自称最強チート転生者と忘却された勇者   作:ユフたんマン

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まさかここまで評価されるとは思ってもみませんでした。ありがとうございます!
正直にいうと投稿するのが怖い…
ルビに関しては明日くらいのアンケート結果を元に反映していくつもりです。

というわけで今回短めで勇者ちゃん視点はないです。次回は書く予定。


お仕事

大地を照らす太陽の様なオレンジがかった長髪の赤毛。晴れた空のように澄み渡る青い瞳。透き通るような美しい肌。 誰もが眼を奪われるその美貌。

女性の誰もが羨む小さめだが美しいプロポーション。

放つ魔力は女神メラシーより受け賜った邪を祓う聖の力。

光の魔法は人類の希望の光。

そんな人類の希望と謳われた勇者テラシアは今…

 

 

 

 

 

「ムニャムニャ…もう食べられない…」

 

一応用意していた来客用の敷布団で爆睡しているテラシア。掛け布団は部屋の隅に押しやられ、美しく艶やかな長髪は敷布団に絡み付くように散乱し、本来枕がある方向に足を乗せてそこにあるはずの枕は開かれた押し入れの横の薄暗い埃だらけの隙間に挟まれている。汚いのは元々物置にしてた部屋だから仕方ないね。

 

「……………」

 

これが人類の希望?これが勇者?敵であった俺の家で無警戒に爆睡する様な奴が?俺はこれに負けたのか?というか寝相悪過ぎないか?

とっ散らかるこの有様はまさに現代アートと言われても納得しかねない。そうはならんやろと言いたいがなってしまっている。なっとるやろがいこれが現実。

 

「……起きろ、朝だ」

 

取り敢えず声を掛ける。

 

「…起きろ」

 

近くにあったつっかえ棒でテラシアをツンツンつつく。直接触ってセクハラ扱いされたらたまったもんじゃない。KYTだね。

 

「ムニャムニャ…はじめ…まして…かなぁ…」

 

全然起きない。

こいつ、幸せそうな…ちょっと今辛そうな顔してたけど爆睡しやがって…。

 

昨日あったことを思い返す。テラシアが俺を監視するためにここに住むと言い、更には断ったら王国騎士団に情報渡しちゃうかもなぁ…(チラチラッ とこの俺を脅してくれやがった。別に剣聖程度返り討ちには出来るが平穏な暮らしは絶対に出来ない。

 

他に方法があるとすればテラシアを始末することくらいだがリスクが高いししたくない。人を殺すのはいつになっても慣れない。

本当にめんどくさい。ゆっくりさせて欲しいぞ。

 

そんなこんなで断り切れなかった為、交換条件として働いてもらう事にして、朝の日の出と共に仕事する事を約束させたのだが…

 

この有様だ。

 

「ムニャムニャ…」

 

ムカついたので敷布団を一気に引き抜いた。

 

「ふぎゃっ!!?」

 

ようやく起きたようだ。眠たそうな、不満ありありですといった顔で此方を睨み付けてくるが無視する。

 

「………働かざる者食うべからず、働いてもらうぞ」

「それって何処の言葉?」

「……俺の故郷の諺だ。いいからさっさと来い。仕事だ…」

「ちょっと待ってッ!?」

 

 

 

 

 

まず最初にやらせるのは鶏たちの餌の作成。適当にそこらに生えている雑草を持ってこさせる。

鶏は結構な数がいるのでかなりの量を必要とする。

それを鶏が食べやすい様にある程度細かく刻んでいく。それを大きなバケツに入れて糠を流し込む。

そしてそこにトウモロコシとおからを入れて俺特製の栄養たっぷりの水を入れて混ぜる。

そうすると完成…なんだけども…

 

「……何故光り輝いている?」

「普通に混ぜただけなんだけど…」

 

餌が何故かキラキラと光り輝いている。作る工程を見てたし魔力も流れていないので意図的に何かをしたという訳では無さそうだが…なんやこれ、こわ…

 

試しにテラシアが持っている入れ物から餌をひとすくいし、鶏の口元に持っていく。

 

 

 

 

コォォォオオオッ!!

 

 

 

すごい勢いで俺の手にある餌を喰らい尽くす。それに釣られた他の鶏が、一斉に襲いかかった。

 

テラシアに。

 

「ひ、ひぁぁあああああ…ッ!!?いた、痛い痛いッ!?」

 

寄越せ寄越せとテラシアを四方八方からつつきまわす鶏たち。

餌の入っていたバケツを落としてしまうと、テラシアにはもう用済みとばかりに足蹴にしてバケツの方へと鶏たちは向かっていった。

 

「酷い…」

 

ボロボロになったテラシアを見て笑いそうになるが何とか堪えながら、餌を貪り喰らう鶏を1羽捕まえて様子を見る。

 

うーん…特に異常は…元気すぎるくらいか?普段はこんなに暴れないのに餌を食らう鶏たちは凄まじく荒ぶっている。なんでこんなに荒ぶってんの?こわ…

 

よく分からないので一旦様子見。

 

 

次は残りの家畜達の餌だ。今日は得体の知れない餌をテラシアに作らせる訳にはいかないのでいつも通り自分で作る。

うーん、自分で作ったら普通のやつなんだけどなぁ。もしや勇者由来の女神パワー?

 

 

とりあえずテラシアを連れて畑に向かう。

 

「おお、これは魔芋畑か」

 

畑の一角、他の畑と比べて広めに取られている魔芋畑。地球の魔芋とは違うぞ。コンニャクじゃない。

 

この世界の魔芋は文字通り魔力を有した植物であり、通常の芋と比べて繁殖力がかなり高い。

大地の魔力を栄養にすくすくと育ち、魔力が少ない土地だと100日程度で収穫出来るようになるところが、魔力が豊満な土地では半分ほどの日数で収穫出来るようになる。

これは人為的な干渉が無い場合であり、ここに人の手を加えると更に早く成長する。

 

味はイマイチだがその量産性からメラシー教会などが働けなくなった人達に無償で配ってたりする。

基本的にどのような環境でも魔力さえあれば育つので、この世界には欠かせない重要な食材である。

冒険者とかでも魔芋の魔力やりなんて仕事も存在しているくらいだ。

 

そんな魔芋を俺は家畜の餌として使用している。

俺ほどの魔力があれば毎日収穫など造作もない。

量産性が高いと言っても普通に買えばある程度はする魔芋が無料である。コスパ最強である。これがあれば餓えることはまず無い。

 

「…というわけでこれを収穫しろ」

「何がというわけかはわからんがわかった、任せろ!」

 

自信満々に収穫作業に取り掛かるテラシアを横目に他の畑の水やりをするために少しだけその場から離れた。

 

 

 

 

「難しいな…」

 

ブチッ、ブチチと千切れる音と共に、手に残ったのは芋が全て千切れた茎のみ。芋本体は全て土の中である。

 

「次は、次こそは」

 

土の中に残った芋を掘り返しながら隣の茎を掴む。

 

ブチッ、ブチッ

 

「おかしい…まさかウォルボルグめ、私に恥をかかせる為に何か細工を…?」

「…してない」

 

遂には全ての芋を土の中に残したまま茎を引きちぎってしまった。

逆に才能では?

 

「く、殺せ…!」

「…では出ていけ」

「それは出来ない相談だな」

「…………」

「…ッ、これは少しだけ失敗したが料理は期待しておけ!目にもの見せてくれる!」

 

少しだけ?

 

 

 

 

 

 

不安になって料理をするテラシアを見ていたのだが…

 

「…危ない。何だその野菜の持ち方は…持ち手は猫の手を意識しろ…」

 

「…おい、火を付けたままだ。何か変な匂いがしてきたぞ…焦げてないか?」

 

「……待て、何を入れるつもりだ?…何故オレンジを?…その料理にか?…入れた方が美味い?…絶対合わない、断言する」

 

「…爆発したぞ、今鍋が爆発したぞ?何故だ?どうすれば鍋が爆発するんだ…?」

 

結論、キッチン出禁。もう調理するな。

どこから出てきたさっきの自信は。

 

「く、やはり私の料理は理解されないのか…!!」

 

うるせえ。

 

 

料理は任せられないことがわかったので料理は俺が作る。朝ご飯は目玉焼きとベーコンをパンに乗せた簡単なもの。テラシアのように朝から大掛かりな料理を作らなくても腹にたまればいいのだ。

 

「これなら私も作れるぞ」

 

なんてパンを頬張りながらテラシアが言うが俺は信じない。どうせダークマターでも創造するのだろう。

 

「…俺は仕分け作業をする。…お前は部屋の掃除でもしておけ」

「掃除は得意だ」

 

ホントかなぁ…

 

 

 

 

 

仕分け作業。この畑で取れた野菜は全て俺達だけで食べている訳では無い。

基本は村に持っていき金に変えたり、物々交換で他の野菜を貰ったり米の値引きをしてもらったりする。

 

小さな椅子に腰を掛け検品を始める。多少の虫食いは問題ないが、酷いものは家畜の餌か肥料になる。形の悪いものは俺や家畜が消費する。売れなくは無いが値段も落ちるしなかなか買い手がつかないからだ。

 

正直なところ、金に関しては魔王城から色々持って出て来たのでかなり余裕はある。

だが日本人特有の勿体ない精神だろうか、あまりそれには手を付けず自身で稼いだ金を使っている。もしもの時の貯金だな。それに畑で作ったのを捨てるのも勿体ないし、無料であげるのも何か違う。というか無料なら無料で村人達に警戒されかねない。

 

最近村の近くの山に住み着いた男が無料で野菜を配っている。怪しすぎないか?俺なら騎士団に相談するし調査してもらう。この世界の辺境な場所だと違法な魔法薬の実験とかも平然と行われているからな。

タダより怖いものはないってやつだな、うん。

 

 

 

検品作業を終えた俺は家に戻る。

 

「おお…」

 

思わず感嘆の声が出てしまった。テラシアが寝ていた元物置と化してた部屋がピカピカになっているではないか。

指を床の角や窓の周りに擦り付けてみるも埃ひとつ付かない。

やれば出来るんだな。

 

「ふふん」

 

得意げな顔が腹立つので絶対に口には出さないことを決めた。

 

あ、そういえばまだしてなかったな。綺麗にすると言えば…

 

「…服を脱げ」

「は、はぁ!?貴様、まさかそんな趣味が…だ、誰が脱ぐものかッ!!」

「…洗濯だ…汚いから」

「き、汚い…ッ!?」

 

当然ながらこの世界は日本に比べ衛生環境はすこぶる悪い。風呂に入らないことなんてザラだし毎日入る方が少ない。だから皆臭う。この世界の人間や魔族からしたら普通だろうが俺にはキツイ。

女性の香りがどうたらとか日本ではそうなのかもしれないが、この世界じゃ結構シャレにならない。鼻が曲がりそうになる。テラシアからはそういった臭いはしないが、二日続けて同じ服は普通に汚い。泥だらけだし。

 

俺の魔法の属性が水でよかった。この水で料理も出来るし風呂も入れるし洗濯も出来る。

戦闘では光が最強だろうが生活に置いては水が最強だろう。次点は炎。

 

「いや、私の替えの服がないから…」

「…………」

 

ポイッともう1つの物置部屋から女物の服を取り出してテラシアに投げ渡す。

サイズが合わずブカブカだがまぁ隠すもの隠してるし大丈夫だろう。

 

「何で女物の服を持ってるんだ!?」

 

まぁ色々あったからな。

ほら早く着替えろと残りの服と、脱いだ服を入れる籠を手渡して元物置部屋に押し込んだ。

 

 

 

 

「く、なんて大きさだ…!悔しい…!!」

 

ダボダボの服を着て出て来たテラシアから籠を受け取り魔法で出来た水球の中に突っ込む。

全て詰め終わると洗剤を入れてゆっくりと中で水流が発生し回り始めた。

 

後は全自動、放置しておけば勝手に終わる。我ながら便利な魔法を開発したものだ。

 

 

 

 

 

因みに余談だが今日の餌を食べた鶏はたった一日で尾が数メートルも伸び、羽は肥大化し神々しい光を放つようになった。

何これこわ…

これ誰かに見られたら絶対ヤバいやつだろ。

 

家畜の餌作りも禁止にした。

 

後、鶏共は俺の餌を食べなくなった。テラシアのものしか食べない。このチキンがよ。

卵は滅茶苦茶美味かった。前世を含めて今まで食べた中で1番美味い。黄身が10個あった。




・ウォルボルク
料理はそこそこ出来る。
生牡蠣が大好物だが、この世界に牡蠣がなく加熱しないと不味いもどきしかないことに絶望。
掃除や片付けが苦手。


・テラシア
料理は苦手。自己流のアレンジが得意。
掃除は得意。

技名にルビを付けて欲しいと意見があったので皆さんの意見を聞きたいです。

  • ルビを付けて欲しい
  • 要らない
  • あとがきで読み方記載
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