エルデの腋巫女~東方黄金樹~ 作:筋力99
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……落ちた葉が伝えている。
偉大なる、エルデンリングは砕けた。
霧の彼方、我らの故郷、狭間の地で永遠の女王マリカは隠れ、黒き刃の陰謀の夜、黄金のゴッドウィンが最初に死んだ
マリカの子たるデミゴッドたちは、エルデンリングの破片を得、その力に歪み、狂い、破砕戦争を起こし……。
王なき戦いの末大いなる意志に、見放された。
おお、だからこそ褪せ人よ!
未だ死にきれぬ、死者たちよ!
遠い昔に失くした祝福が、我らを呼ぶ!
蛮地の王、ホーラ・ルーよ!
輝ける金仮面よ!
死衾の乙女、フィアよ!
忌まわしき糞喰いよ!
百智卿、ギデオン=オーフニールよ!
……そして、失われた祝福はまた、もたらされる。
異なる世界の、幻想の地で生きる、褪せ人の元に。
霧の彼方に向かい、狭間の地に至り、エルデンリングに見えよ。
「……え?」
──博麗霊夢は困惑する。
布団の中でぐっすり寝ていたはずなのに見知らぬ建物の中の冷たく硬い石の床の上で目覚めたのだから当然だろう。
「何処よ、ここ?」
頬をつね、夢ではないことを確認する。昨日は確か花見で神社で宴会をしてそのまま寝たはずなのだが……まさか酔っ払った状態でここまで来たのか、或いはスキマ妖怪辺りに連れて来られたのか。
どちらにせよ、ここから出なければと霊夢は立ち上がり、そして気付く。
周囲に立ち込める、血の臭いに。
「ッ…………」
そして、その主はすぐに見つかった。霊夢のすぐ傍らで倒れる女の死体。見たところ何者かに喉を掻っ切られたようである。
「えるでの王……? 何よそれ」
地面に浮かび上がるメッセージ。漢字でも平仮名でも、紅魔館で見たアルファベットとやらでもない見たことない文字であるにも関わらず、どういう訳か霊夢は読むことが出来た。
これは自分へ宛てたものか? 死体の顔に見覚えはないが、しかし決して無関係ではないような気もした。
王……とは言ってもエルデなんて地名は聞いたこともないし、幻想郷に王は存在しないのだから今一ピンと来ない。
確か豊聡耳神子は聖徳王とか名乗っていたが、霊夢からすれば一万円札の人という印象でしかなく、どうしたものかと思考を巡らせる。
「……とりあえず外に出てみましょうか」
目を閉じ、死体に対して黙祷を捧げると奥の方に聳える扉へ向かい、触れる。
それなりの力を込めて押せば、刻んできた時を感じさせるような重苦しい音をたて、ゆっくりと扉は開いてくれる。
「……は?」
一歩、足を進めて空を見やれば霧がかった曇天。季節は秋ぐらいか。少し肌寒いなと思いつつふと視界に飛び込んだそれに唖然とする。
何と、その暗い空を覆うように、天を衝いて聳立する巨大な黄金の大樹があるではないか。
霊夢は漸く理解した。
ここが幻想郷ではない、全く別の世界であることを。