰り返す際に時々人物の行動、性格、思想などが変化する事で、バラフライエフェクトとなって新たな火種や幸運を齎す変数となる。しかしこのループの始まりだけは変化した事がなく、僅か数時間だけだが私にとっての準備期間が与えられる。

 

「…………………」

 

きっかり5時に起床。夜中に流した汗を風呂場で洗い流し、朝食を作る。

品目は卵焼き、焼き鮭、味噌汁、納豆、白ご飯。最初の頃は少し料理下手な所があったが、ループを繰り返して何万回も料理し続けていれば、嫌でも上手くなる。

 

「いただきます」

 

1人で手を合わせ、黙々と食事を始める。

重要人物保護プログラムによって、現在の私は家族と隔離され、寮生活となるIS学園入学までの約6年間の間1人生活を送っている。そしてループによって、父母とは数千年以上も会っていない。遠い昔の記憶となった今では、最早顔すら朧気にしか思い出せない。

それでも寂しくはない。

何故ならば私には、一夏がいるから。

 

「…ごちそうさま」

 

食事を済ませ、食器を洗って歯磨きをして髪を整える。それから自室に戻り、制服へと着替える。

IS学園の制服は特別製だ。特殊な繊維で出来ており、伸縮性が高く、更に通気性も良く肌触りが良い。そして一般的には秘密にされているが、防弾と防刃の機能も備わっていて、見た目よりいくらかは丈夫だ。とはいえ、たかが拳銃弾やナイフを防ぐ程度が限界だが。

 

「よし」

 

最後に長髪をポニーテールに結んで、準備完了。姿見の前でくるりと回って全身をチェック。うん、大丈夫。

時刻を見れば、そろそろ出発の時間。ループ以前の私が準備していた鞄を手に取り、部屋を出て玄関で靴を履く。

 

「行って来ます」

 

振り返らず返事の無い挨拶を呟いて、玄関を開ける。政府が引き払う事が決まっているから、鍵を掛ける必要は無い。

 

さぁ、行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後モノレールに乗って、本土から少しだけ離れた離島に存在しているIS学園に入り、寮に荷物を置いた後に入学式の行われる体育館に到着する。見た所約半数の生徒が集まっているだが、入学式が始まるまで少し時間はある。

周辺を見渡し、探す。数秒と掛からず、あからさまに妙な緊張感が張られている場所を見つけ、そこに向けて歩みを進める。

その原因は分かり切っている。女性にしか扱えないISを動かし、事実上「女子校」だった筈のIS学園に入学してきたただ1人の男性。

 

「一夏」

 

その名を呼べば、彼は私に振り向く。

 

織斑一夏。

幼馴染、想い人、片思い相手、私の全て。

容姿は端麗で、誰にでも優しく、困った人は放っておけない性格で、その癖して肝心な所でとんでもない唐変木を発揮して恋心を弄ぶ。

 

「…箒?」

 

なのに、私を見てすぐに幼馴染の篠ノ之箒だと毎回気付いてくれる。

それが堪らなく嬉しくて、引き締めている筈の表情筋が緩みそうになる。いけない、今はまだ、私と一夏の関係は数年振りに会った幼馴染でしかない。

これから、改めて積み重ねていくのだ。今はその為の第一歩。

 

「久しぶり、だな。一夏。元気にしていたか?」

「ああ。箒も、変わらないな。綺麗になってるよ」

「んっ……………お互い、積もる話もあるだろうが…入学式ももうすぐ始まるだろうから、また後にしよう」

「おう、また後でな」

 

軽く言葉を交わした後、踵を返して自分の席に戻る。周囲の同級生達から向けられる羨望と嫉妬が混ざった視線が少し煩わしいが、気にする程ではない。

 

『えー……只今より、IS学園入学式を始めます』

 

暫くした後、壇上でマイクを使って話す女教師の声が、スピーカーを通して館内に響き渡る。

 

こうして、私の長い戦いがまた始まった。




篠ノ之箒
織斑一夏の幼馴染。死の運命から一夏を救う為、IS学園の3年間をやり直し続けている。
精神年齢は本人すら覚えていないが、膨大なループの回数を考えると、恐らく数百〜数千歳。
今度こと護ると決断しても尚、想い人を目の前で失い続け、それでも尚諦めずに戦う。

織斑一夏
篠ノ之箒の幼馴染であり、彼女がループし続けるただ一つの目的。
IS学園の学園生活に於いてさまざまな原因で死に続けているが、当然ループしている箒以外の全人類は知りようがない為、現時点では原作と変わらずの唐変木。
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