気が付いたらイザークになってました(白目)   作:トロロ将軍

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足付き追撃戦

「これより我々は足付き追撃に移行する」

 

クルーゼ隊長の号令と共にヴェサリウスが進路をアークエンジェルに向ける。

ヘリオポリスは原作通り崩壊し、ミゲルを含め多くの仲間を失った。

 

「足付きと相手のMSのスペックがわからない以上油断できませんね」

 

「相手は大剣を装備していたんだろ?ならバスターの長距離射撃で一撃だな」

 

ニコルの言葉にディアッカは楽観的に返すが、現状ストライクのパイロットがコーディネーターであることを知らないならこの考え方も頷ける。

しかし油断して戦死しましたなんて笑えないので俺はアスランにそれとなくストライクのパイロットのことを尋ねることにした。

 

「アスラン、お前はヘリオポリスでストライクと戦ったらしいな。戦っていて特徴とか何か気が付いたことはないか?」

 

「いや・・・わからない」

 

・・・こいつ秘匿しやがった。

まぁ昔からの友人が乗ってるなんて言えないか。

 

「足付きとの交戦は2日後の予定だ。それまでに各員機体の調整をしておくように」

 

そう言ってクルーゼ隊長はブリーフィングルームを出て行った。

残された俺達も各々の行動へ移っていく。

 

「イザーク、ちょっといいですか?」

 

俺も格納庫でデュエルの調整をしようかと思っていたらニコルに呼び止められた。

用件を聞いてみる。

 

「ヘリオポリス以降アスランの調子が悪そうなんです。何か思い詰めているような気がするんです。イザークは何か知りませんか?」

 

まぁ昔からの友人が敵のMSパイロットなんて普通は精神を病むわな。

 

「悪いが俺にもわからん。だが今後の作戦での不安要素はなくしたい。アスランには俺が話を聞いてみる。まぁ解決できるかはわからんがな」

 

「ありがとうございますイザーク。やはりイザークに相談して正解でした」

 

そう言ってニコッと笑ったニコルはそのままブリーフィングルームを出て行った。

原作だとディアッカと一緒にニコルを揶揄ったり高圧的な態度で接していたイザークだったが、この世界ではイザークin俺なのである。元が日本人で小市民の俺に原作イザークのようなコーディネーター至上主義でプライド激高なムーブは取れないし取りたくない。

 

「・・・みんな良い奴らだよなぁ」

 

皆と一緒に終戦まで生き残りたい、自分が生き残れるかもわからないのにそう思ってしまう俺がいるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イザーク・ジュール、デュエル出るぞ!」

 

スラスターを吹かしヴェサリウスのカタパルトからデュエルを発進させる。

こちらの戦力はイージス、デュエル、バスター、ブリッツの四機。クルーゼ隊長はヴェサリウス艦橋で指揮を執る。

 

≪イザーク、ディアッカは足付きを。ニコルは敵MAを。俺はMSを相手にする≫

 

現場指揮官のアスランから各機に指示が飛ぶ。しかし・・・

 

「おいアスラン、敵のMSには二機で当たるのが得策じゃないか?」

 

≪各機散開!≫

 

あいつ無視しやがった!

確か原作では戦闘中にキラをザフトに勧誘していた筈だが、俺達に邪魔されたくないってことか。

 

「ちっ、仕方ない。ディアッカ、現場指揮官様の命令通り俺達で足付きを狙う。貴様は長距離射撃を、俺は接近して攪乱をおこなう」

 

≪OKイザーク。さっさと仕留めてプラントに帰ろうぜ≫

 

バスターが武装を連結させて射撃体勢に入るのを横目に俺はスラスターの出力を上げアークエンジェルに接近する。

途中ストライクやメビウス・ゼロがアークエンジェルの壁になろうと動くが、イージスとブリッツに妨害され上手く防衛できないでいる。

 

「こんなに楽な接近なんてアカデミーのシミュレーターでもなかったな」

 

最早俺の行く手を阻むものは対空機銃しかない。

 

「先ずは足を止める!」

 

足付きのエンジン部にビームライフルを放つ。

しかしビームはアークエンジェルの装甲に吸われたように消え変化はない。バスターの射撃も当たっているようだが同様に効果は無いようだ。しかも周囲に何かを撒いたかと思ったらビーム自体がアークエンジェルに届かなくなってしまった。

 

「あれがラミネート装甲とアンチビーム爆雷か。ゲームだと便利装備だと思ったが敵にすると本当に厄介だな」

 

「こうなったら艦橋を直接狙う!」

 

しかしMS運用を目的とした新造艦が対MS戦を想定していない筈もなく、エンジン部を狙うよりも遥かに厚い弾幕が襲ってくる。

 

対空機銃程度デュエルのPS装甲の前には豆鉄砲にすらならないが、PS装甲で実弾を受けるとバッテリーが大きく失われるのだ。万が一敵前でPS装甲ダウンなんてことが起きようものなら一瞬でハチの巣だろう。

 

「クソッ、流石不沈艦アークエンジェルだな。守りが硬すぎる」

 

≪イザーク避けろ!≫

 

アークエンジェルを攻めあぐねているとディアッカから通信が入る。反射的に機体を後方へ下げた瞬間、赤く太いビームがデュエルの両足を破壊していった。

 

「何があった!?」

 

ビームが飛んできた方向を確認するとストライクが巨大なビーム砲をこちらに向けているのが見える。どうやらアスランの勧誘は原作通り失敗したらしい。

 

≪イザーク、その損傷じゃ無理だ。ヴェサリウスまで後退しろ!≫

 

ディアッカの言う通りこの損傷では作戦遂行は厳しいだろう。

その時、ヴェサリウスから信号弾が上がった。帰艦命令だ。

 

≪各機ヴェサリウスに帰艦する。ディアッカはイザークの後退援護を≫

 

アスランから全機に通信が入る。作戦は失敗だ。

ディアッカの支援を受けヴェサリウスまで後退するが幸いなことにストライクからの追撃はなかった。

 

≪大丈夫かイザーク≫

 

「問題ない。それよりアスラン、貴様が敵のMSを抑える役目だっただろう。抜けられているじゃないか」

 

≪・・・すまない≫

 

俺の小言に対しアスランは素直に謝罪する。まぁストライクと戦いもせずに交渉していた負い目があるんだろう。

 

「まぁ、俺やディアッカも足付きを仕留めることができなかったからな。次は必ず仕留める」

 

楽にアークエンジェルを落とせるタイミングは地球降下までだと俺は考えている。地球降下後はキラも成長するし何より重力圏内は自力飛行がおこなえない機体にとって非常に戦いにくいからだ。

 

≪本当にすまないイザーク≫

 

「・・・ふんっ」

 

しかしアークエンジェルの装甲は想像以上に硬かった。パイロットのキラ・ヤマトもこれからどんどん成長していくだろう。

 

「・・・本当に楽な戦いじゃないなぁ」

 

通信を切ったコックピットでそう呟いた俺は、ディアッカの手を借りてヴェサリウスへ着艦するのだった。

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